『善吉ちゃん、君のスタンドが憑依型で助かったよ』
不利な状況にも関わらず球磨川は相変わらずの態度だった。
最終的には『また勝てなかった』と言うくせに常に勝てるかのような余裕がある。
「球磨川、お前本当に状況が理解出来てんのか?」
『もちろんだよ善吉ちゃん。スタンドを倒せるのはスタンドだけだ、でも人間を倒せるのはスタンドだけじゃないはずだぜ?』
「何が言いたいんだ」
『さぁ?それは自分で考えなよ』
自分の勝利には確信があるのだが、この球磨川の態度が人吉は気に入らなかった。
「良いだろう球磨川、まずはお前からぶっ殺してやるぜ!」
人吉は球磨川に向かって真っ直ぐ突っ込んできた。スタンドもないので恐れるものがないからである。
『善吉ちゃん、君は真っ直ぐな男だったね。だがそれじゃあダメだ。生き残れないぜ』
次の瞬間球磨川は懐から取り出したメスを人吉を心臓に突き刺した。
「なっ……」
これには刺された人吉はもちろん不知火も驚いた。
『簡単な話だ、君を倒すには君を殺せば良い。スタンドなんか関係ない。くじらちゃんのメスを一本拝借しておいて良かったよ』
人吉はその場に倒れ動かなくなり、やがてデッサン人形へと戻った。
『やっぱり人間に忠実に作ってるからスタンドを潰さなくても本体が死ねば終わるようになってるんだね』
そして胸についていたコサージュを取った。そこには[No.4 人吉善吉]と書かれていた。
『やれやれ…四人目にしてかなり強いスタンド使いだったね。袖ちゃん大丈夫だった?』
「う、うん……」
不意打ちでメスを心臓に刺すというコイツホントに主人公かよとツッコミたくなるやり方で人吉を退けた球磨川に、おかげで助かったとはいえ若干不知火も引いていた。
「ちょっとそこのお前!現行犯逮捕だ」
するとイタリアの筈なのに日本語で喋りながら現れたポリス。
『ん?僕?』
「お前だお前!今人を刺していたな。殺人容疑で逮捕する」
『あれ?どういう展開?』
人吉がデッサン人形であることなど知る由もないポリスは、球磨川がメスで刺し殺すところだけを目撃してしまっていた。
球磨川を殺人者とみるのは当然である。
『いやいや僕は善良な市民だよ?ねぇ袖ちゃん』
不知火に助けを求めようとした球磨川だったが、何故かそこに不知火の姿はなかった。
『あれ⁉︎袖ちゃん⁉︎』
「ごめんなさい球磨川先輩…アレを見られてたんじゃ言い訳出来ませんよ。あたしまで捕まりたくないんで」
不知火はポリスが球磨川しか見ていなかったのを良いことにとっさに身を隠したのだ。
『善吉ちゃんも言ってたなぁ、袖ちゃんは逃げ足が速いって。まさにその通りだよ』
結局球磨川はポリスに現行犯逮捕されてしまった。
さらに取り調べでは無言を貫いて牢獄へと入れられてしまった。
『まさかこんなことになるとは思わなかったよ。まだ九十六人もいるのになぁ』
「おい、そこの新人」
『えっ?僕のこと?』
「他に誰がいんだよボケ」
同じ牢屋には球磨川の他に二人いた。何故か男女混合で入れられているこの牢獄は男子は球磨川も入れて二人。女子は一人だった。
「新人が偉そうに座ってんじゃねェよ。ぶっ飛ばすぞ」
そして球磨川はこの男に見覚えがあった。名前は思い出せないが。
『君名前は?』
「あ?新人が偉そうなこと言ってんじゃねェよ。俺は 日向破瞬(ひゅうがはだたき) だ。覚えてとけ!」
『あれ?もしかして箱庭学園生徒だった人?』
記憶がふわっとしているが何となく聞き覚えがあるということはこの男も本物ではなくデッサン人形である確率が高い。とりあえず球磨川はそう考えた。
「おい聞いてんのか新人!」
『なんだい?何か言った?』
「新人のお前は一番下っ端なんだよ!服役年数が多い方が立場が上だってこと知らねェのかお前は!そんなもん常識だろうが!」
『いやだって刑務所入ったことないし…あっでもダウンタウンなうでそんなこと言ってたかな』
球磨川の態度にかなりイライラする日向だったが
「もう良い。うるさいから少し黙ってな」
もう一人の女がそう言うと日向はすぐに引いた。どうやら日向よりこの女の方が先輩らしい。
『この女の子のせいで彼は僕を殺しには来ないのか。デッサン人形でも人の心はあるのかな?』
服役生活2日目。
刑務所内での作業を黙々とこなす球磨川だったが、日向はやはり気に入らなかった。
「おい新人…いや球磨川、ちょっと来い」
清掃作業の際に呼び出し、人気のない建物の裏へ。
「お前最初に俺を見かけた時から気付いていたな。俺がお前を殺す為に用意されたスタンド使いだということに」
『まぁ一様これでも元副会長だからね。生徒の顔ぐらいは覚えておかないとさ。君確か百輪走の時にいたよね、だから覚えていたんだ』
「チッ、ここに逮捕された時は絶望したがまさかお前も逮捕されて来るとはな!あいにくお前と不知火以外の人間には手を出すなとインプットされてるもんでココのルールに従うしか無かったがコレで心置きなくお前をぶっ殺せるぜ球磨川ァ!」
そう言うと日向はスタンドを出した。剣士のような見た目であった。
第6箱完。
またお会いしましょう