どうも、今日も今日とて森の中、泉のほとりでエクスデス先生をしています。
腹が減らない喉も渇かない睡眠すらも必要ない。ついでに言うと基本不死身。究極生命体エクスデスの誕生だァァッ!
つまりね、やることが無いんです。
食糧を調達する必要も、安全確保のために縄張りを作る必要も、自衛のために自らを鍛える必要もないから。
少し前に襲撃してきたクマさんなんて、真空波の余波だけで空を舞いました。噛み付かれても問題はなかったと思います。多分。
フルプレートだからね。木製疑惑あるけど。
今のところはモンスター的なアレコレも見かけていないので、この泉の前でボケーッとしている分には身の危険は感じません。
突如として野生の光の四戦士(暁の戦士でも可)が出てこない限りは大丈夫だと思います。ええ。
もしくは亀。あるいは賢者。具体的にはギードさん。
生まれたてのエクスデス先生を、何か邪悪っぽいという理由で500年も封印しやがった外道亀畜生です。
さらにさらに、何とか封印を解いた先生に対して暁の四戦士をプロデュースしてけしかけ再封印する徹底ぶり。
なおかつもガラフが隕石に乗って第一世界にやってきたのも、ギードの差し金な模様。
全エクスデス種の天敵(確信)。
そりゃあカメェェェッー! とか叫びますよ、先生も。
もっとも、後々にエクスデス先生がやらかしたことを考えると割りと残当な模様。
と、そんな益体も無いことを考えながら、エクスデス先生になってから数度目の夜明けを見つめています。
いやね、その気になれば光合成だけしながら延々と百年もこのままでいられそうなんですよ。
なにしろ元が植物だけに時間の感覚が人間とは段違いのようで、ぼんやり空を眺めてるだけで一日が終わったりもして。
時々思い出したように魔法の練習なんかもしているので今はまだ大丈夫だと思うけど、何かしら目的見つけないとボケそうです。
そうそう魔法と言えば先程言ったクマさん相手にケアルの発動に成功しました。ホーリー使ってただけあって、先生ったら白魔法もいける模様。
試してはいないけど、時魔法も行けるでしょう。デジョンであーれーさせてたし。ディシディア的なテレポ移動は、ちょっと憧れる。
と、木立の間に鹿を発見。……水を飲んでいるところ悪いけれど、せっかくなので魔法の実験台になってもらうことにしよう。
「スロウ」
魔力をひねり出して魔法の名前を告げると、鹿の周囲の空間がぐにゃーと歪んで見えるようになった。
慌てた鹿が跳んで逃げ出すが、その動きはスローモーションのように遅滞している。滞空時間が明らかに長いのだ。
そのまま森の奥に消えるのを見送ってもよかったが、スロウ状態で肉食獣に出会われたら寝覚めが悪い。……寝ないけど。
と、言うことで。
「ディスペル」
イメージとともに魔力を放出すると、稲妻のような光線が鹿に向かって飛びパチンとはじけて消えた。
スロウを打ち消された鹿は、元来の俊敏さを取り戻し木立の奥へと去っていった。
俺はその結果に満足してうんうんとうなずいてみせる。
これからも、動物たちを見かけたら何かしら魔法を試してみることにしよう。
崇められました。
なんでやねん。
いや、傷ついた動物にケアルかけたり、補助魔法の実験に付き合ってもらったりしたからなんだろうけど。
ヘイストかけた狼? 野犬? のスピードはすごかったです。はい。
で、気がついたら、俺の周りがアニマルパラダイス。
最近は肉食獣と草食獣が仲良く水を飲みに来ます。野生の本能はどうした、お前ら。
そして目の前にはそんな彼らが持ってくる、獲物の分け前とか木の実とかが積み重なっています。
元々動物たちの憩いの場だったのだろう森の泉は、今ではちょっとした祭壇チックに。
とりあえずレイズかけても蘇生しない動物たちは、腐らせるのもしのびないのでファイアで焼いていただいています。
ここで美味しくないなーとか、調味料が欲しいなーと思わないのは俺がエクスデス先生だからなのだろう。きっと。
暫定異世界での初食事が動物からの貢物って、どうなんだろうね?
「ファファ……」
思わず笑い声をもらしたら、近くにいたリスっぽい動物がめちゃくちゃビクゥッとしてました。
迫力あるもんな。先生の笑い声。
ごめんよ。
つづいた。