Fate/RexProelium   作:sT油

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アポ時空に近いかな…?


◇ランサー Ⅰ

トランシルヴァニア地方、トゥリファスの『領王』はロシアの西方に位置する都市に喚び出された。

「ふむ、この地脈は……」

彼は彼自身のスキル、『護国の鬼将』により喚び出されたその都市の地脈を完全に確保した。なればこそ、わかったのである。

「この地脈は、いやこの地は、

他の地と明らかに異なっている、か」

そもそも、『領王』は現界したその直後より、“違和感”を感じていた。

いや、それが視えていた。

この地の“違和感”は地脈を支配し、力を得る彼だからこそ理解しえた……訳ではない。

彼でなくとも判るような、理性のない狂戦士でさえ解るような単純且つ、根幹的な“違和感”。

「やはりこの地に余のマスターは居らぬ、か。いや、それだけでは無いな。この地には“生命”が無いのか」

そう。この都市には“生命”が微塵もないのだ。けして小さな都市ではない。百万の人が闊歩する大きな都市であるはずなのだ。

しかし、鏖殺されたわけでもなくただ『無い』のだ。

「されども血の匂いはせぬ、と」

生前、彼は飽くほどに嗅いだのだ。

戦でかおる兵の血の匂い。

裁かれた逆臣の血の匂い。

そして、串刺しにされた帝国の兵どもの

血の匂い。

その匂いが一片たりともしないのだ。

「されど、されど。……匂うな、この地は」

そう。この“空気”に血は匂わない。

だがこの“地”には血が匂う。いや、血の匂いしかしないのだ。

マスターの居ない聖杯戦争。

“生命”のない大地。

無臭の宙。

血が色濃く香りたつ“地”。

依代無く現界し続けるこの霊体。

その答えの一端を『串刺し公』は諒解した。

「そうか、そういうことか。…この地の生命はこの地に喰われたのか」

彼は恐るべき事実を、畏るべき現実を口にした。

しかし其れはどうしようもなく現実。

故にこの地の地脈は、

百万もの人を喰らったこの地は

“奇蹟”を起こし得るのだ。

魔術師に限らず、只の人間でさえ生命力は魔力になるのだからーー

彼はその聡明なる頭脳に得た情報から推測し、確固たるものを纏めた。

「成る程。この地にマスターが

居らぬのではなく、“この地がマスターのようなもの”ということか。なれば、この地より出ることは叶わぬか。まぁ良い。しかし……」

そう虚空に言葉を発した彼の顔は

哀しみと自嘲が混ざった表情であった。

 

仮令、其れが自らの国でなくとも

 

其れが自らとなんら関係のない地で

あろうとも

 

領土を護るのが彼の英霊としての在り方

 

彼の『領王』としての在り方なのだ。

 

だからこそ、彼は虚空に発した言葉を継ぐ

「護る命が無いというのに『護国の鬼将』とはな、ふん、笑い話にもならぬな」

 

 

 

【シークエンス«カズィクルベイ»の遂行完了を確認。同刻、ネクストシークエンス«アレクサンドロス»の遂行準備完了を確認。現刻より、遂行を開始します】

 




FGOで“彼”が当たった人へ捧ぐ。

羨ましい……自分も欲しいなぁ……

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