融合次元のbetrayer   作:arc-v

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arc-vもついに100話
ますます面白くなってきそうです。
こちらも展開が進みますよ(多分)


不審者現る

遊勝塾に入塾して数日、すっかり馴染んだクロノスはデュエルを終えてソファーでくつろいでいた。

 

「やばい。超眠い。このまま寝ちまいそう。」

「安心して寝なよ。クロノスの分のアイスも僕がもらってあげるから。」

 

くつろぐクロノスに対し、飴を舐めながら素良は言葉を返す。デュエルが終わった後クロノス以外の男子勢がアイスコールをし、柚子とアユの二人がアイスの買い出しに行ったのだ。

 

「それより女の子二人で行かすのはまずかったんじゃないか?もう夕方だし」

 

クロノスは荷物持ちを買って出たのだが

入塾したてのクロノスに遠慮があるのか大丈夫よといわれてしまった。

 

「大丈夫だよ。遊矢より柚子の方が強いだろうし。」

「あのなぁ、確かにあのハリセンさばきはすごいけど。」

「まあまあそろそろ帰ってくると思うし」

 

遊矢の言葉と同時にバタンとドアが開く。そこからアユが飛び出してきた。勢いあまったのかそのままこけそうになるが遊矢が何とか抱える。

 

「大丈夫か?」

「うん。私は大丈夫。」

 

遊矢が受け止めたおかけでアユに怪我はないようだ。

 

「アイス溶けちゃってら。」

「あーあもったいない。」

 

フトシ、素良が残念そうな顔で袋の中をのぞいていた。

購入してから随分時間が立ったのかアイスも溶けてしまっていた。

 

「あれ、そういえば柚子は?」

「アユ。何があったんだ?」

 

クロノスと遊矢がアユに尋ねる。

 

「柚子お姉ちゃんが……。柚子お姉ちゃんが大変なの!」

 

泣きながらアユは自分たちに何があったのかを話し始めた。

 

「柚子が沢渡に!?」

 

遊矢は驚愕した。アユがいうには柚子一人で沢渡の所に乗り込んでいったらしい。

 

「沢渡って前に話してくれたペンデュラムカードを遊矢から盗んだ奴の事か。」

「ああ、でも沢渡がそんなことを企んでいたなんて。」

 

自業自得とはいえ沢渡は遊矢に対して恨みを持っている。となれば同じ塾のメンバーである柚子に対して何をされるかわからない。

 

「とにかく早く柚子の所に。アユ。柚子の居場所はわかるか?」

 

泣いている女の子に何かを尋ねるというのはあまり気分が良い物ではないが今は時間がない。アユが柚子の居場所を知らなければ非常にまずい状況になる。焦りながらも遊矢はアユに柚子の居場所を尋ねた。

 

「ヒック。海沿いの倉庫に。」

「海沿いの倉庫。あそこか。」

 

アユの言った場所にクロノスは心当たりがあった。

以前レオ・コーポレーションの仕事の際に資財の運び入れを行う時に行ったことがあったからだ。

 

「遊矢、俺が案内する。」

「頼むクロノス。ありがとうアユ。柚子は必ず助け出す。」

「うん。」

 

泣きながらも場所を教えてくれたアユに対しお礼を言う遊矢。そしてそのまま部屋を出て海沿いの倉庫に向かって走り出した。

 

(やっぱり女の子二人だけはまずかったか。無理言ってでもついていっときゃ良かった。)

 

走りながらクロノスは後悔していた。好意に甘えず無理を言ってでもついていけばこの事態を防ぐことができたかもしれない。だがもはや後の祭りである。今何を言った所で時は戻らない。

 

「はぁはぁごめんクロノス。ついてきてもらって。もっと俺がしっかりしてれば。」

 

走りながらクロノスに対し謝罪する遊矢。どうやら遊矢も自分と同じことを思っていたようだ。

 

「気にすんな。同じ塾のメンバーがピンチなんだ。助けるのは当たり前だ。それに謝るんなら柚子にだ。」

「そうだな……。ありがとうクロノス。」

「感謝すんのは柚子を助けた後。もうちょいだ急ぐぞ。」

 

日も暮れてついに夜になってしまったが何とか目的の場所にたどり着いた。

 

「遊矢大丈夫か?大分走ったからかなりきついと思うが。」

「はぁはぁ何とか。でもクロノスすごいな。息切れしてないじゃないか。」

「何かあったときのために鍛えてるからな。」

 

遊矢は息切れしているがクロノスは呼吸ひとつ乱れていなかった。日ごろ体を鍛えているのもあるがそれ以上に気づいた時から人並み以上の身体能力があった。まるで"小さい時から人並み以上の訓練を行っている"かのように。

 

「とにかくこっから手分けして」

 

探そうと言おうとしたと同時に倉庫から人が走り去っていくのをクロノスは見た。

 

「遊矢。あの倉庫から人が。見えたか?」

「いや、俺は見えなかったけど。」

「とりあえずあの倉庫だな。」

 

クロノスと遊矢は人が走り去っていた倉庫に駆け寄る。入口のドアは開いていた。中を覗き込むと一人の少女がそこにいた。ピンクのツインテールの髪形をした少女、柊柚子だ。

 

「柚子ー!」

「無事か!?」

 

柚子を見つけた遊矢とクロノスが柚子に駆け寄った。

 

「えっ遊矢?クロノス?」

「はぁはぁ大丈夫か?」

 

柚子の体を見たところ怪我などはしている様子はなかった。

 

「遊矢?あなた遊矢よね?」

 

対する柚子はまるで幽霊でも見たかのように遊矢を見ている。

 

「はあ?何言ってんだ柚子?」

 

柚子の質問の意図が理解できず質問で返す遊矢。

 

「落ち着け柚子。とりあえず見た所怪我はしてなさそうだが骨折とかしてないか?俺と遊矢はアユちゃんから話を聞いて今来たんだ。」

「うん。大丈夫。二人とも今来たところなのよね?」

「ああ今来たところだ。まあとにかく怪我がないなら良かった。」

 

ほっとするクロノス。ともあれ柚子の身に何も無かったのが不幸中の幸いだった。

 

「ていうかここ何でこんな煙臭いんだよ。たき火でもした?」

 

柚子の事に気を取られてしまって気づかなかったが確かに煙臭い。

 

「とにかく柚子も無事だったし、今日は帰ろうぜ。」

「ああ、そうだな。柚子歩けるか?」

「あ……うん。」

 

そのまま三人は帰路に向かった。

 

 

次の日、クロノスは遊矢に少し遅れると連絡を入れておいた。そしてある事を調べるために昨日柚子のいた倉庫まで足を運んでいた。柚子を助けに行った際に感じた煙の臭いの発生源が気になったからだ。遊矢がたき火でもした?と言っていたがそれは考えづらい。

海が近いとはいえこのような所でたき火などはまずしないだろう。下手をすれば倉庫が全焼する恐れがある。そしてクロノスが一番気になっているのは、何かが燃えた痕跡というものが一切見当たらなかった事だ。あれだけの臭いを発生させるのであればそれ相応に何かを燃やさなければならない。それが一つも見当たらないというのは到底信じがたいことだ。

 

「柚子に聞くことができたら良かったんだけど、あの状況で聞くのはな。」

 

本来であればあの場にいた柚子に聞くことができれば良かったのだが、あの状況では何があったのか聞きづらかった。今日は仕事が休みだったのだが、遊矢も柚子も学校があるため会えるのは学校が終わってからになる。素良は遊矢に弟子入りするために忍び込んだ事があるらしいが自分にはそんな勇気はない。

 

「何かした痕跡が見当たらないな。やっぱ柚子に聞くしかないか。」

 

さすがに倉庫の中にずっとうろうろしている訳にもいかない。調査をあきらめて倉庫の外に出ることにした。時間もすでに昼をすぎてしまっていた。

 

「もうこんな時間か。とりあえず昼飯でも食べに」

 

クロノスは自分に視線を向けられているのを感じた。その方向は別の倉庫の屋根の上だった。普通であれば屋根の上にいるのは猫や鳥ぐらいだろう。だがそこに立っていたのは人だった。こちらの視線に気づいたのか、屋根から飛び降り姿を消した。

 

「!っ。逃がすか!」

 

クロノスもその方向に向かって走り出した。何故屋根の上に立っていたかはわからないが自分を見ていたというのは間違いなさそうだ。このあたりのルートは既に頭に入っている。

クロノスは追いかけるのではなく、先に回り込み待ち構える事にした。そのまま道に立っているとばれてしまうため、今度はこっちが屋根の上に上ることにした。そして功を奏したのかクロノスの予想通り、こちらに向かって走ってくる人影がいた。そしてその進路を防ぐように道に飛び降りた。

 

「おっと。悪いが通行止めだ。」

 

いきなり飛び降りてきたクロノスに驚いたのか走っていた人物も足を止める。

そしてクロノスは改めてその人物に目をやる。黒いコートを羽織り、ゴーグルと黒マスクをつけ顔がわからないようにしている。服装だけでいえば不審者そのものである。

 

「あんた、さっき俺の事見てたよな?何者だ?」

「………。」

 

クロノスの問いに対して、目の前の人物は何も答えない。

 

「あんたにはちょっくら聞きたい事があるんだ。悪いがちょっとついてきてもらうぜ。」

「悪いが、俺はここで捕まる訳にはいかない。」

 

その言葉と同時に目の前の人物はデュエルディスクを構える。見たことのないデュエルディスクだ。マスクで声がこもっているためはっきりとは分からないが声色から察するに目の前の人物は男のようだ。

 

(デュエル……か。)

 

力づくで目の前の男を捕まえられるかどうかはわからない。待ち伏せする際に不審者を見つけたと匿名で連絡を入れているためここに人が来るのも時間の問題だ。デュエルを受ければその時間を稼ぐことができる。しかしクロノスは一つ懸念している事があった。それは目の前の男の雰囲気だ。恰好だけみれば不審者そのものなのだが、その男からただならぬ雰囲気を感じたのだ。一言でいえば怒り、それも相当なものだ。この男と戦うのはまずいとクロノスの直感も告げている。だが目の前の人物が柚子を襲った沢渡と関係のある人物なのであれば放っておくことはできない。

 

「……いいだろう。相手になってやる。」

 

クロノスも自分のデュエルディスクを構えた。

 

「「デュエル!」」

 

KHRONOS LP 4000 VS UNKNOWN LP 4000

 

「先行は俺がもらう。」

「いいだろう。」

 

手札が良かったのか黒マスクの男が先行宣言をする。クロノスとしても相手の出方を見ることができるため、それを了承した。

 

「俺は手札五枚、全てのカードを伏せてターンエンド。」

 

黒マスクの男は全ての手札を伏せ、そのままターンを終了した。

 

黒マスクの男 手札0 モンス0 伏せ5

 

(モンスターを召喚せずターンエンドだと!)

 

クロノスは困惑していた。たいていのプレイヤーはモンスターを何かしら召喚する。

そのモンスターが様子見なのか大型かは人それぞれだがモンスターを一体も召喚しないというのはクロノスも今まで見たことがなかった。

 

(手札にモンスターがいなかったのか?それとも)

 

「聞こえなかったか?ターンエンドだ。」

 

考えていると黒マスクの男から再びターンエンドと言われてしまった。

 

(とりあえずドローしてから考えるか)

 

「俺のターンドロー。」

 

引いたカードに目をやり思わず苦笑いしてしまうクロノス。この状況で"それ"が決まればほぼ勝利が確定してしまうからだ。

 

「俺はカードを二枚伏せる。」

 

(準備は整った。悪いが使わせてもらう。)

 

「俺は魔法カード大嵐を発動。フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する。」

 

クロノスが魔法カード発動すると同時に、フィールドに強風が発生し、その強風によってお互いの伏せカードが破壊された。突然発生した強風に驚きながらも飛ばされないように何とか踏みとどまった。

 

(何で強風が!?リアルソリッドビジョン・システムは発動してないはず。)

 

本来であればリアルソリッドビジョン・システムを発動することによって何かに触れたり、感じたりするのだが何故か大嵐が実体化しこの場を襲ったのだ。

 

(このデュエルは何かまずい!はやく終わらせないと。)

 

「俺はこの瞬間セットされていた黄金の邪神像の効果を発動。セットされたこのカードが破壊され墓地へ送られた時、自分フィールド上に邪神トークンを特殊召喚する。破壊されたのは二枚。よって二体の邪神トークンを特殊召喚。」

 

クロノスのフィールドに二体の金色のモンスターが現れる。

 

邪神トークン×2 A 1000

 

「俺は邪神トークン二体をリリース。古の魂受け継ぎし機械仕掛けの巨人よ。今ここに降臨し、我が敵を打ち砕け! 現れろレベル8! 古代の機械巨人!」

 

その掛け声とともに体が機械でできた巨人が現れる。古代の機械巨人にそっと触ってみると手がひんやりするのを感じた。やはり実体化しているようだ。

 

「古代の機械だと!貴様アカデミアか!?」

 

古代の機械巨人を見て黒マスクの男が声を荒げる。どうやら質量をもっている事に驚いているのではなく古代の機械巨人に対して驚いているようだ。

 

(アカデミア?そういえば素良も同じこと言ってたな。)

 

「お前がアカデミアなら逃がす訳にはいかない。」

 

ひしひしと黒マスクの男の気迫が伝わってきた。その気迫に思わず怯むがこちらも睨み返す。

 

「アカデミアってのは何かわからないがこっちも逃がすつもりはない。バトルだ!古代の機械巨人でダイレクトアタック!アルティメット・パウンド!」

 

黒マスクの男目がけて古代の機械巨人が拳をふりかざす。

 

「俺は墓地から罠カード」

「古代の機械巨人が攻撃する時、魔法・罠カードは発動できない。」

 

古代の機械巨人の攻撃を受けそのまま黒マスクの男は吹き飛ばされた。

 

UNKNOWN LP 1000

 

衝撃もリアルソリッドビジョンが発動しているときのそのものだった。

 

「くっ」

 

黒マスクの男は何とか立ち上がる。相当なダメージだったのか足元がふらついている。

 

(この衝撃、やっぱり本物か。ってなるとこれ以上デュエルを続けたら。)

 

「なぁあんた。」

「俺のライフはまだ残っている。」

 

黒マスクの男は再びデュエルディスクを構える。どうやら相手はまだデュエルを続けるつもりのようだ。

 

「俺はカードを一枚伏せてターンエンドだ。」

 

クロノス 手札1 モンス1 伏せ1

 

「お前たちアカデミアから仲間を助け出すまで。俺は負けない!俺のターン!俺は終末の騎士を召喚!」

 

終末の騎士 A1400

 

ついに相手の場に初のモンスターが現れる。だが攻撃力はお世辞にも高いとは言えず古代の機械巨人を倒すにはあまりにも足らない。

 

「俺は終末の騎士の効果を発動。デッキから幻影騎士団クラックヘルムを墓地に送る。さらに墓地に存在する罠カード幻影霧剣の効果を発動。このカードを除外し幻影騎士団クラックヘルムを墓地から特殊召喚。」

「墓地から罠カードを!?」

 

墓地からモンスターが現れる。その姿は幽霊が兜にとりついているかのようなモンスターにクロノスはぞっとする。

 

(さっき古代の機械巨人が攻撃しようとした時も墓地からカードを発動しようとしていた。奴のカードは墓地からも発動することができるって事か。)

 

「条件は整った。俺はレベル4の終末の騎士に同じレベル4のクラックヘルムでオーバーレイ!」

 

二体のモンスターが突如発生した光の渦に呑みこまれていく。

 

「同じレベルのモンスターが二体。まさか!」

「漆黒の闇より愚鈍なる力に抗う反逆の牙!今、降臨せよ!エクシーズ召喚!現れろ!ランク4!ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン!」

 

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン A2500

 

その掛け声とともに現れたのは紫色の龍だった。特徴的なのはその牙だ。非常に鋭利なその牙はあらゆるものでさえ引き裂けてしまえそうだった。

 

「……エクシーズ……召喚。」

 

エクシーズ召喚。同じレベルのモンスターを複数体フィールドに揃える事で行える召喚法。クロノスもペンデュラム召喚の事を調べる過程で知ったが実物を見るのは初めてだった。

 

「ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンの効果発動。オーバーレイ・ユニットを一つ使い、このターンの終わりまで相手フィールド上にいるレベル5以上のモンスター一体の攻撃力を半分にし、その数値分攻撃力をアップする!トリーズン・ディスチャージ!」

 

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンの羽から放たれた電撃のようなものが古代の機械巨人を覆う。すると古代の機械巨人の攻撃力が減り、そのエネルギーをダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンが吸収する。

 

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン A4000

古代の機械巨人 A1500

 

「マジ……かよ……。」

「バトルだ!俺はダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンで古代の機械巨人を攻撃!反逆のライトニング・ディスオベイ!」

 

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンの鋭い牙が古代の機械巨人を襲う。

 

(伏せカードを使うか?いやここは……。すまない古代の機械巨人。)

 

古代の機械巨人は攻撃を耐えていたものの防ぎきれず、その体は破壊された。

 

「ぐあああああ」 KHRONOS LP 2500

 

その衝撃によりクロノスも吹き飛ばされ、そのまま地面に叩きつけられた。よろよろになりながらも何とか立ち上がり黒マスクの男の方を見る。

 

「なっ!?」

 

クロノスは驚愕した。さきほどの衝撃の影響か黒マスクの男が身につけていたゴーグルとマスクがずれ、その素顔をあらわにしていた。そしてその顔は自分もよく知る顔だった。

 

「遊……矢?」

 

その顔は榊遊矢だった。




黒マスクの男と戦う際は必ず大嵐を発動させようと決めてました。(使命感)
もっとも逆手に取られたわけですが
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