『不完全』の『幽波紋』   作:数取団乱闘生

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最終話「『不完全』の『幽波紋』」

ピュリフィケイション・セレモニーの様子がおかしくなり、ツギハギ人形のような見た目が壊れ始めた。

そして何と中に巨大な一本の螺子が隠されていたのだ。

「球磨川先輩…それはまさか……」

『僕のスタンドの最後の切り札、その名も却本作り(ブックメーカー)』

「ぶっ、却本作りだと?この世界ではスキルは使えない筈だ…」

今まで余裕をぶっこいていためだかが初めて焦りを見せた。

『スキルじゃない、これも立派なスタンドだぜめだかちゃん。ただ僕のスタンドが却本作りを使っているだけのこと。なんら驚くことじゃない。それに君に見せた時点で君もコレを使えるんだからおあいこだろう?』

「くっ、球磨川!」

却本作り一つで球磨川とめだかの立ち場が逆転したように見えた。ただし球磨川も見ている不知火も分かっている、あの黒神めだかが却本作りだけで負ける筈がないと。

『もう一つだけ言っておくよめだかちゃん、コレは却本作りであって却本作りじゃない。仮にこの螺子を君に突き刺した場合、僕のスタンドは消えてしまう。スタンドが死ぬということは本体も死ぬ』

「だったら何だ?貴様は私を弱体化させる為だけにわざわざ命を捨てようというのか?」

『まさか。僕が袖ちゃんに後を託して死ぬのでも?僕が死んだら却本作りに刺された人間も死ぬんだよ。僕と同じ運命を辿る……どうだい?最高だろめだかちゃん』

そう言った球磨川の顔は不気味な笑みを浮かべていた。それを見てゾッとするめだか。

まるでこの絵面は球磨川が初めて箱庭学園にやって来た時のそれそのものだった。

どっちが主人公でどっちが悪役なんだからもう分からない。

『僕の却本作りからは逃げられないぜ。例え君がザ・ワールドかスタープラチナで時を止めようとも…どんなスタンドを使ってもね……』

球磨川がそう言うと却本作りがめだかに向かって発射された。

「球磨川、私がこんなものでやられるかっ!スタープラチナ、時を止めよ!」

……。

だが時が動き出した時には既にめだかの身体に却本作りが突き刺さっていた。

「なっ……」

『言っただろうめだかちゃん……これは却本作りであって却本作りでないって。スキルじゃなくてスタンドなんだから………』

めだかには却本作りは突き刺さったままだが、めだかに刺さった時点でスタンドでは無くなってしまうので球磨川のスタンドは消滅したことになり球磨川はそのまま死亡してしまった。

そして却本作りに刺されためだかもデッサン人形へと戻った。

 

『あれ?僕死んだ筈なのになぁ』

球磨川が目を覚ました場所はめだかと戦った山ではなく教室だった。

初めて来た場所ではない、大嘘憑きを持っていた頃は死ぬ度にここへ来ていたのだから。

「やったじゃないか球磨川くん。とうとうあのめだかちゃんを倒せたわけだ。もっとも君は死んでしまったけど」

その教室には球磨川の他にもう一人いた。教卓に座っている。

『やっと会えた…って感じだね。君が僕をあの世界へ呼んだんだろう?……安心院さん』

そう。球磨川の目の前にいたのは安心院さんこと安心院なじみだった。

球磨川同様に10年前から姿を現していない。

「へぇー僕だって気付いていたんだね。いつから?」

『最初から疑ってはいたけど、確信に変わったのは高千穂くんの後に自殺した時かな。確かに頭を螺子で刺して死んだ筈なのに平然としてたからね』

「なるほど…」

白々しく頷く安心院。

「それより球磨川くん、コレを渡さないとね」

そう言って安心院が球磨川に手渡したのはコサージュだった。

[No.98 黒神めだか]

と書かれている。

『まだ袖ちゃんとは戦っていないんだけどね。もう終わりみたいな空気だけど』

「あの不知火ちゃんが偽物だって気付いてたの?」

『ワザとだろう?袖ちゃんはたぶんあんなキャラじゃないよ』

「それはそれは僕の観察不足だったかな。じゃあこれもあげよう」

安心院はもう1輪コサージュを手渡した。

[No.99 不知火半袖]

と書かれている。

『戦ってないのに良いのかい?』

「君も言ってたけど大した役には立たなかったからそのお詫びだよ。さーて後一つだね」

『最後は安心院さん、君だろう?まさかスタンドもスキルも失った僕に君と戦ってんじゃないだろうね』

「大丈夫、君もこの旅でだいぶ勝ってきたじゃないか。もう勝てない男じゃなくなった」

また白々しく言った安心院。それに対し球磨川はため息をつきながら

『やれやれ…あんなのは元々僕に勝たせる為に作られた戦いじゃないか。まさか最後にそれが言いたかっただけじゃないだろうね?』と言った。

「あははは…バレた?」

『えっ?ホントにそれだけ?』

自分で言っておきながら驚く球磨川。

「まぁ後は久しぶりに球磨川くんと遊びたかっただけだよ。最後はここに置いておくよ」

安心院はそう言うと座っていた教卓に最後のコサージュを置いて姿を消した。

最後のコサージュにはもちろん

[No.100 安心院なじみ]

と書かれており、さらに裏には[ありがとう球磨川くん。楽しかったぜ]と書かれていた。

『やれやれ…また勝てなかったぜ。でも僕は悪くない』

球磨川は最後のコサージュを手に取ると教室を出て行った。

 

最終箱完。

 

 

またお会いしましょう




最後までお読み頂きありがとうございました!
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