学戦都市アスタリスク ~ 死神乱舞 ~   作:武者震威

4 / 5
年末がもうすぐです(T_T)
みなさんは如何にお過ごしでしょうか? まだクリスマスも迎えていないというのに(T_T)

お気に入りしてくださった方々ありがとうございます(^.^)
130人もお気に入りしてくれることがとても嬉しいのですが、よく他の二次作家さん1,000人お気に入りされていたのを見かけたときマジスゲーと思いました。
どうやったらあんなに……。




新タナル歩ミ

 

 

 山本重國。

 ()死神にして、霊界・『尸魂界(ソウルソサエティ)』を永き時を守護する『護廷隊』を束ねていた総隊長。

 《死神最強》の名を体現し、千年以上も彼をより強き者が現れたことがなかった。

 謀叛人・藍染惣右介さえ、彼に対すして万全の用意をしていなければ敵うこともなかった最大の猛威。

 

 業火にして猛火。その男が振るう太刀は幾千もの万物を灰燼と化す死の炎が猛る。

 男が本気を出してしまえば、世に漂う水気も無くなり、太陽の光が如く渇きが支配する。

 

 そのような最強の強さを持った男も、『死』を逃れることはなかった。

 

 輪廻転生が死神にまで及ぶものなのか。それは死して尚やっと理解すること。故に死ぬまでわからなかったその謎は、体験して分かった。

 

 新たな『生』は、戸惑うものばかりであったが、新たな『(いぶき)』は、ありがたいものだった。

 そう、『死ぬ前の記憶』さえなければ、無知のまま過ごせただろう。純粋に謳歌できたであろう。

 

 

 

 だが、そうはならなかった。

 

 

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

 あれから部屋を割り当てられた重國は、明らかに作りが他の生徒達と違う豪華な部屋に案内された。高級旅館も顔負けの和室部屋を借り、多少言いたいことが多々あった重國だったが、何かと疲労が溜まっていたのか、眠気に負けてすぐに布団に身を任せてしまう。

 

 それからどれくらい時間が過ぎただろう。ある者が訪ねてくるまでずっと眠っていた。

 

 コンコンっ。

 

 和室部屋といっても部屋の造形がそうなっているだけで、部屋の扉は他の同じ仕様のドアだった。

 ノックされるまで眠っていた重國は、己を厳しく律して生きてきたが為に、このだらけた情けない行動が長らく味わえていなかったものだったことに感慨深くしながらも、重い腰を上げてドアを開けた。ちなみにこの重い腰というのは物理的な意味ではなく、気持ち的に重いというわけだ。

 

「失礼致します。()()()殿()

 

「……こんにちは」

 

 そして、扉を開けたその先には、和服を主軸に改造して作られたメイド服を着た美少女がいた。というより、砕蜂(ソイフォン)だった。

 

「…………………………」

 

「ぐっ! な、なにか言ってくださいませ! 総隊長殿!」

 

「そうじゃのう……まずその呼び方をやめよ」

 

「この服装に関しては!?」

 

「似合っておるよ」

 

「ぐぅぅ! あ、ありがたきお言葉ですが、その、そういうことではなくどうしてこの服に至ったのかという経緯を聞いて貰えればと……!」

 

「まさか砕蜂までこの学園に居たとは、知らなんだぞ」

 

「意図的ですか!? 意図的に聞いてくれないのですか!」

 

 残念ながら、本人は頬を染めて嫌がってはいるが本当に可愛いらしく、見事和服メイドを着こなした砕蜂は重國の視線に更に頬を赤くしながら歯軋りを起こしていた。本来のメイド服とは違い、緑と白を強調としたもので、和服なのにヒラジラなスカートがついていてそして短い。

 

四楓院(しほういん)夜一(よるいち)か。原因は」

 

「……ッ!!……その、通りにございます!」

 

「最初からそうだと思っとったわ」

 

 重國はまた、癖で顎を摩りながら和室の畳に腰を降ろした。

 砕蜂は『……失礼致します』と断ってから部屋に入ると、何処に何が置いてあるのか何故か知っていたのか、すぐにメイドらしいお茶を汲んでくれる。

 

「星導館学園ではなく、お主は界龍(ジェロン)第七学院に居たと思っていたのじゃが?」

 

「ご安心を。抜かりありません」

 

 いや、その抜かりない内容を知りたいのじゃが。と言葉を続けようと思ったが、砕蜂は緑茶と和菓子を出してきたのでそこで一旦終わる。

 そういえば今の時間は?

 

「既に翌日にございます」

 

「……なんじゃと?」

 

「そうたいちょ…………ゴホン。お……主人様(おやかたさま)は授業に受けぬ特待生となっております。これも……」

 

「……雀部(ささきべ)財閥」

 

「そうです」

 

 《雀部財閥》。複数の統合企業財体が直轄統治している学園に手出しが唯一出来る財団。そのトップの男は雀部長次郎だという。

 

「この部屋も……」

 

「雀部長次郎総帥がお決めになられたのかと」

 

 雀部長次郎総帥(・ ・)。名の通り、すべてを取り仕切る長次郎には決定権が持っており、その雀部財閥から送られてきたのが、山本重國という男だった。

 そこに砕蜂のように、紛れ込んでいる者が数名いる。

 

「……そうか。じゃが、砕蜂や」

 

「はっ」

 

「その〝おやかたさま〟というのは……」

 

「あっ……ぅ……」

 

 カァ、の顔全体を真っ赤にさせて、なんとか口を開く。

 

「こ、これも…………」

 

「……四楓院か」

 

 頭を掻いて、重國は砕蜂に確かめる。

 

「砕蜂や。無理をしてやることもでもないのじゃぞ」

 

「い、いえ! お、主人様(おやかたさま)の身の回りの御世話と身辺警備を行えることは身に余る思いであります」

 

 砕蜂は雑念を全て棄て、《仕事》の顔となり、洗練された刃のように鋭い顔つきで頭を下げる。

 

「私は影に徹するつもりでございます。何かあればお言葉をもらいたく」

 

「いや、だからのう」

 

 重國はそれでは砕蜂が大変つらかろう、と思った言葉だったのだが、砕蜂からしてみれば自分では力不足なのか、と勘違いを起こしている。

 

「……もし、使えぬと判断してくだされば、即刻切り捨てて構いませぬ! どうか、(わたくし)をお使いに!」

 

「そこまで身を挺すなと言っておろうが。……じゃがお前が納得いかぬか」

 

 頭を垂れたまま一向に上げないその姿勢はまるで石像の如く。まったく動こうとしないそれに、重國が折れた。

 

「分かった。だが無理するでないぞ?」

 

「………あ、ありがたき幸せ!」

 

 砕蜂は顔を明るくして笑顔をみせる。

 重國は思わず、息を飲む。

 

(…………なんと、曇りなき笑顔か)

 

 『護廷隊』にいたとき、砕蜂は決して笑顔を過多に見せるような女性ではなかった。

 『隠密機動』という暗部を司るその組織の最高総司令にして、影を全うしていた女。かつて慕っていた者から裏切られ、自暴自棄になっていたところを重國は拾い上げた。それはこの世界(・ ・)でも変わらず、四楓院夜一から裏切られたと自らを自責の念で押し潰されそうになっていた少女を、重國はまたも救っただけ。

 

(……この世界は、笑顔が溢れておるのう。多くの子供たちの笑顔が……)

 

 同じ背丈ぐらいだろうか。砕蜂の頭を無意識に手を置いて、撫でた。

 砕蜂は驚き、慌てて体を硬直させる。

 

「……さて、では儂は一日も学業を疎かにしてしもうたか」

 

「あ、あの……は、はい」

 

「まさか今一度学び直すことが出来ようとは、全てが新鮮よ」

 

 重國は砕蜂の頭を撫で終えると、部屋を出る。砕蜂が腰を低くし、行き先を伺う。

 

「どちらに?」

 

「……とりあえず知っとる奴を捕まえて、話を聞かねば進まぬと思ってのう」

 

 まずは綾斗らへんを探しに行くかと重國は外に向かうのであった。

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

「そして外に出てみれば丁度よく俺が出てきたと?」

 

「そうじゃな日番谷(ひつがや)、お主都合がいいのう」

 

「……コンビニに向かおうと思ったら……まさか山本(・ ・)さんが……」

 

「山本さんじゃと? 前は重國さん、と呼んでおったではないか」

 

「……いや、それは、あの後に砕蜂が待ち受けてまして……『〝総隊長〟殿に向かって貴様その態度はなんだ!』と襲撃され、俺が弁解するまで攻撃が止まらなく、ようやく納得させて終えたんですよ? それをまたどこで見ているのか分からないので取り合えず呼称は変えようかなと」

 

「……きょりかん……」

 

「それは仕方ない距離感ですね」

 

「……砕蜂」

 

 気を使ってもらえるのはありがたいが、状況が悪化していくのは見間違いだろうか。

 それは後日なんとかしようと考えていると、学園内を歩いていた重國と日番谷(ひつがや)はバッタリと綾斗とユリスたちに会った。だが見知らぬ女の子一人居るが、重國は親しげに挨拶をする。

 

「綾斗よ、また(・ ・)新たな女子(おなご)か」

 

「誤解を招く言い方よしてくれ、重國」

 

 綾斗は少し疲れたような表情で言ってくる。

 何か疲労困憊になるほどのものがあったというのか?

 

「じゃが両手に花なのは本当じゃろう?」

 

「……んまぁ、それはそうなんだけど……」

 

「…………お前は……」

 

 そこで、ユリスは綺麗な髪を揺らして、綾斗との試合を見ていた観客に、この白髪頭の少年(しげくに)が居たことを思いだし、そして、ある違和感を質問してきた。

 

「……お前は」

 

「おぉ、これは、挨拶はしておらんかったのう。儂は山本重國という。よろしくお願いする」

 

「……私は、ユリス=アレクシア・フォン・リースフェルトという。こちらこそよろしくお願いする」

 

 

 重國は恭しく挨拶してきたことにユリスも対等に挨拶をする。彼女を知るクラスメイトが居れば驚いていたかもしれない。彼女が挨拶をするなんて、と。

 重國はユリスと挨拶をし終えると、もう一人の少女に向き合う。

 

「……私は沙々宮(ささみや)紗夜(さや)という。よろしく」

 

「ふむ。よろしくのう」

 

 言葉短めだが、別段重國を敵視してる訳でも、警戒してる訳でもないその雰囲気に、重國は小さな笑みを浮かべる。まるで小さな孫にでも会ったような表情だった。もし髭などがあれば正しくお祖父ちゃんと孫が会う場面(シーン)になるだろう。

 沙夜宮紗夜も、どうしてか彼からとても年相応の感じがせず、落ち着きがあるというのにどこか肝が図太く、根付く樹木のような泰然さが面白いようにすぐに感じた。

 

「そして。そっちは?」

 

 重國が挨拶をし終えると、次に目を向けられたのは日番谷(ひつがや)だった。

 

「星導館学園高等部二年の日番谷(ひつがや)凍獅郎(とうしろう)だ」

 

「日番谷凍獅郎だと!? あの《凍える獅子(スノーライオン)》か!?」

 

 何故にそのような名前が出てきたのか、重國は自然な流れで日番谷(ひつがや)に目を向けると、深いため息をつきながら、日番谷(ひつがや)はユリスに目を向ける。随分とつり上がった目を、

 

「やめろ、そんな名は使ったことがない。初めて聞いてぞ」

 

「なっ! そんなことはない! 大胆不敵や明朗さをちなみ神聖な聖獣とされるスノーライオンを当てられたと聞いたぞ」

 

「なんと」

 

 重國は深い意味があったその二つ名に思わず驚くも、日番谷(ひつがや)は変わらず『やめてくれ、どうか』と額に手を乗せている。どうやら頭痛の類いに襲われているようだ。

 

「まずは歳上にどういう口調を使うのかを考えてもらえるだろうか? 年功序列など昔の話ではと思うのは自由だが、歳上を敬うのは日本(ここ)では常識だぞ」

 

「こ、これは失礼した!」

 

「……失礼」

 

「………………まぁいい」

 

 日番谷(ひつがや)は他にも何かを言いたそうにしていたが、黙る。それを面白そうに見ていると、綾斗も笑いながら提案と言わんばかりに重國に、

 

「今二人に《六花》を案内してもらってたところだったんだけど、重國もどうだい?」

 

「ほう、この都市をか」

 

 それは大変有意義なものじゃの、と思っていると、横にいる日番谷(ひつがや)に目を向ける。説明を受けるなら日番谷(ひつがや)にでも頼めばやってくれそうだが、何やら面倒くさそうに顔を歪めていた。『一緒に行ってきてくださいよ』と目で訴えてきている。

 面白くないので意地でも残ってやろうかと思ったが、綾斗が重國の腕を引っ張っていく。

 

「ホラいこうよ。日番谷(ひつがや)先輩、重國をお借りしますね」

 

「あぁ、連れていってくれ」

 

「とうとう口に出したか日番谷(ひつがや)っ!」

 

 ずりずり、と綾斗に引き摺られるように連れて行かれる重國を見送りながら、日番谷(ひつがや)は当初の目的であったコンビニにへと向かうのであった。

 

 




感想やコメントお待ちしています!





早くも感想を書いて下った方々には感謝が溢れんばかりです!
そして、重要なことを見落としていました。
今回やっと出た日番谷の名前『凍獅郎』ですが、意図的にこのような名前なのです。
平子も名前が『真子郎』なのも意味があります!

本文では次回辺りにそのあたりの設定なども書いていければと思っています!
細かなそういうところもまで読んで下さり、気付いた方はどれくらいいたのでしょうかww
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。