これはゾンビですか?~いいえ、ただの?病弱です~ 作:ハヤテ
初めはクリスのこんな一言でした。
「今日は別の所で飲むよ!!」
こんな簡単な一言で貴重な最後の休日が丸つぶれになりました。ファック。
そもそもの間違いは僕が、
「料理の買い出しをしてきます」
と、珍しく相川家に貢献してしまった事です。こんな事になるのならもう絶対に相川家に家計以外の事で貢献しません。
余談ですが、相川家の財布は僕が握っています。いや、歩って海外に両親+弟がいるんですけど(帰ってくる可能性不明)、歩はその仕送りで今まで生きてきたのです。まあ、仕送りがあるという事は生きてはいるのでしょう。
で、その仕送りには僕もお世話になっていたのですが・・・ユーが来て、流石に一人分の仕送りを3人で分けるのはきつくなってきた訳です。
更に余談ですが、僕は基本食も細いですし、金策やら倹約も出来ますから、ユーが来る以前はなんとかなっていました。
そんな時に僕が使ったのが、昔の栄光・・・という名の、まあ、貯金ですね。
昔は暗殺やら諜報やら間者のお仕事で荒稼ぎしていましたからね。荒稼ぎしていたのは良いですが、その稼いだお金には必要最低限手を付けていなかったので、もうたんまりある訳ですよ。
ざっと○億円ぐらいですかね?
そのたんまりある資金をある程度相川家の家計に当てることで、まあ、一般家庭の平均以上の生活が出来ていた訳です。
という訳で、僕は家計以外には手を出さないつもりでいたのですが、何を思ったのか今日に限って買い物に行くという暴挙に出てしまったのです。
数分前の僕をぶん殴ってやりたい。
買い物は良いのです。しっかり済みました。数量限定の卵パックもゲットしました
その帰り道に、居酒屋の横を通ったのがいけなかったんです!!
「あれー? 朧じゃん。丁度良かった、ちょっと付き合ってよ」
居酒屋から出てきたクリスにばったり出くわし、そのまま連行。現在は電車の中。食材どうしようと考えている真っ最中です。
失念していたのはクリスの出現ポイント。基本的にクリスはおっさんが行きそうな所にしか現れません。で、ここで僕の行動の迂闊さが分かってきます。
居酒屋=おっさん
理解できましたでしょうか。つまりそういう事です。
「ハァ・・・せめて食材を・・・」
「大丈夫だって。今からいくところ冷蔵庫あるから」
「いや、そういう事じゃなくてですね・・・」
僕が食材を持っているという事は相川家居候三人組+@の胃袋の命は僕が握っていても過言ではないという事でしてね・・・。
「んー、それにしても、あいつの家に行くのは久しぶりだなー」
「あれ? 居酒屋とかじゃないんですか?」
「違うよ? 行くところはアパート」
「・・・あぱーと?」
え、おっさん思考なクリスから意外な目的地が発表されたんですけど。え? アパート? 何それ外人? 歌?
「ぶー、酷いなー。くりすだって友達の一人や二人いるよ?」
「と、ととと友達!?」
「え、驚くとこ?」
「ク、クリスに友達がいるだなんて・・・。てっきり破滅思考なクリスにはいないものかとばかり思ってました」
「ボッチがよく言うよ」
「ボッチじゃねぇ!!」
「朧、ここ、電車内」
「あっ」
電車内では静かに過ごしましょう。
電車を降り、しばらく歩いたところに人が住んでいるのかも怪しいアパートが建っていました。階段は錆付いていて、相撲取りが乗ったら確実に破壊されるであろうというぐらいの耐久度に見えます。
いや、ここって廃屋じゃありません? ここが目的地な訳ないですよねクリス・・・って、え? 此処が目的地? ゴール? え?
「・・・もう、ゴールしても良いよね?」
「良いんじゃない? 此処目的地だし」
空気読んで下さいよ。あの感動のシーンでこの状況をなんとか誤魔化そうとしたのに。それに、ゴールしろってこの場合、間接的に死ねってことですよね? ・・・まあ、クリスは元ネタを知らなかったのでしょう。うん、きっとそうです。
「まあ、あのシーンは流石にくりすでも感動したよね」
「知ってやがりました!? 知っていて尚、僕にゴールしろと言ったんですか!?」
「そうしないと話進まないしくりすお酒飲めないし」
ご尤もですけど!! なんか納得いませんねぇ!!
「ま、それはどうでもいいから早く行こうよ」
「・・・はい」
「おっじゃまー!!」
「インターホンは!?」
「壊れてる」
「ノックは!!?」
「何それお酒?」
氷です!! 正確にはバーでオン・ザ・ロック。頼むとグラスに丁度入るぐらいの丸くて大きい氷を入れてくれます。それにウイスキーなどを注ぐのですが、その様子が海岸の岩に似ている事からその名前が・・・って、どうでもいいですねこんな事。
「ルールは!? マナーは!!?」
「ルルー? あ、格闘女王の事? マナ? デュ○マのあれ?」
「違うし! しかも関連性が全くないし!!」
「もう、別に良いじゃん。ここは勝手知ったる我が家みたいなものなんだから」
「親しき仲にも礼儀・・・って、ちょ、待って下さいよ」
僕の説教も聞かずにズンズン進んでいくクリス。全くもう・・・ん? 横から気配―――
むにゅん。
「・・・ふぁ?」
「・・・あれ?」
えっと、その・・あれ? なにこの顔を覆い尽くしている柔らかい物。
「んんー? えっと、君は・・・誰かな?」
とりあえず、離れましょう。・・・え、うそ、あれって胸だったのですか!? ・・・大きすぎやしませんかね?
「あー、くりすの連れの鑢朧と申します」
「あーあー! 朧くんね! 話はクリスからよーく聞いてるよ。なんでも、むっつりスケベなんだっけ?」
「それは嘘です」
「くかー」
寝たー!? と同時にこっちに倒れてきおった!?
「おっとと・・・」
くそう、あっちの方が身長が高い・・・(165センチ)。
むにょん。
「ハァ・・・とりあえず、クリスの所に行きますか」
正面から支えていたのを僕が後ろを向く事でこの女性を背負う形にします。
「あ、朧、やっときた・・・って、ネグレリア、何してるの?」
「なんか急に寝てしまったのですが、どうします?」
「・・・・・」
む? なんかクリスの目が冷たいんですけど・・・」
「朧、それ、確実に当たってるよね?」
「へ?」
「当たってるよね?」
「同じリアクションをするのは少々癪ですが・・・へ?」
「胸だよ。その無駄に実った脂肪の塊」
「あー・・・まあ、確かに当たってますけど・・・それg「ふんっ!」ちょっとぉぉ!?」
可笑しい! 今のクリスは魔装少女の能力を完全に引きだしていないのにも関わらず僕の目に追えないスピードで動いた揚句、僕が背負っているこのネグレリアさん? を投げ飛ばしただと!?
「おっとっと」
しかもあっちはあっちで完璧に受け身してるし!
「いきなりどうしたの?」
「別に」
フンッとそっぽを向いてまたお酒を飲み始めるクリス。いや、僕の方も状況の整理が出来ていないのですが・・・。
「えっと、ネグレリアさんでしたか?」
「え? ああ、うん。でもその呼び方は嫌だからネネでいいよ」
「そうですか。ではネネさん」
「何かな?」
「どういう事ですか?」
「さあ?」
何故クリスが怒ったのかも分からないまま、僕たちは邂逅しました。
「で、今日は急にどうしたの?」
「いやあ、偶には此処で飲みたくなってさ。で、序でに朧を連れてきたってこと」
「序でに連れてこられた僕の身にもなって・・・むぎゅ」
「成程ねー。しかし朧くん。君、ものすごく抱き心地が良いねぇ」
現在の状況。クリス、酒を飲む。ネネさん、適当に酒を飲みつつくつろぐ。僕、何故かネネさんの抱き枕。解せぬ。
「・・・・・」
すみませんクリスさん。そうジトジト見ないでくださいますか。不可抗力です。不可抗力なんですよこれは。
「離してくれませんかねぇ?」
「んーあと五分」
そんな布団から抜け出せない中学生みたいなこと言われても・・・。
「まあ・・・いいです。後五分ですよ? で、来た時から気になっていたのですが。クリスとネネさんはどういう関係?」
「ん? そうだね・・・犬猿の仲ってやつ?」
「あははっ、少なくとも百年前はそうだったね」
常識みたいに言ってくれやがりますが、百年前ですからね? まだ太平洋戦争も起きてねぇよこんちくしょう。
「へー。今は違うんですか?」
「ま、くりすもうヴィリエとか関係ないし? 敵対する理由も無いからね」
「成程。・・・では、次にくりすに問い詰めたい事があるんですけど、いいですか?」
「何?」
「僕の設定がむっつりってどういう事ですか?」
「今の状況下でよくそんな事が言えるね? ん?」
「うぐ・・・しかしですね・・・。何度も言いますけど僕は・・・」
「はいはいワロスワロス。・・・ネグレリアの胸、気持ち良い?」
「これで答えたらますます言い逃れできなくなるじゃないですか!? いや、言い逃れというかそもそも言い逃れる理由もありませんけど! ・・・そう、ドツボに! クリスのドツボにハマるではないですか!!」
「カスみたいな胸だそうですよネグレリアさん」
「えー・・・お姉さん傷ついちゃうなー・・・」
「クソ! どうすればいいんですか!!? あれか!? 素直に感触だけなら気持ちいいと言えば良いんですか!? これで正解ですか」
「やっぱり変態だった!!」
「よし、表に出やがれロリババア!!」
「来いよ朧! 暗器なんて捨ててかかってこい!!」
「あっははは!! 朧くん、君面白いね」
「すみませんどの辺りが面白いのか具体的にお教え願えますか?」
「んー、全部?」
「疑問形で返されても・・・」
ハァ・・・ボコス気無くなっちゃいましたよ・・・。
「それにしても・・・クリスも変わったね」
「何がさ?」
「昔はさ、私がお酒飲んだ時だけ元の姿に戻せるようにしてあげても暗かったじゃん。ま、おっさんにされちゃ落ち込むのも分かるけどさ。でも、朧くんの話をし出した時からだんだん明るくなってきたよね」
「な、何の事かな?」
「ほう、昔のクリスは暗かったのですか・・・興味があります」
「ちょ、朧!?」
「あ、興味あるの? そうだね・・・それはもう、極上のお酒が目の前で叩き割られた時ぐらい落ち込んでたね」
「それはそれは・・・かなりネガってますね?」
「もうネガネガだったよ?」
「やめて! そんな話されたらこのテンションで話しにくくなるじゃん!」
まあ、確かに自分の黒歴史公開とは中々にクルものがありますが・・・。
「実に興味深いです」
「ひどっ!? 朧って外道じゃない!!?」
「それにプラスして鬼畜も入ります」
「自分からプラスする人初めて見た!」
「あはは、うん、やっぱり面白いよ朧くん。・・・クリスが好きになる訳だよ」
「ちょ!?」
「まあ、僕もクリスの事は好きですよ? 大切な・・・友達? 親友? あれ? 何と言い現わせばいいものか・・・。ま、大切な人に変わりありません」
「・・・・・ハァ」
「プッ! ハハハ! こういうキャラって鈍感な人が多いけど、まさかリアルに見れるなんて思いもよらなかったよ!」
「全くだよ・・・」
「え? 何がです? 僕はクリスの事好きですよ?」
「そっかそっかー。良かったねクリス」
「・・・素直に喜べない」
「???」
「今日はどうもありがとうございました」
ネネさんとは思ったよりも遥かに気が合い、3人で話し込んでいたらいつの間にやら夜中の10時になっていました。流石にこれはいかんと思い、お暇することにしたのです。
「クリスは此処に残るのですか?」
「うん、飲み明かすんだ」
「成程、ネネさん、クリスの事、よろしくお願いします」
「はいはーい、任せてよ。まるで保護者だね、朧くん」
「まあ、初めて会った時から姿形が一切変わってませんからね」
「魔装少女で悪かったね!!」
「・・・では、僕はこれで」
ネネさんに一礼して、階段を下ります。・・・さて、夜中ですし、ここは結構な町はずれ。電車は使わずに、屋根を跳んで帰りましょうか。
「ただいまもど・・・何これ」
戻った僕の目の前に映ったのは、まさに死屍累々。ハルナはうつ伏せに倒れ、歩は壁に背を預けてぐったりしています。セラは苦しそうに仰向けで倒れ、あのユーでさえ耐えがたい何かを味わったかの如く机に突っ伏しています。
「ど、どうしたのですか!?」
『朧』
突っ伏したまま、ユーがメモを見せてきました。
「ユー、一体何が・・・」
『飯』
「・・・え?」
『晩御飯は?』
「・・・あ」
ヤベッ、ネネさん家の冷蔵庫の中に置きっ放しや。
「あれ、これは何かな?」
「あ、朧の忘れものじゃん。まあ、もう使わないだろうし、くりす達で食べちゃおうか。・・・あ、酒イカ発見!」
何気に連日での投稿。実に疲れましたが、文字数は5000ぐらいなんですよね。今までのはにじファンに投稿していたのを修正もしくは丸々変えたりしての投稿でしたが、今回のは一から書きました。とても楽しく書かせていただきましたが、本文に山もなければオチも・・・あ、オチはありましたね。
NGシーン
「はいはいワロスワロス。・・・ネグレリアの胸、気持ち良い?」
「いや、ぶっちゃけて言いますと僕って性欲皆無じゃありませんか? ですから確かに感触としては気持ちいのですが、むしろそれだけですね。こっちからしてみれば何胸押しつけてんだ痴女かあぁん? って感じですけど・・・って、ネネさん?」
「・・・グスっ」
「「!!!?」」