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夏のうだるような暑さの日…あれな男が寝ていた。
彼の名は田中洋介と言う。
彼は、有り体に言えばニート、けれども就職できない訳でもなく、その気になれば住んでいる実家の家業を継げるだからこそ、安心してニートモドキをやっているのだ。
A~Gまでランクがあれば、彼のニートランクはGクラスであり、ときどきふとした時に実家の手伝いや家事をする。
近所からは外面の良い言葉を並べて、実家の事業拡大の為に修行している青年と思われている。
また、そんなのなので友達と呼べる存在はさほど多くない。
彼が突き抜けてもしオタクならば、彼はオフ会などに行けただろう。
しかし、微妙なオタクなので、ほかのオタクをキモい、気色悪い、嫌悪感がするとして触れてよいのか悪いのかわからなかったのが彼の運の尽きである。
だが、表向きの性格は善くも悪くないため、広く浅い人付き合いがあった。
それこそが運の尽きだった。
だらだらと表面上友人のような関係の人間が電話帳に並んでいた。
SNSでも数百人の知り合いがおり、彼は居たら居たで楽しいかなと思われる立場だ。
学生時代からそうであり、学生時代には積極的には誘われないが数合わせとなると人気になる人物だ。
彼は、名探偵の作品で例えるなら名探偵の知り合いの警察官の部下か名探偵の店や家の大家である。
そんな彼にも縁談が来た事も合コンにも誘われた事がある。
外面だけは良い彼は、相手と二人で話してもいい人止まりの中身がない人扱いで必ず終わるのだ。
知り合いに何故いい人なのに…と言われるのも心地よいらしいネジ曲がってるが、真っ直ぐだ。
洋介はインターネットを往き来するネットサーフィンを楽しんでいた。
ネットでたどり着いたのは異世界旅行の広告だった。
洋介は迷わずクリックした。
ワンクリックでもウィルスでも、対して問題は無いと思ったからである。
しかし、それは大きく裏切られることとなる。
彼は、そのワンクリックで異世界に旅立ってしまうことになるのだから。
彼は波に揉まれていた。
彼自体が感じた感覚なので事実かは確認する術はないが。
強制的に頭が重くなり、安いかぜ薬を飲んだような眠たさに教われた洋介は瞼を下げるのだった。
これが彼の困難の幕開けになるとは露も知らずに。
彼が居なくなった世界の片隅で黒い影がうごめき人の形になった。
それは片手にグラスを携えていた。
影は何かを呟くとグラスを地面に叩きつけてガラスの破片を睨んでいたまるでガラスの破片で占うように。
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