ー深い蒼
ー哀しみと慟哭
ー身を斬るような冷たさ
ーとても、暗かった。とても、寂しかった。
どうしてこうなったのか、そもそも何が起こっているのか一つもわからないままただこの状況を受け入れるしかなかった。受け入れたからといって生き残ることが出来るという保証もなかったが。響くのは爆音と泣き声、そして激しい波音だけ。ただひとつ覚えていることは、哀しそうな女性の声が僕の道標になってくれたことだけだ。
「あの子達を、お願い…」
それが僕が最後に聞いた、ある少女達と自分に向けた言葉だった。
こうして「オレ」はこの世界で再び「生まれた」。新たな役目と体をもって。
ー漆黒の少女は、泣いていた。白銀の乙女は、必死だった。
少女が抱えているのは、途方もない怒り、悲しみ。そして人間への憎悪と困惑。理解出来ない、解釈が間違っていた。どうして、どうしてどうしてどうしてどうして。
白銀の乙女は、そんな彼女をどうにかして止めるために今出来る最善を、つまり「説得」を試みようとしていた。自身と彼女は二つで一つ。そう作られており、事実そうしていままで「生きてきた」。同型艦として、そしてなにより姉妹として彼女を受け止める存在は必要不可欠である。
「一人では、駄目っ!」
しかし、そんな彼女の悲痛な叫びと思いは届かない。そして荒れ狂う重力の波に襲われる。そこで彼女は気づいてしまった。少女の慟哭は彼女が考えているよりずっと深く、酷かった。気づいてしまったが故に、彼女は諦めてしまった。少女のすべてを。
「■■■」は哀しみと愛しさに支配された「心」と自身の「演算能力」が悲鳴を上げる中、最早自分になす術はないとそう考えていた。しかし、それでも「少女」を想う気持ちから今打てる最善手、というよりかは最後の力を振り絞り選択肢を作り出した。つまり、自身を他の者に託す。それは成功するかどうか分からない賭けであった。そして、そこにもう一つの光が差す。彼女は、そうして自身の想いを託した。
そして「■■■」は静かに祈る。今、自らの手で生み出した二つの命の行く末の明るいことを。そして、自身の願いである「少女」の救済を成し遂げてくれることを。流した涙、これはほかならぬ「変化」であると同時に自分達にとってとても大切なものだと、そう思ったから。この気持ちに、ウソはないのだから。どうかこの願いを聞き届けて欲しい。彼女はまだ見ぬ何かに、静かにそう祈った。
少年と少女の物語はこうして幕を開ける。閉じた世界に吹く新しい風が、願わくは船を導く舟唄とならんことを。
BGMとしては題である「Cadenza~起源~」より「Blue Rain」あたりの方がよろしいと思う今日このごろ。しかしこれほどピッタリな題もなかったので・・・