田中洋介は寒さに目を覚ますと雪積もる河川敷で寝ていたのだった。
寒いのもそのはずコートにスーツ姿だったからだ。
痛む頭に手を当てながら周りを見渡すと木造家屋とレンガ作りだらけの町並みが広がっていて見ている限り幕末ドラマの様な風景だった。
何処の田舎だと思いながらも洋介は軽く歩いていたがいつもの走っている時ぐらいの速度が出て驚いた。
(俺の体に何が起こったんだ?)
首を傾げながらも交番が無いか探しているのだった。
そうすると目の前に検索サイトのページが表示され洋介は怪しみ2~3分じっと見て恐る恐る触れてみた。
するとどうだろうタブレットの如くテンキーが表れ検索画面に移るのだった。
洋介まず現在地と検索してみると神奈川小田原郊外と表示された。
(何故、俺は小田原に……まさか人体実験で頭にICチップか何を埋め込まれた?)
オカルト雑誌がよだれを出して喜びそうな場面に巻き込まれたかとウンウン唸っていると人が集まってきた。
「あんた、怪しい格好しとるけどなにもんだ?」
着物をきた男に聞かれたのだった。
「なにもかにも気付いたらここにいたんだ。悪いけど今の日付を教えてくれないか?」
洋介の質問に着物を着た男は
「あんた追い剥ぎにでも会ったかね?頭を押さえとるけど。とりあえず今は文久2年1月6日やど。」
男の答えに洋介は愕然とした。
(嘘を言っているようには見えないし着物を着てるからそうなのか。)
洋介は急ぎ現在の日付を検索サイトで調べると同じ結果がでて顎が外れかけてしまった。
(どうすりゃいいんだ。)
落ち込む洋介を慰めるように男は
「大丈夫か?とりあえず家によってくかい?」
言葉をもらえたので着いていくことにした。
(危なくなっても今の足の早さだと逃げ切れるだろうし大丈夫だろうな。)
ご好意に甘えさせてもらうことにした
男の家は宿屋らしかった。
「若旦那お帰りですか?後ろのお方は?」
男に挨拶をした年配の男は洋介を怪しげなものを見る目を向けながら聞いた。
「あぁ、あっちの方の川辺で追い剥ぎにあった御仁だよ。」
あっけらかんと河川敷の方を指差しながら答えるのだった。
「追い剥ぎですか!?番所に伝えなければなりませんな。」
追い剥ぎと言う単語に年配の男性は強く反応してこちらを見た
「お若いのにかわいそうですな。昨今は年号が変わったばかりなのに異人排斥やなんやと物騒な話しか聞きませんからな。もしかしたら異人さんとそんな格好しているから間違われたのではないですかな。」
同情の眼差しを受けながら洋介は店の中に入っていくのだった。
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