エクスデス先生(仮)   作:Rakusai

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エクスデス先生9

 うっそうとした森の木立を抜けると、そこははるか彼方まで広がる大草原だった。

 そんな訳で、森の中からこんにちは。俺です。エクスデス先生をしています。

 隣では、つい昨日から白魔道師をサブに付けたアルトくんが遠い目をして南の方を眺めています。

 

 最初は分かりやすさ優先で黒魔法教えたんですけど、どうにも上手く行かないので白魔法を薦めたところ大当たりしたんだよね。

 個人の資質による魔法適性の高い低いが存在しているのかもしれない。

 黒魔法も一応発動はしているので練習を続ければ上達する可能性はあるけど、アルトくん本人の希望で白魔法一本に絞ることにした。

 アレもコレもとやっている時間もないので、この判断は間違ってないだろう。多分。

 

「ようやく森を抜けました。エクスデス師、この平原を抜ければ目的の地です。それまでよろしくお願いします」

 

 そう言ってスッと流麗に頭を下げてみせるアルトくんに、俺はうなずいて答える。

 俺たちの目的地は南の公爵領で、王国では直轄領の次くらいに栄えているらしい。

 領地を治める公爵は、王家の血を引いたいわゆる分家筋で、アルトくんと同僚の騎士たちが守ったお姫様はそこに落ち延びたそうな。

 無事に逃げ延びていればという注釈は付くものの、その辺はたどり着いてみなければ分からない。

 しっかし……。

 

「広いな」

「―――はい」

 

 ポツリと呟いた俺の声に、アルトくんが返事をする。

 目の前に広がる地形はだだっ広い草原地帯で、多少の丘陵めいた起伏はあるものの思わず笑いがもれそうになるほど見晴らしがいい。

 人が歩いているだけでももちろん、俺の体格がマッチョ&ビッグなので壮絶に目立つ。

 帝国とやらの哨戒網がここまで届いていた場合、サクッと発見されてお馬さんで追いかけられる羽目になりそうだ。

 それならば夜になってから移動するのが安全なのだろうけど、ここは便利な魔法の出番。

 

「バニッシュ」

 

 魔法名を唱えると、俺とアルトくんの周りに光の粒が集まってその姿を覆い隠す。

 一瞬の後、その場には透明人間と透明エクスデスが一人と一本。お互い目には見えないし地面に影も映っていない。

 

「事前に聞いてはいましたが、恐ろしい魔法ですね……」

 

 顔は見えずとも聞こえるアルトくんの声に、俺は思わずうなずいてしまう。もちろん、相手には見えていない。

 今回使ったのはFF5に登場しない魔法で、白魔法だったり裏魔法だったり時空魔法だったりするバニッシュだ。

 FF5以外の魔法も使えるのかと聞かれれば、使えちゃったんだから仕方がない。

 アニマルパラダイス時代に、記憶にある補助魔法は一通り試したのだ。

 

 で、アルトくんの言う恐ろしい魔法と言うのは、まあ言わずもがなで悪用しようと思えばいくらでもという話。

 足音や足跡までは消せないのでバニッシュ単独だと完全ではないが、他にレビテトとか言う魔法があってな……。

 まあもっとも、まだまだこの世界については無知なので、うっかりデジョンでもかけられてあーれーするリスク考えると怖い。

 バニッシュデスにはお世話になりました。眠れる獅子的な意味で。

 

「しかし、これならたしかに見つかる心配は無いかと思います。行きましょう」

 

 そんな言葉に続いて、アルトくんが南に向かって歩き出したのが分かったため、俺もその足跡を追うように追従する。

 道案内の面では多少不便だが、まあ、一定時間ごとに効果は切れるのでそのたびに修正すればいい。

 半日以上も魔法を使いながら移動する際のコストも、俺、もといエクスデス先生のMPならば問題ない。

 唯一心配する必要があるのは、アルトくんの体力についてだ、が。

 

「リジェネ」

 

 何度目かのバニッシュかけなおしの際に、アルトくんに使用したこの魔法がだいたい解消してくれた。

 HP=体力を徐々に回復させる魔法は、駆け足移動を長時間続けるにも大変便利でした。

 さらに失った体力はケアルである程度補充可能だったので、リジェネ前にアルトくんが自前でかけた。MPの体力変換といった具合。

 魔法については俺が使ってもよかったのだけど、練習になるからあえて自分で使うとのこと。

 その向上心に脱帽です。先生もとい師匠としても嬉しいね、ファファファ(小声)

 もっとも、本当に脱帽して兜脱いじゃうと悪魔っぽいエクスデスフェイスがお目見えして「森へお帰り」されかねないので自重。

 バニッシュしてりゃあ見えないだろうけど。

 ちなみにMP、からっけつになっても昏倒したりはしない仕様。MP0で戦闘不能になるような存在だと、どうなるか分かりませんが。

 

 

 

 そうして移動をしている内に、あっという間に2日が経過。

 今回は火を点けると目立つので焚き火は無しで、アルトくんは木の実や果物をかじりながらの強行軍でした。

 ケアルとかリジェネでゴリ押しての行動でしたが、コレがそれなりに有効な模様。

 ただし俺はともかく人間やっぱり寝ないと調子は崩れる様子。

 

 まあ、俺ったら寝る必要とかないので、夜番しつつ仮眠を取ってもらうことであっさり解決しましたけど。

 アルトくんは師に見張りをさせるなんてと恐縮していましたが、これは種族的な差異なので気にする必要は無いと説得しました。

 そうして仮眠を取らせたあとに移動を再会して、森を出て3日目の正午過ぎには草原の向こう側に街を囲む城壁と思われる建造物を発見。

 人里にたどり着けば、なんとか現在の情勢を確認できると道を急いだわけですが。

 

「待て」

 

 俺は、そう言って先を行くアルトくんを引きとめた。ちょうどよくバニッシュも解けたので、ちょいちょいと指で示して近くに呼びます。

 不思議そうな顔をする彼に、俺は遠くに見え始めていた外壁より少し北寄りを指差します。

 人間の視力で見えるかは分かりませんが、そこに俺は"とある物"を確かに確認していたからだ。

 つまりは、なんだ。

 

「戦闘だ」

 

 街のさらに向こう側、遠く続く平原に土煙が上がっているのが見える。

 相対するのは、アルトくんのそれによく似た銀色の鎧を見に付けた兵士と、相反するように黒い鎧を見に付けた兵士の姿。

 ようやくにも街に着いたと思いきや、どうにも一筋縄とはいかないようだった。

 

 

つづくのかどうなのか

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