短編BOX   作:John_Doe

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 祖国を取り戻し、世界を平和に導いた英雄である亡国の王子は、それを期に王位に就く。
多くの女性と関係を持ってしまったが、皆と仲良くやれていた……だろう。
そして、国を治め、子を生し、年を取って死んだ。
大往生であった。
そして彼は再び生を得る。
前世とは比べ物にならない平和と、文明を築き上げた現代の日本に。
彼の名は藤丸立香。
後に人理を救う英雄となるただの一般人……ではなく、その魂は英雄であった。

 アムリタ65536氏作異界特異点 千年英霊戦争アイギスを拝見して思いついたモノです。
Fate/Grand Order 千年戦争アイギスのクロスオーバー作品です。



その魂は、英雄であった

 藤丸立香はあまり喋ることは無い。

凡その返答は首を縦か横に振るばかりである。

彼は剣道を学んでいた。

大会で活躍する程の腕では無いが、体力だけはあった。

彼は勤勉だ。

どんな科目も貪欲に勉強し、知識を吸収していった。

平和な日本のどこかで、昔を懐かしみながらも今の生を謳歌する。

彼は俗に言う転生者であった。

こことは違う世界で、亡き国を取り戻し、その世界の平和を取り戻した人間、その魂が宿ったのが藤丸立香である。

街を歩く中で唐突にスカウトを受ける。

それは人理継続保障機関・カルデアなる国外の団体であった。

卒業間近、貪欲に励んだ勉学も、剣道も、どうにもピンと来ることが無く、少しばかり無理を言って旅に出ることを今生の両親から許可を得た矢先の事である。

直ぐに了承し、資料を貰って家に帰る。

旅の行き先として、この機関へ行くことを告げるも、難色を示されるが、今まで我侭らしい我侭といえば、旅に出ることくらいしかなかった彼に両親は折れて許可を出す。

 

 そしてやってきた雪山、標高6,000メートルにある人理継続保障機関・カルデアの入り口。

寒さに震えるも、前世で体感したであろう寒さには匹敵しないものであった。

通路を進むと、前世でも見たことのない生物がやってきた。

その獣は『フォウ!』と一鳴きすると、そのまま何処かへと行ってしまう。

そして彼は運命の再会を果たす。

少女の名前はマシュ・キリエライト。

デミ・サーヴァントとして設計されたデザイナーベビーであり、カルデアの職員でもある。

そしてその魂は彼と関わりの最も深い女性『政務官アンナ』であった。

 

「私の名前はマシュ・キリエライト(アンナ)です。漸く、逢えましたね、先輩(おうじ)

 

 彼は48番目のマスター候補、一般人の素人枠で連れられた、ただの数合わせであった。

普段は居眠りなどしない彼であるが、今生ではいくら体力があったとしても、あの雪山の登山は堪えたらしく、所長の説明時に眠ってしまい、部屋から叩き出された。

それが運命を分けた。

起きる爆発、愛する人の死に逝く様。

 

「折角、また逢えたのに……せめて最期に、手を」

 

 愛しき人の手を握り、燃え上がる炎の中、彼はレイシフトする。

それが彼が再び英雄となる旅路の始まりであった。

 

「サーヴァントセイバー、来たわ。ふふふ、また貴方と一緒に居られるのね王子(マスター)。ずっと、ずっと一緒よ? もちろん、アンナも一緒に、ね」

 

 それは国の為に婚姻した他国の姫、二番目の女性、『プリンセス』シビラ。

 

「宝具開帳……この斬撃、避けること叶わず。私の意思に応えなさい! 魔剣――応えるモノ(フラガラッハ)!」

 

「また、貴方は世界を救おうとするのね。いいわ、私も力を貸してあげる。当然よ、私は貴方の妻なんですから」

 

「ふふ、貴方もまた剣を持つのね。嬉しいわ。あの時を思い出す……けれど、今の貴方はただの人、どうか私に守らせて」

 

 

「サーヴァントランサー、参上したであります! 貴方が王子(マスター)でありますか!? また、マスターをお守りさせて欲しいであります!」

 

 それは妻の妹、『ロイヤルオーダー』パテル。

 

「あ、姫ねえさま! 姫ねえさまも既にいらっしゃったのでありますか!? え? 遅い? 申し訳ないであります……」

 

「ワタシの槍、姫ねえさまとお揃いの魔槍……喰らうであります! 魔槍――全てを貫くモノ(ゲイボルグ)!」

 

王子(マスター)、おはようであります。何をしているかって、ワタシは見ての通り、稽古の最中であります」

 

 

「サーヴァントボクサー、参上しました。王子様(マスター)、私の一番大好きな人、これからは私も傍に居させてください」

 

 それは側室の姫、『拳聖』アリス。

 

「私の大好きは、これから先もずっと、王子様(マスター)……貴方だけですよ? だから、ずっと隣に居てもいいですか」

 

「いきます! スゥ……ハァ……!! 獣王爪大旋風!!」

 

王子様(マスター)、世界にはやっぱり強い人は沢山いるのですね。とても、嬉しいです。これも王子様(マスター)に喚ばれなければ体験できなかったことです……本当にありがとうございます」

 

 彼が召喚出来る英霊は、前世で関係を持った女性ばかり!

彼の明日はどっちだ!?

まぁ、前世でも上手くやれていたのだから、今生でも大丈夫であろう。

 

「ねえ、立香君。君の召喚した英霊、文献も情報も、何も無いんだけど。どうしてかな? ちょっと、顔を逸らさないで! 何か知ってるんでしょ!? 教えてよ、立香君、立香君ってば」

 

 ロマニ・アーキマンの苦労は絶えない。




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