これはゾンビですか?~いいえ、ただの?病弱です~ 作:ハヤテ
皆さん、お元気ですか? これ見てるってことは元気ってことですよね。死にかけた癖にやけにピンピンしている朧です。
さて、相川家に帰還した日から少し経ちました。
クリスの事ですが、なんやかんやで借りを作ってしまったので、機を見てまた窺うとしましょう。まあ、あっちはそこまで気にしていないでしょうから、お礼と言ってもそこまでお金を掛けるものではなく、まあ、○結とか梅酒とか、金○とか市販されてるお酒で良いでしょう。クリス曰く「お酒は命の水! というか、命は酒で出来ている!」と、どこかの錬鉄の英雄みたいな事を言ってたので、この上なくピッタリなお礼の品でしょう。え? 命を救ってもらった割に軽過ぎないかって? ハハハ、こんな事、昔は日常茶飯事なので自然と軽くなってくるのです。まあ、僕がそこまで自分の生に価値を見出していないのも原因かもしれませんが。
んー、それにしても、今日は何をしましょうね? 日常とはマンネリとするから日常なのですが、僕の場合、結構過去が波乱万丈ですからね。ちょっとした平和も初めは謳歌出来るのですが、次第に飽きてくるのです。
『つまり、バトルジャンキーですか?』
『そういう訳ではなくてですね、何と言うか、刺激が欲しいんですよ。退屈しない様な』
『ふむ、なら、最前線にでも行って来ればどうですか?』
『銃弾の雨はちょっと』
『いや、戦争じゃなくて、夏コミの最前線』
『それってある意味戦争ですからね?』
死にはしないでしょうが、あれは確実にキツイ。
人が最も力を発揮するのは自らの欲望を叶えたい時です。それが如実に現れるのが夏コミとかです。そこはまさに戦場。汗がほとばしり、肉は弾け、全員が自らの欲望を叶えようと醜く争う・・・
「おえっ」
想像したら気持ち悪くなりました。この話題は止めましょう。胃の中身をリバースしてしまう。・・・ま、今は胃の中に何も入っていないんですけど。
しかし、本当に暇な一日になりそうですね。まあ、それも一興ですか。今日一日は緑茶を飲んでゆっくりまった―――
「朧! 突然だが助けてくれ!」
・・・まったり、出来なさそうですね。
「はあ、テストですか」
「まあな。てか、お前もあるからな? テスト」
「あー、理数系は無問題です。英語もいけますし・・・問題は国語と社会ですね」
漢字なら問題ないんですが、小論がちょっと・・・。社会も歴史がちょっと・・・というぐらいですね。一夜漬けでなんとかなりそうですけど。
「マジか! じゃあちょっと数学を教えてくれ!」
「やだ」
「即答!? 少しは考えてくれよ」
「えー、うーん、あー、えーっと、やだ」
「形だけ考えた様に見せただけじゃねぇか!」
そんな事言われたって、嫌な物は嫌なんですよ。感覚的には家族に勉強教える感じ。ちょーめんどくさい。
「ハルナさんがいるでしょう。我が家の天才様が」
「駄目だ、天才様は天才ゆえに凡人の苦労が分からないんだ」
と言って一枚の紙を僕に渡してきました。何々? 『超新星爆発』? うん、成程。
「分かりませんね」
「一から説明してくれと言ったらコレだ」
成程、宇宙創造にまで遡りましたか。確かに初めからと言えば初めからですが、度が過ぎますね。
「まあ、バカと天才は紙一重と言いますしね」
「なっ! さっきから聞いてれば失礼な!」
いたのか。
「いや、度が過ぎるでしょう。何ゆえ超新星爆発?」
「アユムが一からちゃんと教えてくれって言ったからだ! 基礎固めだな!」
ムフンと胸を張るハルナさん。何故威張るのかが分かりません。
「成程。で、今は何処まで行ったんですか?」
「ほえ? ・・・ヴィリエでは女性優位社会だって事だな」
何故地球でヴィリエの話が出てくるんでしょうね? ・・・ああ、そうか。育った環境の違いですか。
確かにあそこは女尊男卑ですよね。まあ、だからこそ女王がいる訳ですし、アリエルがあそこまでシャシャれるんですけど。
「とりあえず、ユーに頼んでみてはどうですか?」
「ユーにか? いや、ユーに頼んだらユーが朧に頼めって言ってきたんだけどな・・・」
マジか。
「ユー、あなたは結構頭がよろしかった筈ですけど、何故僕に丸投げしたんですか?」
ズズゥとお茶を飲んでいたユーはそのお茶を机に置き、ペンをトントンとしてきました。
『メンドイ』
なんだそりゃ。
「この家には勉強を教えてくれる心優しい人はいないのか!?」
「いるじゃないですか。形は歪んでますけど立派に勉強を教えてくれる人が」
手でジャーンとハルナさんを示す。当の本人は腕を組んでやはり威張っています。何ゆえ。
「数字に辿り着くのが何ヶ月後になるか分からん」
ご尤もで。そうですね・・・
「セラ、セラは数学どうですか?」
天井に目を向けて、そう言うと、天井の一部が外れ、そこからセラがスタッと出てきました。
「古文と地理なら任せて下さい。理数系はちょっと」
「あ、ちょっと此処教えてもらって良いですか? 四段活用とか上ニ段活用とかさっぱり分からないんですけど」
「ああ、これはですね、リズムで覚えたり、前後に付いている語で覚えたり色々あるのですが、朧はどのように覚えますか?」
「僕はそのまま記憶したりしま―――」
「なんでお前は順調に勉強が進んでるんだ!!」
バシンッと机を叩く歩。その顔を憤怒で覆われております。おお、怖い。
「いや、僕ってば国語とか苦手なので聞いておこうかと・・・」
「俺の数学は!?」
「あー、まあ、僕のノートでも見ます?」
要点だけが書いてあって殆ど白いですけど。
「・・・初めからそうしてくれよ」
ペラペラとノートを捲り、筆を進めていく歩。結構役に立っているようですね。良かった。
「で、さっきの続きですが、僕は暗記で覚えるので、適当に必要事項を叩きこんで下さい」
「分かりました。では、まず特殊な活用についてですが・・・」
こうして、テスト勉強を捗っていったのです。
(・・・仲間外れ)
「そういえば、ユー」
順調にテスト勉強をしていた時、不意に歩がユーに話しかけました。
『何?』
そんなユーはポッキーを口にくわえ、P○Pをやってました。ボタンを激しく連打しているから、きっと太鼓○達人でもやっているのでしょう。
「俺以外にゾンビがいるのか?」
・・・ああー、あの墓場の出来事ですか。まあ、あの時はアリエルの事で頭がいっぱいだったので深く考えていませんでしたが、よく考えればあの僕の鳩尾をブッ刺したのって『あの人』ですよねぇ・・・。なんでしたっけ? 名前。確かニュアンス的にはラオウみたいな感じだったと思うのですが・・・あ、思いだした。夜王ですよ夜王。夜の王ですよ。少し深読みすると卑猥な王様になってしまいそうな名前ですね。どうでもいいですけど。
『いないと信じていた』
というか、何故僕は夜王に鳩尾ブッ刺されたのでしょう? 僕何かあの人にしましたっけ? ・・・んー、やっぱり、昔の話になるんですけど、首を刎ねたまま放置したのがいけなかったのでしょうか?
いや、でもね? 放置した理由もあるんですよ? 放置した以前にもそれなりに関わりがあったのですが、あの日は突然現れて「俺を殺してくれぇぇ・・・」なんて言うものですから」吃驚してつい首を刎ねて逃走したのです。で、その日からしつこく殺せ殺せ言ってくるので、当時住んでいた自宅からグッバイしたのです。僕が自宅に行けない4割の理由があの人だったりします。
これか、これの腹いせに僕の鳩尾をブッ刺したのか。ふざけんなよ、危うくこの世からグッバイフォーエバーするとこだったわ。別に死ぬ事なんていつでも出来るんですからあれぐらいで怒らなくても良いのに全くもう・・・。
「どんな奴なんだ? お前との間に何があったんだ?」
「それは私も興味があります。差し支えなければぜひ教えてもらいたいです」
「あたしも、どーでもいいけど聞いとく」
ああ、何故僕に殺してくれと頼んできたかというと、単純な話、当時はゾンビ・・・というよりも、不死を殺す手段を持ち合わせていたからです。今は持っていないんですけどね。いや、持っていないというか、自ら破棄したと言いますか・・・復元にも時間とかそれなりの施設がいるので今現在はゾンビを殺す手段は無いです。それも含めて、鳩尾ブッ刺してきたのかもしれませんね。・・・子供か!?
『私とも関係はある。が、朧も無関係じゃない。まずは朧から』
「えっ」
突然話を振られました。え、なに? 何のお話? ラ王が美味しいって話? ああ、美味しいですよね、ラ王。僕は蕎麦が好きですけど。
『朧は彼と関係がある。間違いなく』
「彼って・・・ああ、彼? まあ、ありますよ?」
「そうなのか? ・・・いや、確かに、殺されかけてたもんな」
「五月蠅いですね。・・・と言っても、別にユーほど深い関係でもありませんよ? ただストーカーされたりしただけの仲です」
「滅茶苦茶濃いな!?」
歩は心底驚いた顔をし・・・って、よく見れば全員そうですね。ユーだけは何故か打ちのめされたような顔と同時に悔しそうな雰囲気を醸し出してますけど。
「出会ったのは・・・あー、そうですね。僕がとある組織を潰した時にポッと現れましてね。で、何故か腕千切ったり千切られたりの血みどろの戦いを繰り広げて、なんとか僕が勝ち星上げて・・・とまあ、こんな感じですね。・・・あれ? 皆さんどうしました?」
スラスラと夜王さんと出会った日の事を語り終え、皆の顔を見てみると、何やら衝撃を受けた様な顔をしていました。そこまで衝撃的なこと言いましたかね?
「・・・前から思っていたのですが、朧は一体何者ですか?」
と、訊ねてきたセラ。何者・・・また僕自身が答えるとなると難しい質問をぶつけてきますね。言うなれば、「○○くんっているじゃん? あれって誰?」と聞かれる感覚と同じです。説明しようがないというか、○○くんは○○くんであって他の何者でもないというのと同じように、僕は僕であって、他の何者でもないのです。ですから、答えにくい。
「んー・・・病弱、ですかね?」
「嘘つけ!」
歩のシャウト。嘘ではないんですけどね。
『嘘じゃない。朧は病弱』
ほれ見た事か。今まで碌に風邪も引かないとタカを括っていたからそうなるのです。残念でしたー! 僕は現在進行形で病が発祥中ですからねー!! 体の抗体と釣り合ってますから何ともありませんが、この均衡が崩れたら一息に死亡確定ですからねー!!!
「まあ、僕の事より、今はユーの事でしょう。で、ユーは彼とどんな関係なんですか? 僕は知っていますけど、一応、誤解もあるかもしれないので教えてくれると嬉しいんですが」
『構わない。長く説明するか短く三行にまとめるか、どっちが良い?』
「当然、三行で―――」
「程良くお願いします」
僕が三行と言おうとしたのに、セラがまさかの第三の選択肢を選びやがりました。ファック。ユーの説明は本当に長いので端的に説明してもらおうと思ったんですけど・・・。
『冥界には、私と同じように強い能力を持った者がいる』
先に言っておきますけど、別に僕は冥界にいたからと言って冥界特有の能力とか持ってませんからね? というか、冥界にいるだけで能力持てるんだったら僕は迷わずずっと冥界に留まり続けますよ?
『彼はその中でも強力な能力を持った者の一人だった』
『一人』という事は複数人いる訳ですか。・・・ネネさんとか?
『でも死んだ』
まあ、ゾンビですからね。彼が死んでいるという事は分かってましたよ。
『私は彼をゾンビに変えた。が、死なない体を手にした彼は悪意に飲まれていった』
・・・? 悪意? いや、確かに彼は善人ではありませんよ? あんなのが善人だったら切り裂きジャックも善人ですし、クリスも善人です。
ですが、悪意に飲まれた・・・まあ、確かにそう言えるかもしれませんが、僕はそうは思わないんですよね。だって、彼ってただ死にたいだけでしょう?
『それを止めれるのは私だけ。だから私はこう言葉にした
消えて
これで私は彼が消滅したと思ったが、実際にはその場から消えていただけだった』
不老不死によくある悩みじゃありませんか。『死にたい』。まあ、そう思った経緯は褒められた物じゃありませんが(やさぐれただけですし)、不老不死にとってみればその悩みは当たり前でしょう。・・・ま、考え方はものすごーく歪んでますけどね。理解出来てしまう所がまた憎い。
『彼はとても恨んでいた。お互いに守り合うとい誓いを裏切ってしまったのだから、当然』
「あ、ユー。ちょっと補足良いですか?」
『なに?』
「いや、恨んでいるとか言っていますが、今現在はそこまでだそうですよ? 殺しては欲しいみたいですけど」
『やだ』
あれま。彼を殺せる人が残るところあと僕だけになっちゃいましたよ。しかも現時点では殺せないという罠。あー、彼は詰んでますね。唯一殺せる人が全員やる気無いんですから。・・・アリエルとかその辺が殺せるような気がしないでもないですね。
「まあ、それがユーの意思ならそれでいいのですが・・・彼、目的のためなら手段を選びませんよ? 僕の時だって、何人か人質にとってきましたもん」
『朧はどうしたの?』
「え? ああ、その人質になった人は全員化け物じみてますからね。普通に放置でボコりましたよ?」
まあ、それが先ほど言った首チョンパに繋がる訳ですが。まあ、そんなどうでもいい過去の事はさて置き・・・
「で、ユーは彼・・・まあ、夜野と呼んでおきましょうか(ここではそう名乗っているようですし)。夜野を殺したくないんですよね?」
ユーは無言でコクリと頷きます。まあ、ユーは優しいですし、そもそも彼に対して「消えて」と言った事自体苦痛だったはずです。それをもう一度というのは酷な話でしょう。
「ふーん・・・。ところで、さっきの僕の話は覚えてますよね? 人質云々の話です。僕が言ったように、夜野は目的の為なら手段なんか選びませんよ。そうですね、僕は現時点ではゾンビを殺す手段を持ち合わせていませんので、自然とアレのターゲットはユーになる訳ですが・・・ユーは夜野を殺すことを頑なに拒むなら、最悪この街を壊すかもしれませんよ? あ、壊す前にまず僕達が壊されますか。僕達、というのはユーを除いた此処にいる人全員ですよ?」
実際、それぐらいやってのけるんですよ、彼は。僕は殺されるのは御免なので逃げる・・・の前に、セラを逃がしましょうか。ハルナさんを守るのは歩の役目で良いでしょう。というかハルナさん、歩にホの字っぽいですし。
「その辺り、よく考えて下さいね。僕も出来る限りの事はしますが、彼の強さはユーが一番知ってる筈ですから」
そう言って、僕は備え付けの時計に目を移します。ふむ・・・昼時ですか。
「じゃ、僕はちょっと出掛けてきますね」
考え込んでいるユーを尻目に、僕は居間を後にしました。
さて、昼時だからと言って僕が向かう場所はジャンクフード店とかどこぞのレストランという訳でもありません。僕の行く場所はズバリ―――
『マヨネーズ王国ですか?』
『僕、マヨラーと違うし』
てか、なんですかマヨネーズ王国って。
『世界中のマヨラーが最終的に目指す地だそうですよ? 未だに発見した人はいない様ですが』
『それきっとムー大陸と同類な王国では?』
『むしろラピュ○ですね』
あれ、実在しちゃってるじゃん。何? ラピュ○の雷のかわりにマヨネーズが発射されるのですか? 島国がマヨネーズで黄色く、べトンべトンになるのですか? 嫌すぎる。いっその事爆破してしまった方がまだ良かろうに。
『バ○スしたら世界中にマヨネーズが散乱します』
『・・・それは本気で嫌ですね』
空から突如降ってくるマヨネーズ。シュールを通り越して不気味ですよ。
「ちょっと待って下さい」
歩きながら七実と脳内会議(?)をしていた所で、後ろからお呼びが掛かりました。この凛とした声は・・・
「セラじゃないですか? どうかしましたか?」
「ちょっとお話が」
表情から察するに、重要な話みたいですね。
「歩きながらで良いですか?」
「出来れば、どこかに座りながらで」
座りながら・・・また大幅な時間ロスですね。まあ、いいけど。
「じゃあ、あそこの喫茶店にでも行きましょうか?」
都合よく近くにあった喫茶店に入ります。結構繁盛しているのか、若い世代からお年寄りな方まで満遍なくいますね。
店員さんにテーブルまで案内され、メニューを渡されました。
「今は昼時ですし、何か食べます?」
「いえ、私は良いです」
「僕は・・・あ、すみませーん、このウィンナーコーヒー一つお願いします。・・・で、話ってなんですか?」
注文はしたので、早速用件を聞いてみましょう。
「話というのは、先ほどのヘルサイズ殿に言った事についてです」
「ふむ?」
「あなたはヘルサイズ殿とかなり深い関係にあるようですが・・・何故、あのような事を言ったのですか?」
・・・? 先ほどはセラが疑問を投げかけてきましたが、今度はこちらが首を傾げる番ですね。うん、質問の意味が分からない。
「僕は、何か間違った事を言いましたか?」
「そうではなく、もう少し言い方というものが・・・。あれでは、ただあなたが思った事をそのまま言っただけではありませんか」
セラの言葉を耳に入れつつ、今し方注文したウィンナーコーヒーが来たのでそれを飲む。む、あんまり美味しくないですね。もうこの喫茶店には来ません。ですが、そこそこ客が入ってるのは何故でしょう? コーヒー以外の別の物が美味しいのでしょうか? 紅茶とか。
「そうですね。それが何か?」
「ヘルサイズ殿の事をよく知っている筈のあなたが何故その様な事を? 何故ヘルサイズ殿を苦しめるような言い方をしたのですか?」
ああ、つまりそういう事ですか。ハァ、また・・・『めんどくさい』ですねぇ。
「ねえ、セラ。あなた、何か勘違いしていませんか?」
「勘違い?」
「そ、勘違い。あなた、ユーがなにも悪くないとでも思ってるんですか?」
「は・・・?」
僕からそんな言葉が出たのが予想外なのか、ポカンと口を開けて呆然としていますね。
「少なくとも、あの話に出た彼の事に関しては、僕はユーが悪いと思ってますけど」
「・・・理由を聞かせて下さいますか?」
理由・・・理由ねぇ。少し考えれば分かると思うんですけど。ユーがした事の残酷さが。ああ、そうか。ある意味色眼鏡でユーの事を見ているんですか。納得。
「ユーがした彼の話を覚えていますか?」
「はい。彼は死に、そしてヘルサイズ殿が生き返らせたという事でしたが・・・」
「ええ、まあ、僕もそこに関してはとやかく言いませんよ。親しかった人が死んだら生き返って欲しいと思うのは当然のことですし、ユーにはその力があるのですから生き返らせもするでしょう。・・・僕が、ユーの事を悪いと言ったのはその後の話です」
一旦言葉を切り、コーヒーに口を付ける。
「彼が悪意に飲まれていったとユーは言いましたよね? まあ、僕は別にそうは思っていないのですが、それは一旦置いておきまして、その悪意に飲まれた彼をユーが殺した・・・まあ、死んでませんでしたけど、殺そうとした訳です。ユーにしかできない事だから」
それ自体は、良い判断だと思います。不死が死ねない事に絶望するのは当たり前で、心も荒んでいくものでしょう。そして、それが原因で何らかの事件を起こす可能性が、もしくは実際に起こしたりもするでしょう。そして、収拾が出来るのがユーだけならば、それはユーがやらなくてはいけないでしょう。それが、『責任』というものです。
「ですが、先ほど僕はユーに言いましたよね? 『彼はあなたに殺されたがっている』と。そうしたらユーは『やだ』と言ったのです。僕が悪いと思ったのが、ズバリ此処ですよ」
「・・・成程、責任の問題ですか」
お、あの僕の言い分だけで答えに結びつきましたが。流石セラ。
「まあ、そうですね。心優しいユーですから、もう一度殺せというにはとても酷な話でしょう。ですが、やらねば甚大な被害が出るのです。セラ、あなた言いましたよね? 何故ユーが苦しむ様な言い方をするのかと。あれはユーを苦しめる為に言ったのではありません。言うなれば、ユーにとっての図星を言っただけです」
まあ、実際に図星を言われると苦しいのでそういう言い方をしたという見方もありますけどね、と付け加えて僕はコーヒーを飲みほしました。
「優しいのは美徳ですよ。ですが、優しさとは時々、残酷になる時もあるのです」
セラは俯いて何やら考え込むように黙ってしまいました。ふむ、僕も僕で用事というものがあるので、ここらで失礼しましょうかね。
セラに一言断ってから、僕は喫茶店を後にしました。
『甘っちょろいですね』
店を出た瞬間、七実がそんな事を言ってきました。
『いきなりですね。確かにウィンナーコーヒーは甘かったですけど』
あ、もしかして、あのコーヒーが甘すぎたからあんまり美味しく感じなかったのでしょうか? 僕はブラック派ですし、実際にはかなり美味しいコーヒーだったのかもしれません。まあ、予想ですけど。
『朧のコーヒーの好みとかどうでもいいです。というか、コーヒーが甘いでは無くて朧が甘いという事ですよ』
ど、どうでもいいって・・・、いや、実際どうでもいい話なんでしょうけど、そこはもっと言いようとかあると思うんです。ほら、僕が良く使う『一旦置いといて』とか。
『何がです?』
『そういう疑問は一番の時間の無駄なのですが、まあ、良いでしょう。朧、あなたの今から向かう先にはおそらく、ゾンビを殺す為に朧が必要とする環境が整った場所ではないですか?』
『・・・まあ、七実に隠し事は出来ないので素直に答えておきます。答えは『YES』。ザッツライトですよ七実。頭撫でてあげましょうか?』
『はい』
みゅいと出される頭。まさか本当に出してくるとは思っていなかったので、度肝を抜かれた僕。だがしかし、言ったからには撫でなくてはとそっと手を伸ばしますが、その瞬間今度は頭が引っ込んでいきました。
『慣れない事はしない事です』
成程、冗談ですか。
『話を戻します。朧はなんやかんや言って甘いんですよ。どうせ、あのユーさんとやらが最終的に殺さない道を選んだとして、周りに被害が出ないうちに朧が殺すつもりだったのでしょう?』
『最終的にですよ。それに、僕はそうなる可能性は低いと思ってますし』
『ですが、0ではない。だから朧は今準備をしようとしている』
うん、本当にこの人には隠し事が出来ませんね。
『・・・ユーも馬鹿ではありません。さんざん悩んで、そして最後には一番最善・・・いや、この言い方は駄目ですね。ユー本人が、一番納得できる、もしくは良いと思った方法をとると思うのです。その結果、もし殺さなかったとしても、後処理は僕がするだけです』
そもそも、僕はユーに責任を感じさせるような事は言いましたが、その責任を全うしろとは言っていない。最終的に決めるのはユーであり、僕はとやかく言うつもりはありません。僕がユーに考えてほしいのは、己の判断でどのような結末になるか、ただそれだけです。それを考えた末に、ユーが決断を下したのなら、僕は何も言いません。
『・・・本当に甘い。そこは、自らが下した決断がどのような結果をもたらし、またそれに苦悩させるというものではありませんか?』
『まあ、先生とか師匠的な立場の人ならそうするでしょうが、僕は生憎、ユーの先生でも師匠でもありませんからね』
『全く、私なら絶対にしない事ですね。考え付きもしませんよ』
そうですね。この人は、崖から突き落として育てるタイプだと思います。
『・・・ですが、嫌いではありませんよ』
『そうですか』
気が付けば、僕はとあるビルの入り口付近に立っていました。
「久しぶりですね」
何年振りだろうか、そんな事を考えながら、僕はゆっくりと入口に歩みを進めた。
~おまけ~
朧たちが居間で夜の王の話をしていた頃の七実さん。
「(」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー!」
アニメ観賞をしていたとさ。
舞台裏
全員「おつかれー!」
朧「・・・今回もやけに投稿が遅かったですね?」
七実「確かに。前の舞台(にじファン)時代にはあり得ませんでしたよ、こんなこと」
アリエル「えっとぉ、フレイさんと監督さんが話しているところをたまたま聞いてしまったんですがぁ、どうやらぁ、クリスを出すと書きにくくなって3回も消したらしいですよぉ?」
セラ「3回も・・・それは遅れますね」
ユー『今、クリスが鬼気迫る表情で部屋を出て行った』
歩「監督、死んだな。てか、なんでフレイさんは監督とそんな愚痴を言われるような仲になってるんだ?」
フレイ「あー、あれはね、本当に言って良いのか悪いのか分からないんだけど」
七実「悪いんじゃない?」
フレイ「言うと思ったよ! ・・・まあ言わなきゃ話が進まないから言うけど、私とクリスって・・・すこーしキャラかぶってるんだよね」
朧「・・・あー、テンショウ高い所とかですか?」
フレイ「いんや、実際には私のが高いよ。今はクールモード入ってるけど」
朧「じゃあ、なぜキャラがかぶってるんですか」
フレイ「出ましたよ朧の華麗なスルー。結構傷つくんだけど、まあいいや。どこがキャラかぶってるかというとね、まあ、喋り方とか?」
朧「・・・フレイ、ちょっと普通のテンションで喋ってもらって良いですか?」
フレイ「まあ実際? 私が常時こんな風にテンション上げて喋れば常時解決なんだけどね! やったね監督! 悩みの種が一つ減るよ!!」
朧「・・・確かに、酔ったときにクリスに似ている」
フレイ「つまりだね! 監督はクリスを書いていると自然と私を書いているという錯覚に陥ってしまう訳だよ!! だからクリスを書こうとしてもうまく書けないんだよ!!」
朧「ふむ、納得です」
七実「まあ、確かに似たようなキャラは書きにくそうですね」
フレイ「あ、七実ちゃんはめっちゃ書きやすいって言ってたよ! 個性が爆発してて何言わせても大丈夫な気がするからだって!!」
七実「これでも気を使っているのですよ?」
ユー『あれで?』
歩「結構小説内を荒らし回ってると思うんだが・・・」
セラ「同意です」
七実「ディ○ニーに喧嘩売らないようにとか」
朧「確かにそれは気を使ってほしい!!」
フレイ「んじゃ! 今日はこの辺で、皆! じゃーねー!! ・・・・・あー疲れた」