これはゾンビですか?~いいえ、ただの?病弱です~   作:ハヤテ

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秘密を打ち明けるのは勇気がいります

 

 

「ねえ、ユー」

 

『何?』

 

「何でそんなに古龍の大○玉が出r『知らない』」

 

 

 

 

 

 皆さん、どうも。ユーとの共同生活が始まったのはいいのですが、ずっとゲームばかりしているというのは恐らく気の所為な筈の朧です。因みに、お気に入りはモン○ンです。あのスリリング感はあのゲームの売りだと思うんです。残念なことに物欲センサーが働いているようですけど。

 さて、ユーとの共同生活もかなり慣れてきた訳ですが、どちらかというと僕はお世話になっている方です。当然、家事やらなんやらをする義務というのがあるのです。ユーは別に良いと言っていましたが、これだけは譲れないのです。

 

 ヒモとかマジで勘弁ですから!

 

 という訳で家事は僕の仕事です。時より地球に帰って一流シェフの技術を見取ってますのでメキメキ上達(?)していっております。あ、勿論の事、自分でも練習したりしていますよ。新しい料理作ったりとか。最近、ラーメンなどの麺類を一から作る事にハマっております。作り終わった後は必ず力尽きるんですけどね。

 

 まあ、僕の仕事は家事ってだけでお金とかの収入はユーなんですけどね。実質、ヒモと変わりません。……そういえば、ユーって何処で収入を手に入れているのでしょう? 一日中食卓でお茶を飲んでいるイメージしか無いのですけど・・・。むしろそれが事実なんですけどね。

 

「ねえ、ユーって一体どこで収入を得ているのですか?」

 

『冥界の王にコネがある』

 

 分かりやすい且つ、ゾッとする回答をありがとうございます。なんですか、王にコネがあるって。怖すぎるというかユーは何者?

 

『というか 冥界そのものにコネがある』

 

「怖すぎますよ!? 何でそんなコネがあるのですか!!」

 

『昔の行い』

 

 どんな行いですか全く。あれですか、チームでどこかに攻めたりしていたのですか。『ヒャッハー! 汚物は消毒だー!!』みたいな感じで。あ、あれは世紀末か。なら、『逃げる奴は冥界人だ!! 逃げない奴はよく訓練された冥界人だ!! ホント、戦場は地獄だぜ!! フゥハッハハァ!!』みたいな感じでしょうか? あれほどの惨劇を起こしたとすれば納得いくというものです。一人一人が人間兵器ですか末恐ろしい。

 

「成程、となると、ユー達は随分とやんちゃした訳ですね?」

 

『どんな事を考えたのか知らないけど 朧の考えているような事ではないと思う』

 

 なんですと。では、ユーは素で偉いという事ですか。ふむ、僕はとんでもない人に拾われてしまったのかもしれません。酒池肉林が現実に再現できるかもしれませんよ。

 

 肉にも酒にも全く興味がありませんけど。

 

「あれ? となると僕って一体何に興味があるのでしょう?」

 

『ゲーム?』

 

 廃人まっしぐらですね。このまま行ったらその内ネット界で『廃神』とか呼ばれてしまいそうな勢いですよ。基本ゲームしかしてませんからね。

 

「やばい。将来駄目人間になりそうです。ちょっと職を探してきます」

 

『そういう事は働ける適正年齢になってから言って』

 

 いや、実力が伴えば雇ってくれるところはあるでしょう。893さんとか、裏でアコギな事やってる人達とか色々と……。

 

『そんなところで働かせる訳にはいかない』

 

「何故心が読めたし。冥界人はみんなそうなんですか?」

 

 だとしたら今すぐ僕は此処からの逃亡を図ります。読心術使える人が跋扈してる所に住んでいたら常に気を使わなくてはいけないのでSAN値が減ってしまう。発狂目前です。

 

『中にはいるのかもしれない』

 

「よし、僕ちょっと地球に出掛けてきますね。具体的に言うと死ぬまで」

 

『行かせない』

 

「僕に発狂しろというのですか!?」

 

『どうしてそうなった?』

 

「クッ、まあ良いです。というか、ユーのその言い分ですと、冥界人はそれぞれ何らかの能力を持っているように聞こえるのですが?」

 

『間違っていない。ただし、中にはかなり微妙な能力もある』

 

「例えば?」

 

『今までに食べてきたパンの数が分かる』

 

「ちょっとDI○さん呼んできますね」

 

『あんな気違い呼ばないで』

 

 気違いではないでしょう。少なくとも頭はキレた筈です。ただ行動と言動がトチ狂っているだけで。あ、これだけでも十分気違いですか。

 

「……では、ユーにも何か?」

 

 僕のその質問に、ユーの手がピタリと止まる。

 

 よく考えなくても分かる事なのですが、ユーには不自然な所が多々あります。その少々個性的な服装も……まあ、『常時戦場』の心得とか言われたらそれまでなのですが、明らかにユーは戦える人ではありません。無表情は別段おかしなことではありませんね。僕もデフォルトは無表情ですし。僕達が二人ともおかしいと言われれば、やはりそれまでなのですが。で、言い逃れできないのが『筆談』。こればっかりは明らかにおかしいでしょう。本人の趣味趣向? そんな痛い厨ニ設定カマしてくるような人に見えますか? 絶対何か訳ありでしょう。

 この際、お互いの秘密をいくらかばらすのも良いかもしれません。僕の予想では、なんだか長い付き合いになりそうですし。

 

「まあ、こういう質問するなら先に自分からぶっちゃけた方が良いですね」

 

 僕がそういうと、ユーの手が動いた。

 

『別に 無理言う必要はない』

 

「別に無理って訳じゃありませんよ。元々隠す気などなかったのですし。単純に言う機会が無かっただけですよ」

 

『なら私から』

 

「だから、それだとフェアじゃないんですよ。流れからして、まるで僕が強引に言わせているみたいな感じになるじゃないですか。嫌ですよそういうの。・・・それに」

 

『それに?』

 

「いや、さっき言った流れが云々は3割方の理由でして、もう7割はぶっちゃけ、ユーの秘密とか明らかに重そうな気がして先に聞くのがちょっと嫌だという理由です」

 

『しょうも無い』

 

「と言われましてもねぇ、忘れているかもしれませんが、僕まだ6歳ですよ? 肉体的にはそこらの下ネタ言いまくってキャッキャ騒いでるガキンチョと変わらないのですよ?」

 

『あくまで肉体だけ』

 

 まあ、そうなんですけどね。

 

『逆に 朧の秘密もそれはそれで重そう。6歳からホームレスというのは中々。聞くこっちの方が気が滅入る』

 

「6歳からホームレスなんて世界中探してみれば結構いる物ですよ? 珍しい事ではありません」

 

 お互いジーッと見つめ合う、否、睨みあう。無表情ですが、気心が知れていれば眼を見るだけで自ずと感情は分かってきます。

 

 現在、僕とユーはお互いを牽制し合っている!!

 

 ユーはさながら臨戦態勢の兎の如く。対する僕は・・・いや、自分で自分を例えられないでしょう。とりあえずリスちゃんという事にしておきましょう。歯を見せて威嚇しているリスちゃん。余談ですが、兎同士の喧嘩はそれはそれは激しいらしく、耳が齧られたりするらしいです。いやー、可愛い顔してよくやりますね。まさにユーのイメージキャラにピッタ―――

 

 ジャキンッ!!

 

『何か思った?』

 

「ハハハ、初めてですよ。『何か言った?』ではなく『何か思った?』と言われたのは初めてですよ。勿論、僕は常に色々考え事をしているのでユーの答えには『YES』と答えますけど?」

 

 何処から取り出したのか鎌を首筋に当てながら無機質な目でこちらを見てくるユー。少し、ヒヤッとしましたね。なにせ、今の僕の状況は戦闘技術や身体能力は完璧なまでに備わっているのに、圧倒的に経験が足りていない状態ですからね。刃物を首筋に当てられればヒヤリとしますとも。

 

『兎に角、私から話す』

 

「出来れば簡潔に且つ、分かりやすく、なるべく重くならない様に最大限の努力をして下さい」

 

『魔力が多い、血が不老不死になる為のワイン、言霊』

 

「オーケー、詳しく」

 

『実質魔力と言霊は同一視してもらって構わない。魔力が多いから喋っただけでその言葉が力を持ってしまう』

 

「ほほう。つまり、ユーが死ねと言えば死ぬのですか?」

 

 そんな凄まじい能力があるのならこの世界崩壊してるでしょう。

 

『死ぬ』

 

 コクンと頷くユー。いやいや、マジか。

 

「では、死なないでと言えば死なないのですか?」

 

『死なない』

 

 またまたコクンと頷くユー。……ヤベェ、相当な能力ですよこりゃ。冥界にコネがあっても不思議じゃありませんね。というか、こういうのをチートというのでは? まさか現実でチートに出会うとは思いもしなかったですよハハハ!

 

「チートですね」

 

『チート?』

 

「ええ。まあ、それは置いて、血は一体どういう事ですか?」

 

『理屈は分からない。唯、生まれつきそうなっていただけ。でも これの所為で私は色々な所から狙われている』

 

「ほう?」

 

『吸血忍者 冥界人 メガロ 魔装少女。上げればキリがない』

 

「それは……ご愁傷様です」

 

『とりあえず、私の秘密はこれだけ。次 朧』

 

「はい。では、分かりやすく言いますね。僕、病弱です」

 

『詳しく』

 

「正確には虚弱体質ですがね。僕の体には1億もの病魔が巣食っておりまして、それのお蔭で体がものすごく弱いんです。どのくらいかというと、風邪引いただけで死ぬレベルです。尤も、1億の病魔にも負けない抵抗力と免疫力があるので滅多に掛かりませんけどね。あ、血が流れ過ぎると危ないかもしれません」

 

『朧が死んだらその病魔はどうなる?』

 

「さあ? そこまで考えた事ありませんね。なんせ、ユーと出会うまではずっと一人だった訳ですからね。自分が死んだ後の事なんてどうでもよかったのですが……そうですね、パンデミックでも起こるのではないのでしょうか?」

 

 七実さんが死ぬのと、僕が死ぬのとでは同じなようで実は大きな違いがあります。ズバリ、悪刀『鐚』を使ったか使ってないかです。

 七実さんが七花さんに負けたのは、僕の見解だと、単純に体が虚弱故に、その性能についていけなかった事だと思っています。現に、普通に戦えば七実さんの方が強かった訳ですし。

 一見、悪刀『鐚』は関係ないように見えますが、よく考えて下さい。

 

 一回、刺しているのです。

 

 そう、悪刀『鐚』を一回刺しているのです。強制的にとはいえ、体を活性化させているのです。活性化とはすなわち、治癒力もその他の能力も諸々上げていた事でしょう。

 

 病魔を殺すには十分過ぎる。

 

 つまり、最後のあのシーンの七実さんは単なる体の耐久度が最底辺な最強という事だと思うんですよ。あくまで僕の見解ですけどね。

 さて、僕と七実さんの違いは分かりましたか? つまりそういう事ですよ。彼女の場合、死んだら唯の肉の塊ですが、僕の場合は、バイオハザードの元という事です。我ながら傍迷惑な存在ですね。

 

「まあ、死ななければどうってことないんですけどね。少なくとも生きている間は無害ですよ」

 

『そう 朧は今は少なくとも無害。でも 私は違う』

 

 む、何か重たそうな話になってきましたよ。

 

『私の魔力は多過ぎる』

 

『その多過ぎる魔力があるから、感情を動かす事も許されない。動かしたら運命を変えてしまう』

 

 それも初耳。

 

『私の言葉は重すぎる。発しただけでその言葉通りになってしまう』

 

 それはさっき聞きましたね。

 

『故に私は誰とも関わってはいけない』

 

 ……はあ?

 

「ユー、それはちょっと矛盾していますよ。じゃあ、何ですか? 僕を此処に連れてきたのは、僕の運命を滅茶苦茶にする為ですか?」

 

『違う』

 

「何が違うのです? 意味合い的には同じでしょう?」

 

 俯くユー。心なしか、少し震えているようにも見える。

 

「僕の運命が滅茶苦茶になると分かっていながら、何故僕を連れてきたのですか?」

 

『ごめんなさい』

 

 俯きながらそうメモを見せてくる。字は、少し歪んでいました。

 

「何について謝っているのです?」

 

『朧を、此処に連れてきてしまって』

 

「それで、僕の運命を滅茶苦茶にした事を?」

 

『嫌いになった?』

 

「……ハァ、まあ、少し僕も辛辣に言い過ぎましたが、それを踏まえて言いますね。ユー……あなた、バカですか?」

 

 俯いていた顔をバッと上げ、意味が分からないといった様子こちらを見てくる。

 

「ユー、あなた、僕を連れていくと僕の運命が滅茶苦茶になると思っていたのですよね?」

 

 コクンと頷く。

 

「じゃあ、前提が違いますね」

 

「?」

 

「ユー、僕の運命は、元から完膚なきまでにブチ壊れてますよ」

 

「!?」

 

「ユーが滅茶苦茶にするまでも無く、既に壊れているのですよ。ですから、ユー。あなたが気にする必要はありません」

 

『でも 私は色々な所から狙われている』

 

「そうですか。では、それは僕がなぎ倒せば無問題ですね?」

 

 ユーを狙うという事は僕を狙うという事と同意ですからね。ユーに降りかかる火の粉は僕にも降りかかってきますからね。振り払うのは当たり前の事でしょう?

 

『朧に迷惑掛けられない』

 

「迷惑ではありません。ユーが狙われるのなら、同時に傍にいる僕も狙われるということですからね。なぎ倒すのは当たり前でしょう? 僕もまだ死にたくありませんし」

 

『いいの?』

 

「くどいですね。これは自分の為でもあるのですよ?」

 

 まあ、ぶっちゃけ僕はどうなっても良いのですけどね。確かに、死ぬのは勘弁なのですが、僕とユーを天秤に掛けたのならユーの方に傾くでしょう。

 

『ありがとう』

 

「いえ、……ああ、そうだ。嫌いかどうかでしたよね?」

 

「!」

 

 ビクリと、ユーの体が震える。

 

「あなたは、僕を助けてくれました。たとえ、少々無計画な所もあったようですが、この事実は変わりません。とても感謝していますよ。あなたが連れてきてくれなかったら、僕は未だに人からお金を拝借し、コンビニで食事をしたり、あるいは泥水を啜って生きていたでしょう」

 

 恐らくそうなっていたでしょう。確実に。

 

「ユーには感謝しています。そして、そんなユーを嫌いになる筈ないでしょう?」

 

「あ……」

 

 僕がそう言った瞬間、ユーは聞こえるかどうかという小さな声を発しました。初めて聞きましたが、鈴の音の様な綺麗な声ですね。

 

「何か嫌いになっていないという保証が欲しいですか? なら、そうですね……。これでどうですか?」

 

 そっと、いつかユーが僕にしてくれた様に、抱きしめた。身長差の所為か、少し可笑しな格好になってしまいましたが。

 抱きしめながら、ユーの頭を髪を梳く様に撫でる。

 

『痛い』

 

 抱きしめながらメモを見せてくるとは、器用ですね。

 

「そんな訳ないでしょう。僕は非力ですよ」

 

『でも、温かい』

 

「そうですか」

 

 ユーの頭を撫で続ける。優しく、そっと。

 

「……ありがとう」

 

「……どういたしまして」

 

 

 

 

 

 

 




初めて綺麗に終わった気がしますが、別にそんなことはなかった。


NGシーン

ユーの頭を撫で続ける。優しく、そっと。

ユー「……ありがっ」

朧「……噛みましたね」

ユー『申し訳ない』

人は定期的にしゃべらないと声が発しにくくなるそうです。
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