インフィニット・ストラトス  漆黒の要塞の復讐   作:双盾

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迎撃

不意を突いた反撃に敵の集団の3分の1は戦闘不能に、残った集団の半分でさえ中傷を負っていた。

加勢に来てくれた機体を見て大まかな国を判明させる。

中国とロシアを筆頭にフランスやイギリス、ドイツ。一夏君や銀に近しい候補生の所属する国を始めとしてギリシャやイタリア等の7か国。

面識も無ければ国同士の接点も思いつかない。

そもそも加勢すら頼んでいないのに、何故?

その答えはすぐに出た。

 

「よく集まってくれた!!応援、感謝する!!」

 

織斑千冬が声を張り上げて感謝の言葉をかけた。

まさか――――

 

「各国にはそれ相応の謝礼も渡すが今は、目の前の敵を迎撃せよ!!」

 

ブレードを敵軍に向け吠えたてた。

そしてそれに呼応し、咆哮をあげながら加勢に入った代表達が迎撃を開始した。

その中に見慣れた姿もいくつか。

 

「アンタだけになんて任せらんないわよ!!!」

 

「僕達も加勢します!!」

 

「私に任せろ!!」

 

「わたくしも、力を貸しますわ!!」

 

鈴ちゃんにシャルロットちゃん、ラウラちゃんにセシリアちゃん……

皆が銀のために戦ってくれている。

こんなにも、銀を思ってくれる人達が居る。

グッと拳を硬く絞める。

 

「姉さん!!」

 

「先輩!!」

 

その中から2つ、私に接近してくる影があった。

その一つは愛しい妹の簪ちゃん。そしてもう一つは――――

 

「お久しぶりです!!ロシア第一候補生、ソフィア。加勢に参りました!」

 

「簪ちゃん!ソフィアちゃん!」

 

私は二人を抱きしめる。けれどすぐに離れた。

 

「姉さんが困ってる。なら私は、その助けになりたい!!銀さんも、姉さんも。絶対に守って見せる!!」

 

「先輩には色々とお世話になりました。その恩を返す為にも、教えてもらったことを証明する為にも、全力で戦います!!」

 

「2人共……ありがとう。絶対に、負けないで!!」

 

ガトリングランスを構え直し、敵に突撃する。

2人はそれぞれ別の方向へと拡散して迎撃に当たった。

銀を絶対に取り戻す。そのためにも、まずは目の前の敵を撃退する!!

 

「せやぁぁぁぁぁ!!」

 

鋭く放った一突きが敵機の装甲を貫き海上へと落とした。

 

 

 

 

 

海上では激戦がより激しさを増していった。

陸地―――更に詳しく言うならば海にほど近い銀のいる病院―――へと上陸させないように迎撃する私達と、無尽蔵に増え続ける敵。

専用機は増えることは無いが量産機は続々と投入される。

量よりも質を求められるこのご時世だけれども、時として量は質よりも凶悪だ。

 

「がぁっ!!離しなさい!!」

 

「貴女は私達と一緒に!!」

 

「沈みなさい!!」

 

国家代表に接近し、その身を拘束具として動きを封じ、味方の攻撃で敵諸共海へと落ちていく。

自爆というよりは特攻と表現すべきの作戦に戦線は徐々に押され始めていた。

 

「よそ見はダメよぉ元ロシア代表さん」

 

「くっ」

 

重い一撃で身体ごと後ろに吹き飛ばされる。

今は目の前に専念しないと!

不敵に笑う攻撃の主はアメリカ代表の『リーラ・フォルエイス』。

駆る機体の名は『ブラッディ・バーサーカー』。血の狂戦士。

その名に相応しい攻撃力でその他を圧倒する。火力だけならば全世界のISを圧倒する。

全体的に装甲は薄いが手甲と脛部分の装甲が極めて厚く、近接戦では圧倒的な力を発揮する。

また操縦者の技量が世界トップクラスで遠距離からの攻撃でさえ華麗に躱してしまい、気付けば彼女の間合いに入ってしまう。

強敵だ。

 

「逃がさないわよぉ」

 

主武器である紅の斧を振りかぶる。

重量武器であるIS用斧の中でも最高重量を記録するあの巨大斧。

しかしそんな重量武器をまるで棒切れの如く軽く振り回す彼女は鬼か修羅に等しい。

けれど、ここで簡単に逃げては元とはいえロシア代表の名が廃る。

 

「逃げたりなんかしないわよ!!」

 

ガトリングランスを収納し、三又槍を展開して斧に対抗する。

斧をまともに防御すればいくら銀の機体と同じ素材であったとしても消耗してしまう。かといって完全に攻撃をいなし切ることができるとは言い切れない。

正面同士では圧倒的にこちらが火力負けする。

ここは敵の狙い通りとはいえ奇策を貫く他無い。

火力も装甲でも負けているが、こちらは機動力と搦め手に長けている。

 

「重いっ!」

 

「そういいつつも武器を弾き飛ばせない私の身にもなりなさいよぉ」

 

いなすだけでも武器ごと吹き飛ばされそうになる。そのくせして攻撃の感覚が短いのだから質が悪い。

 

「でもゴメンなさいねぇ。お遊びはここまでなの」

 

「ごっ!?」

 

斧の後部から閃光と爆音。衝撃は斧を加速し、防御してなおも私の身体を吹き飛ばし、海面へと叩きつけた。

敵が超速で降下してくる。

 

「これでとどめよぉ」

 

確かにあの一振りが命中すれば絶対防御を貫通した衝撃で身体は引き千切れ、死ぬだろう。

無論、振ればの話。

 

「自爆したわね」

 

「えっ?」

 

ナノマシンを操作するアクアクリスタルが光り輝く。

刹那、波紋を広げるだけの穏やかな海面は突如として牙を剥く。

うねり、巻き上がり、荒れ狂う。

鋭利な水爪が次々と海面から敵を狙う。

 

「うぅん、これは予想外だけど、これで落とせると思っているのかしらぁ?」

 

斧の一振りで水爪は砕け、水滴と化して海面へと落ちていく。鋭い一撃もまた手甲を貫くことなく崩壊する。

これでは落とせない。

そんなことは分かりきっている。

何故なら―――――

 

「落としたいのはアンタじゃないのよ!!」

 

「!?しまっ!!」

 

そう、彼女が回避した水爪は背後にいた敵へ次々と命中し、内部へと浸食し、機器系統を破壊していく。

そして、振り返った彼女もまた、隙を見せた。

海上は一瞬の静けさを取り戻し、瞬間牙を剥いた。

高さ15mの水壁が彼女を包み込む。

もう逃れられない。

大きく膨れ上がった水壁が飲み込み、瞬く間に敵を圧縮し、ブースターやスラスターを破壊していく。

そして――――

 

「サヨナラ。私はこんな所では止まれないの」

 

石突きから吹き出した凍てつきの息吹が凍結させていく。ドーム状に膨れ上がった水壁諸共全てを凍結させ、拘束する。

怪力自慢の敵であっても、全身を拘束する氷の鎖と檻からはのがれられない。

呼吸さえ封じたこの檻で、敵は止まった。

ISの生命保護維持システムで守られているとはいえ、あと数時間以内に救援が来なければ確実に死ぬ。

銀の為の尊い犠牲となりなさい。

海中から氷膜を貫き海上へと返り咲く。

 

「さあ!!全てを終わらせてあげるわ!!」

 

エネルギーはかなり厳しいところまで責められてしまっている。

エネルギー尽きても恐らく地上にはエネルギー補給の部隊がいるはず。

なら陸上からの全力支援に当たった方がいい。

水撃と斬撃で牽制しつつ撤退。陸上に近付くと反転。敵群に向けて三又槍を投擲の構えに入る。

エネルギー充填。安全装置解除。

 

「喰らいなさい!!『憤怒せし海王の矛先(ポセイドン・ラース)』!!」

 

蓄積エネルギー、解放。

光槍が闇夜を切り裂き敵群へと突き刺さり、穿つ。

風に舞う花弁のように舞い落ちる雑魚を確認して、エネルギー補給の為に撤退する。

病院の前に予想通りにエネルギー補給隊が破損した機体の緊急修理や補給を行っていた。

 

「かなり多いわね」

 

その横には負傷兵の手当をする衛生兵や看護師の姿が多く、それ以上に負傷した軍人の姿があった。

地上の非IS迎撃部隊もまた攻撃を喰らったのだろう。あるいは流れ弾か。

それでも手当を受けている者が多く、死者はまだ出ていないようだった。

不幸中の幸いか。

兎も角今は補給―――――

ゴッと後ろから何かで殴られたような衝撃でバランスを崩し地面へと叩きつけられた。

 

「あがっ」

 

不意打ちの攻撃に成す術無く地面へと落ちた私に追い打ちをかけるかのように攻撃は続いた。

一体何者が?

体勢を立て直して振り返るとそこには見慣れない機体の姿。

装甲の表面に刻まれた紋章は―――――

 

「カナダ!!」

 

「ええ、私はカナダの代表ですが名乗るほどの者でもありません」

 

「私もアンタが誰であろうと関係無い。妨害する敵を倒すだけよ!!」

 

「満身創痍はお互いい同じ。ですが消費されたエネルギーでは貴方は圧倒的不利。これでも?」

 

「状況なんてどうにだってできるの。ただ勝つ。その覚悟だけよ!!」

 

三又槍を失っても、まだ武器はある。

少し前まで主武器であったガトリングランスを展開しすぐさま攻撃を展開する。

相手は両手に銃のスタイル。中距離戦闘の基本的スタイルだけれども専用機だ。警戒を怠ってはいけない。

しかし身体休まることのないまま動き続けた為、疲労はピーク。ISに乗っていなければ歩行さえも困難なほどだろう。

そんな状態では本来の力は発揮できるはずもない。

一瞬の差で距離を詰められ全身を銃口が狙う。

放たれたのは雷撃。

一瞬で激痛が全身を駆け巡り、脱力感。

機器系統は狂い最早戦いの勝敗は明白。

武器を手放し地面に倒れこむ。

けれど首を掴まれ宙吊りにされ、額に銃口を突きつけられる。

 

「さて、死ぬ前にいいたいことは?」

 

「そうですか。それでは――――」

 

引き金を引く。

もう止められない。

……ああ、ゴメンね。銀。私……もう………

涙が額を伝う。

 

 

 

 

 

「おい、俺の彼女になにしてやがる」

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