これはゾンビですか?~いいえ、ただの?病弱です~ 作:ハヤテ
皆さん、どうも。朧です。昨日きた少女・・・ハルナと言うらしいですが、あの子はとっても元気ですね。まあ、元気キャラが友紀さんと被っている気がしないでもないですけど。違いがあるとすれば、何故か僕の呼び方が『色白さん』なんですよね。あれ、どうにかできません? 確かに僕は色白くて日焼けなど皆無ですが、それをそのまま、その人物を示す言葉に使うとは・・・予想外です。ええ、まったく予想外です。散々、化け物やらなんやら言われてきたことはありますが、まさか、『色白さん』とは・・・ふう。まあ、いいです。
まあ、彼女は女の子らしい事も出来る様で、料理が得意らしいです。その現場を目撃したのは朝、僕がリポビタン○を飲もうと台所に入ったところ・・・
「ここは、あたしの戦場だ!勝手に入ったりするなよなっ!!」
だ、そうです。困りました。僕は満足な水分補給もままならない様です。ん? リポビタンは水分補給に使う飲み物ではない? 栄養補給のためにある? その通りなのですが、水分補給兼栄養補給に適しているので僕は愛用しているのです。そこ、塩水でいいなんて言わないでください。薄々僕もそう思い始めているのですから。あ、事情を説明したらちゃんと飲ませてくれましたよ?
という訳で、もはや日常の日課と化している学校へ向かいます。ハルナさんの弁当を引っ提げて。あの子、律儀にも僕の分まで用意してくれたのですよ。勝気で我儘に見えても根はいい子の様です。きっといいお嫁さんになりますよ、彼女。
学校に着き、とりあえず自分の席に座ります。・・・あれ? 気の所為でしょうか? 何か若干フラフラしますね。フラフラというか、クラクラ? あ、そういえば昨日は夜更かししちゃってますね。恐らくそれが原因でしょう。そういえば、この身は病弱でしたね。少しの事で体のバランスを崩してしまいます。難儀なことです。
「ふぁ~・・・」
「おっす鑢! 眠そうだな?」
「ああ・・・おはようございます。ちょっと夜更かししちゃったんですよ」
「優等生の鑢が?」
優等生の意味を知っているでしょうか? 僕、明らかに授業態度が悪いので優等生ではありませんよ。
「優等生ではありませんが、普通に寝不足にはなりますよ」
「そうか?」
「そうです」
この人、頭が良い人は寝不足にならないとでも思っているのでしょうか? さもありなん。
そして、こんな眠たい状況下でも普通に授業というものは訪れてしまうのです。
1限目
ああ、クソ眠い。しかし、いくら授業態度が悪いからといって流石に寝てしまうのは駄目でしょう。失礼でしょう。こうして外の景色をぼんやりとみている僕でも、先生の話はちゃんと聞いているのですから。うん、寝ては、いけません。
2限目
奴らは攻めてくる。人の知らぬ間にその精神に干渉し、対象の意識を奪わんと常に隙を窺ってきている。
奴らは死なない。いくらその存在を打ち消そうと、奴らは必ず復活してくる。這い寄ってくる。その名は・・・
「這い寄れ! ニャル子・・・ではなく、ただの睡魔です」
そこら辺にいる悪魔よりよっぽど強いと思うのは僕だけでしょうか?
3限目
あは、あはははは。ほら、見て下さい。あと少しでお昼放課ですよ。
すごいですよね、2限と3限では感じる感覚が違います。前者は『ああ、まだ昼休みは遠い』なのに後者では『おおっ、あと少しで昼休みだ!』ですよ? たった一時間違うだけでこの差は何なのでしょうね?
・・・ところで、眠気と共に寒気も襲ってきたのですけど、何ですかねコレ。眠気は限界に達すると寒気まで発症するのでしょうか?
4限目
かゆい、うまい・・・。
じゃなくて、眠い、寒いですね。うん、僕があんなんになったら軽く世界滅亡でしょうに。七実さんの能力を持ったバイオな生物。・・・あれ? そもそもそのウィルスに打ち勝ちそうな気がするのは僕の気の所為?
・・・ま、まあ、そんな事はどうでもいいのです。とりあえず、寒いし、何か冷や汗も出るんです。何これ、眠いだけじゃ済まないですよね? ・・・そういえば、この身は病弱でしたね。つまり、そういうことですか。
・・・とりあえず、我慢ですね。
そして昼放課。僕はすぐに保健室に向かう事にしました。しかし、残念なことに保健室があるのは一階。此処からではかなり遠い。誰かに頼ろうにも、下村や他の皆さんはお弁当を食べに何処かに行ってしまいましたし、自力でなんとかするしかなさそうですね。
廊下に出て、フラフラしながらも着実に前に進んでいきます。
しかし、そんな時、事件は起きました。
「なん・・・だと」
階段。唯でさえこんなフラフラしているのに階段なんて降りたら絶対に落ちます。断言できます。僕は、階段の14段降りたところでバランスを崩し、真っ逆さまに落ちていくと!! ・・・流石の僕も、頭が割れて脳髄ぶちまけたら死ぬんですよねぇ・・・。
「あ、手摺・・・」
手摺を開発した人に永遠の感謝を。
階段を降りても地獄は待っていました。いや、普通に降りるのって疲れるんですね。
さて、保健室は既に目と鼻の先なのですが、一歩ごとにHPを1削られていく状況では迂闊に行動も出来ませんね。いや、比喩ですよ? ですが、実際もう目の前が真っ暗になりつつあるのも事実なんですよ。
「・・・あ、やば」
もしかしてこれ、ただの睡眠不足ですかね? 睡眠不足舐めちゃダメですよ? 体力も低下しますし、集中力も散漫。そして何より、体調の全てが不調になります。そして、恐らく僕の症状はこれですね。ああ、最近クリスと話しまくってましたからね。少し自重せねば。
「早く・・・保健室・・・」
フラフラする・・・。地面が揺れている気さえしますね。世界が回ります。
「おい、そこのお前」
やけに高圧的な人がいますね。どこの学校にもこういうのはいるのでしょうか? まあ、いたらいたで面白そうですけどね。勿論、観客として、ですが。
「聞いているのか?」
ん? こんな人を無視する強者がいるんですね。すごいです。
「お前だ、今にも倒れそうなお前」
「・・・僕?」
ああ、そうですか。
「そうだ。見たところフラフラだが、大丈夫・・・じゃなそうだな」
「・・・ナンセンスな事を聞いて来なくてこちらも嬉しいですよ」
これが大丈夫に見えたのなら眼科に行くことをお勧めしていましたね。
「・・・お前が良ければ保健室まで運ぶが?」
その提案は本当にありがたいです。自分の脚で立つ事も億劫なので。
「ありがとうございます」
恩人に対して俯きながら礼を述べるのも失礼なので、顔を挙げます。
「なっ!? ・・・いや、なんでもない。引き受けた」
僕は男にしては小柄です。この年齢の男子の平均身長を下回っているので、ぶっちゃけ女子と同じくらいです。なのでこの親切な黒髪ロングさんは僕をおぶって保健室へと向かいました。で、僕は緊張がほぐれた所為なのか、そのまま寝てしまいました。
(うう・・・ん?)
この温もりは・・・ああ、ベットですか。となると、あの黒髪ロングさんは僕をしっかり保健室に運びこんでくれたようですね。感謝です。
「・・・ほう、やはりいいな」
あ、噂をすればなんとやら。横で恐らく黒髪ロングさんであろう人の声が聞こえてきました。
というか、何がですって、わわっ!? 頬を突いてきましたよ!? ついでに頭を撫でてきましたよ!?
「うん、やはり私は君の顔の造形が堪らなく好きだな」
なんか言ってますがどうしましょう!? 僕はどうすべきですか!? え!? なにこの人、痴女? 痴女なんですか!?
というか、顔の造形が堪らなく好きって・・・どういうこと? よくわかりませんが、つまり・・・痴女ってことですか? あ、もしくはメンクイ?
「ふむふむ・・・」
ひゃぁあ!? か、顔を撫でてきた!? しかも触るか触らないかの微妙な感じで!! むずむずする! その所為で変な声出しそうになったではありませんか! 男の嬌声とか誰得ですか! あ、僕の場合声帯もあまり男として成長していませんし(つまり、喉仏が出ていない)、顔も七実さんに激似ですし、まあ、うん。ある人種には得があるのかもしれませんね。
「うむ、素晴らしい」
近いですって!! あと、顔を撫でないでください!! 顔と顔との距離がもう数センチしかありませんよ!!!?
もう、限界です!!起きましょう!!
「ううん・・・あれ? ここは?」
ありきたりな起きた時のセリフです。まあ、寝ていたこと自体が演技ですのでこうでも言っておかないと。ちなみに星川さん?は僕が「う」っと言った時点で顔を引きました。凄い速さです。
「起きたか。体調はどうだ?」
あんなことしていたのによくそんな堂々とできますね・・・。ある意味、尊敬します。
「良好です。それよりも・・・あなたの名前は?」
「む、知らないのか? 自分で言うのもアレだがこの学校では結構有名なのだが・・・」
うん、すみません。全く覚えがないです。
「すみません。僕、新入生ですので、この学校の事情はあまり・・・」
「成程な。まあ、今から覚えてくれれば問題ない。星川輝羅々《ほしかわきらら》だ。以後よろしく頼む。」
「鑢朧です。譲許から察するに、看病していてくれたのですか?」
「ああ、保健室に教員もいなかったしな。放っておくのもアレだろう? 運んだのも私だしな」
「・・・ありがとうございます」
クソ! 僕が起きる前のあんな事柄がなければ素直にいい人ってことで納得出来たのに! ・・・まあ、実際いい人なんでしょうけど。
「いや、構わんさ」
「そうですか。あ、僕はもう帰りますね。もう昼放課も終わってしまいますよ? そろそろ教室に戻らないと授業に遅れるのでは?」
「・・・そのようだな。では、私はこれで。お大事に。」
そういうと星川さんはカーテンを開けて出て行きました。・・・今度はカーテンを閉めていきませんでしたね。
「あ、そうだ」
出ていったと思ったら、ひょっこり顔を出してきました。なんでしょう?
「私はお前の顔の造形、好きだぞ」
「へ? あ、ああ、そうですか」
「それだけだ」
・・・? 一体、何だったのでしょうか? まあ、顔の造形とはいえ、好きといってくれるのは人間ですから嬉しいと言えば嬉しいのですが・・・はて?
プルルルルルルルッ
そんな考えを張り巡らしていると、不意に電話です。何なんでしょう?
「もしもし、朧でs――」
『『死神』か?お前に仕事を依頼する』
あー、『お仕事』の話ですか。
『ある人物の抹殺を依頼したい』
「・・・まあ、いいですけど。で、その人物の容姿、特徴、喋り方、そして、名前を教えてください」
『名前はセラフィム。容姿は長いポニーテールで、身長は167cm。よく「気持ち悪いです」「クソ虫」などと言っている。戦い方は木の葉を手裏剣や剣にして戦う。忍術は雷を扱うらしいがそこまで得意ではなく、剣術のほうに注意してもらいたい。特にスピードには要注意だ。以上』
ふむ、今までのお仕事とは一味違いそうですね。
「分かりました。最後に1つ。その方を殺そうとする目的は何ですか?」
『われらの計画において邪魔だからだ』
「・・・なるほど、分かりました。お引き受けします。報酬は30万円です」
『ふっ、噂には聞いていたが、本当に格安で依頼を引き受けるな・・・。ああ、成功した暁にはその報酬を約束しよう』
まあ、生活できるだけのお金があればいいですしね。ちなみに、30万円というのは3人に10万円のおこずかい、というわけで30万円です。ああ、3人というのは。ユー、歩、ハルナのことです。え?僕の分ですか?皆の残りカスです。まあ、もっとも、ユーは全く、とは言いませんが使いませんから、それを少しお借りする感じですね。500円ぐらい。
それにしても、久しぶりの依頼ですね。僕のお得意様とは違いますけど、まあ、なんとかなるでしょう。
ま、とりあえず、早く教室に戻りましょうかね。
NGシーン
「お前の顔の造形が好きだ! 結婚してくれ!」
「付き合うならまだしも、結婚とはこれいかに」