オリ主、憑依系注意。
気がつけば存在していた彼の事が他者には知覚されないと知った時の衝撃と言う物は、あまりにも大きいものだった。
人は彼を『
だからこそ、それ以上の衝撃など人生で再び受けようものなどとは考えていなかった過去の自分を笑ってやりたい気にもなる。
それ以上の衝撃、それは彼女の姿とその名前を確認してしまった時に全身に駆け抜けた雷撃のような衝撃である。
それと共に、
このことから彼女に興味を持ち、友人の一人となる切欠でもあっただろう。
彼女と友人となって過ごした日々は平々凡々な日常であったが、楽しいものでもあった。
そんな友人以上恋人未満な彼女との日常は、彼女が海外へ行ってしまう事を切欠に終わりを告げたのである。
彼女が飛び立ってから幾日か、眠る前にふと脳裏を過ぎった笑いながら泣いているかのような彼女の顔が目蓋に焼き付きながらも微睡んだ。
微睡みから覚めれば、見知った天井ではなく空を見上げていた。
夜なのか星空が見えるが、やけに赤らんだ空である。
そして感じたのは熱、焼けるような熱さに身を焼かれているようにさえ思えた。
ふと持ち上げた右腕が視界に入れば、そこに見えたのは肉のついた己が腕ではなく黒ずんだ白い物体、即ち骨であった。
驚きに飛び上がるかのように身体を起こせば、肉体の重みを感じずに軽い身の感覚とカラコロと音を鳴らす頭蓋の感覚である。
『どうやらお前はスケルトンか何かになってしまったようだぞ』
見慣れた彼が笑いながら伝えられた事実に笑いながら応えようとするも、カラコロと骨が鳴らす音しか出ない。
自身が自身であるという感覚はあるものだが、恐らくは夢なのだろう。
足に感じる地の感触や、燃え盛る周囲から発する熱気が己が身である骨を熱する感覚は消えることはないのではあるが。
この夢から目覚めるにはどうすれば良いだろうかと良き隣人に問いかける。
『私にもわからん』
仕方なしに倒壊したビルの燃え盛るこの見知らぬ街だった場所を歩き回ることにする。
進めど進めど似たような景色ばかりで、どこもかしこも燃え盛るばかりで人の一人すら見かけることも無い。
『まぁお前の姿を他者が見たとしたら、驚き逃げ出すなり襲い掛かってくるやもしれんな』
にべもなく笑う友を尻目に、まるで亡者にでもなってしまったかの如く歩き回れば漸く同族らしき骨を見つける。
その手には弓と矢を持ち、こちらに気づいたと思えばその弓をこちらに向け矢を番えてゆっくりと引く動作に見入ってしまう。
『おいおい、暢気に眺めている場合ではないぞ? ほれ、あの矢はこちらに飛んでくるぞ』
言われて見ればその矢の穂先は明らかに自分に向かっている。
そして放たれた矢は軽快な音と共に此方を殺そうとする脅威と化す。
瞬間、世界がゆっくりと動き出したのかはたまた思考が加速したのか、飛来する矢の速度が劇的に遅くなったように感じ、右手に盾、左手に実直さを感じる剣が突如として現れる。
そんな物を現代日本に生きてきた自分が使う機会などありえる筈がなく、使ったことなども無い筈であるのにも関わらず自然な動作でゆっくりと飛来する矢を右手の盾で弾き飛ばす。
その直後、一陣の風になったかの如く、弓を持った骨に駆け出して左手に持った剣を叩きつける。
弓持ちの骨にその剣戟を防ぐ術も避ける技術もなく、ただの一撃でその身を粉砕し身に感じた世界の遅延が解除される。
『驚いたな、武芸など習ったことなどないだろうに。無論、私も経験していないのではあるが』
そうなのであるが、この身体が、骨となったこの身体が恐らく生前(?)の武芸を覚えていたのであろう。
だという予測が立つというのにも関わらず、どことなく懐かしさを覚えずにはいられない身体の動きであった。
そんな様々な感覚に戸惑いつつも動き出そうとすると、周囲からカランコロンと複数の音が近づいてくる。
『どうやら囲まれたようだな、それおかわりだ。たんと召し上がるしか無いようだ』
多数の骨は、自身に現れた剣と盾とは比較にならない程度でしかないボロボロな代物を持って現れたが、例えそれらがボロボロであったとしても鈍器程度の役割を果たせれば、我が身にとっては十二分に脅威となる。
よくわからない夢の中で何故自分は戦わねばならないのだろうか、だが戦わなくてはならないのならばただでは死んでなるものかと我が身に宿った闘争の心得のままに自身を囲う骨共に立ち向かう。
振りかぶられた剣は盾で逸らし、横薙ぎに剣を振った骨を切り捨てる。
飛来した矢を盾で防ぎ、その隙を狙って突きを放ってきた槍持ちの骨を打ち砕く。
そのまま駆け抜け次の矢を引き絞る骨をその弓矢ごと叩き切る。
どれだけの時間が経っただろう増え続ける骨、積み重なる骸、山となったその上に自身は立っていた。
自身を囲んでいた骨たちは既に自身の下にある山の中で動くこともなくただ積み重なるのみである。
命の危機(?)に瀕したであろう自身に疲れなどは無く、再び亡者の如く歩き回る羽目になるのだろうと考えるのも束の間、響き渡る人の悲鳴。
その甲高さから、悲鳴を上げた人物は若い女性であると伺えた。
不意に微睡みに落ちる前に思い浮かべた彼女の顔が頭を過ぎるが、あのような悲鳴を発するほど柔な女では無いと
向かった先に見えたのは、同年代に見える灰髪の女性とその女性を追いやる槍持ちの骨である。
『あれはオルガマリーか? そうだとしたら笑えない冗談だ。此処は特異点Fで冬木市だとでも言うのか』
何かを知っていそうな相棒に問いかける間も無く、彼女を助けようと駆け出す。
彼女の瞳が自分を捉えたのか、その顔が一瞬絶望に染まるも彼女の唇が動き出せば彼女は腕を上げて此方に手の平を見せる。
虚空から現れたのは黒い球体、それはまるでゲームに登場する魔法か何かか。
『狙うなら此方ではなくあちらだろうに、随分と余裕が無いようだな。相棒、あれには当たるな兎に角避けろ』
助言に従い
そんな彼女の横を駆け抜け、彼女を貫かんとしていた突きを盾で無理やり弾き飛ばす。
そして崩れた槍持ちに斜め下からの切り上げ一閃、骨を破壊した。
助けた女性を確認しようと振り向けば迫り来るのは面。
それは身を隠せてしまう程の大きな盾、十字をあしらった独特な意匠の丸盾である。
『マシュ・キリエライトか!? ならば彼女も……いるな。喜べ相棒、彼女は無事みたいだぞ。これからも息災であるとは限らんがな』
その一撃は骨となってしまった自身を粉砕するには十分な威力であった。
零れ落ちる頭蓋が最後に捉えたのは、自身を粉砕した大盾を持つ際どい格好をした少女と自分が助けた女性、そして海外へ飛び立った筈の友人である彼女であった。
そして、自身の意識は途切れた。
これなら幾らでも書けそうじゃないですかね!!!(死亡フラグ)