最強の王様になった『 』   作:8周目

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もう言い訳もなにもない。

一度こういうの考え始めたら止まらないんです。
エミヤの方は明日あたり投稿できると思いますので、それまでお待ちくださいm(_ _)m

今の所あまり原作と変わりないですが、ディスボード入ったらそれなりに変化しますので、そちらもその場面に到達するまでお待ちください。


ではどうぞ⇩


神の誘いへ挑む

 

 

 

 「どうだ(しろ)、気持ち良いか?」

 

 

 「んふぅ……にぃ、ちょっと…強い」

 

 

 「ん、ならもう少し優しく……こんなもんか?」

 

 

 「ん…っ、ふぅ……さいこー」

 

 

 

 今この二人がナニをしているかというと、単なるマッサージである。 (しろ)は食事をしながらゲームをすることがあり、その際に足でマウスを扱うのだ。 そんなことをすれば、当然足にも足の指にも負担がかかる。

 だから空は定期的に(しろ)の足をマッサージしているのだ。

 …まぁ、絵面だけ見れば少し問題のありそうな光景だが。

 

 (しろ)はこのマッサージがお気に入りなのだ。 一度足マウスを酷使し過ぎたせいか、足を少し痛めてしまったことがある。 その時に無駄にハイスペックな兄がマッサージをしてくれたのだ。

 それ以来足マウスのあとは、ずっとこのマッサージを兄に頼んでいる。

 

 

 

 「そういや(しろ)、今何時かわかるか?」

 

 

 「ふにゅぅぅ…………ん、えと…まだ、夜中の八時(・・・・・)……」

 

 

 「朝八時を夜中とは、斬新な表現だな妹よ。 …お、この辺ちょっと凝ってるな」

 

 

 「んっ……にぃ、激しい…」

 

 

 「何だ、ここが良いのか。 なら重点的に揉んでやろう」

 

 

 

 ニーソを脱がせ、セーラー服から覗く生脚に特に何か思うことも無く。 空は白の足のコリを優しく揉みほぐすのだった。

 

 

 空は白のことを何より大切に想っている。 それが家族愛なのか、それとも別のナニカなのかは判らない。 だが、白のことが大切であり、そばに居るのが当然の存在であり、失いたくない大事な女の子。 それが自分にとっての当たり前。

 つまるところ、空は行き過ぎたシスコンなのだ。

 愛しい白のためなら、白の敵となり得る対象全てを消し潰すことも出来る。

 だが、しようとは思わない。 面倒くさいし、労力の無駄だし、何より白がそんなことを望まないから。

 

 白も自分の兄である空が大好きだ。

 初めて出逢い、一緒にチェスで遊んだあの時から。 学校でいじめられ、親と別居状態になり、頼れる存在が兄だけになってしまった今も。

 自分と七歳離れたこの兄に人智を越えた能力があることには驚いたが、自分自身も他とはかけ離れた頭脳を持っているので、似た者同士だとも思った。

 二人で『 』(くうはく)という名のアカウントを作り、オンラインゲームで頂点を取り続け、一時の悦を楽しんでいる自分たちの日常が大好きなのだ。 もちろん空も。

 

 

 

 「それにしても、さっきの千二百人を四人で相手するのはさすがに疲れたな。 …他にマッサージして欲しい所はあるか? 白」

 

 

 「……ふともも…?」

 

 

 「…何で疑問系なんですかね。 それに兄ちゃん一応男なんですが」

 

 

 「にぃ……いや…?」

 

 

 「嫌とか嫌じゃないとか、そういうことではないと兄ちゃんは思うんですよ。 もっとこう、倫理的な問題を気にして欲しいと言いますか…」

 

 

 「…にぃ…もしかして………ホモ?

 

 

 「オイ、妹のふとももマッサージしないだけで何でそういう結論になんの? 兄ちゃん普通に女性が好きだからね。 ………あぁはいはい、やりゃあ良いんでしょ」

 

 

 「…うむ……よきに、はからえ〜…」

 

 

 「…はぁ、俺尻に敷かれるタイプなのか?」

 

 

 

 妹とはいえ女性のふとももを男が揉むのはさすがの空も気が引ける。 だが、このワガママなお姫様はそんなの関係ねぇーとばかりにマッサージの快楽に浸る。

 ちなみにマッサージを受けている態勢は、超便利な『王の財宝(むげんそうこ)』から取り出したフッカフカの敷布団に寝転び、空が白の足をマッサージしている。 という感じだ。

 今はふとももをマッサージしているので、スカートの中の縞々パンティが空に丸見えの状態なのだが気にしない。

 むしろ自分に欲情してくれと言わんばかりに見せつけているような気もする。

 

 

 

 「なぁ妹よ。 やっぱりコレまずいんじゃねーの? 特に目の前に広がる理想郷(ユートピア)が兄ちゃんにモロ見えなことが」

 

 

 「やぁ……にぃの、エッチ…♪」

 

 

「含み笑いで言われても全然説得力ねぇよ。 こちとら性欲持て余してる花の十八歳だってのに。 ワザとか? ワザと見せてんのか?」

 

 

 

 などと、相も変わらず日常会話の斜め上なやり取りをしながら一日を過ごす。

 

—————それがいつ終わるとも知らないまま。

 

 

 

 

 

 

◆*◇

 

 

 

 

 

————テロンッ

 

 

 

 「……にぃ、メール」

 

 

「妹のふともも揉まされてるご褒美という名の苦行を強いられてる兄ちゃんに何を要求してるか知らんが、そんな余裕はねぇっ」

 

 

 

 白のシミひとつ無い綺麗でスベスベの、そして確かな柔らかさを持つふとももを優しく揉み解し。

 目の前に広がる理想郷(ユートピア)に対して必死に、ナニとは言わんが耐える兄は余裕なさげにそう答える。

 

 

 

 「つかどうせ広告メールだろ。 ほっとけ」

 

 

 「……友達……から、かも?」

 

 

 「———誰の?」

 

 

 「……にぃ、の」

 

 

 「はは、おかしいな、愛しい妹に胸を抉られる皮肉を放たれた気がする」

 

 

 

 兄……空。

 繰り返すが–——十八歳・無職・童貞・シスコン・ゲーム廃人。

 自慢ではないが、彼女はおろか、友達すらいない己に届くメール候補に『友人』などというカテゴリーがあろうはずもなく、その説は却下される。

 尤も、それは妹———白も同じらしかったが。

 

 

 

 「……うぅ……めんど、くさい」

 

 

 

 だが白は、マッサージによる眠気に手放しそうになる意識を振り絞って、手を伸ばしてタブPCを探る。

 ただの広告メールなら問題ない。

 だが『新しいゲームの広告メール』なら、無視する訳にはいかないからだ。

 引きこもりとニートが、タブレットPCを何に使うのか、疑問に思われるだろうか?

 しかしそれは愚問と言わざるを得ない。

 

 もちろん———ゲーム用だ。

 だが、この兄妹に限って言えば別の使い方もしている。

 無数のゲームのため、無数のアカウント、メールアドレスを持っている二人だが、基本的にゲーム専用機となっているパソコンにかわってこの端末で、三十以上あるメールアカウントを同期し、メールを閲覧している。

 効率主義と呼ぼうか。

 はたまたアホと呼ぶべきか。

 

 

 

 「……音はテロン……三番メインアドレスの着信音……これ、かな?」

 

 

 

 異様な記憶力を発揮してあっさり発掘する白。

 

———【新着1件———件名 : 『 』達へ】

 

 

 

 「…………?」

 

 

 

 こく、と小首を(かし)げる妹。

 『 』(くうはく)———即ち「空と白(ふたり)」に届くメールはさして珍しくはない。

 対戦依頼、取材依頼、挑発的な挑戦状———いくらでもあるのだが、これは。

 

 

 

 「……にぃ」

 

 

 「なにかな? 断ったらホモのレッテル貼られそうなので一生懸命ふとももマッサージさせていただくという、ある種ご褒美(よだれもの)な苦行を兄ちゃんにさせた、愛しい鬼畜妹よ」

 

 

 「……これ……」

 

 

 

 兄の変態皮肉発言など聞こえていないかのように、画面に映るメールを兄に見せる。

 

 

 

 「うん? ———なんだこれ」

 

 

 

 兄もそのメールの特殊性に気づいたのか。

 

 

 

 「セーブもドロップ確認もきちんとしたし、白の足も凝りは取れた、と。 よし、全部オールオッケー」

 

 

 

 間違いなく全て終了したことを確認して、パソコンからメーラーにアクセスする。 そして(いぶか)しげに。

 

 

 

 「……何で『 』(くうはく)兄妹(・・)だって知ってんだ」

 

 

 

———確かに、ネット上で空白複数人説があるのは兄も知るところだった。

 だが、問題は件名ではなく、本文にあった。

 本文には、一言だけ、こう書かれ、URLが貼られていた。

 

 

 

 【君ら兄妹は、生まれる世界を間違えたと感じたことはないかい?】

 

 

 「……なんだこれ」

 

 

 「…………」

 

 

 

 少し、いや、かなり不気味な文面。

 そして見たことのないURL。

 URLの末尾に、「. JP」などの国を表す文字列はない。

 特定のページスクリプトへの———つまりゲームへの直通アドレスで見かけるURL。

 

 

 

 「……どう、する?」

 

 

 

 あまり興味はなさそうに、妹が問う。

 だが、二人の正体を知っているそぶりの文面には、妹も思うところがあるようで。

 そうでなければ、無言で敷布団へ寝に戻っただろう。

 兄に判断を委ねる———それは、兄の領分(・・・・)だと判断したため、即ち————

 

 

 

 「駆け引きのつもりか? まあ、ブラフだとしてもノッてみるのも一興か」

 

 

 

 そう判断し、URLをクリックする。

 ウィルスの類なども警戒し、セキュリティソフトを走らせながらURLを踏んでみた。

 が………現れたのは、なんとも簡素な。

 至ってシンプルな、オンラインチェスの盤面だった。

 

 

 

 「……ふぁふ……おや、すみ……」

 

 

 「ちょちょ、待てって。 『 』(くうはく)宛の挑戦状だぞ。 相手が高度なチェスプログラムとかだったら兄ちゃん一人じゃ手に負えないって」

 

 

 

 一気に興味が失せたらしく、眠ろうとする妹を引き止める兄。

 

 

 

 「……いまさら……チェスとか……」

 

 

 「うん……いや、気持ちはわかるけどさ」

 

 

 

 世界最高のチェス打ち———グランドマスターを完封したプログラム。

 そのプログラムに妹は、先手後手入れ替えで()()()()()()興味が失せて久しい。

 ヤル気がわかないのもわかる……が。

 

 

 「『 』(くうはく)に負けは認められない。 せめて相手の実力がわかるまで、起きててくれ」

 

 

 「……ぅうぅぅ……わかっ、た」

 

 

 

 そうして、チェスを打ち始める空。

 一手、二手と積み重ねて行く兄の対戦を、興味なさそうに。

 いや、眠そうに。 船を漕ぐように、かくん、かくんと眺めている白。

 が———五手、十手と重ねたところで。

 五分の四閉じられていた白の目は開かれ、画面を凝視していた。

 

 

 

 「……え? あれ、こいつ」

 

 

 「……にぃ、交代……」

 

 

 

 一切の反論なく、素直に椅子を明け渡す兄。

 それは、妹が兄の手に負えないと判断したということ。

 つまり、世界最高のチェスプレイヤーが相手をするに足りると判断したということ。

 入れ替わった妹が、手番を重ねていく。

 

 

————チェスは、『二人零和有限確定完全情報ゲーム』である。

 『運』という、偶然が差し込む余地のないこのゲームにおいて。

 理論上、必勝法は明確に存在する(・・・・・・・・・・・)が、それはあくまで理論の話。

 十の百二十乗という膨大な局面を把握できた場合の話である。

 つまりは、事実上ないに等しい。

 だが白は、これを把握しきる。 それができる頭脳を持っている。

 グランドマスターをも完封したプログラム相手に二十連勝した白は、プログラムの不完全性を証明した。

 

 しかし、その妹が————

 

 

 

 「……うそ……味方の、退路を…絶った……?」

 

 

 

 と驚愕に目を見開く。

———だが、一方で兄はその打ち方に違和感を覚えていた。

 

 

 

 「落ち着け。 このチェス、相手は人間だ」

 

 

 「———え?」

 

 

 「プログラムは、常に最善の手を打つ。 集中力も切らさないが、既存の戦術通りの動きしかしない。 だからこそお前は勝てる。 でも———こいつは」

 

 

 

 画面を指差して兄。

 

 

 

 「あえて悪手をとって誘ってる。 それを相手のプログラム(・・・・・・・・)のミスと判断したお前のミス(・・・・・)だ」

 

 

 「………うぅ」

 

 

 

 兄の言葉に、しかし妹は反論しない。

———確かにチェスの技量において、いや、殆どのゲームにおいて。

 (しろ)(そら)を圧倒的に上回る。 まさしく———天才ゲーマー。

 だがこと駆け引き、読み合い、揺さぶりあいなど『相手の感情』という不確定要素を見抜く———つまりギャンブルや戦争ゲームでの司令塔役などにかけては兄は常人離れして上手かった。

 故にこそ、『空白』———二人だからこその———無敗。

 全ジャンルのゲームにおいて死角などない。

 

 

「落ち着け。 相手が人間なら、なおのことお前が負ける要素はない。 相手の挑発には乗るな。 読み合い揺さぶりは兄ちゃんがやる。 お前は冷静に考えて、次の手を打てばいい」

 

 

 「……りょーかい……がんば、る」

 

 

 

 

 

 コレが……数多のゲームで世界ランキングのトップを独走するゲーマーのからくりだった。




真面目に指攣った( ̄∀ ̄;)

iphonで四千文字超えるのはなかなかキツイ。
何度も繰り返しますが、エミヤは明日あたりに投稿すると思います。


感想待ってまする(ノ*´>ω<)ノ
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