貴方にキスの花束を――   作:充電中/放電中

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Re.Beyond Darkness 25.『世界最期の告白を――~The End In The World~【後】』

71

 

 

"告白"をぶつけられた一同、そこには果たして西蓮寺春菜が含まれていた。

 

くりくりとした大きな瞳、穏やかな心を宿す瞳をぱちくりと(しばたた)かせ呆然としている。

 

秋人は言葉を続けようとするも、荒い呼吸を整えるタイミングでララが

 

「ホントー?!お兄ちゃんは皆のことが好きだったのー?」

 

と笑顔を弾かせ喜んでいる。

 

 

それを聞いて、俺は、

 

 

 

 

それを聞いて。私は。

 

 

72

 

 

秋人()は叫んだ、

 

「違う!俺はみんなじゃない!春菜が…!」

 

――――有耶無耶ハーレムエンドなんて俺は望まない!

 

きゃいきゃいと嬉しそうにはしゃぐララたちへ秋人はもう一度声を上げた。が、話題の中心である自身を尻目に少女たちはおしゃべりに夢中だ。一番はわたし、結婚は自分が先、などと望む未来について語り合っている

 

「おいっ!だから聞けって…――っ!」

「…。」

 

春菜は騒ぎの一団から一歩離れ、それから秋人に近づいてゆく。ゆっくり、落ち着いた様子で、周囲の喧騒などお構いなしの置き去りにして。喜びはしゃぎながら言い合いする少女たちはそんな春菜に気づいた様子はない

 

一歩ずつ、近づいてくる。

 

歩みに従い生まれた風に春菜の髪が肩で揺れる。穏やかなる美貌は秋人ただ一人に向けられていた。静かな微笑みを称える唇、優しく包み込むような視線は今も秋人だけを捉え続けている。秋人は、もう一度叫ぼうとした口を塞ぎ息を呑んだ

 

夕陽が沈む、もう見えなくなる。

 

終焉(おわる)夏の風を世界へ響かせ、茜色の空が黒とも紫とも見分けのつかない夜空に変わろうとしていた。

 

周りはひどく騒がしいはずなのに俺と春菜だけは別の何処かへ…此処ではない何処かに居るようだった。春菜にしか合わない視界のピント、遠く霞んでゆく喧騒、耳に木霊する静寂、静謐。それは春菜の背後に広がる大空のように静かで――――――――――しんとした空の中にまだ星はない

 

夕闇が迫る中、空に透けてゆくような優しい微笑みは"()"として美しく、春菜の持つ穏やかな空気も相まってとても大人びて見えた。

 

俺はそんな見たこともない彼女の姿に

 

「…春菜?」『…ほんもの?』

 

思わず声をかけてしまう。―――確かめるように聞いた呟きはあの日、秋人が此方の世界へ還ってきた時の春菜の声音(それ)によく似ていた。

 

 

告白(それ)を聞いて、春菜()は問うた。

 

「ね、秋人くん………あの日、初めてデートしたあの時。夕焼けを見ながらホントは何を考えていたの?」

 

「えっ、…あの時か?あの時は――――」

 

春菜はしとやかに秋人の前へと辿り着き、それから優しい微笑みで今とは関係の無い話をし始める。告白の答えも聞いていない上、妙に落ち着いた様子で語りかけてくる春菜。暗がりに灯る街灯、整った頬の輪郭を水銀灯が白く照らす。水着では寒いだろう風が吹いても春菜は微動だにしない。

 

俺は心底落ち着かない気持ちで回想しようと――――

 

「"春菜ならこの先俺が居なくなってもきっと大丈夫だろうな"って考えてたんだよね…?それにほんの少しだけ故郷の事も…――――でしょ?」

 

振り返らずともいつも胸にあったものは目の前の春菜が代弁した。言葉尻は消え入りそうな程小さく、だけれど声高に届けられる"寂しかった"という言外の想い。それが俺にはよく理解(わか)る。彼女と俺が過ごした季節はまだ一巡もしてないけれど、色濃い時間を過ごしてきたのだから当然だ

 

小首を傾げ、困ったような怒ったような春菜の笑顔。唇には変わらない微笑みを称えていて、だけど瞳はこの場のように静かで綺麗に澄んでいて

 

夜空の星をかき集め宿し込めたような瞳の輝き、それは今も俺だけを貫いている――――この問いかけが春菜にとってずっと気がかりだった事なのだと教えていた。

 

数瞬迷った後、俺は真実を告げた

 

「…春菜…――――ああ、そうだ」

 

パシンッ!

 

乾いた音。春菜が思い切り俺の頬を叩いたのだ

 

「秋人くんのバカ!」

 

春菜ビンタ(痛)を喰らった頬を擦る、答えてから数瞬の間もなく放たれた平手打ち、凄まじい早業だった。

 

「"私は秋人くんが傍に居ないと、秋人くんが幸せじゃないと幸せになれないんだよ"ってあの時そう言ったのに!どうして…っ!」

 

バカ!と春菜パンチ(痛)で胸を叩かれる。痛い。

 

「私と結城くんが遊びに行った時も、勝手に勘違いして消えようとしたの知ってたんだから!その時の私がどんな気持ちで―――!」

 

ぽかぽかぽかぽかと胸を叩かれ続ける、痛い。今まで受けたどんな拳よりも

 

「秋人くんのバカ!バカ!ばか!」

「…」

「なんでも、いつでも私の事知って、分かってくれてるクセに!どうして分かってくれないの!」

「…」

「私がいちばん好きなのは!一人占めしたいくらいに大好きなのは!秋人くんだけだって知ってるクセに!どうして…っ!」

「…」

「わかって、くれな、…っう、ひっく…」

 

春菜が今の今まで溜め込んでいた不満、不安、寂しさを感情のまま爆発させ俺の胸を何度も叩く。叩いた勢いのまま縋りつかれ、泣き付かれる。胸に額を押し当て泣き顔を隠して、唇を噛んで震えている。それでも溢れる嗚咽は誰よりも俺には聞こえていた。

 

秋人はされるがままに為されるがままに。ただそこにある大樹のように立ち尽くし――――華奢な肩に手を添えた

 

「…春菜」

「…ぅ、ひっく…うぅ、」

「おい、春菜ってば」

「…っく、ひっく…なに、秋人くん」

「顔、あげろっての」

「…っく、ヤダ。泣いてるトコ見られたくないもん…それより水着、似合う?どう、かな?ちょっとダイタンなのを選んでみました…えへへ」

「…いや、それはどうでもいい。それより…」

「え"、ど、どうでもいいって…」

 

春菜は驚き伏せていた顔を上げた。目元にしっかり涙の跡を残し困惑顔で秋人を見つめる。しどけなく開いた桜色の唇、まじまじ見つめる潤んだ大きな瞳、どこか色気さえ漂う間の抜けた表情。それに秋人は、

 

「お前は俺の告白にさっさとこたえんかぁあああい!」「ふええええっえええっ!?!??」

 

両頬をひっぱり、叫んだ、春菜は目を白黒させて驚きあたわたと藻掻く

 

「いいからさっさとこたえんかああああい!」「ふええええっ!!!ごめんなごめんなふぁああいっ!!」

「ああん!?それはNOの意味か春菜ぁあ!コラァ!」「ふええええっ!?ちがっ!いたっ、ふえええっ!」

「YESしかないだろうがコラァ!!生意気いう口はこの口かゴラァ!」「ふえっ!ひん!ひん!ごめんなふぁい!いふぁい!いふぁい…!」

「さっさと首を縦にふらんかぁああい!」「いふぁい!いふぁい!いふぁいっ!ちょっとまっふぇっ!」

「さっさと"私も好きです結婚しましょう"って言わんかぁああい!」「ひん!ひん!いふぁい!いう!いうふぁら!いふぁい!いふぁいって…――――」

 

ゴスッ

 

「痛いって言ってるでしょお兄ちゃん」「っつう………ホントマジすいませんでした春菜さん」

 

春菜チョップ(鬼強)を頭上に落とされギロリと怖い目で睨まれる。兄として至らない俺を叱るときは敢えて"お兄ちゃん"と呼んでいるらしい、自覚しろと言っているみたいだった。

 

コホン

 

息をつき、春菜は問うた

 

「もう、仕方ないんだから…で、さっきなんて言ったの。秋人くん」

 

秋人につねられたからでなく、頬を桜色に染め擽ったそうに微笑む春菜。絶対に聞こえていたはずの告白を自分にだけはキチンと言い直して欲しいらしい。はにかむ笑顔がニヤニヤデレデレえへへ、えへへへへ…とだらしないものに変わる様を秋人はただただ見返し――――

 

「んなもん恥ずかしくて二度も言えるか春菜のアホがぁあ!!!ちゃんと聞いておけっての!難聴ヒロインかぁッ!」「ふぇえ!ちょっ!まふぁ…っ!ひん!!もう!おこっふぁんだから…っ!」

 

春菜の反撃、秋人は思い切り胸に飛びつかれ倒れこむ

 

ゴンッ

 

「いってえっ!バカ!頭いてぇだろーが!」「うるふぁい!おにいちゃんのばふぁ!」

「む…おいこら加減しろっての…っ!いふぇぇっ!」「む…おにいふぁんだって!ひん!いふぁあい!」

「そもそもお前ふぁリト側につくとか言うから悪いんだろうが!」「それは秋人くんふぁハーレムなんて作ろうとしてるからでしょ!」

「んなもんつくるかっふぇのっ!」「そんなのしらふぁああいっ!ばかぁああっ!」

 

上になり下になり、取っ組み合いの喧嘩をし始める西蓮寺兄妹

 

互いに互いの頬を掴み捻り、二人は言い合いを続ける。何時の間にか騒ぎを辞めた喧騒たちも普段優しく穏やかな春菜の、春菜と同じく優しい秋人の―――仲の良い兄妹の喧嘩を固唾を呑んで見守っていた。

 

「いっふぇええ!ばふぁ春菜!いい加減に…っ!」「ふふ、ざまあみ…ひん!いふぁいいふぁ!秋人くんつよすぎぃ…っ!」

 

下にされたり上になったり、固いプールサイドを言い合いしながら転げまわる。俺も、春菜も力の限り言いたい放題な事を言い合う、バカだとかアホだとか水着似合ってるぞとかありがとでも昨日から心配でごはん食べてなかったんだからねとかそりゃ悪かったごめん、だとか――

 

「はぁっ、はぁっ…ふんっ、バカ春菜めが」

「はぁっ、はぁ…やっと離してくれた、バカなのは秋人くんの方でしょ……、ふぅ」

 

俺の頬をやんわり撫でながら春菜が深々と溜息をつく

 

腹の上にある心地良い重さ、柔らかな体温、美しく、優しい微笑み。俺は地面に寝転びながらそれを…世界のすべてを見上げていた。背中に感じる固い大地、笑顔の春菜に――それから空

 

それだけあれば俺の全ては此処にある。他のどこにもない此処こそが俺の住まう世界だ

 

「…ね、秋人くん」

「ん?なんだよ」

 

変わりつつある空気を纏いながら、穏やかな表情で春菜が再び問いかけてくる

 

 

――――ちゃんと言って、お願い

               最後かもしれないでしょ?――――

 

夕陽は沈み、もう見えない。

 

茜空は世界に終焉(おわり)を告げて、空は黒とも紫とも見分けのつかない夜空になっていた。

 

静寂より静かな風が吹く、炸裂寸前の爆弾を前にしたような時間の硬直と緊張、吹き抜ける風は夜空をどこまでもさざめかせている。

 

見上げる春菜の後ろに広がる大空、そこは星も雲も一つもない夜空だった。さっきから星がひとつも浮かんでいないのは、もしかしたら本来そこに在ったであろう星たちは、その輝きは春菜の瞳に集められたからではないだろうか――――綺麗に澄んだ紫紺の瞳、そんな儚くも強い光を、春菜の瞳を見つめて俺は覚悟を決めた。たぶんきっと、春菜も…

 

「私は秋人くんとずっとずっと一緒に居たい。でも、秋人くんがもしもそうじゃないんだったら無理強いなんてしない、したくない。でも、それでも私は―――」

「春菜…、俺はもう故郷に還ろうとは思ってない。」

「―――本当?ほんとにそれでも…」

「だけど、今もあの時と同じで"春菜ならこの先俺が居なくても大丈夫そうだな"と思ってる。春菜…お前はホントに綺麗に、ホントに立派に成長したよ。ウチの西蓮寺春菜が一番カワイイぞーッ!!って世界のどこでも叫んでやれるくらいに…な、」

 

息をつき、春菜を真っ直ぐ見つめ誤解の一つも無いよう告げる。たとえ世界が終わってしまっても、消えない想いを春菜にだけは知っていて欲しいから

 

「それにな、離れ離れになったら春菜は大丈夫でも俺が大丈夫じゃない。俺が春菜の傍にずっと居たいんだよ。お前が、春菜が――――好きだから」

「秋人くん…」

 

瞳を涙でさざめかせ、震える声で春菜は問う

 

「ホントに?秋人くん。私だけ…私だけを大切にしてくれる?他の人のこと好きになったりしない?」

 

夜露(よつゆ)に濡れる大きな瞳、消え入りそうな震え声。しかしそこに含まれる想いはとても強く――――朱色に染まった頬に涙が次々伝ってゆく

 

「当たり前だろ…俺が選ぶのは、ずっと傍に居たいのは春菜だけだ」

「約束だよ…――――                                                            私も、貴方のことが好きです。」

 

潤んだ瞳をゆっくり閉じて春菜が唇を差し向けてくる。

 

気持ちがつながった興奮、喜びにドキドキして心臓は打ち上げられた魚みたいに跳ねていた。それはきっと春菜も同じで

 

春菜が肩を掴む手に力を込めた、俺も春菜をしっかり抱く―――どこに消えても決して離れぬように

 

俺も春菜と同じく瞳を、見える世界をゆっくり閉じてゆく

 

俺は春菜に言った、自分の気持ちを告白した。春菜はそれを受け入れてくれた――――これでこの世界はどうなるのかもう分らない。これから先のことを俺はひとつも識らない。終わってしまうのだろうか、どんな様で終わってしまうのだろうか、あの時の電脳空間のように崩壊してしまう?それとも地球が爆発なんてことも――――…?

 

 

その時、

 

閉じてゆく視界の端、光る何かが見えた

 

―――春菜!

 

―――えっ

 

秋人は思わず声を上げる、そして視線で春菜の後ろを指した。春菜は振り返り示された何かを見た

 

真っ黒の夜空をシュルシュルと駆け上がる火の玉、そして弾ける。

 

闇に透ける彼方へ丸く、光と炎の鮮やかな華が咲く、一瞬遅れでドーン!轟き炸裂する重低音。夜闇を切り裂く炎の華、身体の芯から震わせる心地良い音がどこまでも遠くまで響いてゆく――――

 

春菜の頭上で、一つの星が爆発して光の欠片が降っていた。

 

「…爆発したな、チキュウが」

 

――――それは俺の故郷の星の名か

 

周りの皆も気付いて空を仰ぐ。ララも美柑も唯も里紗も凛も――――そしてヤミも。

 

誰もが言葉を失う。それは余りに突然過ぎる炎の華、その乱舞だった。

 

立て続けに舞い上がり、咲き誇り、眩くひかり、散ってゆく。真っ黒な夜空を焼く煌めき、赤、青、黄色、緑…目がくらむような眩しい光たちは空を仰ぐ春菜の白い喉元を染めている

 

「……――――爆発しちゃったね、お星さまが…銀河戦争とか起こっちゃうのかな」

 

ぷっ

 

吹き出しそうになるのをすんでのところで秋人は堪えた。物静かな呟きがなんだかとても現実的に聞こえたのだ。

 

「…かもな」

「…ね、もしかしてそれって私たちのせい?気持ちの繋がった私たちを離れさせようって…」

「プッ…ははっ、ああ、そうかもな」

「もう。生返事なんだから…。私、別に心配はしてなかったけど、世界が終わるとしたらどうやってやっつけようかなってドキドキしてたんだよ?」

「…んなこと考えてたのかよ、相変わらずコエーな春菜…」

 

くくく

 

打ち上がる花火の光と音を背に、喉奥を鳴らし意地悪そうに笑っている春菜。でもその表情はとても幸せそうで、嬉しそうで、目を線にして笑っていた。間違いなく、俺も同じふうに笑ってた

 

俺と春菜の居る場所に。暖かく寒さがなくなり、眩しい光りあふれる春を思わせる春菜の笑顔に。涼しく暑さの和らぎ紅葉の切なさを感じさせる風が吹く

 

 

――――ここは季節の巡らない世界。夏で終わり、秋はずっとやって来ない。

 

だけどいつかは季節がめぐる。もしも(それ)がやってきたら、それはきっとこの世界の終わりの兆しだ。

 

だからこそ世界はそれを隠していた。そう簡単に見つからないように、そう簡単に終わらないように。

 

だけどいつかは、誰かが、他の誰でもない春菜が見つけ、捕まえる。

 

秋は、春からはいちばん遠い季節だけれど、似た季節でもあるのだから――――

 

 

「ん?…そういえばリトに何をしようとしてたんだよ?」

「結城くん?どうかしたの?」

「あれ?告白とか、そういうのしようとしてたんじゃないのか?」

「??しないけど…あの時借りたハンカチを返そうとしてただけだよ?」

「…紛らわしいんじゃい!」

「きゃっ!もう、頭撫でるなら優しくしてっていつも言ってるじゃないっ!バカ、もう!こうしてあげる!」

「んむっ!」

 

キス。春菜の唇で口を塞がれる

 

「…ぷはっ!いきなり過ぎるだろ春菜、もうちょっとは恥じらいとかそんなのあるもんだろーが」

「いいもん別に。秋人くんに無理やりされたって事にすればみんな信じるもん。私、悪くないもん」

「は!?な、なんだと…!?ウチの春菜はどれだけ悪女になってしまったんだ…――――ぐすん、お兄ちゃん、育て方を間違えてしまったようです。清純清楚なウチの「もう!今は恋人同士!」

 

キス。驚くほど柔らかい唇で言葉の続きを遮られる

 

「…ぷはっ!あのな春菜、俺がしゃべってる時…「んっ!」」

 

キス。言葉にならない言葉を求めるみたいに塞がれる

 

「…っむ、ぷはっ!」

「…んっ!…もう、無理やり唇離さなくても…どうせ皆、花火に夢中でこっち見てないんだからいいじゃない」

「…は?何言ってんだ、向こうから皆さんにめちゃめちゃ見られてますけど…春菜さん」

「へ?」

 

春菜がキスをやめて周りを見渡す。花火の光にぼんやり照らされるよく知る少女たち、幾つもの視線が春菜に注がれていた――――あーあ、俺、しらねーからな

 

喜びのララは瞳をキラキラと輝かせ羨望の眼差しで見つめている。

ジト目の美紺は呆れたような表情で睨んでいる。

唯は「ハレンチなハレンチなハレンチなハレンチなハレンチなハレンチなうらやまハレンチな…」とぶつぶつ呟き顔を赤くして俯き、里紗はニヤニヤニタニタと悪戯好きなチシャ猫笑顔。

 

なお、九条凛は闇に佇む静かなる武士娘である。幼い頃から厳しい修行に耐え、剣道、柔道、銃術、様々な武道に通じその強さを知るものは多い。よって良家令嬢の護衛を任されていた。

 

そんな彼女と主従関係にある天上院沙姫は自身が仕組んだ花火にひとしきり満足し「う、うまくいきましたわねー、みみみ見てましたわよねぇ綾!」「え、ええ!流石沙姫様!」と談笑している――――震えた声は決して隣に居る武士娘に怯えているからではない、たぶん。

 

「――――――――――…………ぴ。」

「?」

 

キスを中断した春菜が見れば、周りからは盛大な祝福ムード…というよりは羨望と嫉妬の入り混じった、しかし概ね生暖かい目で見守られていた。見られていたとも言える。何を?もちろん清純清楚な西蓮寺春菜による熱烈なキスの雨をである

 

「P――――――――」

「ん。そうか、春菜…FAXでも受信したんだな」

 

熟れたトマトのように顔を真っ赤にし目をまんまる、口を三角にして電子音を発する春菜――――恥ずかしさが限界を突破して壊れてしまったらしい。

 

「ねー!春菜ー!どんな味だと思ったー?やっぱりおいしいよねぇー!わたしもキスほしー!」

「…春菜さん。正直、私の方がお料理もお洗濯も上手にできますし家事スキルは上です。しかもそれだけでなく少しくらいの浮気なら許せる器量もあります…――――というわけで代わって下さい」

「ハレンチなハレンチなハレンチな!遊お兄ちゃんのハレンチなーっ!…あれ?」

「ねぇ春菜ぁ、そのままココでヤるのぉ?なんならアタシも加わって三人でしよっかー?にししし」

「…春菜、おめでとう。君たちの幸せを祈っている。ふたりとも、結婚には大事な袋が3つあるらしい。一つ、給料袋。夫婦円満の条件は経済的に安定することだ。もう一つ、堪忍袋――――の緒が切れてしまったら、血袋にするしかないようだ…」

「ちょちょちょっと!凛!そんな巨大な刀!一体どこから出したんですの!」

「うぇええ!?斬馬刀!?凛!ちょっと落ち着いて下さい!ね!」

「お兄様!ただいま貴方のモモ・ベリア・デビルークがお猿ナナのマウントをとり逆にお仕置きして…――――アレ?なんです?この雰囲気は……?」

 

「…ったくお前ら!いいとこだったろーが!邪魔すんなっての!」

「P――――――――――――!!!」

 

次から次へと祝福(?)の声と鋭い視線を投げかけられる。俺の上に跨る春菜はさっきからFAXを受信し続けている。はっきりいって大混乱で、もっと言えばカオスな状態だった。ある意味ホントにこれは世界の終わりかもしれない、特に俺の場合は凛にDEAD ENDさせられそうだ

 

「…ったく、しょうがねぇ…なっ!」

「ぴ――ふえっ!?」

 

春菜の身を起こし、横抱きに抱えてそのままダッシュ、プールへと駆ける。

 

春菜はそうすることが自然なように秋人に身を任せ首にしがみついた。その時に備え、ぎゅっと目を瞑り秋人を強く抱き締める

 

 

それから、秋人()春菜()は――――

 

 

73

 

 

月のない夜、星もない夜。

 

綺麗に澄んだ闇色の空、それはヤミの心と同じ色。

 

広く澄みきった夜空の下、ヤミと秋人はふたり、家へと続く道を肩を並べ歩いていた。

 

「そういえば昨日綾が作って持ってきた特製菓子っていうのを使って天上院のヤツが…」

「…。」

 

街灯の白い灯火(ともしび)。水銀の光が曖昧に照らす道を影を踏みしめ、ふたりはただ歩いていた。住宅街の細く狭っ苦しい道はとても静かで、時折遠くから自動車の排気音が聞こえてくる。

 

「"華麗で優雅なる天上院沙姫考案!武士娘と阿呆下僕のポッ○ーゲーム!"とか言い出してさ、俺と凛を無理やり…」

「…。」

 

ヤミは歩みを進めながらチラチラと秋人の横頬あたりに視線を投げかけ、また足元の道へと戻す…それを落ち着きなく繰り返していた。秋人は気付いているのか、いないのか。特に反応を示さない。ヤミもまた問いかけるようなことはしなかった。

 

――――春菜も、アキトも意外と鋭いところがありますし…

 

「それでな、天上院のアホクイーンが教室を…」

「…。」

 

先程からアキトが何かを話している、それを私はひとつも聞いていなかった。

 

理由は単純、ふたりきりになって緊張しているから。こうしてふたりきりになれたのも簡単、朝からもじもじそわそわと落ち着きのない私に家族(ウチ)の春菜は思うところがあったのか

 

『ヤミちゃん。私ね今日、帰りは里紗たちとカラオケに行くから…秋人お兄ちゃんをお願いね』

 

と、いつもなら三人で帰る道をこうしてふたりきりにしてくれたから――――ヤミは何も聞かない春菜に深く感謝していた。

 

「…それを凛が竹刀で撃ち落として…――」

「…」

 

触れられる程近くにあるぬくもり、いつもの体温にいつもの気持ち。ヤミの長く美しい髪が背中で揺れる

 

ヤミはじっと秋人の横顔を見つめた――何がそんなに可笑しかったのだろう、アキトはとても楽しそうに話している。

 

時に父のように慕う男と同じ制服に身を包み、ふたり並んで家へと帰る…という不思議な現在(いま)の幸福感にヤミの心はときめかされていた。ヤミは気づいていなかったが、秋人もヤミの纏うふわふわとした幸せな空気に引き込まれ、いつもより饒舌になっている。

 

互いが互いの幸せに包まれる相互作用、何も言わなくても通じ合う心と心。

 

優しい空気を纏わせながらのヤミは、秋人を撫でる視線を名残惜しげに剥がし、もう一度住宅街の道、細く長い道の上…――――暗い空の闇を見上げる

 

夜空の中に星はない。だけれどそれは無い(、、)のではなく見えない(、、、、)だけだ。

 

そもそも地上から星を見上げるのは、星を線で結んだ星座には…―――――――今居る場所と進むべき道を知る為のもの。

 

昔、ヤミが産まれ(いづ)るより遥か昔。長い航海の中で船乗りたちが星を道標とし、また星たちを線で結び星座が生まれた。進むべき道を示す星たちは瞬き、きらめいて巫女たちに未来を教えていたという――――ヤミはそれを知識として識っている。

 

(鯨、羊、山羊、あの辺りには"秋の四辺形"。その星の名は――――)

 

しかしヤミには戰う為の変身(トランス)能力はあっても未来を占う能力(ちから)はない。だからいくら星の無い空を眺めても、いや、たとえ星が浮かんでいたとしても、ヤミには未来のことは何一つ分からない。

 

(マルカブ、アンゲニブ、シュアト、アルフェラッツ…)

 

だが其処に在るだろう星を想い、ヤミは真っ黒な夜空を見上げずにはいられなかった。自分の気持ち、その在処(ありか)を知る為に。自分の気持ち、その行きつく未来を求める為に――――…

 

「…っておい聞いてんのか」

「…聞いてませんでした」

 

ヤミは何時の間にか立ち止まってしまっていた。振り向いた秋人は訝しんで声をかけるが、ヤミはいつものように落ち着いた声で応え、悪びれることもない。そのまま見つめ合うこと数秒…

 

「はぁ…ったく、人の話を聞けっての」

「…すみません」

 

珍しく素直に謝るヤミに今度こそ秋人は目を丸くする。しかし何も言わず、やれやれと肩を竦めると黙って歩き出した。ヤミも慌てて小走り、横に並んで共に歩む――――此処は私の場所

 

月のない夜、星もない夜をふたりして横切ってゆく

 

優しく漂う沈黙の中、ヤミは秋人に視線を向けた後もう一度その空を見上げた。

 

闇の中、光はない。白く漂う、雲もない。

 

本当に宇宙(そら)惑星(ほし)が在るのだろうか、本当にあの中に私が巡った惑星があるのだろうか…そんな当たり前だったことがなんだか嘘に思えてくる。眩しく強い人工の灯りさえ飲みこんでしまう底のない暗闇、宵の闇――――でも確かに私はあの中に居た、自分の居場所も未来も何も分からない場所に、ひとりっきりで。

 

――――だけれど

 

「…おい、どうしたんだっての」

 

帰らないのか?とアキトが振り向き、訝しげに見つめてくる。どうやらまた立ち止まってしまっていたらしい

 

「…そういえばアキト、春菜とゴールインおめでとうございます。」

「なんだよいきなり…それにまだゴールインはしてないっての」

「…仲が良いのは良いことですが、あまりイチャコラしないように。美柑に見張り役にと抜擢された私の、古手川唯に風紀・秩序を守るようにと役目を貰った私の言うことは聞いて下さいね」

「ハイハイ」

「それから、淫乱ピ…セフィ王妃からもイチャコラが目に余るようでしたら躾けるので連絡を、と言われてますので」

「ハイハイハイハイハイハイ」

「返事は一回です。…いいんですか?プリンセス・モモの強襲から護ってあげませんよ」

「…――――ハイ」

「フ…それでいいです、アキト。…ですが、どうせならハーレムにしてしまえば良かったのでは?貴方くらいのドヘンタイならとっかえひっかえで嬉しかったのではないですか」

「オマエな…」

 

――――あの"西蓮寺エロ菜キス魔の本性発覚事件(命名:籾岡里紗)"後

 

 

飛び込んだ水の中、それは無重力の宇宙に浮かんでいるようでした

 

なんの束縛する力もない中、たしかな何かを求めるみたいにしてふたりは手を伸ばします

 

自由な空間の中、不自由を求め藻掻いた手は…――――だいじな誰かを捕まえました

 

ふたりは水の中、しっかり抱き合い熱いくちづけを交わします。

 

互いが互いの熱を求めるみたいに、身体のすべてくっつけて舌を蛇みたいに絡ませて

 

女が男に渡すそれはキスの花束。水の中で揺らめく白い百合の髪留め、それを幾重にも束ねたような、清純で貪欲な花束は抱えきれないほどの大きな愛

 

男が渡すものは包み込むような大きな優しさ、女が渡す花束を丸ごと包みとても綺麗なブーケを作りました

 

誰も見ることのかなわない水の中、ふたりは回りながらキスをかわし続けます

 

おでこをくっつけ見つめ合い微笑んだら、再びキスをかわして回る

 

無重力の抱擁、ゆっくりと回転する浮遊感―――胸にあるのはただただ幸せで愛しい気持ち

 

ふたりで作った愛の花束(ブーケ)はこれより先、未来に生きるふたりの結婚式へ向けたもの

 

ふたりとも同じ未来を思い描いていると分かるから、こんなにも幸せでこんなにも愛しくて―――目を線にして笑っていられる

 

いつかきっと出逢う大切な誰か、すぐ傍にいた大切なひとと過ごしてゆく日々は毎日おなじ日々の繰り返しじゃない

 

ふたりが繋いだ大切な絆。ふたりへと繋がる絆はこれからもきっと増えてゆくだろう、今はもう既にひとり小さな金色の少女が増えている。そして、その少女よりもっとちいさな存在が三人の家族となって増えるはずだ

 

――――それは季節がまた一巡するか、しないかくらいの未来の話。

 

                                めでたしめでたし

 

「おいこら、なんだその恥ずかしい絵本は…それにな、今度こそマジで酸欠で死にかけたんだからな」

 

――――心の筆を置き、〆

 

乱暴に顔を背け、「帰るぞ」と歩き出す照れた背中

 

フフッ

 

ヤミを家族にしてくれたふたりが幸せいっぱいで、それが嬉しくて。でもなんだか可笑しくてお腹の奥が擽ったくて、ヤミは珍しく喉奥を鳴らして笑った。それはとても小さな笑い声であったがとてもとても幸せなものであった。

 

ととと

 

「…アキト」

 

ヤミは秋人の傍らへと駆け寄り共に並ぶ。

 

―――夜空に星はなく、自分の居場所がわからない。夜空に星座はなく、自分の未来がわからない。

 

「…ん」

「…?なんだよ」

 

―――でも、この手の中に光が在る。触れられる光が在る。握れば、優しく握り返してくれるアキトの手が。それは決してすり抜けたりしない確かな光で…――――けれどふたりを見て時折感じる切なさだけはきっと幻で

 

この広い広い世界でアキトが居る場所こそが自分の居る場所――――それだけは何より確かな事で

 

「………………アキト、貴方は今、幸せですか?」

「なんだよいきなり……………………幸せだぞ、」

 

当たり前だろ、と照れくさそうに笑う秋人。その笑顔を眺め、そうですかと頷くヤミは

 

「…アキト、春菜や美紺が貴方を選んでも私は貴方を選びませんよ。」

 

静かな声音はきっとヤミの本心だ

 

「私が選ぶのは貴方でも、ましてや結城リト(・・)でもありません…――――"私たち(、、、)"の幸せを、私は選びます。」

 

秋人と繋いだ手を握り、語るヤミ。その真剣な表情(かお)に秋人は春菜と同じ優しく穏やかな微笑みで

 

「そうか」

 

と頷いた。

 

――――"私たち"という言葉が春菜と秋人とヤミの家族三人を指すのか、それともヤミと秋人の二人だけなのかを曖昧にさせたまま

 

「だから、その…今ままでずっと言いたくても言えなかったのですが、その…――――こんな幸せをくれた貴方に…、その、あ、あ、ああ…ア()()…」

「おう、どういたしまして…――――ん?」

 

ヤミはもじもじと視線を彷徨わせ、強張った声と身体で感謝を伝える。秋人は訝しげな顔をして、そして勝手に納得する。あの時、ヤミが病室で呟いた言葉はこの言葉の欠片だったのかと。

 

「なんだよ、『……リ…………ト…』って言ってたから結城のヤツかと勘違いしてただろ、春菜も春菜だけど、どうやら俺も耳がおかしいらしい、ぷっ、ははは」

「…なんですか、ひとがせっかく貴方ごときに感謝したというのにその反応は…あの高い空に届くほどに打ち上げてもいいんですよ、アキト…」

「ゲ。いや、やめろよ?」

「心配せずともちゃんと落下地点スレスレで回収してあげます。もしも地球に落ちてこなければ落ちた惑星(ほし)へ赴き、そこで共に暮らしてあげますから。花がたくさん咲いて、本があれば言うことはありませんね。まぁ、どんな場所でも貴方がいれば日常は退屈ではいられないのでしょうが(・・・・・・・・・・・・・・・・・)…」

「あん?なに殺し屋みたいなこと言って…殺し屋だった。」

「…全く、忘れないでください。私は殺し屋、貴方は情報屋ですよ」

「いや、まぁ…うん、情報屋でいいです」

 

秋人と手を繋いだまま、ヤミは視線を空へと向ける。今なら見えないモノが見える気がしていた。

 

「あ、」

「ん?なにまた空見て…おー!流れ星か!願い事は……えーっと…――――ムリだろ」

 

ヤミが空想で描いた"秋の四辺形"、その近くを現実の流星が横切り煌めきの中へ消える。空想ならば、自由に名前をつけたっていいと、ヤミは

 

――――"アキト(、、、)の四辺形"…その星は"アキト"、"春菜"、"(ヤミ)"、もうひとつはきっと――――

 

「…"こども"ですね」

「なんだよ、流れ星見たら誰だってテンションあがるだろーが」

 

頬をほんのり朱に染めポツリと呟くヤミ、それに秋人は不機嫌気味に返す。いつものごとく馬鹿にされたと勘違いしたのだ。

 

 

ヤミは小さな唇に、緩む頬に、顔全体に花咲く笑顔の兆しを浮かべる。整った無表情がだらしない笑顔へとゆっくり変貌してゆく――――秋人は普段見ることのないヤミの姿に思わず文句を飲み込んでしまう

 

(ふふ、アキトの子ども…きっとわんぱくな子どもになるのでしょう。そしてそんな子どもに逢えるのはきっとそう遠くない未来です………間違いなく)

 

 

ヤミはついには俯き美しい金の前髪で顔を隠す、さらさらの髪を揺らし、肩まで震え必死に笑いを堪えていた。

 

「なんだっての…流れ星に願い事がそんなおかしいかよ」と秋人はちょっとふてくされている。

 

生まれてくるふたりの絆をヤミは見てみたいと思った。ニコニコと幸せ笑顔いっぱいで赤ちゃんを抱く春菜、見守る秋人、それにヤミ

 

きっと三人とも同じ笑顔で、そして幸せで明るい我が家がさらに賑やかなものになるだろう―――

 

『赤ちゃん、カワイイね…』

『ですね、目元などがアキトに似ているのでは…?』

『…そうか?母親に全部似てるだろ、これは超絶美少女になるだろーな!全てを兼ね備えたパーフェクト娘に育ててやるぞ!』

『はぁ…、父親が悪い教育しないといいけど…』

『…母親がしっかりこのドヘンタイから護れば大丈夫です』

『誰がドヘンタイだコラ!』

 

「…ですがアキトのわんぱくさと変身(トランス)の力…この子に悪戯でもされたら手に負えませんね、ふ、ふ、ふふっ」

「?なんの話だっての」

 

ハッと面を上げ、見返すヤミ。いつの間にやら春菜と秋人の子どもが自身と秋人のものになっていた。

 

「…もしかしたら、そういう未来もあるかもしれませんね。フフッ」

「だからなんの話だっての…それにな、ヤミ。望む未来があるなら勇気を出して一歩踏み出せっての。この俺のようにな!フハハハハ!」

「…何を偉そうに言ってるんですかアキト、なら私も貴方みたいなわんぱくな子どもが欲しいです。四辺形を多辺形(、、、)にしてもいいですよ」

「はあ?子ども?変形(、、)?トランスのことか??一体なんの話だよ…」

 

秋人が困惑顔でヤミを見つめる。それにヤミは顔いっぱいに幸せな笑顔を咲かせ、長い金の艶髪を靡かせ、秋人の手を握り直して言った

 

 

――――捕まえた

 

 

「………嘘です」

 

 

――――私の光

 

                                      

 

 

                                      おわり

 

 




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2016/10/24 一部改定

2016/10/29 一部改定

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