インフィニット・ストラトス  漆黒の要塞の復讐   作:双盾

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初日

「大丈夫だった?」

 

「まあそれなりには、な」

 

休み時間になったので俺は刀奈のいる生徒会室で書類整理の手伝いをしながら教室での出来事を話す。

 

「まあ織斑先生に喧嘩を吹っ掛ける勇気は凄いと思うけど」

 

「自己紹介の仕方が悪かったと言いたいんだろう?あの調子だと休み時間どころか2時間目まで続いただろうからな。俺はあれ以外に効率的な方法を思いつかなかった」

 

「で、話しかけてくれる人はいたの?」

 

「いたとも。まあ俺は一刻も早く刀奈に会いたかったから『後からでいいか?』って言って生徒会室に来たがな」

 

一刻も早くの単語で刀奈は頬を主に染め、テレテレと言う効果音が聞こえそうなほど満面の笑顔を浮かべる。

 

「んもう、おねーさんをこんなにメロメロにできるのは貴方だけなんだからね!!」

 

抱き着いてくると俺の額にキスを落とした。

刀奈をメロメロにできるのが俺だけなように、俺をここまで笑顔にできるのは刀奈だけなのだ。

それを刀奈に伝えると刀奈は更に顔を朱くした。

 

「はぁ…………」

 

虚さんが深い溜息を吐く。

そりゃそうだろうな。隣で恋人同士のイチャイチャ(しているつもりはないが)を見せられたら溜息だって吐きたくなる。

虚さんだって美人さんなんだから言い寄ってくる男は多いだろうに。あ、ここは男子のいないIS学園だった。忘れてたな。

どうにかいい人が見つかるといいんだが。

 

 

 

 

2時間目は学園内の部屋や教室、施設や部活などの簡単な説明があった。

とりあえず2時間目が終わったので配布されたプリントなどの片づけをしていると織斑一夏が近寄ってきた。

 

「よっ、さっきはどっか行っちまってたから挨拶できてなかったな。俺は織斑一夏、2人しかいない男子だ。仲良くやっていこうぜ」

 

一夏、お前は、お前も昔のまま変わらないな。その純粋さも皆仲良く思考も。

 

「知っているとは思うが俺は更識銀だ。名前はシロガネと読むがまあ気楽に銀とでも呼んでおいてくれれば構わない」

 

「これからよろしくな銀」

 

すると一夏は、そういえばと話を振ってくる。

 

「さっきどこ行ってたんだ?」

 

「彼女に会いに行ってた」

 

 

「「「「「何!?」」」」」

 

 

ガタタッ!!!

 

 

何人もの女子達が立ち上がり一夏は驚き一色に顔を染めている。

 

「か、彼女?ちなみにだr」

 

「ちょっと、よろしくて?」

 

一夏が質問するタイミングで、それを遮るように声をかけてきた少女の声は、どこか俺達を見下しているような声色だった。

視線を動かし声の主を確認する。

煌びやかな長い金髪にカチューシャ、ツインドリルに見下したような目。

一夏が口を開く。

 

「誰?」

 

「わたくしを知らない?このセシリア・オルコットを?イギリスの代表候補生にして、入試主席のこのわたくしを!?」

 

知ってた。

 

「で、英国代表候補さんが一体俺達に何用で?」

 

「んんっ、貴方達がどうしてもと言うのでしたらISの事をおs」

 

「結構だ。教科書の内容を全て暗記している俺がこのバカに教える。男同士の方が何かと楽だからな」

 

「なっ!?」

 

一部の女子が「え、更識君と織斑君って」とか「一夏×銀かしら、それとも銀×一夏かしらグ腐腐腐」などと言ったように聞こえたがきっと木のせいだ、きっと気のせいだ。

オルコットとやらは驚いた様子で苛立ちを見せたがふぅと一息吐くと再び高飛車な態度に戻る。

 

「わたくし入試で唯一教官を倒したエリート中のエリートですから貴方達が泣いて頼めば教えてさしあげないこともないのですよ?」

 

「「俺も倒したぞ?」」

 

「へっ?」

 

オルコットの間抜けズラを無音モードの隠しカメラで撮ると俺は口を開く。

 

「あの教官は弱かったな。あの程度にダメージを負う奴なんていたのか?」

 

「…………まさか貴方ノーダメージであの教官を倒したと?」

 

「そうだが?」

 

「まさか、ご冗談を。そんなウソまでつくだなんて男と言うのは本当に」

 

しかしオルコットが言い切る前に電子音が休み時間の終わりを告げる。

あまりのタイミングの悪さにオルコットは小さく舌打ちするが、1度こちらを振り返って、

 

「また後で来ますわ」

 

俺の話には何1つ偽りは無いのだが彼女は信じなかったらしく自分の席へと戻っていった。

すると一夏が目をキラキラさせながら言った。

 

「銀、さっきのはホントか?」

 

「お前に勉強教えるというやつか?きっちり教えてやるからさっさと席に戻れ」

 

「銀ありかとう!!」

 

ったく、一夏となら昔みたいな関係に戻れそうだな。

本当に、そうなるといいな。

 

 

 

 

 

「この時間は実践で使用する各種装備について説明する」

 

3時間目は各種装備、つまりISが使える装備の説明と特徴だろう。

しかし織斑千冬は何かを思い出したのか話題を変えた。

 

「その前に再来週に行われるクラス対抗戦に出る代表者を決めないといけないな」

 

対抗戦に出るのはクラスの中で決められた者だけ、分かりやすく行ってしまえばクラス長だろう。

対抗戦はどのクラスがどれだけよく学習しているかを決める戦いと見られ、それによって教員のクラス代表やそのクラスの生徒達の見方が変わったりもする。

 

「自薦他薦は構わないが一度決まると一年間変更はないからそのつもりで」

 

こういう言い方をすると必然的にそのクラスの中で最も印象が強い生徒が選ばれる。基本的には代表候補生が選ばれるのだろうがこのクラスに限っては俺達男子が推薦される。

 

「はいっ。織斑くんを推薦します!」

 

「私もそれが良いと思います―」

 

「私は更識君で」

 

「私も更識君かな」

 

推薦は真っ二つに分かれたがもともとやるつもりはない。

俺は手を挙げて辞退の意を示すのだが、織斑千冬はそれを却下した。

 

「仲間の推薦を無下にするつもりか?」

 

「自分に合わない役に就いたってまともに機能しないと思いますが?」

 

俺の意見に対する返答を返そうと織斑千冬が口を開くのだがそれは別の声で遮られる。

 

「待ってください!納得がいきませんわ!」

 

声を荒らげて反論するのは英国代表候補セシリア・オルコットだ。

 

「このような選出は認められません!大体、男がクラス代表だなんていい恥さらしですわ!」

 

いや実力があればそんなこともないだろ。あのバカにそれだけの実力があるかは分からないがなかったら鍛えればいいだけの話だ。

 

「実力から行けばわたくしがクラス代表になるのは必然。それを物珍しいからという理由で極東の猿にされては困ります!わたくしはこのような島国までIS技術の修練に来ているのであって、サーカスをする気は毛頭ございませんわ!」

 

いやいや実力から行けば俺だろうが。

 

「いいですか!?クラス代表は実力トップがなるべき、そしてそれはわたくしですわ!」

 

だから実力的にもトップは俺だからな。お前は信じてないけど。

 

「大体、文化としても後進的な国で暮らさなくてはいけないこと自体、わたくしにとっては耐え難い苦痛で――」

 

「イギリスだって大したお国自慢ないだろ」

 

Oh…………Mr織斑、アナタナンテコトイウネ。

すぐ消えるであろう炎に一夏はガソリンをぶちまける。もう俺は何も知らないとイヤホンを装着し頭を抱えた。

しかし人外なほど優れた聴覚はイヤホン越しに外の音を拾ってしまう。

 

「な、あなた! 私の祖国を侮辱しますの!?」

 

「先に日本を侮辱したのはそっちだろ?」

 

一夏、お前はもう少し我慢を覚えような。

 

「くっ、決闘ですわ!」

 

そしてオルコット、何だその超理論は。流石の俺も理解に苦しむんだが。

 

「おういいぜ。四の五のいうよりわかりやすい」

 

「では一週間後に織斑、更識、オルコットによるクラス代表決定戦を行う」

 

こうして俺は2人に巻き込まれるようにしてクラす代表決定戦に参戦することとなった。いっそ自滅してやろうか。

…………刀奈のためにも自滅はやめよう。

 

 

 

それから時間がたって今日の授業は全て終わると一夏が織斑千冬に呼ばれる。2人の会話に聞き耳を立てる。

 

「織斑、明日の放課後、整備室に集合しろ。お前の専用機が到着する予定になっている」

 

「えーっ!? 専用機!? この時期に!?」

 

「うそー、良いなぁ」

 

良いなぁとは言うものの、それは一夏が望んだものではない。

どうせウサギが政府を経由して一夏に渡すことにしたのだろう。男性IS操縦者のデータ取という建前で。

まあ俺には関係ないなと教室を出て指定された部屋へと進む。

本来は自宅…………更識の屋敷からの登校となっていたのだが、生徒会長権限を乱用した刀奈によって刀奈と同じ部屋に住むこととなった。

 

コンコンコン

 

3回ノックして返事を待つ。

 

「あ、銀?入って~」

 

入室の許可が出たので扉を開けて部屋へと入る。そこには…………

 

 

 

 

裸エプロン(のように見えるが下に水着を着た)姿の刀奈がいた。

 

 

 

 

「おかえりなさい!私にする?私にする?それとも、わ・た・し?」

 

「選択結果が1つしかないぞ」

 

選択肢は3つあるがどれを選んでもい同じ結末を迎えることになる。

いや、俺としては、男としては非常に嬉しいのだが今に限って言えば余計に疲れるだけだ。

 

「とりあえず今日は休ませてくれ。眠い」

 

「ふぅ~知ってるわよ。色々大変だったでしょう?」

 

監視カメラや同じクラスの本音から情報を得ているのだろうか。俺を労わるように制服をハンガーにかけたり水を渡してくれたりと優しく接してくる。

そこで俺はボソリと本音を漏らした。

 

「まるで新婚みたい…………だな」

 

「へ!?ししし、新婚!?えへへ~そう見える?……ってもう寝てるし」

 

もう既に寝てしまった俺を見ながら刀奈は一息吐いて微笑む。

 

「まったく、あんまり無理しないでよね、あ、あなた////」

 

顔を真っ赤にしながら言ったその言葉は微かに、だがしっかりと俺の耳に届いていた。

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