これはゾンビですか?~いいえ、ただの?病弱です~   作:ハヤテ

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日常のマンネリ化は最も危惧すべき重要な課題です

 

 

 どうも皆さんこんばんは、朧です。

 さて、高校に入ってしばらく経ちました。と言っても、一か月とかその辺りですが。流石にこのぐらい時間が過ぎると皆さん高校生活にもうっすらと慣れてきて、クラス内では決まったグループで談笑する光景が見受けられます。僕も僕とてその内の一人ですがね。そもそも下村がいる時点で省かれる事はないのです。まあ、冥界人の中での僕の印象は真っ二つに分かれますが、どうやら下村はマイナス方面の印象は持っていないようですし、元々面識もあったので尚更です。

 その下村との縁で知り合ったのが『三原かなみ』さん。同じバスケ部だそうですよ。まあ、男女の違いは出てきますが。

 知り合っただけであって特に親しくないのが現状ですがね。僕らしいといえば僕らしいのですが。

 

「……の交友関係はこんな感じですかね?」

 

「ふーん、相変わらず『表』の人間との交友関係が極端に狭いね、朧は」

 

「やかましいです」

 

 そして現在、上で話した様な事をそのままクリスに話していました。何故話す必要があるのか理由を聞いてみたところ「先生だからだよ!」と目を泳がせながら答えました。うん、かなり怪しい。何か企んでますね、これは。

 

「……で、何故にこんなことを急に?」

 

「え!? い、いや? ただ、若干コミュ障の気(け)がある朧の事が心配だっただけだよ? 他意はないよ、うん」

 

「なにサラッと人の事コミュ障にしてくれてるんですか。普通に人間関係ぐらい円滑に進めれますって」

 

「じゃあ、今まで親密に関わってきた人を挙げてみてよ」

 

「ネクロマンサー、裏の支配者、人類最強、魔装少女最強、変態。口に出せる限りではこのぐらいですね」

 

 本当はもっといますけど、訳ありです。口に出すのも憚られるのです。

 

「ほら! 一般人が一人もいないじゃん! 朧は頭の螺子が数本弾け飛んでいる人としか仲良くないんだよ!!」

 

 ナ、ナンダッテー! ……じゃなくて。

 

「ほう・・・ユーが頭の螺子が数本弾け飛んだ狂人だと申すか。よろしい、表に出なさい。世の中の不条理を叩きこんでやる」

 

「ユーって誰!? ……あ、あの冥界の? 付き合いあったの?」

 

「付き合いどころか、彼女がいなければ僕は今頃トチ狂って世界を滅ぼしていたかもしれません」

 

「怖いよ!?」

 

 ですが、それもまた事実。

 

「というか、僕と仲良くなった人が全員頭の螺子が数本弾け飛んでいる人ならば、クリスもそうなっちゃいますよ?」

 

「あ、くりすは別に良いよ。自覚してるから」

 

「自覚のある狂人ってものすごく性質(タチ)が悪いですよね」

 

「それ、朧が言っちゃう?」

 

 それもそうですね。まあ、僕自身、頭の螺子が数本どころか数十本は弾け飛んでいるので、正しく狂人でしょう。……あ。

 

「要するに、僕の先ほど挙げた人物は全員類友という事なのでしょうか?」

 

「おお! なんかしっくりきたね! そうだよ! 類友だよ!」

 

 因みに、ユーは除外です。僕なんかと同類にされたらあの心優しいユーに失礼でしょう。

 

「さて、しっくり来たところで次の話題―――」

 

「僕もう帰りますけど」

 

 この人は僕と会うたびに話題を考えているのでしょうか? まあ、楽しみにしてくれていると考えれば嬉しい限りですけど。

 

「えー!! ちょっと待ってよ! あとほんの少し、ほんの五つだから!」

 

「多いのか少ないのか微妙にツッコミづらい数ですねぇ!!」

 

「世界平和について!」

 

「僕たちに一番似合わない話題提供!?」

 

「戦争孤児について!」

 

「真っ先に捨て置きそうな人が何を言っているのです!?」

 

「宇宙の壮大さについて!」

 

「急に流れがかわったなぁオイ!」

 

「この世の醜さについて!」

 

「壮大さはそこまで変わってませんがやはり流れを変えてますよねぇ!?」

 

「女王がうざい件について!!」

 

「実はそれが本命でしょう!?」

 

「駄目?」

 

「駄目に決まっているでしょう! 僕は帰る!」

 

 結局、泣きわめくクリスを置いて僕はそのまま相川家に帰りました。鬼? 悪魔? なんとでも言いなさい。どうせ嘘泣きなのですから別に良いのです。

 

 

 

 

 

「ただいま帰りました」

 

「お、お帰り。今日も遅かったな?」

 

「中々放してくれなかったのです」

 

 現在の時刻、10時30分。

 

「お前の知り合いって誰だよ? うちの学校にいるのか?」」

 

「歩もよく知っているでしょう、クリスですよ」

 

「栗須って……うちの担任じゃないか!」

 

「え、マジですか? いやー、世間は狭いですね」

 

「狭いってレベルじゃないな。もう目と鼻の先だな」

 

 いやはや、とんだ偶然ですね。

 

「……ところでだな、朧」

 

「ん? どうかしましたか? 急に改まって」

 

「いや、前にも言ったと思うが、この近所で連続殺人が起こっているのは知っているよな?」

 

「ええ……まさか、まだ犯人捕まってないんですか?」

 

「ああ」

 

 なんという事でしょう。日本の警察はポンコツですか。いや、世界的に見ても日本の警察は実は結構優秀な筈。つまり……。

 

「それは、また出鱈目というか、なんというか」

 

「まあ、そんな訳だ。本当に気を付けろよ? なんなら、これからは一緒に帰るか?」

 

「いや、それで二人纏めてというのも洒落になりません。それに、バラけていた方が逃げやすいですし、このままでいいでしょう」

 

 これは……ちょっと匂いますね。犯人は人外か? 調べてみる価値はありそうですね。

 

「そうか……。本当に、気を付けろよ?」

 

「分かりました。そちらこそ、お気を付け下さい」

 

 僕に襲いかかってこようものなら、返り打ちどころかちょっとした大怪我でも負ってもらいますがね。

 

「んじゅ、飯食うか。もう用意してある」

 

「なんですか?」

 

「白米と味噌汁」

 

「流石」

 

「デザートに奮発してケーキだ!」

 

「ちょっと待てやこら」

 

 和食のフィニッシュに洋食のケーキだと? ありえん、実にありえん!

 

「な、何が不満なんだ?」

 

「いいですか歩。世の中には統一性というものがありましてね」

 

 それから小一時間、歩に統一性の大切さを叩きこみました。皆さん、よく考えてみてください。例えば、純和風の家にソファーがあったら? ステーキにワイン、そこにもし味噌汁があったら? 美少女だらけの戦国時代に漢女がいたら?

 

 正気の沙汰ではないでしょう。

 

 少なくとも僕はそんなもの見てしまたら気絶、またはそれに近い状況に陥る事が出来ると確信しています。

 まあ、そんなこんなで、歩に統一性の大切さを語ったところでお風呂に入り、髪をドライヤーで乾かして寝ました。良い夢見れそうです。

 

 

 

 

 

 あの統一性云々の話から数日後。

 これといって特に何も起きないまま日数は過ぎていきました。殺人鬼さんが現れる事も勿論ありませんし、青い鬼に追われるというクレイジー過ぎて逆にエキサイトしてしまうような出来事もありませんでした。

 そういえば、最近生活に刺激が無いですね。あっちのお仕事も最近は落ち着いてきたのか、めっきり無くなりましたしね。やれやれ。何もせずに仕事が来ていた時期が懐かしい。今ではあっちにフラフラ、こっちにフラフラで厄介事見つけては首どころか体捻じ込んでますからね。暇つぶしで。いや、それぐらい暇なんですよ。高校に入るまでは。高校に入ったらクリスが話し相手になってくれますからね。歩? いや……まあ、うん。あのですね? 歩と出会ってまだ数カ月なんですよ。ある程度心は許せますけど、『ある程度』なんですよ。数年の付き合いがあるクリスとは新密度が違います。いや、決して歩とは仲が悪いという訳ではありませんよ? むしろ人生において仲が良いランキングベスト5に入りますからね? というか、まあ、ぶっちゃけ5人しかいないのですけれども。

 

「……コミュ障じゃ、ないんですけどね」

 

 むしろ、ある程度初対面の人とのコミュニケーションは取れるのですが……。あれか? やはりクリスの言う通り頭の螺子が数本ぶっ飛んでる人としか仲良く出来ないのですか? 類友しかできないのですか?

 

「いや、ユーは頭の螺子飛んでないでしょうに」

 

 みっちり固定されてますよ、むしろ。滅茶苦茶優しい人ですよ。善人過ぎて悪人の僕など浄化されて溶けますよ。

 

「むぅ……」

 

 となると、ユーは類友ではなく一体何友? 親友でしょうか? 何か違う気もするんですけど……。

 

「あ~、もやもやしますね。良く分からん。人の感情はこうも理解しがたいものですか」

 

 喜怒哀楽は表現しやすいので結構よく分かるのですがね・・・複雑な感情はよく分からないのです。例えば、嫉妬とか、恋愛とか。

 

「困ったモノです。理解できれば後は楽なんですけどね……」

 

「な~にブツクサ言ってんだ」

 

 背中に衝撃。どうやら叩かれたようですね。

 

「あ、吉田さんですか」

 

「友紀でいいぜ?」

 

「では、友紀さん。おはようございます」

 

「おう! おはよう! で、何ブツクサ言ってたんだ?」

 

「いや、最近退屈だなぁ、と」

 

 何か面白そうな事起きませんかね? 殺人鬼さんは来なくても良いですけど。あれです。こっちから望んでホイホイ来てくれる厄介事はウェルカムなんですけど、こっちが望まぬ厄介事はノーサンキューです。門前払いですよ。

 

「退屈? 部活でもやれば良いんじゃねぇか?」

 

「部活……ゲーム部ってあります?」

 

「いや、流石にねぇだろ」

 

 ですよねー。そんな部活、学校が費用落としてくれませんよねー。ですがね? 可能性の問題というのもあったのですよ。ほら、世の中には『空○飛部』とかいう明らかに費用泥棒みたいな部活があると聞きますし。

 

「嗚呼……希望が潰えた」

 

「いや、まだ部活沢山あるだろ? 運動部とか興味ないのか?」

 

「友紀さん、あなた、僕のこの細腕を見てどう思います?」

 

「すごく……貧弱です」

 

 まさかノッてくるとは夢にも思わなかった。普通に吃驚しましたよ。

 

「でしょう? こんなんでもしボクシング部とか入ったらどうなると思います?」

 

「まあ、良くて粉砕骨折だろうな」

 

「悪くて死にますか。ね? 危険すぎるでしょう?」

 

「いやいや、フェジカル使わないスポーツなら良いんじゃないか?」

 

「そんなのあるのですか? 全てのスポーツにある程度のフェジカルが要求されますけど・・・」

 

「アメフトとか!」

 

「某21を意識しているのなら今すぐその意識を捨てて下さい。リアルでやったらそれこそ粉砕骨折じゃすみませんって」

 

「なら・・・サッカー!」

 

「まさかとは思いますけど、11の稲妻を意識していませんよね?」

 

 魔人とか絶対に出せないですよ。というか、この人は僕にそんなイメージを抱いているのでしょう?

 

「駄目か? じゃあ、もうバスケでよくないか?」

 

「かなりフェジカル使いますけど?」

 

「鑢の体格なら幻の6人目もいけるだろ?」

 

「無理ぽ」

 

 いや、その気になれば黄○くんだろうと緑○くんだろうと、それこそ黒○くんも出来ますけど、僕は普通のスクールライフを送りたいのです。

 因みに出来る理由は、鑢七実さんは関係ありません。僕、頑張りました。暗殺者としてやっていく為に(地味に暴露っちゃいましたね)投擲も百発百中あらゆる状況で当てれるようにしましたし、気配遮断など基本中の基本ですから。まあ、黄○くんのは流石に見稽古ですけど。

 

「しょうがねぇな。んじゃあ、定番所で野球か?」

 

「もしかして、メジャ○を意識してます?」

 

「むしろ巨人の○だな」

 

「ハードルあがっとるやん」

 

 何故命がけで野球をせねばならぬ。せめてタ○チがいいです。

 

 あ、死ぬやん。

 

「んじゃあ……卓球とか?」

 

 おおっと! ここで断ろうにもイマイチ断り難いのきましたよ。

 

「いやいや……あれはその……危ないでしょう?」

 

 なんか中途半端な反論になってしまいました。

 

「ああ、確かにそうだな」

 

 え?

 

「急にラケットが飛んできたり、眼に球が当たるとか結構聞くもんな」

 

 そうなの? 卓球ってそんなにポンポンラケットが飛び交うのですか? 今の僕の中のイメージはスターウォー○のクローン戦争で固まってしまってますよ? こう、ビームがビュンビュンと。

 

「なら、もうオレがお勧めできるのはねぇな……。ごめんな……」

 

 何か本気で悪そうな顔して謝ってくる友紀さん。やばい、なまじそこまで真面目に部活に入ろうと思っていなかっただけに、罪悪感が。罪悪感が凄まじい。

 

「いえいえ、元々暇つぶしで入る様なものではありませんからね。別に良いですよ。お構いなく」

 

「あ、なら陸上部に入ってみないか!? オレもそこに入ってるし」

 

「僕をバラバラにしたいのならどうぞ」

 

 

 

 

 

 学校は、勉強するところです。そして、何故勉強するのかというと、自分の将来をより良い物にするためだと僕は認識しております。無論、友人と楽しく過ごす為という認識もありますが。しかし、今それは横に放置しておきましょう。勉強の話です。

 まあ、そこまで掘り下げる話でもないんですけどね。単純に、勉強が簡単過ぎて退屈だという事です。

 以前、僕は前世では凡夫だっただろうと言いましたよね? どうやらあれ、嘘っぽいです。いや、僕自身前世の記憶、特に自分自身の事については全くといっていいほど覚えていないのですから、仕方ないと言えば仕方ないのですが。高校レベルを簡単と感じるという事は東大生だったかもしれません。しかし、試してみたところ、東大レベルも楽に暗算で解けました。どうやら、僕の前世は超絶に頭良かったらしいですね。それで排斥とかうけてなければいいのですが。

 まあ、いいです。要するに、暇なんです。刺激が足りない。

 

「ふぁ~……」

 

「おう鑢ぃ、授業中に欠伸とは余裕だな? この問題は―――」

 

「X=2a」

 

「……正解だ」

 

 即答ですよ。そんな問題、問題文とその式を見ただけで暗算出来ます。というかそれ、2年生の問題ですよね? どさくさにまぎれて学年一つ上の問題出さないでくださいよ。

 と、まあ、偶然の産物ですが、こんな感じです。たるいです、タルタルソースです。あ、僕実はタルタルソース苦手なんです。海老フライにはソースこれが鉄板。ん? 目玉焼き? 普通に胡椒掛けますけど? あ、自分が作る料理には愛情も混ぜ込みます。うん、キモいです。

 

「あ~……」

 

「くっ、ならこれでどうだ!」

 

「2π」

 

「ぬわぁぁぜぇぇだぁぁぁぁぁ!!!」

 

 出来るのだから仕方がない。

 

 

 

 

 

「プハァー!」

 

「お、朧? なんか飲みすぎじゃない?」

 

「これが飲まずにいられますか! けぷ」

 

「いやいや、流石にコーラの飲み過ぎはよくないよ。胃がパーンてなるよパーンって」

 

「五月蠅いです! 日常に刺激が無いんです! せめて胃と喉に刺激をくれたっていいではありませんか!!」

 

 あー、くそ! 美味しいなコーラ!

 というわけで、授業も終わり、クリスのところでコーラをバカスカ飲んでいる朧です。

 

「いやいや、朧の言う『刺激』って所謂人間にとっての禁忌でしょう? 駄目だよ」

 

「駄目と言われましても、僕の欲求の内に入っているのだからしょうがないでしょう? まあ、睡眠欲とかに比べて、我慢できているから良いものの、やはりふつふつと溜まっていくのですよ。爆発しますよ?」

 

「朧のあの欲求が爆発した時がこの街の最後だね!」

 

 キャハキャハと、正直何が面白いのかさっぱり分かりませんが、笑いだすクリス。あれですか? 破滅願望でもあるのですかね?

 

「ないよ!? ただ、物が壊れるところか見ると面白いじゃん」

 

「ある意味そっちの方が怖いんですけどね」

 

 グピグピとコーラを飲む。けぷ。

 

「ハァ……まあ、刺激は待っていても来ませんよね」

 

「え? あ、うん、そうだね」

 

 鬼殺しにコーラを割って飲んでいるクリス。それ、美味しいのですか?

 

「という訳で、ちょっと今日は帰ります」

 

「え? なんで?」

 

「刺激を見つけに行くのです。まあ、今回は自宅で待っていればホイホイあっちから来るでしょう」

 

 

 

 

 

~歩~

 

 俺、ゾンビっす。あ、正確にはついさっきこの今横にいるユークリウッド・ヘルサイズにゾンビにされたんだけどな。なんでも、後ろから刺された俺を助けてくれたらしい。

 この少女との出会いは極単純。今日も俺の担任と一緒にいるだろう居候、朧の帰りが遅いからコンビニにて暇をつぶそうと行ってみたら、出会ったのだ。

 

 透き通った輝く銀髪、西洋の鎧と籠手、まるでおとぎの国から来た様な少女に。

 

 俺は、孤独な事は幸せなことだと思っていた。家に朧が来てからその認識は変わりつつあるが、偶に一人になりたい時もある。朧にこの事を言ってみたらただ一言「歩は歩のやりたいようにすれば良い」だった。普段、大雑把で家ではダラダラしている朧の事だから、どうせ適当に答えたのだろうとその時は思ったが、よく考えてみると、そんな事はなかった。なにせ、朧は確かに行動はダラダラしているが、それは外面で、内面はむしろ常に気を張っているからだ。不真面目に答えるとは考えにくい。

 

 まあ、それは兎も角、朧が押してくれた背中を、俺は今日行動に移してみようと思う。

 

「すみません、もののけ姫って信じますか?」

 

 顔をそむけられた。普通に滑った。朧、お前を恨むぞ。

 

『私も 質問』

 

「ん?」

 

 なんだなんだ? 見知らずの俺に質問するのか?

 

『一つ目 あなたは何者?』

 

「どんな人間に見える?」

 

 少しギザっぽくなってしまった。

 

『どうみても怪しいバカ』

 

「……ぷっ、ははは! そっか。そうだよな!」

 

 初対面で、もののけ姫は確かにないな。うん、朧は悪くなかった。

 

この時の俺は、この少女と少しでも仲良くなれた気がして嬉しかったんだよな。

 

『二つ目 この辺りに常に和服を常備した艶のいい黒髪で肌の綺麗な男の子はいない?』

 

 そしてこの質問である。どうやら人探し中の様だ。しかし・・・。

 

「いや、残念ながら俺は知らない」

 

 一瞬、朧の姿が頭を過ぎったが、あいつは常に和服を着ていない。1週間の内5日ぐらいだな。いつもじゃあない。そして、あいつは艶も良いし確かに黒髪だが、若干緑が混じってるんだ。純粋な黒髪じゃない。まあ、綺麗な男の子なのは認めるが。

 

『そう』

 

 それにしても、表情が変わらないな。そういう性格なのか?

 

 それから、この少女とは色々な事を話した。彼女の趣向なのか筆談だったが、よく話した。

 ある程度時間が経つと、そろそろ朧が帰ってくる時間帯になった。なので、名残惜しいが、この少女に別れを告げ、家に帰ろうとした。

 

 そう、帰ろうとしたんだ。

 

 異変はすぐに気付いた。悲鳴だ。ある家の中から、悲鳴が聞こえたんだ。

 

 気が付いたら、体が動いていた。悲鳴が聞こえた家の中に勝手に入っていたんだ。

 

 

(俺は、何やってるんだ?)

 

 勝手に他人の家に入って、何しようとしてるんだ? 犯人を捕まえる? 無理だろ。警察でもどうにもならないってのに。

 そんな事を考えていたら、急に体が動かなくなった。指も全く動かせない。そして、後ろに気配を感じた瞬間、意識は途絶えた。

 

 

「死なないで」

 

 

これが、俺の生きていた内での最後の言葉だった。

 

 

 とまあ、こんな感じだな。ショックかショックじゃないかと聞かれれば、ショックだが、そこまで深刻でもない。生きてる時とあまり感覚が変わらないからな。

 そして、俺が家に帰ってきて見た光景は・・・

 

 壁に貼り付けにされた朧と、壁に糸の様なもので縫い付けられている人(恐らく女性)だった。

 

「朧!?」

 

「グフッ……あ? ああ、歩ですか。お帰りなさい」

 

「ただいま……って、違う!! お前大丈夫か!?」

 

「はい。掠り傷です」

 

「そんな訳ないだろ!? 腕にささってるそれは何だ!!」

 

「刀、ですかねぇ……」

 

 クソッ! 何でこいつはそんなに冷静なんだ!!

 

「この……化け物!」

 

 光の加減で顔はよく見えないが、可愛らしい声で朧の事をそう罵った。

 

「褒め言葉です。が、僕からすればあなたも十分化け物ですけどね? 一回殺した時はまだ良かったのですが、二回目となると流石にねぇ?」

 

 ……殺した? 朧が?

 

「まあ、油断した僕も悪いんですがね」

 

「そうですか。どうでもいいですね。誰か人も来たようですし、私は引かせてもらいます」

 

「へぇ? どうやって?」

 

「こうやってです!」

 

 そう言うと、女の人は朧に迫った。手には、俺の家の包丁。それを朧目掛けて刺突しようとした。

 

「朧!」

 

 刺される、そう思った瞬間、朧は自分の両手が裂ける事も気にすることなく、両脚を前に突き出し、その包丁を受け止めた。

 

「っ! この……!」

 

「お帰りの際は、玄関からお願いします」

 

 受け止めたら、朧は腰を捻りつつしならせ、脚で人を投げるという器用な事をした。コントロールは抜群の様で、玄関に一直線。開けっぱなしだった玄関に突っ込み、向こうの塀に激突した。

 

 ズブリ……。

 

 その不気味な音と共に、朧がこちらに歩いてきた。どうやら、腕の刀を抜いた時の音の様だ。

 

「ありゃ、逃がしましたね。本当は歩に当てる予定だったのですが……」

 

「おい?」

 

「ま、とりあえず、僕が今言う事は唯一つですね」

 

 そう一拍置くと、朧は俺を通り過ぎ、銀髪の少女・・・ユークリウッド・ヘルサイズの下に歩み寄ると、ポンっと頭に手を置き、

 

「ユー、久しぶりですね。元気してました?」

 

『朧 探した』

 

 急にラブコメし始めた。

 

 ……とりあえず、

 

 リア充、爆発しろ!!

 




NGシーン

「新大陸発見部なんてどうだ?」

「別の作品が始まっちゃう!?」

「じゃあ、ネギま部?」

「あるの!? あの部活あるの!?」
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