ゴールデンウィークは辛いですね。
町が見えてきた。ごく普通の田舎の町である。
洋介は腕を組ながら車並みのスピードで走る足を町の近くで慣性の法則や重力等を無視したターンをし制止した。
「そういえば格好がな……。」
洋介は和服に羽織と言う完全なる不審者の格好である。
ここが京都や奈良ならば観光客向けの商売をしているんだなで済まされるかもしれないがどう見ても痛い奴かあぶない不審者である。
すぐさま、服を作るスキルを作ると洋服に着替えた。
町は洋介が住んでいた懐かしき現代日本の田舎の町並みである。
歩いていると大切なことに気付いた。
現代の金を小田原病院に置いてきたのである。
(円がないけど金を作ればいいか?でもいきなり金を持ってるやつを信じるか?交番に行くべきか?)
とぐだぐだ歩いていると大きい家が見えた。
(大きい家に部屋でも借りるかな。)
わりかし、江戸時代では部屋を貸してくれと言えば割りとなんとかなるとの話を聞いていた為に部屋を借りることにしたのである。
もはや、洋介は現代人の感覚よりも江戸時代人の感覚の方が強かった。
(では、部屋を借りるかな。どんな許可をとるべきなんだろうか?)
ふと怖いことを考えてしまった。
この世界では洋介は戸籍がないつまり、警察に捕まったら最後入国管理局に連れてかれてしまうと。
海外の言葉はわかると言えばわかるのだが日本から離れたくなかった。
(海外とか怖いな。何されるか分からないし。)
はっきり言えば洋介は軍隊には勝てない。何故ならば、洋介は瞬間移動は出来るが攻撃するにはその土地に行かねばならないから。不眠不休の攻撃を受ければ死にはしないが捕まってしまう。
それに、洋介の力を知られてしまえば各国が洋介を研究したがるだろう。
本人はどう考えているか置いておいて洋介が捕まってしまったら国に軟禁されるのは確実である。
脱走できはするだろうが毎日追跡されるだろう。
そんなことはさて置いて、とりあえず部屋を借りる為に引き戸の玄関を叩いた。
「すみません。」
ガシャガシャと懐かしいガラスが擦れ会う音に洋介は感動していた。
江戸時代には全く聞かなかったこの音に堪らなく震えていると中から人がでて来た。
「どうかしたのか?」
若い女の子が出てきた。
「すみません。道に迷ってしまいまして、一晩だけ部屋を貸していただけませんか?」
洋介は頼んでみたが
「え?部屋?」
女の子は困惑していた。
「ええ、部屋です。」
洋介は押し通そうとした。
「いきなり来て部屋を貸してくれと言われてもな。ちょっと聞いてくる。」
若い女の子は家の奥に入っていった。
数十分ぐらいたったであろうか。
やっと中から女の子が出てきた。
「入って来いよ。上がって着いて来い。」
女の子がそう言うので家の中に着いていった。
相手に背中を見せないように半身を開きながら引き戸を閉めた。
「お邪魔いたします。」
洋介はそこから流れるような動作でまた背中を見せないように靴を脱いだ。
そこからまたも背中を見せないようにしゃがみこみ玄関の靴を引き戸に先端をあわせて靴箱のそばの端に寄せた。
江戸時代で散々行った礼儀が染み付いていただけなのだが、前にいる女の子は感心している様だった。
「なかなか、綺麗な動作だな。」
女の子にそう言われたので洋介は悪い気はしなかった。
「そういう場所に居ただけさ。」
洋介は気取った様に言ったが、平凡な日本人の顔しかしていない上に特別格好いい訳でも背が高いわけでもない洋介の行動に
「そうだな。」
軽く女の子は笑った。
洋介は途端に恥ずかしくなって黙った。
小田原だったら天下の名医と言う肩書きがあったために、多少気取っても格好がついたのだが現状何も肩書がない洋介の行動は滑稽だったのだ。
重い雰囲気は消えて家の中に入っていくのだった。
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