『不完全』の『幽波紋』   作:数取団乱闘生

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第5箱「デビル・スタイル」

『袖ちゃん、君は下がっているといい。いくらニセモノとはいえ戦い辛いんだろう?でも僕は善吉ちゃんなら何の遠慮もなく戦えるよ』

そう言うと球磨川は不気味に笑いスタンドを出した。

「球磨川、お前のスタンドがどんなに強力だろうと俺には勝てないぜ」

突然人吉の態度が凶変し拳を構えた。

『そんな前置きは良いから善吉ちゃん、君もスタンドを出したらどうだい?』

「その必要はねーよ。俺のスタンドにはビジョンがない。俺の中にいるからな」

そう言った人吉の身体から黒いオーラが出ていた。それがスタンドなのだろう。

『それじゃあスタンドで戦えるのかい?それともスタンドの己に憑依でもさせる気?それじゃあジョジョじゃなくて銀魂になっちゃうけどなぁ』

「だったら試してみろよ。お前のスタンドを俺に叩き込んで来い」

『なんだろう…善吉ちゃんにそんなことを言われると何故か少しイラっと来るね』

球磨川は真っ正面からピュリフィケイション・セレモニーで人吉を螺子で串刺しにしてやろうとした。

しかしピュリフィケイションから螺子が出て来なかった。

『あれ?』

そしてその隙に人吉が球磨川本体を蹴り飛ばした。

「どうした球磨川?そしてお前の身体に触れたのに俺は『ゼロ』にはならないぜ」

『……それが君のスタンド能力ってことかい?』

「そうだ。俺のスタンドデビル・スタイルの能力だぜ!俺の半径10kmにいる奴はスタンド能力を使うことが出来ない!すなわち今のお前のスタンドはお前の後ろに現れるだけのビジョンに過ぎないってことだ!」

そう言った人吉はタバコを吸い出した。

『君タバコ吸うの?善吉ちゃん』

「まぁな。だったら何だ?」

『いや別に良いんだけど、君のキャラ的には吸ってないのかなぁって思ってさ』

「文句あるってのか?球磨川よぉお前なんざスキルもスタンドも無けりゃただの負け犬だってことが分かんねーのか?」

段々キャラが崩れてきた人吉は球磨川の頭を踏みつけた。

「オラオラ球磨川さんよぉ、なんとか言ってみろよ!」

「ちょっと待てよ人吉!」

今まで黙っていた不知火が叫んだ。

「おい不知火、お前まさか俺より球磨川を庇うってのか?」

「ニセモノにそんなこと言われてあたしが怯むとでも思ったのかよ!」

「俺がニセモノだって根拠はどこにあるんだ?」

「えっ?」

言葉に詰まった不知火に追い打ちをかけるように人吉は球磨川から離れ、不知火に近付いた。

「俺はお前や球磨川と一緒に何者かにここへ連れて来られたんだよ。球磨川を襲ったのは10年も音信不通になったアイツが気に入らなかっただけだ。なぁ不知火、俺は正真正銘人吉善吉だ!」

真っ直ぐな目で不知火を見つめる人吉。

「う、嘘だ!人吉はあんなことしない!」

そうは言った不知火だが明らかに同様していた。

「悪かったって!俺も球磨川がニセモノだと思っちまったんだよ!許してくれよ不知火、なぁ?」

人吉は手を合わせて頭を下げた。

ただの作り物のデッサン人形がそんなことをするだろうか。あのデッサン人形は自分と球磨川に戦わせる為だけに誰かが操っている。こんな展開は必要ない筈。

不知火の心はどんどん揺らいでいった。

「ホントに人吉なの?」

「あぁ!俺を信じてくれ!」

『待つんだ袖ちゃん。ソイツは本物の善吉ちゃんじゃないぜ』

今度割り込んで来たのは球磨川だった。

「待ってくれよ球磨川、何の根拠があるってんだ?」

『根拠はそうだね…まずは君が僕たちの事情に詳し過ぎることかな。君とはここで初めて会った筈なんだけど』

「それは俺も同じ目にあってるからだろ?俺だってここに飛ばされて真黒さんと戦ったんだぜ?」

『もう一つある。それは君が僕のスタンド能力が触れたモノを『ゼロ』に戻すってことを知っていたことだよ』

「⁉︎…」

不知火もここで気付いた。人吉と会ったのはついさっき。人吉自身のスタンドデビル・スタイルで封じ込めた筈の球磨川のピュリフィケイション・セレモニーの能力を知っているのはおかしい。

「チッ…もうちょっとで不知火を騙せたってのに。球磨川、相変わらずてめぇはいらないことしかしねーな」

正体を暴かれた人吉のキャラが豹変した。

「ひ、人吉…」

『分かったかい袖ちゃん。コレは善吉ちゃんなんかじゃない、僕たちの戦うべきデッサン人形だよ』

「不知火を味方につけたからといって戦局は変わらないんじゃないのか球磨川よぉ。不知火のスタンドも俺のデビル・スタイルで使い物にならないんだからな。お前らはどうあがいても俺には勝てないってことだ」

人吉は2本目のタバコに火をつけて仁王立ちしている。

「もう一つ言うと肉弾戦でお前らには100%負けないぜ。球磨川も不知火も身体能力自体は大したことないのは知ってるからな。俺のソバットでぶっ飛ばしてやるよ」

余裕の人吉だが現に戦局は球磨川と不知火が圧倒的に不利だった。

スタンドを封じられた二人は丸腰状態だが、丸腰では人吉には敵わない。

ノーマルかつシンプルに強い男。それが人吉善吉なのだから。

『善吉ちゃん、君のスタンドが憑依型で助かったよ』

 

第5箱完。

 

 

またお会いしましょう

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