前話の元ブラック鎮守府に着任させられた件についてを肉付けしたモノです。
書きながらにして、書き物ってこうやって作るのかな? と思った次第。
話の流れは前話とほぼ一緒なのですが、肉付けした場合はどのように感じるのでしょうか?
面倒くさい、その一言に尽きる。
自分の自意識が覚醒した時には既に同姓同名かつ、自身が幼い頃に鏡で見た、成長後も残った写真で見慣れた自身の姿に戸惑ったこともあるが、暮らす地域が全く異なる上に、父母も家族構成も違ったことから、自身が転生したことに気づいた。
前世とは代わり映えの無い文化の日本国内に生まれたものだと思っていたのだが、突如深海棲艦が出現したことによりまさかの艦これ世界への転生だということにようやく気づくことになる。
せっかくの二度目の生を謳歌していたというのに無粋だと思いつつも、なんやかんやで提督たちがなんとかするだろうと楽観視していたのだが、一向に良いニュースは届かず悪いニュースばかりが上ってくる。
あれよあれよと生息圏は狭められ、敗戦に続く敗戦によって兎に角提督の数を増やそうとする政策によって提督適正検査が残った国民全員に実施されたものの、自身の結果は適正無し、かといって2次創作でありがちだった妖精さんが見えるなんてこともない。
それでも増えた提督たちがきっとなんとかしてくれるだろう、そう思って内地でのんびり生活していたのだが、敗戦アンド敗戦によって狭まった生息圏はさらに狭められるハメになる。
笑うに笑えない冗談のレベルな世界に戦々恐々とするハメになったある日、海軍が我が家に乗り込んで来た。
手渡された一通の手紙にはこう書かれていた。
『神託が下り、貴殿を横須賀鎮守府第392支部の提督として任命す。ついては大本営までこられたし』
そして乗り込んで来た海軍兵にそのまま連行されることになる。
わけがわからないよ……という感想が頭の中に浮かんだまま大本営へ到着すれば、どう足掻いても偉い人が居るだろうとすぐにわかるような作りの扉の前まで連れて来られた。
入室を促されて入室すれば、見まごう事なき偉い人オーラを醸し出した元帥閣下が某ゲンドウさんのポーズを取ってこちらを見ていた。
「神託が下った。君には横須賀鎮守府第392支部の提督に着任してもらう。拒否することも可能ではあるが、その場合は……言わずともわかるかね」
有無を言わさぬであろうその言葉に沈黙、長考、そしてYES。
面倒くさい、その一言に尽きる。
「うむ、では彼をあそこへ」
その言葉と共に更に連行される。
流れに流されどこまで行くのか、この先生きのこる為だから仕方が無いといえば仕方が無いのだがやはり、面倒くさい、その一言に尽きる。
そしてたどり着いた横須賀鎮守府第392支部、案内役かおそらく大淀らしき女性が門前に佇んでいた。
連行してきた海軍兵に背を押されてつんのめりながらも彼女に近づくと、冷たい視線と前世とは違った冷たさを感じる声が届く。
「貴方が新しい提督……では無いのですね。しかし、こちらも軍務、ついて来て下さい」
どこか印象がおかしい彼女に案内されながら、支部内を練り歩くわけだが、如何せんすれ違う艦娘たちの反応が悪い。頗る悪い。
執務室まですれ違った艦娘らに挨拶しながらやってきたのだが、冷たい視線だけが返ってくるなら可愛い方で下手な奴は殺気らしきものが篭った睨みを利かせてくるレベルまで居た。
大淀が執務室をノックすれば、返答があり入室する。
「フン、貴様が新たな提督か――いや提督ではないな、提督もどきか。ならば尚更だ、新しい提督なんぞ要らぬ、この長門がこの支部を支え、この日ノ本から奪われた土地も海も取り返す。だから貴様の様な提督もどきなんぞ要らん、去ね」
唐突にディスられる僕、この感覚どこかで感じたことがあるような気がしたので脳内検索をかけた結果、前世で読んだ2次創作みたいな流れだなということに思い至り、以前の提督について問答してみる。
「あのような者に率いられた事が間違いであった」
「我々を使い捨ての道具と同様に切って捨て続けた」
「我慢ならん、だから新しい提督だろうが、貴様の様なもどきだろうが認めてなるものか」
なんだかんだと言いながら返って来た長い口上を要約したのがこの3つである。
つまり、元ブラック鎮守府って奴ですねわかりますといった具合だったので、真面目な奴だとしたら和解を試みようとするかもしれないが、こちとら面倒くさがりな上に生き死にが懸かった瀬戸際であるからしてそんなことをしている暇もない。
それ以上に初対面の人間に対してこうまで敵意マシマシな態度を取られれば、こちらとしても嫌になってしまい関係修復を考えることすら選択肢から除外されるのが当然の帰結ではなかろうか。
しかしながら、ここではYESと答えて去れば死ぬしかないのでは状態に陥るわけなので、こっちも勝手にやるからそっちも勝手にやってクレメンス、ただし建造と入渠はやらせてもらうからといった所を落としどころとしてなんとか承諾させる。
嗚呼、本当に面倒くさい。
「大淀、このもどきを先ずは工廠まで案内してやれ。……この日ノ本を救うのはこの長門だ」
去り際に吐かれた自信有りげな言葉に辟易としつつ、機械的に案内してくれる大淀につれられ工廠にたどり着けば当然の如く明石がいたのだが、わかりきっていたこと睨まれて膨れっ面になるからどうしようもない。
最低限の資材を使わせて貰い(本来は自分の着任に合わせた物資の補給だが横領された)3艦建造する。
曙、大井、響が着艦するのであるが、どうにも先の2人の反応が芳しく無い。
無論、自身に提督の適正が無いことが原因であるかもしれないのだが、それ以上に反応が悪いのは気のせいだと思いたい、思いたかったが、大淀の一声によってその思いは打ち砕かれる。
「それでは貴女方の提督……はこの方です。尚、拒否することも可能ですが如何でしょうか」
「クソ提督どころか、提督ですらないじゃない! そんなのこっちから願い下げよ」
「ええ、そうですね。私も非常に不快なのでお断りさせて貰います」
「……」
「ではお二人は明石に案内してもらってこちらの寮へ入ってください、では提督……それから響さんはこちらへ」
早速2人が離反するとかもうダメ。
もうダメな感じしかしないわけだが、まだ響と言う不死鳥の名は伊達じゃない子が残ってるから大丈夫だと思いたい、きっと、多分、めいびー。
僕が前世で恋した響、君だけが頼りなんだ頼む、そんな悲しみに明け暮れながらたどり着いた自室前にて職務だからと割り切って案内してくださった大淀さんと別れる。
扉を開けて目に入った光景に言葉を失った。
荷物も部屋も荒れに荒らされ、部屋が部屋としての機能を失い、修復を試みるのが時間の無駄であると思わせる程の具合であったというか、修復することが面倒くさい状態にまでなっていた。
あ、やっぱりこの展開って前世で読んだことがある2次創作みたいだ、なんて思いつつも荒らされた荷物の中で何故か無事だったキャンプセットを手に取り、後ろで佇んでいた響に語りかける。
――響、君だけが提督としての能すらない僕の元に残ってくれた、今はそう思うことしかできない。だから問う、君は僕とこの国の土地と海を……否(いや)、
彼女に向けて差し出した右手、その手を彼女は取ってくれた。
「響だよ、不死鳥の名は伊達では無いってことを
後々考えてみれば、騙して悪いがとその右手が捻り切られていた可能性もあったのだが、切羽詰りすぎていた自分にはそんな考えすら思い浮かばないわけで、結果として彼女が手をとってくれたのだから問題は無いだろう。
そこから僕たちの戦いは始まった。
支部の端の端にキャンプを組み立て、ここを支部臨時執務室とする宣言を声高らかに宣誓して響から疎らな拍手を貰う。
一先ず練度なんぞわからないし見えもしないが、ゲーム的に考えて練度を上げる為に鎮守府近海で近海警備を行い続けることにするのだが、敵の偵察艦を捕捉しない日は一日たりとも無かった。
リアルな世界的に考えれば、鎮守府の近海で散発的に偵察兵を捕捉することが有るといった具合が正常なのだろうが、この世界においてはその限りでは無いらしい。
調べてみれば、どうやら長門も他の支部の提督らも盲目的に海域を取り戻すことに固執して足元が見えていないらしく、奪われた海域と生息圏を取り戻そうと先の域に突撃を繰り返しているようである。
そりゃこれだけ近海に偵察兵がワラワラと居れば、相手方に情報は筒抜けだろうし、どんなに頑張っても海域を取り戻すことなんぞ不可能であると言えてしまう。
馬鹿なのかなとは思いたく無いのだが、ここまで狭まった生息圏を思い返すと、もしかしたらばこの世界の全ての人間が主人公よりもお馬鹿な残念世界という前世で見てしまった衝撃的な書き物的なサムシングを想起してしまうあたり、僕の心は大分やられているようである。
閑話休題、響が近海警備を行い敵艦の索敵をした後、交戦せずに帰艦することを続けていた(敵の情報を収集することで、作戦時のリスクを減らすための訓練でもあるとしてやらせていた)ある日、不意を撃たれて応戦、辛くもそれを撃破する事態が発生した。
中破の状態で帰艦した響の姿にてんやわんやする僕を尻目に持ち帰って来た資材をこれ見よがしに見せ付ける響のドヤ顔に安堵の息を吐く。
曰く、敵の補給物資を奪取したとのこと。
リアルと化した艦これ世界には艦娘のドロップが無い代わりに資材がドロップ(意味深)するようである。
それからと言うもの近海警備中に交戦してしまった際に持ち帰る資材を貯めては艦娘の建造を試みるが、建造直後に離脱する艦娘の多いこと多いこと。
心が折れそうになるが、そもそも提督の適正自体が無いのだし、響が一緒に居てくれることが奇跡なので、回せば出る的な思考の元に建造を繰り返していく。
近海警備と建造を繰り返し続けたある日、ようやく新たな仲間が僕の鎮守府(仮)に加わった。
響の姉妹艦である電である。
――提督適正の無い僕なんぞを認めてくれるのかい?
なんて下らないことをあまりの驚きに彼女に問いかけてしまうが、
「私の
こうまで言われてしまえば引き下がるしかなく、仲間が増えたキャンプ地で共に暮らすこととなった。
共に暮らすことになったと言うのもおかしな話であるが、実際にそうなのだから仕方がない。
経緯を語るとすれば、初期の初期頃は自分一人でキャンプ生活を送っていたのだが、数日後に響が僅かな荷物を持ってキャンプ地へとやってきたのである。
どうしたのかと問えば
「寮の居心地が悪いんだ、だから私もここで暮らすことにしたよ。入渠する時だけは我慢してあちらへ行くけれど」
との事であり、艦娘も人間みたいなもんなのだなぁと思ったのは記憶に新しい。
そんなこともあったので、数日過ごして居心地の悪さを感じるよりは最初から一緒に生活しようぜ的な案を響から出されたので、そうやっていく運びとなった。
電が増えたことにより、近海警備だけでなく、1対1の訓練やら、遠征もできるようになり、ローテーションで休息が取れるようになったので効率が上がり始めた。
効率が上がれば時間も早くなり、貯まる資材も増えるわけで、建造の回転数も上がり、続けて仲間が増える。
メロンではないけど可愛い夕張、運良く建造出来てしまった上に最速で逃げ出さなかったぜかましこと島風が僕の鎮守府へと所属してくれた。
艦が4艦となり、そろそろ建造は戦艦やら空母狙いにしようと資材を貯めることにする。
ローテーションで近海警備、訓練、遠征、休息を繰り返していたある日、キャンプ地に長門が乗り込んで来た。
「長らく支部で貴様を見かけぬと思っていたが、まさかこのような所に篭っていたとはな。さっさと去ねば良い物を」
わざわざ嫌味を言いに来たらしいが、そんな暇があるのであれば彼女自身が口にしたお国のためにさっさと海域を開放する努力をして欲しいと口にしたくなるが、私もいい大人(前世含めた加算年齢による)なので黙って聞き流す。
黙って相槌を打つだけの機械になっていたのだが、どうやら彼女は満足したらしく去り際に前と同じ台詞を吐いて支部へと戻っていった。
誠にご苦労なことであると呆れ返るほかなかった。
ご大層な事ばかりをのたまうのだが、相変わらず先の海域に突撃しては玉砕するという行為を繰り返しているため、未だに戦果は上がっていない様子である。
馬鹿なのかな、馬鹿なんだろう(クソデカ溜息)
資材も貯まり、そろそろ建造を再開するかと工廠へ行けば、塩対応の明石に迎えられる。
いい加減慣れたが、やはり悲しいものがある。
「また性懲りも無く建造ですか? どうせ離反されるだけなんだからさっさと消えてくれればいいのに」
そんな事言ったら残ってくれてる艦娘はなんなのよという話になるわけだが、無駄な問答はしたくもないのでさっさと戦艦と空母のレシピで2艦分ずつ建造させる。
妖精さんがいるのはわかっているのだが、目に見えていない状態で建造風景を見ると、唐突に資材が浮いてドッグの中へと放り込まれる様は奇妙なものである。
それ以上に虚空に向けて指示を出している明石がいるだけでも常人なら恐慌してしまうかもしれない。
ささっと済ませるために高速建造材を投入すれば、突如として資材が燃え上がり眩い光を発する、それが人の形へと変化して光が消えた先に現れたのは4艦。
「航空母艦加賀です。貴方が私の
「瑞鳳です。軽空母だけど、練度が上がれば正規空母並みの活躍をお見せできます。よろしくね、
「帰国子女の金剛デース!
「高速戦艦榛名、着任しました。貴方が私の
普段であれば、建造直後に殆どの艦が離反すると言うのにも関わらず、今回は建造した全艦が僕について来てくれるようである。
あまりにも珍しいことが起こったせいか、明石の開いた口が塞がらないようだが、それをスルーして新たに仲間になった加賀、瑞鳳、金剛、榛名をキャンプ地まで連れて行く。
こんな所で生活しているのなんで? といった風の4艦に経緯を説明してみれば、提督ラブ勢の金剛さんがブチ切れ金剛と化して支部へと駆け出そうとしたが、響にアイコンタクトを送って転ばせ、他の艦で取り押さえるといった珍事も発生したが、それは余談である。
僕についてきてくれる艦が8艦になったので4艦ずつで艦隊を組むことにより索敵重視から会敵重視の近海警備へとシフトすることで、似非提督業の効率が上昇した。
提督の適正を持った人間には所持艦娘の練度が数値化されて見えるらしいが、提督適正無しと判断された僕には見えないまま鎮守府近海で修練をしていたわけである。
そんなある日、唐突に響たちの頭上にLVが数値化されて見えるようになった。
なんで?
不思議に思っていたところ、頬を突かれる感覚と肩に幾許かの違和感を覚えたことからそちらに目を向けて見れば小さな女の子が僕の頬を指差していた。
つまりは妖精さんであり、提督適正無しでは見えない筈の彼女らが見えているということになる。
なんで??
妖精さん曰く、提督適正検査は一定以上の規格持ちを識別するだけであり、人類は皆少なからず適正はあるが、僕のように初期値が低い場合は艦娘に受け入れられなかったり、妖精さんが見えずに不可思議現象を目の当たりにして色々とやられてしまう事が多いらしい。
それらを乗り越えて艦娘との親和性を高めた結果、提督適正も上昇して妖精さんたちも見えるようになったのが君であり、つまり君はMなんだよとまで言われてしまう。
やめて?
晴れて本当の提督になったのではあるが、この鎮守府というか支部は使い物にならないのは明白である。
とりあえずは大本営に妖精さんが見えるようになりましたよ報告でもしておくしか無いかと思い支部へと足を向けるが、ここで妖精さんから思わぬ提案が入る。
「奪われた鎮守府を奪還しましょ」
その言葉に呆然とする一同、僕自身も皆に目を向けると響の練度が18、次いで電が14、夕張と島風が11で残りの4艦に至っては10に届いていない状態であり、練度が足りないのではないか。
僕は訝しんだ。
僕の怪訝そうな顔を見た妖精さんは手に持ったステッキを響たちに向けて一振りした途端、響たちが発光する。
あまりの眩しさに目が眩み、必然的に目を閉じてしまい、光が消えたことを感じて瞼を開いてみれば、そこにいたのは急激に練度が上がった響達であった。
響の練度40を筆頭に、33前後の練度まで上昇し、8艦共に第一段階の改装が行われた状態になっていたのである。
なんで???
混乱した僕の灰色の頭脳が導き出した答えは、僕の仲間になってくれた艦って前世のゲームでかなりお世話になっていた艦なのではないかという発想に思い至るが、もうよくわからないので僕は考えることを止めた。
支部の執務室へ向かう、何故なら大本営への通信機があるのがそこだけであるからだ。
正直、執務室に居るであろう長門と大淀には会いたくないものだが、通信機がある場所がそこだから致し方ないのだ。
相も変わらず、すれ違う艦娘たちの視線はよろしくないものが多いがいい加減慣れてしまったのでスルーするのだが行く手を遮られてしまう。
「クソ
「珍しいですね
現れたのは最初期に離反したあの曙と大井であった。
非常に邪魔なのだが何か用事でもあるのかと問うて見れば、提督として認めてやるから私たちを仲間に加えなさいとのこと。
お、そうだな、今後のご活躍をお祈り申し上げますとだけ伝えて、再び執務室を目指す。
正直言って今更過ぎるし、リアル世界でそんなことされてもなぁ……と心が萎えてしまうのもリアル世界特有のアレであろう。
執務室に辿りついたのでノックノックこんにちは。
初めてこの支部の執務室に入った時と同様に、執務机には長門が座って提督業を勝手に代行していた。
大本営に連絡を取るために通信機を借りると告げ、通信機を使用する。
妖精さんが見えるようになり、提督として毛が生えたレベルくらいにはなったと言う事、妖精さんからの要請により、ここより一番近い奪われた鎮守府を奪還しに行く旨を大本営へと伝えたところ、元帥閣下が直々に通信機を取られた挙句
『うむ、では君にそれを任せよう。指令書は追って届ける、鎮守府を奪還した後再度通信を送れ』
と呆気なく許可を出された次第だが、大本営との通信が切れるや否や提督アンチな長門さんが憤慨し大声を上げ始めた。
「そんなこと、今日まで提督もどきであった貴様なんぞにできるわけなかろう! それ以前に提督になったばかりの者がそのような任務を受けられるとでも思っているのか? 恥を知れ」
やんややんやと騒ぎ立てる長門さんを尻目に、この支部に来てから鍛え上げられてしまったスルースキルを使い
――失礼しました。
とだけ残して執務室から退出する。
キャンプ地にたどり着けば後は旅立ちの準備をするだけだ。
少ない荷物を纏め、持てる限りの資材を夕張に持ってもらう。
ドラム缶4積は伊達じゃないということを教えられている気分である。
これより向かうは死地である可能性が高すぎて困るのだが、死ぬ気はさらさら無いし、近辺の鎮守府であれば上がった練度でもなんとかなるだろう、勿論油断は出来ないのだが。
海路ではなく陸路で奪われた鎮守府へ向かう。
沈黙のままに進む中で榛名がぽつりと零す。
「良いのですか提督。仮にも彼女たちだって提督の鎮守府の艦娘じゃないですか……」
嗚呼、そうであればどんなによかった事だろうか、楽だった事だろうか。
こんなにも面倒くさいことをしなくて済んだのかもしれないが、今僕と共に戦ってくれると言ってくれたのは君たち8艦だけ。
あそこに残ったのは僕の鎮守府に所属しているというだけの艦娘であり、苦楽を共にしてくれる仲間ではないのだから。
――良いのさ、僕の艦娘は今のところ榛名たち8艦だけ。今は君たちが居てくれるだけで十分だ。
なんて青臭いセリフを皆の顔を見ずに吐けば、後は歩くのみである。
ちょっとした気恥ずかしさで耳が赤らんでいることに気づかないのは本人だけか、目指すは奪われた鎮守府。
僕たちの戦いはこれからだ!
と言わんばかりの勢いで歩を進めるのである。
ところどころに他者様作品のパク……がありますが、アレ好きです。
知らなくても面白いと思えるので是非読んで読んで(具体名は何故か上げない)