色々と拙いところがあるかもしれませんが、その時はぜひともアドバイスいただけると幸いです。
それでは、本篇です。お楽しみください。
…少年は非常にひねくれていた。
小さいころから本ばかり読み、成長してからは勝負に明け暮れる毎日だった。
その生活を続けるうちに、誰も気付くことなく彼は歪んでいった。
他人を尊重し、正々堂々とした騎士道精神こそ持ちつつも、どこか他人が墜ちていく姿を喜んでいた。
しかしまっとうな人間性も持っていた彼は、愛しい故郷を離れ、一人流浪の旅に出る。
…少女は非常に自我が薄かった。
悪徳から産み落とされ、過去の産物に埋もれながら機械的な感情を得ていった。
その生活を続けるうちに、誰にも気づかれることなく彼女は礎となった。
他人のことも知らず、システム通りに、世界の秩序を守り続けた。
しかし影が悪徳を支配し、世界をも得ようとしたとき、少女は一人異世界へ飛ばされた。
…これは壊れた世界を、愛しい故郷を取り戻すための少年少女の物語。
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テレビで言うならゴールデンタイム、24時間で言うなら20時。
レオ・デュエル・スクール…通称LDSの練習場。
融合コースジュニアユース主席、光津真澄は一人、デッキの構築を考えていた。先日、遊勝塾でのデュエルで彼女は柊柚子と対戦し、勝利を収めている。しかし、ペンデュラムカードを扱う榊遊矢にだけ、LDSチームは勝つことができなかった。
もし自分が対戦するならば、どうやって戦うか…。真澄はその日からペンデュラムカードへの対策を考えていた。
(Pカードは魔法カード扱い…「サイクロン」を使えば破壊できる…。でも一枚破壊した所で、新しくPカードをドローされたらP召喚に繋げられてしまうわね…。)
デッキをモンスター、魔法、罠に分けて並べ、自分の持っているカードを確認しながら思案する。
「あぁ…『大嵐』か『ハーピィの羽根箒』あたりがほしいわ…」
「でも前者は禁止、後者は超レアカードだからな。難しいだろうよ」
「そうね…って、え?」
どうやら考えているうちに声に出ていたようだ。…それよりも彼女が驚いたのは、いつの間にか後ろで同い年ぐらいの少年が立っていたことだったが。
「…なるほど。『ジェムナイト』か。自身の効果でサルベージのできる専用融合で、ステータスは低いけど多様な効果を扱える融合モンスターを並べられるデッキだな」
灰色のコートの下に高そうなブレザーを着込んだ少年は驚く真澄をそっちのけに語りだした。
「『予想GUY』とか入れたらどうかね?通常モンスターもそろってるし、『苦渋の決断』とかでもサーチするのも――」
「いや、その、ちょっと待って!」
真澄は矢継ぎ早に語る少年を制した。少年はこれに首をかしげる。
「ん?何か気に入らなかったことでも?」
「…それ以前に、貴方誰よ?」
少年の反応に若干のイライラを感じつつ、真澄は聞いた。どうやらそれなりの知識は持ってるようだが、彼とは初対面だ。そもそもLDSの生徒なのだろうか。
「…あぁそうか。俺は君のことは知っているけど、君は俺のこと知らないんだっけか。…俺は総合コースの生徒――御手洗新だ。よろしく、光津さん」
「…『苦渋の選択』で『ジェムナイト・フュージョン』のサルベージコストを送りつつ、手札に通常モンスターをサーチ……。いいアイデアね。『予想GUY』はどういう効果なの?」
「自分フィールド上にモンスターがいなければ、レベル4以下の通常モンスターを特殊召喚できる通常魔法だ」
「なるほど…参考になるわ」
…あれからしばらくして、真澄は少年――御手洗とともに『ジェムナイト』のサポートについて議論していた。彼への第一印象は良くなかったが、話してみたら様々なカードを紹介してくれた。融合召喚の動かし方も完璧で、総合コースに在籍するにはもったいないぐらいだ。
「貴方、融合の才能あるわ。コース変えた方がいいんじゃない?」
真澄は冗談半分に言った。いや、実際に変えたら彼はもっと活躍できるかもしれない。それに、同じコースになれば日常的にアドバイスをもらえるという個人的な希望もあったが。
「…いや、遠慮するよ。性格的に向いてないから」
しかし、彼女の提案は御手洗にやんわりと拒否された。
「…残念。まぁ、本気じゃないからいいんだけど」
ため息交じりに答えながら、真澄は心の中で舌打ちした。
(才能あるのに、もったいないわ…)
「あー、でも条件付きならコース変えてもいいぜ?」
「本当!?」
「え…ええと、なんか嬉しそうだな…」
直後、御手洗の心変わりに真澄は喜んで喰いついてしまった。
真澄→( ゚д゚;)ハッ!
御手洗が提示した条件は、『デュエルをして真澄が御手洗に勝てたら』というものだった。
「いやぁ、融合コースのトップと戦えるなんて…光栄だよ。こんな機会、滅多にないからな」
「いいの?こんな条件で?やるからには本気で行くわよ?」
「いいよ。自分の実力を知れるし、そもそも…いや、何でもない」
「?」
真澄は御手洗の意味深な発言に疑問を持ちつつも、御手洗の期待に応えるべくデュエルディスクを展開した。
『ソリッドビジョン展開』
『スタンディングデュエル、フィールドセット完了』
ディスクから機械音とフィールドが展開される。
二人はデッキから五枚ドローして、同時に叫んだ。
「「デュエル!」」
「先攻は私から行くわ。私は手札からジェムナイト・アレキサンドを召喚!」
真澄のフィールドに、七色の宝石ををはめ込んだ白い鎧が現れる。
(『ジェムナイト・フュージョン』が来なかったのは痛いわね…)
今の彼女の手札には『
となると、打てる手段は一つ。
「ジェムナイト・アレキサンドをリリースして効果発動!デッキから『ジェムナイト』通常モンスター一体を特殊召喚する!私はジェムナイト・クリスタを特殊召喚する!」
アレキサンドがフィールド上から消えて、代わりに水晶をはめ込んだ騎士がフィールドに降り立つ。
「…私はカード一枚伏せてターンエンド」
(クリスタの攻撃力は2450…。簡単には破れないでしょう…。)
『プレイヤー1、ターン終了。プレイヤー2、ターンを開始してください』
ディスクの人工音声が観客のいない練習場に鳴り響く。
「よし、俺のターン、ドロー!…スタンバイ、メイン」
(スタンバイフェイズの確認…意外と丁寧に進めるわね)
「相手フィールドにモンスターが存在し、自分フィールド上にモンスターが存在しないとき手札からレベル4『
御手洗の場に気味の悪い昆虫が現れた。表示された攻撃力は1900。効果モンスターとしては高い。
(レベル4を特殊召喚?アドバンス召喚に繋げる気かしら?)
「さらに俺はレベル4の『
『インセクト』の横をかすめるように現れた鳥が、御手洗の投げたカードを串刺しにし、二つに裂いた。そのうちの一枚を御手洗はキャッチし、もう一枚は『バード』が一口で飲み込んでしまった。
(レベル4を二体…!?効果も強力だけど、まさか御手洗がしようとしてるのって…!)
「俺は『
ソリッドビジョンに映っていたグロテスクな虫と、異様なぐらいに尖った嘴をもった鳥が、黒い光となって一つに交わる。そして黒い渦から両手にマシンガンを構えた黒コートの少女――ランク4エクシーズ『
(エクシーズ召喚…!!!総合コースだというのに、融合だけでなくエクシーズまで使いこなすなんて…!御手洗…貴方はいったい何者…?)
「バトル…と行きたいところだが、エストレイドの攻撃力は2300。クリスタは倒せないな。…しょうがない、カードを二枚伏せてターンエンド」
(エクシーズの割には攻撃力低いわね…これなら次のターン破壊にできそう)
ソリッドビジョンに映し出された
「…私のターン、ドロー!」
真澄が引いたカードは『ジェムナイト・フュージョン』。思わず顔が綻んだ。
(最高の引きね…!)
「私は『ジェムナイト・フュージョン』を発動!『クリスタ』と手札の『ジェムナイト・ルマリン』を融合!玻璃のまなこよ!雷帯びし秘石よ!光渦巻きて新たな輝きと共に一つとならん!融合召喚!現れよ!勝利の探求者『ジェムナイト・パーズ』!」
「さらに私は墓地の『ルマリン』を除外し『ジェムナイト・フュージョン』を手札に戻す。そして、もう一度発動する!『トパーズ』と手札の『ジェムナイト・ガネット』、『ジェムナイト・サフィア』を融合!紅の真実よ!堅牢なる蒼き意志よ!そして勝利の探究者よ!光渦巻きて新たな輝きと共に一つとならん!融合召喚!現れよ!全てを照らす至上の輝き!《ジェムナイトマスター・ダイヤ》!」
「…一気にライフを削る気か」
現れた『ダイヤ』を見て御手洗が呟く。どうやら真澄の作戦を理解したようだ。
「…『ダイヤ』の効果発動。墓地の『トパーズ』を除外し、ターン終了時まで『トパーズ』扱いになり、同じ効果を得る!さらに、墓地に存在する『ジェム』モンスターの数×100だけ攻撃力が上昇する!墓地には四体いるため攻撃力、3300!」
『トパーズ』の光が『ダイヤ』に注ぎ込まれ、二回攻撃できる能力と破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える『トパーズ』の能力が与えられる。
このまま『エストレイド』を破壊すれば自身の効果で3300になっている『ダイヤ』は戦闘ダメージ900+効果ダメージ2300を与え、さらにもう一度ダイレクトアタックすることで御手洗のライフをゼロにできる。
(勝った!)
「バトル!《ジェムナイトマスター・ダイヤ》で『
勝利を確信した真澄は『エストレイド』に攻撃宣言する。彼女の指示を受けた『ダイヤ』が剣に手を当て、七色の光を纏う。そのまま剣を『エストレイド』に振り下ろし、彼女を破壊――
「…甘い。『
――出来なかった。『ダイヤ』が大剣を振り下ろした瞬間『エストレイド』はもう影も形もなく、『ダイヤ』の後ろに回っていた。
そして、表示された攻撃力は――『ダイヤ』の攻撃力を上回る4600。
「しまっ…」
「
『ダイヤ』が振り向くよりも早く、彼女はマシンガンを連射した。回避もままらない
「くっ…」
余波が真澄にまで及び、1300ダメージをうけた彼女はバランスを崩しそうになり床に座り込んだ。真澄が立ち上がった時には、『ダイヤ』は断末魔を上げながら消滅してしまった。
(コンバットトリック…!
「…さらに俺はセットしていた速攻魔法『
優勢な状況を一気にひっくり返され、動揺を隠せきれない真澄をおいて御手洗はプレイングを続行する。
「
彼が発動した魔法カードから黒い霧が吹き出し、それは真澄のよく知る
(そうか…元々相手ターンにモンスターを返り討ちにして、魔法カードで奪うつもりだったから、『クリスタ』に攻撃しなかったのね…!)
「…ターンエンド」
悔しいが、今真澄が打てる手はない。
苦い顔つきでターン終了を宣言すると、御手洗はうれしそうに手を叩いた。
「エンドフェイズにエストレイドの攻撃力は元に戻る。…いやぁ、いい顔だよ…真澄さん。…やっぱいいなぁ、他人の苦悩する顔は、いつ見てもゾクゾクする!」
真澄を見る彼の顔は、歪んだ喜びに満ちていた。
その表情は決して笑ってはいなかったが、それを見た真澄は御手洗の本性を理解できた。
(こいつは根はまともだけど――他人の不幸を喜ぶ変態だ…!)
「俺のターンドロー!スタンバイフェイズ、メインフェイズ!俺は手札から『
ソリッドビジョンに映し出された鳥と、血を連想させる気味の悪い物体、そして魔法カードで隷従させられた『ガネット』が三つの光となって黒い渦に巻き込まれる。
「その拳の雨は止まることを知らず、何もかも破壊し尽くす!エクシーズ召喚!ランク4!『
御手洗の口上とともに、大きな腕に足が付いただけの奇妙な生物が姿を現した。表示された攻撃力は――なんと2850。三体のレベル4が必要だとはいえ、ランク4として破格の攻撃力だ。
(全力で仕留める気満々ね…!)
だが真澄もここで引き下がるわけにはいかない。
「『
(これで『サフィア』と『アレキサンド』を除外して、守備力2600の『ジェムナイト・アクアマリナ』を守備表示で呼べば、2300の『エストレイド』は攻撃できず、もしキマイラに破壊されても『ジェムナイト・アクアマリナ』が墓地に送られたときの効果で『エストレイド』をバウンス、このターンはノーダメージで凌げる…!)
「…残念だが、『
真澄の罠カードによって集まっていた宝石の欠片が砕け散った。
「そんな…魔法・罠を無効化して破壊する強制効果…!?」
「その代わり、俺が発動しても無効化されちゃう上に、
彼の攻撃宣言とともに、真澄に大きな衝撃が襲い掛かった。
――御手洗の圧勝だ。
(あぁ…まさか負けるなんて…)
総合コースの天才を自分のコースに引き抜くチャンスを失ったのと、あとその天才が変態だったこと、そしてその変態に負けたショックで、彼女は立ち上がることができなかった。
「御手洗、新」
豊富な知識。融合の動かし方とエクシーズをマスターしていて、さらに相手の慢心に付け込んで状況をひっくり返し、流れもモンスターも自分の物にしてしまうデュエルの技術。
そして――あの表情。
あざ笑ったわけでもない、馬鹿にしていたわけでもない。
ただ純粋に、苦悩する真澄を『愉しんで』いたような、あの表情。
(…変な奴)
そう思って顔を上げた時には、もうすでに彼の姿はなかった。
歪んだ少年、名は御手洗新。
このお話は、彼の人格と復讐の物語。
人物データ No.1
性別:男 年齢:16
身長:178㎝ 体重65㎏
特技:悲観、小説執筆
好きな物:悲劇、他人の不幸、デュエル
嫌いな物:一方的なハッピーエンド
本作の主人公の一人。
悲観論者で他人の苦悩する様に興奮する変態。
根はまともで一般常識もあるが、子供の頃から重苦しい小説を読み過ぎて人格が若干歪んでいる。
黙っていればイケメン、口を開けば変態である。
そんな彼の目的とは、一体…?
使用デッキは『
相手モンスターのコントロール奪取に特化した効果が多い。
また、筆者の趣味全開&自重無しのオリカなので注意。
下級モンスターは全員サイバー・ドラゴンと同じ特殊召喚効果&特殊召喚したターンに
カード解説①
『
ランク4 ATK2300 DEF1250 戦士族 闇属性
「
①:このモンスターが自分より攻撃力の高いモンスターと戦闘を行う場合、
ターン終了時までこのモンスターの攻撃力は倍になる。
この効果は相手ターンにも発動できる。
『摩天楼―スカイスクレイパー』と同じ条件で攻撃力を倍にできるランク4エクシーズ。
実質4700以上には負けません。ただ、破壊耐性とかはないので普通に魔法や罠で吹っ飛ばされますし、効果を無効化されればただのバニラ当然です。
エクシーズ素材も全部取り除いてしまうので使った後もバニラになってしまいます。
しかし単純に強いカードだと思っています。
『
速攻魔法
①:「
この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、攻撃宣言出来ない。
『お前負けたからこれから俺の仲間な』的のコントロール奪取カード。
奪ったらさっさと素材にしてしまいましょう。
ただ墓地に行かないPカードとは相性最悪です。
御手洗は攻撃宣言できない効果の説明を端折ってますが、これはX素材にする気満々だったからです。
カード解説は効果が完全に本篇で解明してから説明していきたいと思っています。
『これおかしいだろ!』とかの指摘は歓迎です。ビシバシ指摘してください。