インフィニット・ストラトス  漆黒の要塞の復讐   作:双盾

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最強の強行

「更識、貴様は少し残れ」

 

織斑千冬が試合後の俺に発した言葉だ。

そして俺はっその言葉の通り、アリーナに残っている。

 

コツコツコツ…………

 

漸く織斑千冬が来たかと思った。間違ってはいなかったが続けて、

 

コツコツコツ…………

 

コツコツコツ…………

 

何人もの足音が響いてきた。

 

「どういった状況ですかね織斑先生?」

 

背後に何十人もの教員を従えた織斑千冬に問う。

 

「単刀直入に言おう。貴様の専用機をこちらに渡せ更識」

 

「断ると言ったら?」

 

「強制的にこちらで回収することになる」

 

背後の教員が訓練用IS『打鉄』に乗って、連射銃をこちらに向ける。その数50。

しかし弾丸程度ではこの鎧を貫通させることはできない。それを理解して尚それしか構える物が無いのは教員自体あまりこの状況を理解できていない証だろう。

 

「では理由を聞いても?」

 

「貴様のISは情報以上の能力を発揮した。安全性を確かめる必要があったからだ」

 

「ではこれだけの教員をそろえた理由は何ですか?」

 

「…………」

 

「答えられないんですか?」

 

織斑千冬は殺気を放って、言った。

 

「もう一度言う。貴様のISをこちらに渡せ更識」

 

「返ってくるという保証は?」

 

「…………」

 

もはや話が通じる状況ではない。

織斑千冬が言い放った。

 

「強制回収開始」

 

その言葉と同時に何百何千もの弾丸が俺を襲ってきた。しかし全てが鎧に阻まれ、はじかれていく。

数十秒して弾丸が切れたのか銃弾の嵐が止んだ。

しかし教員達の目の前には無傷の俺が立っている。

 

「パンフレットにはちゃんと書いてあったでしょう?

『シールドエネルギーを極限まで減らしてその分を超硬質の鎧に使い、絶対防御を発動させないIS』

って。それ以上もそれ以下の結果も出していないのに何故奪おうとするのですか?」

 

「…………」

 

「何をしているのかしら?」

 

「貴方は」

 

出入り口から声がしたのでそちらを見るとそこには70代くらいの初老の女性が立っていた。

轡木 、この学園の長だ。

 

「織斑千冬が俺のISの強制回収だとか言っていますが、貴方の差し金では?」

 

「私はそんなこと言わないわよ」

 

「校長!彼のISは危険です!こちらで調べる必要が」

 

「ISのことは、その持ち主に全てを任せ、緊急時のみ、校長の承諾を得て回収する。校則にもある通り彼が無理にこちらに渡す必要はない、そうでしょう?」

 

「し、しかし」

 

「第一、君たちは私の許可を得ていないでしょう?」

 

背後の教員達は許可を得たものだとばかり思っていたのか驚きの表情を見せている。

織斑千冬は苦しげな表情を浮かべ、やがて、

 

「わかりました」

 

そういって撤退していった。

他の教員もそれについていくように撤退していった。

轡木校長はゆっくりこちらに歩み寄ってくる。

 

「すまなかったね」

 

「いえ、校長はなぜここへ?」

 

「いや何、言いたいことがあっただけだよ」

 

何をですか?と聞くと校長は楽しげに笑った。

 

「ISに頼りすぎてはだめだよというのと、彼女を大切にということをいいたかっただけだよ」

 

「ありがとうございます。ですが大丈夫です。ISに呑まれたりはしませんから」

 

「ホッホッホ、若いのはいいのお。羨ましいわい」

 

それから校長はゆっくりと戻っていった。

俺は黒要塞を解除し刀奈達の待つ休憩室へと足を運ぶ。

刀奈達は心配していたが、俺は事の顛末を話すことはしなかった。

 

 

 

 

「と言う訳で、1年1組のクラス代表は織斑君に決定しました!!」

 

「へ?」

 

呆けた顔した一夏は放っておいてクラス一同が拍手を送る。

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ!!俺は銀に負けたんぜ?なのに何で?」

 

「俺がお前に押しつ…………お前が適任だと思ったんだ」

 

「お前今押し付けてって言いかけたよな!?」

 

「気ニスンナヨ」

 

実際にクラス代表にならなかった理由として面倒だからというのもあるが、1番の理由は刀奈との時間が少なくなってしまうからだ。

クラス代表になると生徒会への参加が難しくなる。生徒会には刀奈がいて更識の関係者の虚さんと本音がいる。俺も安心していられる。

 

「…………」

 

ただ、相変わらずこちらに鋭い視線を送ってくる織斑千冬を睨んでから俺も祝福の拍手を送った。

 

 

 

 

そしてその日の午後1番の授業の時間。

今回は実践IS訓練の授業。

 

「ではこれよりISの基本的な飛行操縦を実践してもらう。専用機持ちは前に出ろ」

 

織斑千冬の号令で専用機を持っている俺、一夏、オルコット、簪の4人は前に出る。

簪の専用機こと打鉄弐式は簪の学園入学の1週間前に完成した。一夏の事件が起きた翌日に一夏の専用機開発に人手が回って簪の方を開発停止にしたときは本当に襲撃してやろうかと思ったほどだった。

そこから急ピッチで簪の専用機を皆で作り漸く完成したのだ。まあ途中で打鉄弐式の装備が世界殲滅装備みたいになったときは皆「どうしてこうなった」とこぼしていた。

まあ何はともあれ完成した専用機だ。こういう場所で皆に見てもらえるのは俺も簪も、打鉄弐式のコアも嬉しい。

 

「ISを展開しろ」

 

まず最初に俺、光ることもなくただ一瞬にして体に纏った。

次にオルコット、どこに向かって銃口を向けているんだ。

続けて簪、最後に一夏。

 

「では試に飛んで見せろ」

 

オルコット、一夏の順に飛んでいく。簪も飛ぶが俺の上昇速度が遅いのを知っているため俺に合わせて上昇していく。

 

「ごめんな」

 

「いいよ」

 

とりあえず他の2人は上空を周回していて俺が到着すると合流してきた。

すると地面の方から大きな声が聞こえた。

 

「一夏っ!いつまでそんなところにいる!早く降りてこい!」

 

声の主は篠ノ之箒だった。彼女は山田先生のインカムを奪ってこちらに叫んでいる。山田先生はインカムを奪われてわたわたしていて教師らしくなさすぎる。

そんな篠ノ之の頭上に織斑千冬の拳が振り下ろされ、

 

ゴン!!

 

重たい打撃音と共に篠ノ之の頭にたんこぶができる。あの怪力でやられてたんこぶですむのは織斑千冬が力をコントロールしているからだろう。

 

「教師の装備を奪うな馬鹿者!それから勝手に指示を出すな!!」

 

痛みに悶える篠ノ之を見て「ざまあwwwwwww」と思ってしまった俺は多分悪くない。

織斑千冬は少し間を置いて次の指示を出す。

 

「急降下と完全停止をやって見せろ。目標は地表から十センチだ」

 

急降下も急停止も俺の得意分野だ。簡単に言えば墜落直前に停止ということだ。

 

「1番、更識が、参る」

 

PICを弱めて重力に抗わずに地面に向かって落ちていく。が、直前で停止する。

続けてオルコット、簪と成功したが一夏は停止が出来ずに大きなクレーターを作った。

 

「一夏、大丈夫か?」

 

「メッチャ痛ぇ」

 

「どんまい」

 

まあこれは一夏の技量の問題なのでどうしようもない。

この後は特に難しいことは無かったので滞りなく進んだ。

 

 

 

 

そして放課後、クラスでは一夏のクラス代表を祝ってパーティーが開かれている。

しかし俺は全く興味が沸かなかったので最愛の彼女である刀奈のいる生徒会室へと向かったのだが、途中であった虚さんに言われた。

 

「今日は生徒会はお休みですよ?」

 

「わかりました。ありがとうございます」

 

俺は目的地も生徒会室から刀奈と俺の部屋に変更し、廊下を進んでいく。

ようやく目的地の前に到着した。3回ノックしたが返事がない。念のためにもう3回ノックするがやはり返事がない。ただのしかばねのようになっていないといいのだが。

少しの不安がよぎる。昨日の織斑千冬との一件もあって不安が募る。

ドアを開けて中に入る。

少し進んでベットをそこには刀奈がすやすやと吐息を立てて寝ていた。…………俺のベットで、だが。

 

 

スゥ…………

 

 

空中に手をかざしてディスプレイを投影する。そこに映し出されたディスプレイには刀奈の脈や血液状態、精神状態や呼吸回数などが映されている。お互いのことを守りたい、愛したいとこうしてお互いをモニタリングしているのだ。

ディスプレイに映し出された結果からみるとただの疲れだそうだ。

再び手をかざしてディスプレイを消すと刀奈の頭を撫でる。

 

「あんまり心配させないでくれよ。俺の姫様」

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