オーバーロードと亡霊の科学者   作:河馬

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0.プロローグ

               

 

 

 

    D M M O R P G(Dive Massively Multiplayer Online Role Playing Game)

 

 

                    ユグドラシル    

 

 

  それは、2126年に日本のメーカーが発売した、体感型MMOと呼ばれるゲームの一種である。

 

 

 

 

 

そして、数ある体感型MMOの中でも群を抜いて人気が高かったのが、この『ユグドラシル』と呼ばれるゲームである。

 

 

その人気の秘密の一つは先ずはその圧倒的なデータ量で、その世界には『人間種』の他に、『亜人種』、『異形種』と呼ばれる種族があり、その種族の数が半端では無く、同じ『人間種』にも、エルフやドワーフ、『亜人種』には、ゴブリンやオーク、『異形種』に至っては、アンデットや悪魔、其の他にも数え切れない程の種族がある。

 

そして、職業に至っては合計で880も有り、その膨大なデータ量も相まってほぼ、完全に他のキャラクターと自分のキャラクターの性能は被る事は無いのだ。

 

 

 

それ以外にも、このゲームの魅力はまだまだ有る。人気は確かに有り、やり込み要素も有ったのだ。が、時が流れるにつれ、段々とユーザーは他のゲームに目移りしたり、私生活を優先させる様に成って行く。

 

それはとあるギルドとて、例外では無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ついにサービス終了、か....」

 

とある友人から届いたメールを見て、佐藤翔は溜息を漏らした

 

「あぁ....如何しようかな.....でも、最後位は....良し!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「時間は....良し、まだ後1時間半ある。これならアップデートを含めても十分間に合う筈....」

 

この男、佐藤翔は今現在売れっ子の漫画作家である。子供の頃から漫画家になると言う夢を持っていた。そして、それは今や夢ではなく、現実に叶える事が出来ている。だが何故、今でもかなり忙しいこの男がゲームをしようとしているのか。それは、この男が夢を掴む事が出来た原因となる人物達に会いに行く為である。

 

夢を諦めかけて居た時、あの人達と出会った事で自分は諦めずに居る事が出来た。そんな恩人達に会う機会はもうこれっきりである。ならば、会いに行く以外は無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とあるゲームの中では、こんな会話が繰り広げられていた。

 

「ほんと、ひさしぶりでしたね、ヘロヘロさん」

「いや、本当におひさーですね」

「こんばんわー、遅れてしまってすいません。もう少し早く来る予定だったんですけどアップデートが意外と長くて.....」

 

 

会話をしていた骸骨と、スライムの様な物の動きが止まる

 

「.....レギオンさん!!?」

「.....おお!レギオンさんじゃないですか!おひさーです」

 

『レギオン』、それが、翔のゲームの中での名前であった。

 

「まさかレギオンさんまで来てくれるなんて....ありがとうございます!」

「いえいえ、自分も最終日位は来たいと思ってたんですよ。メールで伝えてくれて、ありがとうございます....あ!ヘロヘロさん、仕事の方は大丈夫何ですか?」

「あはは、実の所、今もデスマーチ中でして」

「うわぁ....大丈夫ですか?」

「体ですか? ちょーボロボロですよ」

 

と、スライムが腕らしき物を伸ばしてダンスでも躍るかの様にクネクネさせる。

 

「といってもこのご時世休めないんですけどねー。体におもいっきり鞭打って働いてます」

「うわー」

「まじ大変です。あ、レギオンさんも、仕事大丈夫ですか?人気なのも案外大変そうです」

「いやー、結構疲れますよ。集中力も使うし、書いてて気がついたら朝。なんて事が何度もありますね....」

「うわぁ、やっぱり人気作家って疲れますよね....」

「本当に、まだ期限に迫っても無いのに、早く書け早く書けってうるさくて.....」

 

やがて三人の会話は、互いの仕事に対する愚痴へと変化していった。

 

「いやー、それなのに来てもらって悪かったです」

「何をおっしゃいます。こっちも久しぶりに皆に会えて嬉しかったですよ」

「俺もです。また会えて嬉しかったです。で、ヘロヘロさんはこの後どうするんで?」

「まぁ、本当は最後までお付き合いしたいんですが、ちょっと眠すぎて」

「あー。ですよね。落ちていただいて結構ですよ」

「ギルド長とレギオンさんは如何されるんですか?」

「私は一応最後まで残りますよ。誰か来るかもしれませんし」

「俺も残りますよ。私生活が忙しくなってからは、此処にほとんど来れてませんでしたし」

「なるほど。....モモンガさん、レギオンさん、今まで本当に、ありがとうございました」

「此方こそ、ありがとうございました」

「ええ、お疲れ様でした」

「では、また違うゲームででも会いましょう。お疲れ様でした」

 

そう言って、スライムはログアウトした。

 

「はぁ....残り時間ももう少ないですし、どうしますか?」

「やっぱり、最後は最後らしく.....玉座で.....イヤ、私はやっぱり自分の部屋で終わりたいです」

 

あの部屋には、色々な自分の思い出がある。それこそ、数え切れない位の

 

「あー、あそこですか.....ご同行したいんですが、私は玉座で終わろうと思います」

「....解りました。では、今まで長い間、此処を守って頂き本当にありがとうございました。」

「いえいえ、皆で頑張って作ったんです、簡単に壊されるわけには行きません。ギルドの長として当然の事をしたまでです。じゃ、また違うゲームででも会いましょう」

「....ですね。では、私はこれで」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   《イドゥリマ》

 

中は薄暗く、いかにも精密そうな機械がずらりと並んでいる。そして至る所にカプセルが設置されており、その中には何だか良く解らない生物が緑色の液体にぷかぷかと浮いている。それに《イドゥリマ》を守る為の護衛NPCが12体程中を徘徊しており、その平均レベルは90にも達する。極め付けには、此処には至る所にトラップが仕掛けられており、そのなかには部外者が入れば、カプセルの中の生物が襲い掛かってくると言う物まである。なお、当然だがこのトラップは仕掛けた者と、指定されたNPC、指定されたプレイヤーにひっかかる事は無い。それに、此処には有る秘密が隠されており....

 

 

 

 

 

「.....懐かしいなぁ」

 

コンソールをいじりながら、こんな設定もあったなぁと思いつつ、奥にあるソファに座る。

 

「あ、忘れてた....『集まれ』」

 

徘徊しているNPCを呼び戻し、集まらせる。流石に、一人で終わるのは寂しいらしい。

 

「はぁ....もう少し、此処に居たかったなぁ....」

 

 

 

本当に、楽しかった。

 

 

 

 

皆で協力し合い、皆で教えあい、皆で競い合い、皆で笑い合い。

 

 

 

仲間達のおかげで、自分は漫画家になれた。仲間達が居たから、夢を諦めずに居られた。

 

 

 

 

 

いつか、また、会えると良いな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?」

 

もうログアウトしているはず。疑問を感じたレギオンは、ふと、部屋の隅にある時計に目をやる。

 

------24:00:87

 

「え?時間が過ぎてる?.....GMコールが効かない!!?」

「....如何されました?」

「...ふぁっ!!?」

 

第二の人生が、幕を開ける。

 

 

 

 




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