たぶんほかに類を見ない特典をもっての転生   作:osero11

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 少し遅めですが、メリークリスマス! あと一週間もたたないうちに新年を迎える日に投稿することになってしまいました。
 今年の投稿はこれで最後になると思います。来年の投稿は、私自身の都合で、早くとも2月くらいになると思います。なので、しばらくの間は投稿できないと思いますので、ご了承ください。次回を楽しみにしている方、申し訳ありません。

 今回は前回のような戦闘描写はありません。まあ、いつものことですが。
 しかし代わりに、理央とゲンヤ・ナカジマ、クイント・ナカジマとの会話シーンや、プレシアとアリシアの登場シーンのほか、アリシアやプレシア、クイントを生存させた方法が出てきます。「そんなの納得できない!」という方もいらっしゃると思いますが、こうやってしか蘇らせそうにないのでご了承ください。

 ちょっと今回は登場人物のキャラをつかみ損ねているかもしれませんので、ご注意ください。
 また、駄文もより目立ってしまっているかもしれませんので、不快な気持ちを覚えるかもしれないという方はご遠慮下さい。
 「許せる!」という寛容な方のみご覧ください。

 それと、ちょっとした重大発表もありますので、あとがきも出来れば読んでくださいますようお願いいたします。

 それでは、本編の方をどうぞ。



2016/ 1/22 修正しました。
2016/ 3/13 再び修正しました。
2016/ 4/ 8 会話文などを修正しました。
2016/ 9/16 改行などの修正を加えました。


理央、108部隊に行く

「ピクミン専門特別教導官の青葉理央一等陸佐です。

 今回は、私がピクミンについての詳しい説明と指揮の教導を行いたいと思いますので、よろしくお願いします」

 

 テロなどの騒ぎもあったものの、最終的にはなのはとの休日を楽しんでから数日後、理央はピクミン指揮の教導のため、ミッドチルダの陸士108部隊を訪れていた。

 そして今はちょうど、部隊の訓練場にて彼女がピクミン指揮の教導を始めるところであった。

 理央が今話題の魔導師だからか、教導をこれから受ける魔導師たちのあいだからひそひそ話が聞こえる。

 

「あの人が『七色の英雄』か……。

 なんだかイメージと違って……その……覇気っていうものがないよな……」

 

「いや……ピクミンの指揮に長けているんだから、別に覇気とか無くてもおかしくないだろ……。

 本人の魔力量もCくらいしかないって聞いたぞ……」

 

「それでも、ピクミンを指揮して多くの事件や事故を解決していって、実績を上げてるんだもんなぁ……」

 

「おまけに俺たちみたいな、魔力量が少ない魔導師にもピクミンの指揮を教えてくれるんだもんなぁ……」

 

「マジ理央様女神ッス!! 一生ついていくッス!!」

 

 最後の声だけ、周りにビリビリと響いた。 

 

「ちょっ!! 声デカッ!!」

 

「ここにもリオ・アオバ一佐の崇拝者が!?」

 

「バ、バカ!! そんな大きな声を出したら……!!」

 

「……あの、すみません……。おなかが痛くなってきたから、帰ってもいいですか……」

 

「「「「「わあああああああ!! すみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんんんん!!」」」」」

 

「この馬鹿野郎が!!」

 

ボカッ!!

 

「あいたっ!!」

 

 ……とまあ、理央の教導が始まる前はいつもこんな感じにひそひそ話がされ、そのたびに理央を尊敬する(理央の胃を痛める)局員が騒ぎ、理央が胃を痛める流れになるのだ。

 そして、いつものように、まるで注意事項のように、理央は教導を受ける生徒たちに自分が思っていることを伝えてから教導を始めるのだ。

 

「私は皆さんにピクミンの指揮をお教えしますが、だからと言って私は、皆さんが戦いにおいてピクミンにのみ頼るようになってほしくないと思います。

 私がピクミンの指揮に長けているのは、あくまでピクミンを指揮することぐらいしか長所がないからです。皆さんは私と違い、ピクミン指揮以外にも優れた能力をそれぞれお持ちのはずです。ピクミン指揮にこだわるよりも、ご自分が得意となさる魔法とピクミンによる集団戦法をうまく組み合わせて戦うのがベストな戦い方だと思っています。

 今でこそピクミンは、ここミッドの重要な戦力として見られていますが、だからと言って皆さんが持つ能力をまるっきり無視してまでピクミンを使って戦うことを強要したくありません。私の教導はピクミン指揮における基本を皆様に覚えてもらうだけのもので、その後はそちらのほうで皆様なりの戦い方というものを模索してもらいたいと思っています。

 ……長くなってしまいましたが、どうかこのことをよく覚えていただきますよう、よろしくお願いします」

 

 理央はそう言って、生徒たちに頭を下げた。

 これは理央が、地上でピクミンの指揮にこだわった戦い方をする魔導師を見たときから思っていることだ。

 ピクミン指揮の教導を受ける陸士たちにはもちろん、指揮魔法以外にそれぞれ得意とする魔法がある。その魔法をピクミン指揮と組み合わせて戦うのが普通だと思っていたのだが、なかには自分が得意とする魔法よりもピクミン指揮のほうにばかり訓練をして、自分の生まれつきの才能を無駄にしてしまう陸士がいることを理央はその時に知ったのだ。

 

 それはとてももったいなく、非効率なことだと理央は強く感じた。

 例えば召還魔法を使えれば、遠距離からピクミンを大量に呼び寄せて戦力を増強させることが出来るし、インクリースタイプの補助魔法が使えれば、ピクミン一匹一匹の戦闘能力を上げることが出来るのだ。

 自分なりの魔法を使えば、指揮単体で戦うよりもずっと優位に立って戦うことが出来るのだ。それ故に、理央は生徒たちに自分なりの魔法を使う前提でピクミン指揮の魔法を学んでほしいと伝えているのだ。

 

 その言葉はいつも、教導を受ける魔導士たちの心に強く響いていた。

 ミッドの英雄として、管理局内でも、市民の間でも尊敬されている人物が、自分たちの魔法を、自分たちを認めている。そのことが、生まれつきの資質である魔力量が少なく、エースのように魔力量が多い他の魔導師たちにいつも劣等感を抱いていた彼らにとってとても嬉しかったのだ。

 

「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛!! 理央様マジめが

 

「「「「「おめーはもう黙ってろ!!」」」」」

 

ドカバキベキグシャ!!

 

「ギャアアアアアアアアアアアア!!」

 

「ははは………。それでは、教導を始めます! 

 皆さん、わからないことがあったら説明の後に聞いてくださいね!」

 

「「「「「「はいっ!!」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、それでは午前の教導はここまでにしたいと思います。

 午後の教導は二時間後に始めたいと思いますので、それまで十分に休憩を取ってくださいね」

 

「「「「「「は、はい~……」」」」」」

 

 教導がいったん終わったころには、生徒たちはもう疲労困憊(ひろうこんぱい)であった。

 生徒や理央のまわりにも、フリー状態になって体を休めているピクミンが1000匹くらいいた。

 ちなみに理央は生徒やピクミンたちとは対照的に元気そうである。教導の最中にピクミンたちと存分に触れ合えたからだろう。よく見ると肌がすごくつやつやしている。さすがはピクミンLOVE。

 

「おれたちにできない事を平然とやってのけるっ! そこにシビれるけど憧れないィ!」

 

「憧れはしないのかよ! あとお前もう黙ってろよ」

 

「じゃあ私は先に建物の方に戻りますね。お疲れ様でした~!」

 

「「「「「「お疲れ様でした~!」」」」」」

 

 理央はその場にいたピクミンをすべて連れて、108部隊の建物の方に戻っていった。

 ピクミンを全員連れていくのは、フリーの状態のままだとたまにどっかに行ってしまうことがあり、それを防ぐためである。

 理央本人がピクミン全員を連れて歩きたいというわけでは……ある。ピクミンLOVEだからしょうがない。

 

 しかし1000匹も連れて歩いているので、建物の外にいた陸士たちの目を引くことは必須である。

 理央が膨大な数のピクミンを連れて歩くのを見た陸士たちの間からはざわめきが聞こえてくる。

 

「お、おいアレ……アオバ一佐じゃないのか? 

 無類のピクミン好きとは聞いていたが、まさかあそこまでとは……」

 

「あ、ああ……間違いない。あんな大量のピクミンを連れて歩くなんて、アオバ一佐くらいしかいないだろう……。

 どんだけピクミン好きなんだ……」

 

「うちのクイントさんも大概だけどよ……。

 あの人、ゼスト隊が解散してからクロスレンジ主体からピクミン指揮主体になったんだよな……」

 

「あの人、シューティングアーツで娘二人を相手にしても全く負けないんだぜ。それでピクミン指揮のほうにまわるとか、正直ありえないとしか思えねーよ。

 ……ピクミン指揮のほうでも、しっかり活躍してるけどよ……」

 

「ピクミンLOVEとはいったい……うごごご!」

 

 そんなこんなで周りの注目を集めながらも、建物の入り口にたどり着いた理央。すると理央は、少し残念そうな顔をしながらも、自分のデバイス「ドルフィン」を懐から取り出し、命令した。

 

「ドルフィン、ここにいるピクミンたちを全員()()して」

 

『OK,captain』

 

 ドルフィンが応答したと同時に、理央が連れていたピクミンたちの足元に、黒いミッドチルダ式の魔法陣が浮かんだ。

 魔法陣が発する光が強くなり、その黒い光はピクミンを包み込んでいく。

 やがてピクミンの姿がすっかり光に覆われ黒くなったかと思うと、その形をかえ、それぞれ小さな黒い光の球になった。

 そしてその球はドルフィンのほうに一斉に飛んでいき、ドルフィンの中に吸収されていった。

 

 この魔法は、なのはがかつてジュエルシードをレイジングハートの中に収納したものに近い魔法だが、ドルフィンは女神お手製のデバイスのため、レイジングハートよりも大容量でかつ物体だけでなく生物も収納することができる。

 よって、1000匹のピクミンなら容易にドルフィンの中にしまうことができ、ピクミンが邪魔にならない様に建物の中に入って移動することが可能となるのだ。

 

 ちなみに、理央が少し残念そうな表情をしたのは、ピクミンと少しの間だが触れ合えなくなるからである。

 

 ピクミンを自分のデバイスにしまった理央は、108部隊の建物の中に入り、授業再開までに昼食をとってしまおうと食堂の方に移動した。

 食堂に来て、値段が安めの定食を注文したあと、食事の乗ったトレーを受け取り、適当な席に座って昼食を食べ始めた。

 

(ピクミンの基礎知識に関しては、やっぱりみんな把握出来ていたか~。まあ、ピクミンはもうミッド地上部隊の重要な戦力だから、当然と言えば当然なんだけど。

 午後からは基本的な指揮の仕方をしっかり教えればいいわね。

 ……にしても、やっぱりピクミンと触れ合えるのはいいわね~♪)

 

 理央が昼食を食べながら午後の教導の内容について思考を巡らせていたとき、一人の男性が理央のそばの席に座った。

 

「よっ、久しぶりだな。『英雄』の嬢ちゃん」

 

「……その言い方はやめてくださいと申し上げたはずでは? ナカジマ三佐」

 

「はっはっはっ! いいじゃねえか。

 実際、地上部隊のほとんどの連中がお前のことをそう呼んでるんだからよ」

 

 そう、彼の名前はゲンヤ・ナカジマ三等陸佐。陸士108部隊の部隊長にして、さきほどの陸士たちの話題に出ていたクイント・ナカジマの夫である。

 ちなみに、八神はやては一時期この部隊で研修に来ていたことがあり、そのことがあって彼女はゲンヤのことを師匠と呼んでいる。

 

「私はあくまで、ピクミンを指揮することしかできない魔導師ですよ。本当の英雄はピクミンでしょうに……」

 

「そのピクミンを戦力として地上部隊に貸し出してるんだから、そう呼ばれてんだろ」

 

「…………(どうにもこの人を言い負かすことが出来そうにない。一応精神年齢は同じくらいのはずなのに……)。

 それで、何の御用ですか、ナカジマ三佐?」

 

「ああ、今回うちの連中を鍛えてやってくれている礼と……あとは、トーマの奴を助けてくれた礼を言いにな」

 

「トーマ? ……ああ、トーマ・アヴェニールという、男の子のことですか?」

 

「ああ、そうだ。うちのスバルが保護した子どもなんだ。

 この前、お前さんが休日の時に助けてくれたんだってな。その日はスバルがえらくお前さんに感謝していた様子だったぞ」

 

「実際にトーマを送り届けるまで、トーマの言うスゥちゃんが三佐の娘さんのスバルだとは思いもよりませんでしたよ。

 あの時にさんざんスバルからお礼を言いまくられたから、お礼なんていいですよ。

 部隊の教導だって、上からの命令で来ただけですし」

 

「お前さんは相変わらず、人からの称賛や感謝を素直に受け取ろうとしないんだな」

 

「これが私ですから」

 

「そういうところも相変わらずだな」

 

 理央は10年ほど前、当時地上本部の首都防衛隊のゼスト隊に所属していたクイントを通してゲンヤと知り合った。

 ゼスト隊が解散してクイントが陸士108部隊に移動になってからも理央とクイントの交流は続き、それに伴いゲンヤともそれなりの付き合いがあるのだ。

 

「そういえば、ギンガやクイントさんがここにいないみたいなんですけど……」

 

「ああ、あの二人は今はちょっとした捜査でいないんだ。

 クイントの奴が張り切ってたよ、『久しぶりにピクミンと一緒にいられる!』ってな」

 

「ああ、その気持ちすごくわかります! 私も書類仕事ばかりしなくちゃいけないときはむしゃくしゃしますけど、その後にピクミンと触れ合えると、なんともいえない爽快感と解放感と幸福感が……」

 

「わかったわかった! わかったから落ち着いてくれ! 

 全く……お前もクイントもどうしてピクミンの話になるとそんなに熱くなるんだか……」

 

 ピクミンの話が出て、理央は一人で盛り上がり始めたかと思われたが、不意に真剣な顔になった。よく見ると少し悲しそうにも、申し訳なさそうにも見える。

 ゲンヤはそんな理央の表情の変化に疑問を覚えたが、理央は真剣な顔のまま言葉を発した。

 

「……奥様の体の調子は、大丈夫ですか……?」

 

 ああ、なるほど。うちの女房の体を心配していたのか。ゲンヤの心の中で合点がいった。

 

 クイント・ナカジマはゼスト隊に所属していたが、ゼスト隊はとある事件、戦闘機人絡みの事件の捜査にのり出してから間もなく壊滅した。その時にクイントを含めたゼスト隊員たちは全員致命傷を負った。

 その後、行方が分からなくなったゼスト・グランガイツとメガーヌ・アルピーノを除いた彼女たちは復活こそしたが、その体は取り返しのつかない状態になっていたのだ。

 

 彼女たちがそんなことになった責任は自分にもあると理央は思っていた。

 当時のゼスト隊にはピクミンを扱える魔導師がいなかった。彼らの強制捜査に、自分もピクミンとともに参加していたらこんなことにはならなかったのではないか。理央はゼスト隊が解散してからずっとそう考えていたのだ。

 

 当事者の夫であるゲンヤから言わせてもらえば、理央にそんな後悔を抱えてほしくはなかった。

 危険なことに介入し、時には死と隣り合わせの状況にもなるのが彼らの仕事だった。まだ若いころから、彼らのような武装隊員を助けられなかったと後悔していては身が持たなくなるというのがゲンヤの意見だ。

 そもそも、隊長であるゼストが急に捜査をおこなったので、理央の方に連絡がいくはずもないのである。

 

 何より、自分の妻などのゼスト隊のほとんどのメンバーが今生きているのは、ある意味理央のおかげである。

 確かに、それが原因で妻は少し人とは違う体になってしまったが、戦闘機人として生み出された二人の娘を人間として見ている自分たちに関しては、クイント本人も自分自身もまったくそのことを気にしてはいない。

 ほかのゼスト隊メンバーたちも、命が助かっただけもうけものだし、そんなに不便な体でもないしまあいいかと深刻には考えていない。

 むしろゲンヤは理央に、妻たちの命を助けてくれたことを誇っていてほしいとも思っていた。

 

「いつものように元気にやってるよ、一度死んじまったとは思えねえほどにな」

 

「……そうですか」

 

「あんまり気に病むもんじゃねえぞ。お前さんのおかげで、うちのクイントや他のゼスト隊メンバーも生きていられているんだからよ」

 

「……それでも、やっぱり気にするものは気にします。ゼストさんやメガーヌさんもまだ行方不明ですし……。

 それに、事件の数日後にメガーヌさんの娘さんも突然いなくなってしまいましたし……」

 

 ゲンヤは理央の答えを聞き、ハア、とため息をついた。

 どうやってこの頑固な後輩を説得しようかと思っていたゲンヤだったが、おっ、と理央の背後を見て何かに気が付いたかのように反応したかと思うと、ニヤリと笑って理央に再度話しかけた。

 

「そんなに気にしてるんだったら、直接本人から話を聞いてみたらどうだ? 気持ちも軽くなるかもしれねえからよ」

 

「はい?」

 

 理央がすっとんきょうな返事をした直後、理央は背後から突然誰かに抱きしめられた。

 理央が驚いて後ろを振り向くとそこには……

 

「お久しぶりね、リオちゃん♪」

 

「か、母さん! いくらリオさん相手でも一等陸佐なのよ!? そんないきなり抱き着くなんて失礼なんじゃ……あ。

 お、お久しぶりであります! リオ・アオバ一等陸佐!」

 

「……クイントさん……。ギンガ……」

 

 ゲンヤの夫であり、現在は陸士108部隊のストライカーであるクイント・ナカジマと、その娘、ギンガ・ナカジマであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここはミッドチルダ南部、アルトセイム地方。そこにとある二人の親子が住んでいた。

 

 母親は軽くウェーブのかかった長い黒髪を持った女性で、優しげな表情を浮かべながらも自分の娘を見つめている。

 そんな母の視線を感じながらも、金色の長髪と赤い瞳を持った娘は、これから仕事に出かける準備をしていた。

 

 母親の名前はプレシア・テスタロッサ。かつて大魔導師として名をはせた魔導工学研究者にして、生命操作技術『プロジェクトF.A.T.E』を完成させ、その技術を用いてフェイト・テスタロッサを誕生させた人物である。

 10年前はPT事件を起こした重犯罪者として逮捕されたが、その高い魔導師ランクから本局の嘱託魔導師として管理局への奉仕活動をすることによってその罪を許されることになった。

 今もまだ嘱託魔導師として働いているのだが、今日は彼女の仕事は休みなので家にいるのである。

 

「じゃあ行ってくるね、ママ」

 

「ええ。行ってらっしゃい、アリシア」

 

 そしてここにいる彼女の娘の名前はアリシア・テスタロッサ。プレシアが誕生させたフェイトのオリジナルであり、プレシアの実の娘である。

 彼女は約36年前の次元エネルギー駆動装置『ヒュードラ』の暴走事故で亡くなってしまい、それが原因で母親であるプレシアは失ったアリシアを取り戻そうと狂気に堕ちて生命操作技術に手を出してしまった。

 

 しかし、彼女が生み出したフェイトは、クローンだけあって姿かたちこそアリシアと瓜二つだが、様々な面でアリシアとの違いが存在していた。

 アリシアは左利きに対してフェイトは右利き。活発で明るい性格のアリシアと違ってフェイトは控えめでおとなしい性格。そしてなにより、アリシアには魔法資質がなかったのに、フェイトは高い資質を持っていたのだ。

 

 プレシアはこのことに深く絶望すると同時に、なまじ姿が似ている分失ったアリシアのことを思い起こさせるフェイトの存在を憎悪した。そして、アリシアを取り戻すために、失われた技術が眠る地、『アルハザード』を目指すようになり、フェイトをその為の道具として見なすようになった。

 そして10年前、ジュエルシードを集めて虚数空間を通じてアルハザードへの道を開くために、PT事件を起こしたのだ。当時、彼女の体は病魔にむしばまれており、プレシア自身の寿命もそう長くはなかったことも、なりふり構わずに事件を起こす要因になっていたのだろう。

 

 しかし、10年前のPT事件にて、理央のおかげでアリシアがよみがえり、プレシアの不治の病も同じ方法で奇跡的に治ったのだ。プレシアが狂気にとらわれる原因はなくなったのだ。

 

 アリシアを取り戻したことで、プレシアは本来の優しい人柄に戻り始めた。そのため、アリシアが生き返ってから少しして、プレシアはフェイトもアリシア同様に自分の娘だと思うようになった。

 そして、アリシアを生き返らせることに躍起になっていたとはいえ、フェイトに対し冷たい態度を取り、ひどい仕打ちをしたことを激しく後悔した。

 

 ちょうどそのころ、リンディはプレシアに、フェイトを養子としてハラオウン家に引き取らせてもらえないかどうかと提案していた。

 PT事件の裁判においてフェイトは実行犯として扱われるが、母親のプレシアがフェイトを利用していたと証言されれば、無罪に比較的近い形で判決が下る。しかし、重犯罪者となってしまったプレシアと一緒にいたままだと、実は親子で結託して裁判でだましていたのかもしれないと、後々非難を受けることになるかもしれない。

 だからこそ、ハラオウン家にフェイトを養子に出させたほうがいいのではないかとリンディは提案したのだ。

 

 プレシアはその提案を受け入れた。プレシアもそのように考えていたこともあったが、何より自分と一緒にいることでフェイトがこれ以上傷つくことを恐れたためだ。

 

 そして裁判が終わり、そのあとの闇の書事件もひと段落ついた後に、フェイトはハラオウン家に養子に出され、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンを名乗ることになった。

 その時、フェイトやアリシアは互いに離れ離れになることを悲しんだが、「もう会えないわけじゃない」というプレシアやリンディ、クロノの言葉に説得され、涙を流しながらもお別れの言葉を言い合った。

 しかしそれからも、アリシアとフェイト、プレシアは互いに都合がついた日に、『家族』として集まって互いの近況などを話し合っていた。

 

 それからもう9年がたち、フェイトはいまだにハラオウン家の方にいるが、プレシアとフェイトの関係はすっかり修復されていた。今では、プレシアはフェイトのことを、自分の自慢の娘だとはっきり言うことが出来る(ちなみに、この言葉を聞いたフェイトは大泣きしてしまった)。

 フェイトもまた、10年前から変わらずプレシアのことを、優しい母親として見続けていた。

 アリシアの方も、フェイトのことを自分がほしがっていた妹として見ていて、姉として可愛がっている。

 

 彼女たちは幸せだった。過去に悲しい出来事がいくつも起こった家族だとは思えないほどに幸福だった。

 

 アリシアが、フェイトが、そして誰よりプレシアが、この暖かい家族のぬくもりを取り戻すきっかけをくれた理央のことを感謝した。

 確かに、アリシアとプレシアは少し人とは違う体になってしまったが、そんなことはこの幸せを手に入れられたことに比べれば些細なことだとプレシアとアリシアは思っていた。

 なによりも、『家族』と一緒にいられる幸せを与えてくれた理央の存在は、プレシアにとってまさに奇跡のように感じられたのだ。

 

 アリシアもすっかり大きくなり、自分で働くようになった。アリシアが働いているのはとてもあたたかい職場で、アリシアの体のこともみんな受け入れている。

 彼女が仕事に就くまで、アリシアが体のことでひどいことを言われないかどうか心配ばかりしていた自分が滑稽に思えると、プレシアはアリシアの就活当時のことを思い出して笑った。

 

(ああ、にしてもいつもながらなんて可愛らしいんでしょう……。フェイトのほうはおとなしめで……なんていうのかしら……そう! 大和なでしこのような美しさと可愛らしさがあるんだけど……アリシアの方は活発で元気な子だから……、とてもキュート! キュートだわ!! ああ……ほんと可愛い……。あの子の快活さがはっきりわかるほどの明るい表情……。まるでルビーのように美しい赤い瞳……。太陽の光を浴びてとってもきれいに輝いている長い金色の髪……。フェイトよりも身長が低いのも可愛らしさを増しているわね……。しかもよく『私はフェイトのお姉ちゃんなのに、フェイトの方が身長が高い!』って気にしているのがまたなんとも可愛らしい……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 でもなによりも、頭にぴょこんと生えたあの葉っぱがほんっとキュートでたまらないわっ!!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう、プレシアとアリシア……いや、彼女たちだけでなくクイントを含めた旧ゼスト隊メンバーたちは全員ピクミンとして蘇っているのだ。

 

 いや、正確に言うと『ピクミン』として生まれ変わったというのは語弊がある。

 基本的な体の構造は人間のものなのだ。そこに、色ごとに分かれたピクミンの特徴(魔法への耐性や得意とする魔法など)と魔力量の大きさなどが加わり、さらに頭のてっぺんに新たな器官として葉っぱと茎?が付いたのだ。

 つまり、人間としての体にピクミンの体や体質の一部などを加えられたうえで、彼女たちは復活したのだ。

 

 ちなみに、プレシアとアリシアは黄ピクミンの体質と葉っぱがつけられてよみがえった。生まれつき電気の魔力変換資質を持っていたプレシアと、その血を引くアリシアだからだろうか。

 クイントの方は赤ピクミンだった。彼女はパワーファイターだから攻撃力の高い赤なんだろう(適当)。ほかのゼスト隊メンバーはいろいろなピクミンがベースである。

 

 彼女たちは、自分が半ピクミン(いや、4分の1ピクミン? 8分の1ピクミン? 9と4分の3ピクミン?)として生まれ変わったことに対し、悪感情は全く抱いてなかった。

 どうせ死ぬ位なら、ピクミンとして生まれ変わった方がずっと得だろう、人気者だし。プレシアやアリシアを除いても、旧ゼスト隊メンバーたちはそんな風に前向きに考えて気にしていないのだ。

 むしろピクミンになれたぜヒャッホォォォォォォォォォゥ!!と言わんばかりに大喜びする人物もいたという。誰とは言わないが、ゼスト隊の分隊長で、行方不明になったもうひとりの分隊長と仲のいい同僚で、彼女とインターミドルで都市決勝で戦ったこともある陸士108部隊の部隊長の妻で二人の戦闘機人の母親だと言っておこう。

 

 ちなみに、プレシアはピクミン自体に対してはそこまで好意を抱いているわけではないが、(いろいろと)ピクミンのいいとこ取りをして魅力が増したアリシアに対して、異常なまでに抱いている愛情が膨れ上がっていた。一度失ってしまったからということもあるのだろうが、ヒュードラの事件前に比べて自分の娘たちを、特にアリシアをさらに溺愛するようになっていた。

 

(ああほんと、天使のような可愛らしさと女神のような美しさを兼ね備えた私のアリシアはなんてキュートで愛おしいんでしょう……。頭でぴょこんぴょこんと動く葉っぱがアリシアの素晴らしさをさらに上げてくれているわ……。ほんとアリシアがよみがえったきっかけになったあの子には感謝してもし足りないわ! アリシアを取り戻させてくれるだけじゃなくて、さらに可愛らしさを付け加えてくれたんですもの! ……ああ本当に本当に可愛らしくてたまらないわ……。いつもの満面の笑顔をうかべた表情も嫌なことがあってちょっと泣きそうな表情もすやすやと眠っているときの安らかな表情も怒った時の表情も恥ずかしそうな表情もおかしなことがあって大笑いしている表情もムスッとした表情も………どれもこれもがキュートでさいっっっっっっっこーーーーよ!! ああわたしのアリシアアリシアアリシアアリシアアリシアアリシアアリシアアリシアアリシアアリシアアリシアアリシア………)

 

 そんなことを考えて、顔がとんでもないことになっているプレシアの表情を見ることなく、アリシアは仕事に出かけるのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……だからメガーヌのこともゼスト隊長のことも、ルーテシアのことも大丈夫よ。

 私と旦那がしっかり解決するから、理央ちゃんは今まで通りに頑張ってくれれば十分なんだから」

 

「……はい、ありがとうございます」

 

「よし! 元気になったわね!」

 

 クイントは、ゼスト隊壊滅後も自分と旦那はこっそりと戦闘機人事件について独自に捜査を進めていることや、告発の機会をうかがっていることを伝えて、落ち込んでた理央を励ましたのだった。

 

「それに体のことだって、むしろ感謝しているくらいなのよ。

 アンノウンに致命傷を与えられたけど、今はこうやって生きていて、旦那や娘たちと過ごせているのは理央ちゃんのおかげなのよ?」

 

「……ですが……」

 

「それにピクミンと同じ体なんて、素敵じゃない♪」

 

「そうですね! なら何の問題もないですね!」

 

「そこで納得しちゃうんですか!? 母さんもちょっとおかしいわよ!」

 

「「だってピクミンかわいいし」」

 

「ああもう! このピクミン好きたちは~!!」

 

 ギンガは二人のピクミン馬鹿のめちゃくちゃな言葉に頭を抱えた。

 確かに母が生きて帰ってきてくれたことは嬉しいし、そのことで理央に感謝こそしているが、そんなあっさりと切り替えられるのもどうかと感じてしまうのである。

 基本的な体の構造は人間のものなのだが、メリットばかりとはいえ、一応ピクミンの体も含まれているのだ。少しばかりは気にするべきなのでは? 

 真面目なギンガにとって、この二人のピクミン好きの思考は理解できないモノであった。

 

「そう言えば、()()()は元気ですか? 確か今年で5歳になるんでしたよね?」

 

「ああ、ツバメね。元気よ、とっても。

 最近はギンガもスバルも家にいないことが多いから、ツバメが家に帰ってからの癒しなのよね~。ついこの前まではスバルが保護したトーマっていう子もかわいくてたまらなかったんだけど、もう帰っちゃったしね………。

 まあ、仕事場での癒しはピクミンだけどね!」

 

「そ~ですよね~!」

 

「あと旦那」

 

「おいやめろよクイント、照れるじゃねえか」

 

「え? 三佐が癒し? 冗談でしょう?」

 

「おい嬢ちゃん、それはどういう意味だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちなみにツバメとは、クイントとゲンヤとの間に生まれた実子である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もう一度言う、実子である。決してスバルやギンガのように引き取った子でもましてや戦闘機人でもなく、クイントが妊娠してできた子である。

 

 さらに繰り返して言うことになるが、今のクイントの体は一応ピクミンの部分もあるが、基本的な構造は人間のものである。だから妊娠しようが出産しようが何の問題もないのである。

 ちなみに、ツバメの体はピクミン的な部分はどこにもない。

 

 クイントはもともと子供を産むことが出来ない体質であったが、(一部)体がピクミンになったためか、いつのまにか妊娠していたのだ。その際に、夫であるゲンヤや娘のギンガ、スバルだけでなく、理央までも大騒ぎしたのだが、今となってはいい思い出である。

 ちなみに、なんとなくそのことを感じ取っていたのか、クイントは当時とても冷静だったのが彼らの印象によく残っている。

 

 しばらくはツバメやピクミンの話で盛り上がっていた理央とナカジマ一家(108部隊所属)だったが、もうそろそろ教導が再開される時間になった。

 

「あ、もうそろそろ午後の教導を始めないといけない時間なので、訓練場の方に行きますね」

 

「おう、そうか。久しぶりに話せてよかったよ。

 戦闘機人事件の方はこっちの方でちゃんと調べておくから安心しな。

 お前さんはいつも通りに頑張ってくれりゃあ、俺たちだけじゃなくて他の部隊の奴らも助かるんだからよ」

 

「……わかりました、ナカジマ三佐」

 

「自分も、アオバ一佐とお話しすることが出来て光栄でした!」

 

「はは……真面目なのもいいけど、たまには肩の力を抜くのも大事よ、ギンガ」

 

「そうよ、あなたはいっつも硬いんだから。リオちゃん相手にはもっとリラックスしなさい」

 

「……母さんはむしろなれなれしすぎるよ……。一応母さんよりもリオさんのほうが階級が高いんだよ……。

 ……まあ、いつものことだからもうあきらめたけど……」

 

「いーのいーの♪ 相手がいいって言ってるんだから。

 ……あ、そうだリオちゃん。教導の方に私も参加してもいい? せっかくだから存分にピクミンと触れ合わないと」

 

「わかりました。じゃあ、一緒に行きましょうか」

 

 そう言って、理央とクイントは食堂を出て外にある訓練場の方に向かっていった。

 

「あ、じゃあ私も捜査について報告書をまとめないといけないので、これで」

 

「おう、じゃあまた後でな」

 

 ギンガも報告書をまとめるため、食堂を出ていった。

 残されたゲンヤはギンガが食堂を出ていくのを見送った後、顔をしかめ、重い溜息をついた。

 

「……地上本部、それもレジアス中将につながりあり……か……。

 ミッド地上部隊(うち)のトップがそんなことを援助しているとはいまだに思いたくねえがな……。リオ、お前さんは巻き込まれんなよ……」

 

 ゲンヤにとって、理央は家族を救ってくれた恩人である。そんな恩人が危険なことに巻き込まれない様にと、ゲンヤはただただ願うばかりであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここはミッドチルダ北部、ベルカ自治領にある聖王教会本部。その一室にて、二人の人物が面会をしていた。

 

 一人は管理局員。現代ではもはや全く使われていない古代ベルカ式の魔法を使いこなす総合SSランクの魔導師にして、新しくミッド地上に設立される部隊、機動六課の部隊長である八神はやて二等陸佐。

 

 そしてもう一人は聖王教会の教会騎士団所属の騎士。はやてと同じく古代ベルカ式魔法の継承者で、『予言者の著書(プロフェーティン・シュリフテン)』という、未来の出来事を詩文形式で予言する希少技能(レアスキル)を保有する女性であるカリム・グラシア。

 

 この二人は8年前からの付き合いで、まるで姉妹のような関係を築いていた。はやてが機動六課を設立する際にも、後見人としてカリムの方でいろいろと手助けをしてくれるほどの間柄である。

 

「ありがとな~、カリム。六課のこと、いろいろとやってくれて」

 

「気にしないで、はやて。もとはといえば、部隊は私の方からお願いしたものだし……」

 

「それでもやっぱり、カリムが実質的に六課の立ち上げをやってくれているおかげで、私は人材集めに専念することが出来てるんや。ほんま、ありがとう」

 

「お礼を言われるほどのことじゃないわよ。

 ……え~と、はやて……一つ聞きたいことがあるんだけど、いい?」

 

「どうしたん? 何でも聞いてええよ」

 

「その……この前の事件の後、大丈夫だったかしら……?」

 

「……ああ、あの事件か……。

 ごめんな、心配かけてもうて。ちょっとイラッとすることがあって……。

 もう絶対そんな失態やらへんから、安心してな」

 

「あ、あはは……。イラッとして、映画館爆破……」

 

 そんな間柄でも、やっぱり話しにくいことはあるようだ。

 カリムが乾いた笑みを浮かべたかと思うと、すぐに真剣な顔に戻り、話に戻った。

 

「教会の方でも『予言』の解釈を進めてはいるんだけど……あまり進歩は見られないの……。

 そっちの方はどんな具合かなと思って、今日ここに来てもらったんだけど……なにかわかったこととかある?」

 

「残念ながら、こっちの方も進歩ナシや。うちの子たちがロストロギアを求めて自律行動をするガジェットの破壊をしてくれているんやけど……ガジェットからは今のところ何も手がかりを見つけられへん。

 一応『古い結晶』というのは、ガジェットが探している、通称レリックと呼ばれるロストロギアだと思うんやけど……」

 

「……いずれにしても、予言は防がないといけないわ。大変なことになると思うけど、がんばって」

 

「任せといてな。私たちがちゃんと、ミッドの平和を守って、管理局の危機も防いでみせる」

 

 機動六課とはもともと、カリムのレアスキルによって書き出された予言、そこに記されたとある事件を防ぐために設立された部隊なのだ。

 その予言には、ロストロギアをきっかけとした管理局地上本部の壊滅と管理局システムの崩壊を匂わす文章が書かれていた。

 管理局の崩壊、それは全管理世界が未曽有の危機に陥ることにもつながる。そんなことを起こさせないために、彼女たちは少数でも精鋭を集めた部隊を設立したのだ。

 

 カリムとはやては、全次元世界の平和のため、予言を実現させないという意志を強く持つのだった。

 その予言の内容とは、以下のとおりである。

 

 

 

    古い結晶と無限の欲望が集い交わる地

    死せる王の下、聖地よりかの翼が蘇る

    死者たちが踊り、なかつ大地の法の塔は虚しく焼け落ち、

    それを先駆けに二人の小人の王は争い、

    あまたの海を守る法の船も砕け落ちる

 

 

 

 青葉理央の存在が、この予言にどれほどの影響をもたらしているのかはまだわからない。

 しかし、地上本部の英雄として活躍する彼女が、この予言に記された事件に巻き込まれることは、避けようのない運命なのである……。

 




 ここまで読んでいただきありがとうございます。
 この小説を読んで不快感を覚えてしまった方は、毎度毎度のことながら申し訳ありません。
 この小説を楽しんでくれた方がいるのなら、幸いです。

 はい、クイントたちはピクミンになって復活しました(真顔)。といってももう人間といってもいいほどなんですけどね。
 ちなみに理央にとっては不慮の出来事で、遺体やらほぼ死にかけの体やらを勝手にピクミンたちがオニオンに運んだ結果、こうなったという設定です。
 知っていらっしゃる方もいるかもしれませんが、元ネタは『1』からです。さすがにこれ以上はネタバレになるので言えません。ご了承ください。

 クイントもピクミンLOVEです(断言)。本編には書かれていませんが、ピクミンとの捜査から帰ってきたときには肌がつやつやしています。
 ちなみにメガーヌもピクミンLOVEです。ルーテシアやゼストは違います。プレシアは親ばかです。
 理央はとんでもないことをしでかしたのかもしれませんね(何をいまさら)。

 あと、クイントの実子ですが、特に物語に深くかかわるわけではありません(オイ)。強いて言うなら、クイントの体は基本的人間だということを強調するためだったり、クイントが生きていたら今頃子供を妊娠した経験があるのではないかという憶測から出しました。
 ツバメという名前にした理由はおそらくお分かりになると思います。強いて言うなら、ペガサス、ヴィーナス、ジュピター、シリウスなども候補に入ってもおかしくなかったです。ちなみに女の子です。

 で、前書きの方にあった重大発表の方なんですけど……













短編『たぶんほかに類を見ない特典をもっての転生』の投稿を打ち切りたいと思います。





















来年からは、()()()()()『たぶんほかに類を見ない特典をもっての転生』を投稿していきたいと思います!!


 ……すいません、悪ふざけがすぎたかと思いましたが、どうしても皆様を驚かせてみたくてしてしまいました。本当に申し訳ございません。

 さすがにこのまま短編のままで書いていくのもアレだな~と思い始めたので、いっそのこと来年から連載として書いてみたらどうかと思いまして、こうすることに決めました。
 まあ、更新スピードが速くなるとか、そういうことはないと思いますのであまり過度の期待はなさらない様にしてください。フラグもちゃんと本編の方に残しておきましたし、予想できてた方もいらっしゃると思います。

 というわけで、来年から短編の章を抜け出し、Strikers編に入っていきますので、今後ともよろしくお願いします。

 最後の方におまけも用意しておきましたので、良かったらご覧ください。ここまで読んでいただきありがとうございました。それでは皆様、良いお年を。





おまけ① 理央とクイント、メガーヌの女子会?
 
 8年ほど前……

「あ~、やっぱりピクミンは可愛いわね~♪」ウォーウォー

「ほんとほんと、うちの虫たちと同じように召還出来たらいいのに。
 私、虫の召還ぐらいしかしてないからピクミンを召還できないのよね~」ミャーミャー

「ああ、それならピクミン用の召還魔法陣を今開発中みたいですよ」ワーワー

「え!? それほんと!? 
 やだ~! いつでもどこでもピクミンと一緒にいられるなんてしあわせよ~♪
 ルーテシアの遊び相手にもちょうどいいだろうし~♪」ワッ!?ワーワー

「ちょっとメガーヌ!? あなただけうらやましすぎるわよ!! 
 私には!? 私にはないの!?」ヤッ、ウォーウォー

「……あー……残念ながら……というかシューティングアーツとピクミンとはあまり関連性がないので……」ワーワー

「嘘だっ!! 嘘だと言ってよ理央ちゃん!!」ワー・・・←ピクミンがあまりの迫力に逃げる声

「あら? 残念だったわねクイント? 
 まあ私はピクミンと一緒に楽しくやってるから、あなたは歯ぎしりでもして見ていたら? ふふふふふ……」ミャーミャー

「……さすがに男一人捕まえておけなかった人の言うことは違うわよね~……」

「……今なんて言った?」ワー・・・←ピクミンがあまりの迫力に(ry

「男も捕まえられないで逃げられちゃうような人は、せいぜいそうやって自慢してればいいんじゃないのって言ったんだけど?」

「……ちょっと表にでましょうか? 久しぶりに……切れちゃったよ」

「来なさいよ、メガーヌ。召還獣なんかに頼らずにかかってきなさい」

ヤロォォォブッコロシテヤラアアア、ドンガラドガッシャンメキバキグチャドカメメタァ・・・

「……地上本部は、今日も平和ね……」ウォー!

「……俺の部下が、いつもすまないな……」





おまけ② 午後の教導(仮)

「ひゃっはああああ!! 
 ピクミンがたくさんでテンション上がりまくりだぜええええ!!」

ズドドドドドドドド!!

「ぎゃあああああああ!!」

ドカーン!!

「投げるととんでいくのはピクミンだ!!
 投げるともっと長い距離をとんでいくのは訓練されたピクミンだ!! 
 ホントピクミン指揮の訓練は天国だぜ!!」

ブオンッ! ドカッ!

「ぐええええええええ!!」

「だ、誰か! アオバ一佐とクイントさんを止められる奴はいないのか!!?」

「む、無理だ!! あんなバーサーカーどもをどうやって止めろって言うんだよ!!?」

「あ~、ようやく報告書書き終わって……て!!? 
 母さん!? 理央さん!? いったい何やってるの!!?」

「「いやっほおおおおおおおおおおおおう!!」」

「しょ、正気に戻ってえぇぇぇぇぇ!!」






終わり!!

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