蒼の軌跡   作:A4

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バージルのキャラが上手く掴めずコレジャナイ感や不快に感じたら戻ることをお勧めします。
 それでも読んでやるという寛容な方はお進みください。
 
 
 
 


 楽園襲撃

 七曜歴1200年、ゼムリア大陸一の軍事国家であるエレボニア帝国と小国ではあるが経済的に栄えているクロスベル自治州の国境付近にある城館の正門前に停められた導力バイクから銀髪の青年が悠然と歩み寄っている。

 この城館はとある帝国の貴族が所有しているという事になっているが実際はある犯罪組織の運営している児童買春施設であった。

 

 

 「珍しいな」

 城館の門番を務めている男がぽつりと言い、それに無言で相方が応じた。ここを利用する者は大抵運転手が運転する導力車に乗り護衛を引き連れて来る者であった。

 「帝国貴族のボンボンじゃないか?」

 言われてみると見慣れない導力車や立ち振る舞いといい確かに貴族というのも頷ける。

 「いずれにしろ客だろう。丁重にな」

 相方にそう答え、スリングで提げていた短機関銃を背後に回した。以前貴族の客に銃をぶら下げていた所えらく嫌味を言われた経験が彼にその行動を取らせた。

 気が付くと青年が10アージュ程の距離に迫っていた。肉食獣のような締まった体を青い外套で包んでいる。同性であるにも拘らず思わず見惚れるほどであった。

 (刀というやつか?)

 以前組織の盗品美術品の密売に関わっていた時に触れたことがある東方の剣を思い出した。

 「お客様、紹介状はお持ちでしょうか?」

 何時もの定型句を口に出した瞬間青年の腕がぶれた様な気がした。

 (あ…え……?)

 寸秒の間に自分の視界がひどく低くなっている事に気付いた。それに加え四肢がぴくりとも動かない。辛うじて動く眼球を動かし最後に見たのは首を斬り落とされた相方と泰然と進んでいく青年の背中であった。

 

 

 

 恐らく死んだことにすら気づかなかったであろう犯罪組織の男達の死体を一瞥すらせずにバージルは閻魔刀を携えたまま鋼鉄製の通用扉の前に立った。

 そのまま軽く足を引き通用扉に向け蹴りを放った。

 

 

 「何だ!?」

 「攻撃か!」

 押っ取り刀で駆けつけてきたマフィアの男に対しエアトリックで距離を詰め高速の薙ぎを放った。鮮血を撒き散らし男たちが崩れ落ちる。

 「くたばれぇ!」

 バージルの背後から別の男が狩猟用の大型拳銃を放った。レンコン型の弾倉が回転し大口径の鉛弾が銃口から放たれる。

 確かな手応えに男がほくそ笑めたのも一瞬だけであった。

 「Rubbish(くだらん…)」

 いかなる技を使ったのかバージルは無傷であった。そして刀を男に向けて静かに突き出した。

 男はその行為に訝しがるが長刀の峰を見て拳銃を取り落した。

 (…人間技じゃねぇ)

 刀の峰には先程男が放った弾丸が綺麗に乗せられていた。信じ難くはあるが高速で刀を振るい弾丸を絡め取った、そうとしか考えられなかった。

 「…もう終わりか?」

 眼前の青年の鋭い視線が男を射抜いた。

 「…ぅああぁあああああああ!」

 拳銃を放り出し、駆けた。

 (あんな化け物がいるなんて聞いてねぇぞっ!)

 廊下へと続く扉へ手をかけた時両膝に鋭い痛みが走る。見ると両脚に浅葱色の西洋風の長剣が突き立っていた。

 「…あ」

 恐怖と痛みで感性が麻痺した男が最後に見た光景は自分に対して高速で射出される幾本もの浅葱色の魔剣であった。

 

 

 

 「…………」

 バージルは奥へと続く廊下を前に玄関ホールを見回す。玄関ホールは今しがた切り伏せた死体で溢れている。ざっと見積もっても20人に上るだろう。しかもそれらの内半数以上が機関銃で武装している

 (聞いていた話と違う…)

 バージルはこの依頼を受けるにあたり城館の警備状況を聞かされていた。それによると警備の武装も人員も貧弱であったはずだ。

 「考えても益はない…か」

 館の奥からは慌ただしい足音と銃の槓桿を操作する音が聞こえてくる。

 「侵入者だ!」

 「場所は玄関ホール!まだ動いてないぞ!」

 怒声と足音が着実にバージルに迫ってきている。

 「まずは片付けるの先決か」

 そう呟くと迫りくる増援に怯んだ様子を見せることなく館の奥へ歩を進めた。

 

 

 

 

「…どうやら誰かが始めているようだ」

青年と少年が城館を眼下に納めて言う。

 「どうする、レーヴェ?」

 「事情はどうあれやる事に変わりない。行くぞヨシュア」

 レーヴェと呼ばれたコートを羽織った青年が少年を伴い歩みを進めた。レーヴェは鞘から長剣をゆっくと抜くと銃声と悲鳴が轟く城館を見据えた。

 

  

 

 

 部屋の中の状態は正しく死屍累々。鮮血で彩られた室内を風と化したバージルが駆ける。

「クソッ!当たんねぇ!」

 軽機関銃を携えた男がひたすら引金を引く。バージルは毎分数百発の発射速度を誇る機関銃による弾幕を物ともせず躱し、いなしていく。

 「ガッ!」

 バージルがエアトリックで男の斜め背後に移動し高速の袈裟切りを叩き込みまた一人戦列から脱落していく。足を止めたバージルを狙い挟み打つように二人の男が同時に剣を振る。

 「Hm…(フン…)」

 上段からの一撃が放たれる前に神速の斬撃を叩き込むと刺突を閻魔刀で軌道を逸らすともう一人の男に対しカウンターを叩き込みあの世に送りこんだ。これで人数にして一個小隊の増援が全滅状態に陥った。

 「退けっ!退けっ!」

 最後まで生き残った男二人が獲物である軽機関銃と散弾銃、それぞれの連射力と拡散範囲を利用しバージルを足止めし通路に逃げ込む。

 しかしその行動が彼らの運命を決定づけてしまう。バージルは通路の手前で十本近い幻影剣を出現させると射出した。

 『ヅアアァア゛ア゛ア゛ア゛』

 狭い通路に逃げ込んだ男達にその幻影剣を避ける術はなく。悲痛な叫びが木霊する。

 (市長には追加報酬を要求せねばな)

 心中で呟く。話では錬度の低いマフィアだけとあったが今戦った連中は明らかな訓練を積んだ兵士の物であった。

 

 

 

 

 

 

 「ああッ!クソッたれがぁ!」

 上等ではあるが下品な印象を与えるスーツに身を包んだ男が机の上の文鎮やらグラスやらを払い落とした。

 「本館への侵入を許しただと!俺はお前らに金を払ってんじゃねぇぞ!ああ!?」

 「わかっております」

 着古された軍用コートを纏った男が怒気を意に反さずに返す。

 「わかっておりますじゃねぇよ!ここで突っ立ってねぇでさっさとブッ殺してこい!」

 「…失礼します」

 軍用コートを着た男が一礼し部屋の外へ出る。

 「状況はどうなっている?大尉」

 「2個小隊が戦闘不能に追い込まれました。現在敵は分館から本館へ移動しているのをチャドの分隊が補足しました」

 「数は?」

 「…信じ難い話ではありますが一人との事です。年の頃は20程の青年、獲物は刀一本との事です」

 二人とも廊下を足早に歩きながら下の階へと向かう。

 「敵を本館一階ホールで迎え撃つ。コリーとアンガスの小隊で一階を固めさせろ、残りは2階から撃たせろ」

 「わかりましたヒュー少佐」

 そう言い大尉が足早に先に行く。各所に散らばった部下に命令を出しに行くのだろう。

 (…なぜこんな事になってしまったんだ)

 旧ノーザンブリア公国で軍人を務めていた彼にとって今の仕事―児童買春の片棒を担ぐ―は非常に不本意であり腹立たしい事ではあった。しかし『塩の杭』によって莫大な被害を受け国家としての体裁を整える事も出来なくなった祖国と部下を養うためにも仕事を選んでいる余裕はなかった。

 「刀ねぇ」

 刀一本、それも一人で場数を踏んだ部下を殺せるというのは限られてくる。かの『剣聖』カシウス・ブライドか、はたまた『風の剣聖』アリオス・マクレインか。

 (いや、リスクがデカすぎる)

 両者の所属はそれぞれ遊撃士協会とクロスベル警察。それらの組織に所属しているのが犯罪者相手とはいえ大殺戮をやるとは考えにくい。それにこの館を利用している者にはそれなりの大物がおり圧力がかけられている。それを考えるとフリー、もしくはまた別の組織に属している者だろうか。

 「…まさか蒼の魔剣士か?」

 最近聞くようになった名を呟く。出身も年齢も不明、クロスベルを中心に活動するようになった傭兵である。しかし実力は確かで半年ほど前にあったエレボニア帝国のクロスベルに対して行った電撃的侵攻の先鋒を文字通り全滅させたともっぱらの評判であった。

 「面倒な事になりそうだ」

 ヒューは腰の剣と戦術オーブメントを確かめると部下との合流を急ぐべく足を速めた。

 

 

  

 

バージルは長い廊下を抜け大きなホールに辿り着いた。舞踏会を開ける程の広さがあり北、東、西にそれぞれ奥へと行く扉があった。ホール内には今しがたバージルに切り捨てられた警備兵が数人転がっている。

 「!」

 上から硝子の割れる音がするのと同時に鞘に納めていた閻魔刀を高速で抜刀し上へ切り上げる。

 「チィッ!」

 上空からの奇襲を防がれた灰色のコートを纏った青年が一瞬、空中で鍔迫り合いをした後に大きく飛び退く。

 「甘い」

 間髪入れずにバージルが上段蹴りを空中に放つ。

 「ぅあっ!」

 その蹴りをまともに喰らい小振りな双剣を持った少年が吹き飛ばされ壁に叩きつけられる。おそらくは青年と切り結んだ後の気の緩みを狙ったのだろうがバージルには届かなかった。

 「ヨシュア!」

 コートを着た青年が叫ぶ。ヨシュアと呼ばれた少年は直前で双剣で蹴りを防御したものの当分は戦闘には参加できないだろう。

 「…次はお前か」

 バージルは軽く腰を落とし右手を柄に掛けた。今の攻防を見るからにある程度の実力者である事は間違いないだろう。別段さっきまでの相手が弱かったわけではない、個々の錬度や連携はバージルの目から見ても悪くはない物であった。しかし強さの差が圧倒的であった。

 「少しは俺を楽しませろ」

 殺気を叩きつけられた青年は長剣を静かに構える。

 「die(死ね)」

 バージルの左親指が鯉口を切り不可視の斬撃が青年に向け放たれた

 




 久しぶりにDMCやってたらふと書きたくなって見切り発車で書いてみたのがきっかけの駄作です。あらすじで書いたかもしれませんがどうやってゼムリア大陸に来たのか、その時の年齢をどうするかといった細部を全く考えておりません。
 とりあえず書く予定なのは楽園を襲撃する所までです。あと書きたいと思っているのはエレボニア帝国軍相手に無双しているところを書いてみたいと思っております。
 
 なお穴だらけのまま書いてしまったので少し掲載したら削除してしまうかもしれません。仮に続けるとしても鬼いちゃんを再現できるかが課題になると思います。あと戦闘描写。
 
 
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