貴方にキスの花束を――   作:充電中/放電中

44 / 59
R.B.D閑話 『桃色の姫君と双子の姫君』

「zZZ…むにゃ…ついにお兄さまの初めてを…♡いただきま…」

「オイ、起きろモモ」

 

ゆさゆさ

 

「…はっ!ナナ…?むぅ、もう少しで私大勝利な夢を見てたのに…」

「なんかそんな気がしたからナ、起こしたぞ」

「……ウフフ♡ナナぁ?」カチッ

「うわっ!?デダイヤル出してナニするんだっ!?」

 

  にゅるにゅるにゅるにゅる

 

―― しばらくお待ちください ――

 

「はぁ、はぁ…っ、まったく…なんなんだモモのヤツ…触手系はやめろって言ってるのに」

「ふぅ…今回は私の勝ち。それでナナ、何か用?」

 

纏わりつく蔦を払いのけながらナナはモモを睨む。ジトッと睨む瞳と牙のような犬歯むき出しで、ナナ姫は不機嫌全開。逆にモモ姫は報復が出来てスッキリしていた。

 

「何か用って、あのナァ…今日は大事な日ダロ!」

「大事な日…?何かあった?」

「思い出せバカモモ」

「何よ、ナナのペタン娘。うーん、なにかしら…?」

 

ぷんすか怒れるナナとゆったり小首を傾げるモモ。対象的な二人だがモモ姫とナナ姫は双子の姉妹。髪の桃色、瞳の紫も揃いで共に愛らしいが、性格までは同じというわけではない。モモはしとやかで上品、ナナは活発で元気という正反対の姉妹である。

 

「分かんナイのかよ…今日は私達の誕生日ダロ!誕生日おめでとうモモ!」

「…あっ、そういえばそうね」

 

腰に手を当て胸を張るナナは軽く驚く妹を見て呆れる。モモは本当に忘れていたらしい

 

「…あら?でも、もう日付だいぶ過ぎてない?私たちの誕生日8月8日よ?今日ってもう10…」

「誤差ダロ誤差!デビルーク星だとチョード今日なんだ!細かいことは気にするナ!」

 

ぴょこぴょこ

 

慌てるナナの内心を表すように、ツインテールが跳ね動く。それを見ながらモモは『いつかナナの動くツインテールの謎を解明しましょう』となんとなしに決意していた。まだ寝起きなのである

 

「とにかく!おめでとうナ!モモ!」

「ありがとナナ、あなたも誕生日おめでとう」

「へへ!プレゼントはないけどナ!」

「いいわよ別に…気にしないで。私も用意してないけど…欲しかった?プレゼント」

「いや、アタシは兄上とクレープ食べに行ったからナ!もう十分だぞ!」

 

ぴこぴこ

 

跳ね揺れる桃色ツインテール。ナナの幸せな気持ちを表現しているらしい。というよりナナの笑顔が本当に嬉しそうで、楽しそうで…

 

――そう、お兄さまと楽しく一緒だったのね。私に内緒で、私を誘わず二人っきりで。幸せだったのはわざわざツインテ動かさなくても分かりますからね、ナナ♡

 

「…へぇ、それは良かったわねナナ♡」カチッ

「うわっ!?またデダイヤル出してナニを…!?」

「バッチリ目も覚めたので、ナナを恥ずかし~い♡お仕置きで楽しんでから、そのツインテールの謎を解明しましょう♡」

「あのナァ!また触手系植物だすならアタシだって()ダージャ呼ぶからナ!あとモ()ジャラもだぞ!」

「だぁから、そういう危ない発言はダメって前に言ったでしょ♡」

 

にゅるにゅるにゅるにゅる

 

「!コラァ!ナニまた縛ってるんだ!解けモモ!わひゃっ!擽った…ッ!ゆ、ユ()ノオーを」カチッ

「そ~んな強いクサポケ呼んじゃダメでしょ?ジムリーダーのツツジさん?」ヒョイ

「あ!コラ!デダイヤル返せよモモ!いい加減下ろせ!解けってば!」

 

ナナの手からデダイヤルを奪い、モモはチュッとキスをした。(すが)めた瞳に妖しい輝きが宿り、抜け目のなさそうな表情―――悪女顔したモモ姫は大変恐ろしい

 

「ナナ…貴方ったらお肌の艶もハリもイイじゃない、やっぱりお子さまだから?」

「いふぁいだろ! ほっぺたひっぱるナァ!」

「じゃあ、もっとキレイにシてア・ゲ・ル♡」

 

ビュルビュルビュル

 

「う…!なに顔にかけてるんだ!うえぇ、ベトベト…モモ、なんだよコレ!」

「ミルケアの花よ♡お肌にとってもイイんだからナナも試しなさい」

「お肌にイイ…?肌なんかがキレイになってどうすんだ…っていいからコレ解け!」

「ダ・メ♡」

 

ビュルビュルビュル

 

「うっ…!どんだけ出すんだバカ!うげぇ、苦い…チョット口に入っただろ!?」

 

カシャ、カシャ

 

「ナニ写真撮ってるんだッ!解けってバカモモ!あとこのベタベタもやめろ!」

「うふふ♡ナナの手にナスも持たせてっと…お兄さまへ、ナナもオトナの階段を登りましたわ、愛するモモより………送信っと♡」

「ゴラァ!兄上に写真送るナァ!」

「お誕生日おめでとうナナ♡」

「このタイミングで言うナァ!解けぇえッ!」

 

 

*******

 

 

*****

 

 

***

 

 

*

 

 

―――次の日、彩南高校屋上にて

 

「あれ?どうしたのナナちゃん、なんか元気ないね」

「メア…聞いてくれよ、昨日さ」

「ウン。」

「あの白いの…苦くて…ベタベタして……飲まされて……兄上に……ううっ、こんな恥ずかしいコト言えるかぁあああっ!」

「あっ!ナナちゃん!?」

 

ツインテールをピンっとアンテナのように伸ばしたと思えば、ダダッとナナは走り去ってゆく―――あの慌て具合だと、とっても素敵にスゴい事があったみたい

 

「ウーン、ナナちゃんがアレだけ恥ずかしがるって事はよっぽどだよね…?えっと、白くて…苦くて…ベタベタで――――ナルホド♪流石せんぱい♡」

 

にっこり無邪気な笑みを浮かべるメア、長いおさげが風の中で楽しげに揺れた。

 

 

…後に、平和な西連寺家が"赤毛のメア"に襲撃を受けることになるのは余談である。

 

 




8月8日はモモ&ナナの生誕祭!
モモ様、ナナ様、遅れましたがお誕生日おめでとうございました。

活動報告のネタをちゃんと書き直したのでお許してください…

モモENDも遅くなってすみません…(T_T)

---------------------------------------


2017/08/17 一部改訂

2017/08/19 誤字修正

2017/08/31 一部改訂

2017/09/23 誤字修正

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。