インフィニット・ストラトス  漆黒の要塞の復讐   作:双盾

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朝と特訓

微睡んだ思考を無理矢理働かせて眠気を排出させていく。段々と思考も視覚もクリアになっていく。

暖かい。柔らかい。

布団の温度が体の芯に染み渡り、俺を微睡みの世界へと誘おうとしてくる。

ん?柔らかい?布団に柔らかい何て要素あったか?

一体何が!?

柔らかさの正体への視線を動かすとそこには寝間着の刀奈がいた。

俺は知らず知らずのうちに刀奈を抱きしめていたのだ。

 

「ん、んぅ…………」

 

刀奈はすこし身をよじるが再び夢の世界へと旅立っていった。

抱きしめてわかったこともある。

刀奈はこんなにも華奢だったんだな。

どの部位も柔らかくもう少し力を入れたら簡単に折れてしまいそうな体。簪ほどではないにしても俺と比べると華奢であることは紛れもない事実だ。

そんな刀奈は無防備に、俺に体を預けている。その顔はとても幸せそうで。

そんな刀奈が愛おしくて。

俺は刀奈を抱きしめたまま耳元で刀奈への愛を囁いた。

 

 

「愛してる」

 

 

 

 

 

時も場所も変わって朝の食堂。

俺は和食Cセットの特盛、刀奈は洋食Aセットの乗ったトレーを持って開いている席を捜していた。

窓辺に開いている場所があったので俺達はそこに座った。

 

「あ、かいちょ~とシローだ~」

 

「お姉ちゃん、ここいい?」

 

声をかけてきたのは簪と本音の2人だ。シローとは本音が俺に着けた愛称で理由は白いからだそうだ。

 

「ん」

 

「簪ちゃんも本音もほら座って」

 

俺は頷き刀奈はどうぞどうぞという。簪と本音は向かいの席に座った。

ちなみに簪は洋食Aセットで本音は日替わり定食だった。

 

「「「「いただきます」」」」

 

両手を合わせて料理に手を付ける。

簪が口を開いた。

 

「銀さん、イギリスの候補生に勝負挑まれたってホント?」

 

「一夏に巻き込まれた形でな」

 

「どんまいシロー」

 

本音にドンマイと言われると何か心にくるものがあるが気にせず食事を続ける。

 

「それで、どうするの?」

 

「何をだ?」

 

「織斑一夏くんのことよ」

 

刀奈が言いたいのは恐らく俺が一夏の面倒を見るという発言についてだろう。

 

「もちろん俺が見るつもりだが」

 

「貴方は特訓とかしなくていいの?」

 

「侮るなよ。俺の身体のこと知ってるだろ?」

 

「そう、ね。分かった。銀に任せる」

 

「ありがとう楯無」

 

更識の関係者以外の人間が居る場所では楯無と呼ぶようにしているが刀奈は不服なようで。だから俺は刀奈に耳打ちするのだ。

 

「部屋に戻ったらたっぷり愛でてやるから、な?」

 

「わかった」

 

と、顔を真っ赤にしながら答える刀奈がやはり愛おしいのだ。

簪は何を言ったのかを理解したのか顔を朱くして俯き、本音はよくわかっておらず食事を続けていた。

 

 

 

 

 

 

昼休み、俺は一夏と、刀奈の3人で食堂にいた。

一夏がふと俺を見た。

 

「あれ、実践じゃないのか?」

 

「まずは武器や装備のことからよ一夏君」

 

「そうなんですか、えっと」

 

「私は楯無よ」

 

「すいません楯無さん」

 

とりあえずと言って刀奈はノートを取り出す。

 

「まずは一夏君、今までに何かやってたスポーツとかってある?」

 

「えーと、剣道を少し」

 

剣道、それは恐らく篠ノ之の家がやっていた剣道や剣術の事だろう。

だが一夏の言い方からしてここしばらくやっていないようだが、何もやっていないよりはマシだろう。

 

「じゃあ武器は刀剣の系統か。出来れば太刀系統のものがいいな」

 

「じゃあ次、一夏君はどんなバトルスタイルがいい?」

 

「うーん、とりあえずは剣道みたいな感じになるかな?」

 

刀奈はノートにまとめていく。そして書き終わるとノートを閉じた。

 

「わかったわ。明日の訓練メニューはこっちで考えておくから一夏君は筋トレとかして体を温めておいて」

 

「わかりました」

 

「時間が余ってるな。ISの基礎について教えておこう。教科書とノートはあるな?」

 

「あるぜ」

 

「じゃあ飯でも食いながら教えてやろうか」

 

俺達は刀奈に席を確保してもらってから食券を買いに行った。

一夏は日替わり定食で俺は和食Aセット、刀奈の和食Cセットを買って先程まで座っていた席に座る。

 

「「「いただきます」」」

 

それぞれ自分の昼食を食べ始める。

合間合間に俺は教科書を指差しながらISの基礎知識を叩きこんでいく。蛍光ペンで色を付けたり分からない部分は説明したりと丁寧に教えていく。

そうこうしているうちに昼食を平らげていて、残り時間が5分になっていた。

 

「楯無は2年だからここまでだな」

 

「俺達はこっちなので」

 

「銀、またあとで。一夏君、また明日」

 

そういって俺達はトレーを片づけてそれぞれの教室へと向かった。

 

 

 

 

翌日、早速ながら実践練習。

一夏は一昨日に来た専用機『白式』を纏い、刀奈はレイディを纏ってアリーナの中心に対面している。

刀奈があっちゃーと言って頭を押さえた。

 

「白式って雪片以外の装備が無いんだった。昨日の話し合いほとんど無意味だったじゃない!!」

 

俺もすっかり忘れていたので何も言えない。

 

「ま、まあ仕方ないですよ。早く練習を始めましょう」

 

「そうね。じゃ、始めるわよ」

 

カウントが始まり、0になったと同時に一夏が加速し接近する。

 

「せいや!!」

 

まずは上段からの袈裟切り。それを刀奈はひらりと避けると、今度は下から上への切り返しによる追撃。しかし刀奈は体を横に逸らして避けると一夏を背負い投げ。見事に一本決まった。

 

「まだまだ行きます!!」

 

「次はどんな手で来るのかしら?」

 

一夏はまたも加速し、鋭い突きを放つが攻撃範囲が狭い突きは簡単に避けられてしまう。

 

「隙あり!!」

 

刃を横に向けてそのまま切り払おうとするが刀奈はジャンプで躱してそのまま空中で横蹴りを入れて一夏を吹き飛ばす。

刀奈がアドバイスする。

 

「一夏君、貴方の攻撃は直線すぎるわ。視線でどこを狙っているかが丸わかりよ。注意して」

 

「はい!!」

 

再び起き上がると低姿勢のまま接近する。視線を隠すための一夏なりの工夫だろう。そして一夏は斜め上への切り上げを繰り出すが避けられてしまう。

 

「まだまだ!!」

 

そのまま高速で一回転し、勢いのついた切り払い、やはり避けられ逆に足払いで顔面を地面にぶつけてしまう。

また刀奈のアドバイスが入る。

 

「一夏君、さっきから刀ばっかりで攻撃しれるけど足だって立派な武器なのよ?」

 

それを聞いた一夏は加速し切り払いを放つ。刀奈はこれを糸も簡単に避けるが、一夏は左足での蹴りで追撃する。

一夏は宝石に例えるのであればまだ原石の状態だ。まだまだ荒削りで宝石が一部しか出ていないが少しずつ、着実に成長していっている。

少しずつ刀奈を追い詰めていくことができるようになっていった。

が、やはり勝つことはできなかった。

 

 

 

 

実践練習が終わり、2人が専用機を解除する。

刀奈が一夏を褒める。

 

「凄い成長の早さね。これなら大丈夫」

 

「ありがとうございます」

 

「おつかれ2人とも」

 

2人に、い○はすを投げ渡す。

 

「さて、一夏君。これから毎日つきあってあげるからちゃんとがんばりなさいよ?」

 

一夏はうへぇと言いながらも、その瞳にはやる気が漲っていた。

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