真剣で私に恋しなさい!―Existence of a duplicate―   作:輝雪

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どうも、輝雪です。
この小説を読む前にいくつかご注意を。

・原作を独自解釈、もしくは設定が変更されている場合があります。

・この作品は百代が最強ではありません。

・オリジナルキャラがそれなりに出てきます。


以上の点を踏まえた上で、お読みください。
ではどうぞ。




001 日常

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―俺が初めて見た空は―

 

 

 

 

 

 

 

―暗く濁った曇天の雨空だった―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真剣で私に恋しなさい!―Existence of a duplicate―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

川神学園へと続く多馬川の河川敷。

時刻は八時過ぎ。

登校する川神学園の生徒の姿がちらほら見えた。

何時もと変わらない平凡でありきたりな日常。

 

「ふぁぁ……」

 

大きく口を開け、だらしのない欠伸。

 

「朝っぱらからだらしないッスね、先輩……」

 

隣を歩く男が仕方ないなぁ、といったように呟いた。

 

「煩いぞ、ハゲ」

 

応じたのは黒髪の青年、御崎《みさき》 雹《はく》、川神学園 三年生。

少し切れ目気味の眼に、スッと綺麗に通った鼻筋、カッコイイというよりは綺麗という表現が似合う顔立ちだ。

だが、無造作に放置された髪と、全身から漂う無気力なオーラがその魅力を少々損なわせていた。

 

「え、ちょ、酷くない!? 何度も言ってますけど、これはハゲじゃなくスキンヘッド、ファッションだから! 生えてこないわけじゃないですからね!? 自分で剃ってるんですからね!? そこらへん(ry」

 

思わぬ反撃を受けた後輩、井上 準は己の汚名を必死に弁解するが誰一人聞いていない。

 

「やーい、この準のふもー地帯」

 

四人のうち、唯一の女子。

紅一点である榊原小雪が井上の頭をぺしぺし、と叩きながら言った。

 

「やめなさい!」

 

「お前らは朝からテンション高いな」

 

「何時も通りですよ、先輩」

 

「確かに……」

 

ふふふ、と女性なら誰もが魅了されそうな優しげな笑みを浮かべ小雪と井上を見つめる男、葵 冬馬。

川神学園のイケメン代表、エレガンテ・クワットロの一員であり、学年で成績1位の優秀者でもある。

だが、

 

「そんな事より先輩、私とお付き合いしてくれませんか?」

 

「……お前も何時も通りだな」

 

「はい。私の先輩への愛はいつの時も途絶えることはありませんよ」

 

「マジで死ねばいいのに」

 

――その実態は気に入れば男女どちらでもOK、という本物の両刀使い(バイセクシャル)である。

 

「むー、ダメ。ハクは僕のだもん」

 

冬馬の言葉に小雪が反応、ダキッ、と所有権を主張するように雹の背中に抱きつく小雪。

首に回された手が肩に重荷を掛ける。

同時に背中に感じる小雪の胸が潰れる感触とほのかに香る甘い、女の子独特の香り。

小雪は言うまでもなく美少女だ。

クリッとした大きな赤い瞳、アルビノ特有の綺麗な白い肌、細く長い手足、抜群のプロポーション。

男なら誰もが頬を緩めそうなシュチュエーションだが、

 

「いつからお前の物になったんだ?」

 

――この男は変わらずのポーカーフェイスで返す。

 

「とりあえず離れろよ、ウサギ」

 

雹は小雪の事をウサギと呼ぶ。

理由は単純に赤い目に白い髪だから、という超安易なネーミングだった。

 

「いやだよ~、このまま学校連れてって」

 

そう言ってさらに強く抱きついて、首筋に顔をうずめた。

小雪は何かあるたびこうして自分に甘えてくる。

懐かれることをした覚えはない。

毎回考えてみるが、小雪の意図はつかめない。

拒む理由も特に見当たらないので基本的には好きにさせて(無視して)いる。

如いて言うなら時々、少し鬱陶しいと思う程度(その時は容赦なく引きはがす)。

今回は放っておくか、引きはがすべきか悩んだが、

 

「そういえば、もうすぐ東西交流戦ですね」

 

冬馬の言葉に思考を遮られて、結局何時も通り好きにさせることに。

小雪はそんなことを知ってか知らずか、雹の背でリラックスしきっていた。

 

「喧嘩売ってきたのは天神館だったよな、若?」

 

「ええ、天神館はこちらを相当ライバル視しているようです。きっと西が東に劣っている、と思われている今の状況が気に入らないのでしょうね」

 

「何か聞いた話じゃ修学旅行のついでにかこつけて喧嘩吹っかけてきたそうだしな」

 

「学校ぐるみで喧嘩売ってくるとか、どれだけ暇なんだか……」

 

「……先輩は選手として出場するんですか?」

 

冬馬が雹の方に顔を向けて答えを待つ。

といっても準も冬馬も雹が交流戦に出るとはまったく、これぽっちも思っていない。

だからこの問いも質問というよりは確認である。

1に怠惰、2に面倒、3、4に惰眠、5にサボりを地で行くこの先輩が東西交流戦なんていう大きいイベントに参加するはずがない、と思っていた。

確かに普段ならその予想は正しく、二重丸の大正解だが、今回は少し事情が違っており、雹の返答は二人の予想を大きく裏切るものだった。

 

「そんな面倒しかないものに出るわけないだろ、と言いたい所だが何と遺憾なことか、京極の奴に勝手に出場させられてた。仕方ないから適当に隠れてやり過ごす。……京極も天神館も余計な事を」

 

川神学園は意欲的―好戦的ともいう―な生徒も多いので東西交流戦は盛り上がるイベントの一つだが、面倒を嫌い、怠惰を好む雹としてはまったくもって迷惑でしかない。

本気で仮病使って休むか悩んでいるほどである。

 

「まったく、俺は武術を習っていない(・・・・・・)一般人だってのに」

 

雹が嘆息交じりに漏らした愚痴は学生たちの喧騒の中に飲まれて消えたが、隣でしっかりと雹の呟きが聞こえた後輩二人は顔を見合わせ苦笑した。

 

 

 

 

 

 

 

 

▼▼▼

 

 

 

 

 

 

 

 

そうこうしながら歩くこと数分、川神学園に到着。

 

「ほらウサギ、離れろ」

 

「うにゅ」

 

下足室を出たすぐの廊下。

背中にへばりつきすやすやと寝息を立てる小雪の襟首を掴み、少々乱暴(本人は丁寧かつ優しいつもり)に引っぺがす。

そのまま冬馬達に投げつけ、準が小雪(それ)を受け止める。

 

「では先輩、また」

 

「バイバーイ」

 

「俺はハゲじゃないですからね!」

 

「ああ(あのハゲ、まだ言ってんのか……)」

 

後輩たちの別れ――1名は若干おかしかったが――に短く応じて、雹は踵を返し自分の教室へと向かった。

そして自分のクラス3-Sに入ると、

 

「おはよう。……ふむ、今日は珍しく早いな」

 

着物を着た純和風のイケメン男子が話しかけてきた。

 

「俺が早いと可笑しいか?」

 

席に着きながら応じる。

 

「いや、ただ珍しいな、と。君は遅刻が多いからな、雹」

 

「まぁ気分、としかいえないな、京極」

 

京極彦一、三年トップクラスの成績であり、言霊部部長。

同時に冬馬と同じエレガンテ・クワットロの一角でもある。

そのルックスと優雅で物静かな佇まいに魅了される女子は多い。

雹は京極とは何かと縁があり、一年の頃からの友人であった。

 

「まぁ、丁度いい。今日は交流戦についての大事なミーティングもあるからな、君にも出席してもらわないといけない」

 

パンッ、と手に持った扇子を閉じる京極。

 

「いや、断る」

 

簡潔に、とてつもなく簡潔に雹は拒否した。

取り付く島も無い、とはまさにこの事である。

だがそれなりに付き合いが長い事もあって、京極は特に慌てた様子もなく、

 

「なに、出てくれるだけで良い。それに相応の報酬は払おう。商店街の甘味屋で一日五つしか作られない、幻と言われている葛餅パフェの交換券だが、どうかな?」

 

報酬を聞いた瞬間、雹の表情が変わった。

すぐに表情を引き締めるが、京極は友人の一瞬の心の揺らぎを見逃さなかった。

京極はすぐさま畳み掛ける。

 

「そうか、残念だ。では交換券(これ)は他に譲ると―「待てよ」―ふむ……」

 

そして雹は数瞬、逡巡してからゆっくりと頷き、

 

「……仕方ないから出てやるよ」

 

「ああ、交渉成立だな」

 

こうして雹は自らの? 意志で交流戦関わっていく事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





暇潰しにでもなれば幸いです(^.^)
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