証を刻む   作:リクルート

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 初めまして、リクルートです。
 テイルズシリーズが好きで、TOVの2次創作が全然ないから自分で書いちゃえっ、って思って書いた二次小説です。
 TOVは好きでも、小説は読んでないし、ゲームは3週くらいしてもう売っちゃったし、こんな感じのにわかです。大体は、wiki情報で書いてます。


プロローグ


 一匹の魔物がいた。

 全長4メートルの体躯を覆う黄色の毛に白色の毛がいくつかの線を作り、首に白と赤の鬣の様なものを、腰回りにも後ろに鋭く伸びた尾のようにも見える同じ様なものを身に纏っている4足歩行の魔物。

 

 一人の少年がいた。

 横たわる魔物の横に天を仰いで寝ている灰色の髪を持った少年。

 

 ここはシゾンタニアと呼ばれる街を囲む森の中。

 4メートルもの巨大な魔物を横にして、森の木々の隙間を縫って降り注ぐ日を浴びながら無防備に昼寝をするその行為は自殺行為以外の何物でもない。

 魔物は横たわっているだけで寝てはいない。少年の方も寝ているわけではなく、目を瞑って日の暖かさを堪能しているだけだ。いつ魔物の爪牙に引き裂かれてもおかしくない状況。

 だというのに、2者は全く動こうとはしない。

 それもそのはず。実は特に危険と言う状況ではないのだ。肉を食われ、引き裂かれるようなグロテスクな音が全くないのがそれを証拠づけている。

 魔物と無防備な少年。まずは、その状況が間違っていたのだ。

 横たわっている4足歩行の獣は魔物ではない。その存在を知っている者は少ないが、始祖の隷長(エンテレケイア)と呼ばれる存在である。数百年という時を生き、高い知能を持つ生物。始祖の隷長(エンテレケイア)は多く存在するわけではなく、今現在も生存している者の中では、彼は比較的若い方だ。

 そして、その隣で日光浴を楽しんでいる少年は、シゾンタニアに住む普通の少年。

 

 2者の出会いは、偶然によるものだった。

 8年前、少年は家族と共にシゾンタニアへと引っ越してきた。その道中で休憩している時、タイミング悪く親が目を離してしまった隙に子供らしい好奇心に駆られ、小さく可愛らしい動物を追いかけて森の中へと入って行ってしまった。

 もちろん、両親は心配し、探そうとした。しかし、その一家に護衛を依頼されていたギルドがそれを拒否したのだ。それは依頼内容ではない、と。両親は激怒したが、戦いに慣れているギルドの猛者たちに敵うわけもないし、自分たちだけでも我が子を探そうとも思った。しかしそれはあまりにも無謀である。結界魔導器(シルトブラスティア)の外では魔物に襲われる危険が常に付きまとう。だから護衛を頼むのだ。

 幸いにも、シゾンタニアは目と鼻の先。両親はギルドの護衛の元、急いで街に向かい、そこに在駐する騎士団に迷子捜索を頼んだ。

 

 騎士団が迷子を見つけるまでの間、もちろん少年は道に迷っていた。まだまだ親に甘え、守られる年齢だった少年は、その寂しさと恐怖に耐え切れず泣いた。大声で泣いた。魔物が生息する森で、その泣き声は魔物を呼ぶ。恐怖に耐えながらも、少年は生き残るために逃げた。きっと助けが来ると信じて。

 そこで出会ったのが、先程の始祖の隷長(エンテレケイア)

 彼は数百年という時を生き、様々な物を見てきた。世界の美しい物から醜い物まで。もちろん、人間の愚かな行為もたくさん見てきた。彼にとって人間とは見限られても仕方ない存在であり、死んでも何も問題ない存在として認識されている。しかし彼は少年を助けた。小さな子供だったから、足元にいたから、という理由が少なくともあったが、彼が少年を助けたのは気まぐれ以外の何物でもなかった。

 そしてそのまま気まぐれに街のすぐそこまで連れて行き、少年を置いて森へと帰って行った。

 その後、騎士団と両親に無事保護された。

 

 これが、少年と始祖の隷長(エンテレケイア)の初めての出会い。

 

 7年後、少年は15歳となっていた。

 シゾンタニアで、子供達の間にだけ広まった噂がある。

 

 森の小さな家に魔女住んでいる

 

 その真相を知る者はもちろんいるだろう。子供が面白半分に作ったデマかもしれない。どこぞの研究者かもしれない。しかし真相はどうであれ、日常に楽しい変化を求める子供達にとっては、その噂があるという事実だけで十分だった。

 

「じゃーんけーんぽん!」

 

 広場に子供達の声が響く。

 負けた者が噂を確かめに行く、という罰ゲームが賭かったジャンケンに負けたのは、7年前この街に引っ越してくる際迷子になった灰色の髪の少年。

 

「ま、死なない程度に行ってこいよ」

「そんなぁ」

 

 結界の中で魔物の恐怖も知らずに育ってきた彼らは、それがどれだけ危険な行為か知らない。

 そして、それが危険な行為だと知っている少年は、気弱な性格のせいで、強くなりたいという意思のせいで断ることが出来ず、結界から外へと出てしまった。一応、子供達の一人が家からこっそり持ち出した剣を持たされて。

 

 日はまだ高い。森に生息する魔物も夜ほど活発ではない。ぱっと行ってぱっと確かめてぱっと帰ろう。

 

 少年は魔女の家を探し、森を彷徨(さまよ)った。

 そして、やっぱり魔物に遭遇した。及び腰で突き出した剣が飛びかかってきた狼型の魔物に運よく突き刺さり倒すことが出来たが、1匹ではなかったのが運の尽き。

 あの時と同じように、少年は逃げた。

 あの時と同じように、死を覚悟した。

 あの時と同じように、何かにぶつかった。

 それは巨大な魔物の足、ではなく始祖の隷長(エンテレケイア)の足。

 始祖の隷長(エンテレケイア)が口を開けると同時に、そこから激しい電撃が放たれた。魔物が一瞬で黒焦げになると同時に、肉の焼ける嫌な匂いが少年の鼻腔を刺激し、少年は顔をしかめる。

 始祖の隷長(エンテレケイア)は少年を一瞥した後、森への奥へと向かって歩き始めた。そして少年はこの大きな魔物があの時自分を助けてくれた魔物だと記憶しており、危険な存在ではないと感覚的に感じとって付いて行った。

 

「……人間、なぜついてくる」

「だ、だって、帰り道わからないし、また魔物に襲われるかもしれないし……って、魔物が喋った!?」

 

 少年は魔物について詳しくなるほど遭遇したこともないし知らないが、一般常識として魔物は喋らないというのは知っている。でも現に目の前の魔物が喋っているのだから、少年は困惑した。 

 

「我は魔物ではない。始祖の隷長(エンテレケイア)だ」

「エ、エンテレケイアさん、ですか……」

「…………」

「…………」

 

 2者の間に沈黙ができる。

 少年はエンテレケイアさんと話している時、魔物ではなく人と話している時と同じ感覚だった。人語を話し、知能を感じさせる喋り方は、人間のそれとまったく同じだったからだ。だから、この沈黙に多少の気まずさを感じていた。

 

「……あ、そうだ!あの、今から魔女のところに行くんですけど、付いて来てくれませんか?」

「断る」

「そ、そこを何とか。1人じゃ怖いし、また魔物に襲われるかもしれないし」

「ならば帰れ」

「それじゃ、またみんなにいじめられるし……僕だって出来るってとこを見せたいんです!」

 

 始祖の隷長(エンテレケイア)は悟る。こいつめんどくさい、と。

 このまま無視して歩き始めてもきっと付いて来るだろう。ならば追いつけない速さで逃げるか?それだと、きっとこの少年は魔物に襲われて死ぬ。それはそれで別に構わないことだが、なんとなく後味が悪い。

 結果として、始祖の隷長(エンテレケイア)は少年の頼みを聞いた。

 

「……人間、貴様は我を恐れぬのか」

 

 たぶん……こっち!と言って歩き始めた少年の行く末に不安を覚えながら付いて行っている道中、始祖の隷長(エンテレケイア)は少年に問う。

 

「だって、エンテレケイアさん、僕を助けてくれたじゃないですか。2回も」

「……なるほど。あの時の子供か。軟弱に育ったものだ」

「言わないでください、気にしてるんです」

 

 結局、魔女の家は見つからなかった。

 日は傾き始め、魔物たちも活発化し始める時間帯。

 さすがに少年は諦めて帰ることを決め、始祖の隷長(エンテレケイア)は7年前と同じく街のすぐそこまで連れて行った。

 別れ際、口を閉じることを知らないのかと思うくらい喋り続けていた少年は言った。

 

「あの、また来てもいいですか?」

「……好きにしろ」

 

 不安そうに問いかけた少年の顔が、ぱぁっと明るくなる。

 

「じゃあ、明日来ますね!」

 

 そう言い残して少年は街へと帰って行った。

 

 その後ろ姿を眺めながら始祖の隷長(エンテレケイア)は思う。

 浮かれている、と。自分が守っていたからかもしれないが、結界の外が危険であることを少年は忘れつつあるのではないだろうか。だとしたら、少年はきっと、近いうちに死ぬ。

 

 その後、始祖の隷長(エンテレケイア)がしたことは、縄張り作り。魔物は縄張り意識が大きいため、一度自分の力を示せばほとんどの魔物はそこには寄って来なくなる。

 強大な力を持つ始祖の隷長(エンテレケイア)にとって、それは容易なこと。一夜で事足りた。

 

 後日、少年はもう一度結界の外へと向かった。もちろん、誰かに見つかったら当然止められるので、人目を掻い潜って。

 しかし、少年は昨日始祖の隷長(エンテレケイア)に会った場所を覚えていない。昨日は魔物から必死に逃げていたため、大体この辺、くらいにしかわからないのだ。護身用に一応木刀を持ってきているものの、やはり身の安全を確保するには物足りない。少年としては、一刻も早く始祖の隷長(エンテレケイア)に会いたい一心だ。

 

「あのー、エンテレケイアさーん」

 

 返事はない。

 しばらく歩くも、少年は始祖の隷長(エンテレケイア)に会えなかった。しかし、昨日始祖の隷長(エンテレケイア)が電撃で倒した魔物の死骸を発見したので、方向は間違ってはいなかったようだ。

 

(……それにしても)

 

 少年は疑問に思った。

 森に入ってしばらく経つが、魔物が一向に現れない。もちろん遭遇しないに越したことはないのだがーーーむしろ遭遇したら死ぬーーー魔物の呻き声さえも一切聞こえてこないのだ。聞こえてくるのは、小鳥がさえずる音だけ。

 

 少年はもう少し歩き続けた。

 すると、とある広場に出た。周りの木から伸びてきた枝や葉によって空は覆われているため日陰の割合の方が多くなっているが、地面には木は全く生えておらず、直径20メートル程の花や雑草が生えただけの丸い広場だ。

 その広場の中心に、猫や犬と同じように横たわり、うずくまっている大きな獣を見つけた。間違いなく、昨日の始祖の隷長(エンテレケイア)

 寝ているのかな、と思い、少年がなるべく足音を抑えて近ずくと、その始祖の隷長(エンテレケイア)にとまっていた子鳥たちがバサバサと音を立てながら一斉に逃げ出す。

 

「……人間、何の用だ」

「えっと、昨日また来るって言ったから……」

「…………」

「……あの、今日も、手伝ってもらえませんか?魔女探し」

「魔物ならもうこの周辺には現れん。一人で行け」

「……そう、ですか……あっ、でも、魔女が怖い人だったらいけないし……」

「…………」

 

 始祖の隷長(エンテレケイア)は心の中で溜息を突きながら、ゆっくりと体を起こした。

 その行動だけで、少年は彼が付いて来てくれる事を理解し、軽快な足取りで歩き始めた。

 

 少年の数歩後ろを始祖の隷長(エンテレケイア)が付いていき、しばらくたつと、始祖の隷長(エンテレケイア)が少年に言葉をかけた。

 

「止まれ」

「どうしたの?」

「ここから先は我の縄張りの外だ。魔物が出る」

「そ、そうなの?」

 

 そう言われて視線をこの先に向ければ、茂みの中に赤い目が光り、木の裏では鋭い牙を輝かせている魔物が数匹いた。

 

「結界の外には魔物がいるものだ。いつ、どこで現れるやも知れん。貴様は結界の外にいるだけで、常に命の危険に脅かされていることを忘れるな」

「……つまりは、エンテレケイアさんに頼って浮かれてちゃだめだってことだよね」

「理解の速い者は嫌いではない。そう言うことだ。魔女とやらを探すにしても、力をつけてからにすることだな。貴様にも出来るということを、示して見せろ」

 

 少年は黙り込み、答えた。

 

「……嬉しかったんだ。こんなに楽しかったの、久しぶりで……じゃあ、今日は帰るよ」

 

 そうして、少年と始祖の隷長(エンテレケイア)は昨日と同じように街の近くまで行った。

 

「エンテレケイアさんの言う通りだ。結界の外に出るには、力が必要。だから、強くなってからまた来るよ。僕にも出来るってとこ、エンテレケイアさんにも見せてあげるからね」

「好きにするといい」

「じゃあ、今度来たらもう一回魔女を探しに行こうね。絶対だよ!」

 

 それが別れ際の会話。

 昨日のように浮かれたような雰囲気はなく、少年からは確かな意思を感じることが出来る。

 

 その後、少年はとある場所へと向かった。道中で話しかけられた友人や大人たちには軽く返事を返しながら、走って。

 

 長い下り坂を下りていけば、一つの大きな屋敷の様な建物にたどり着いた。

 その建物の両開きの正面入り口に頭だけで中を覗き、声を出す。

 

「あのー、すいませーん」

「あら?どうしたの?」

 

 現れたのは、赤い髪を後頭部で一つにまとめた女性。

 少年は今度はちゃんと建物の中に入り、姿勢をただし、頭を下げながら言った。

 

「あの、僕に剣を教えてください!」

 




登場した始祖の隷長は、オリジナルです。TOAのライガクイーンの、赤紫が白色になったVerの容姿です。分かる人は、TOWRM3のエンシェントライガを思い浮かべてください。

 リタをヒロインにできたらいいなぁ、と思ってますが、無理はしません。ヒロイン無しもありえるかも。
 原作設定遵守していくつもりですので、原作の設定を大きく揺るがすような間違いがあったら教えてください。修正可能な範囲だったら直します。

 完全な見切り発進ですので、アドバイスなどくださると嬉しいです。
 小説タイトル、あらすじ、タグはまだ未定なので、変わるかもしれません。特に小説タイトルが。
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