鋼鉄のシスター   作:ジェラシー卑屈川

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こんばんにちは。ドーモ、作者=デス。

今回は前回以上に守護者達の登場回数が多いので大変でした。

それとアインズ様とローザリアは出てきませんので悪しからず。

ではどうぞ


守護者達の談合

 渦中の人物がいなくなったのにも拘らず未だに興奮冷めやらぬ玉座の間からは、残された階層守護者たちの昂揚とした会話が聞こえてくる。

 

「それにしても、まさかローザリア様が私たちの前に帰ってきてくれるなんて思いもしなかったよ!!」

 

 子供のように落ち着きなくはしゃいで全身で至高の41人の内の一人であるローザリアの帰還と言う吉報を祝うのは、文字通り子供の様な外見のアウラだ。だが階層守護者を務めるだけあって崇める君主の前ではきっちりと大人同様の対応ができる凄い子なのだ。

 

「えぇ、本当に喜ばしいことだわ。これはナザリック総出で祝杯を挙げる準備をせねばなりませんね。(くふー!アインズ様かっけぇ!!ヤベぇ!!)」

 

 アルベドも腰から生えた翼をパタパタと小刻みに羽ばたかせているあたり本当に嬉しそうだ。若干鼻の下が伸びているような気もするがきっと気のせいだろう。

 

「これはいずれナザリックがこの世界を支配したときの祝日にすべきですね。そろそろアインズ様カレンダーの作成を本格的に始めなくては…」

 

 デミウルゴスは口元に手を当て、真剣な面持ちで世界征服後の事を考え始めている。

 ナザリック随一の頭脳と言われるだけあって常識も人並み以上に持ち合わせているのだが、たまに突拍子もない事(人間牧場とか)を言い出すので過信は禁物だ。デミウルゴスの言うアインズ様カレンダーはもしかしたら2~3日に一回祝日が入っているかもしれない。

 

「ヌ?シャルティア、ドウカシタノカ?」

 

 コキュートスが傍らにいる少女=シャルティアが未だ跪いた姿勢を崩さないでいるのを不審に思い、心配そうに声を掛ける。その姿を見たアウラは怪訝そうに顔を(しか)めて、邪推をそのまま投げかけた。

 

「…シャルティアぁ、もしかしてアインズ様の時みたいにまた粗相しちゃったわけ?」

 

 粗相というちょっと不穏な言葉が聞こえて来たのだが、これはアインズと最初に行った『忠誠の儀』でシャルティアの少々特殊な性癖とアインズの強者たる気に()てられ、下着を汚してしまったということがあったのだ。アウラも同じ女性だが流石にこの性癖には同意しかねるらしく、ドン引きだ。

 

 シャルティアはアウラの問いかけでようやく顔を上げる。それから震える声で喋り出した。

 

「アインズ様を前にして下着が濡れなかったことなどあれ以来一度たりともありんせん…ただ今回は違うでありんす…」

 

「「…?」」

 

 「いつも粗相をしているんだ…」とは突っ込まないのが優しさと言うものだ。それよりもシャルティアが生まれたての小鹿のようにフルフルと力が入らない原因が粗相ではないとすると他にどんな原因があるだろうかと疑問符を浮かべる。

 だがシャルティアはむしろ何故分からないのか!と言った勢いで彼女の意図を計りかねている仲間に涙をまき散らしながら訴えかけてきた。

 

「ローザリア様の常軌を逸した美しさに打ちひしがれているのでありんすぇ!…私も自分の顔には多少なりとも自信があったでありんす。アインズ様に少しでも美しく見てもらいたいと、毎日欠かさず美容のお手入れをして来んした。でも先程のローザリア様を見て改めて思い知らされたでありんした…私は造物主である御方々には到底及ばない存在であったと…。」

 

 シャルティアは化粧が崩れるのも構わず号泣している。

 ナザリックには数多くの女性キャラクターが存在するが、一部を除き誰もかれもが振り返る美人ぞろいだ。(ちょっと!?拷問するわよん!?)…そんな中で第1.2.3層の階層守護者という地位を生まれながらにして与えられたシャルティアはその役職柄、最も敬愛するアインズに出会える機会が他のキャラクター達よりも多い事もあって自分が美しいと思われる存在で居ようと日々努力を重ねて来た。しかしローザリアの登場によって儚くもその努力が無駄に等しいものとなってしまった。

 実際に目にしたときは思わず生唾を飲んでしまった。アインズの死を形容した美しさとは根本的に違う純粋な「美」。同じ女性だからこそ感じえた羨望と嫉妬の念は、造物主と被造物者と言う立場によるジレンマで余計に増幅され、吐き出すことのできない思いは涙となってシャルティアの頬を濡らすのだった。

 

 不意に「あ、」とマーレが小さく呟いた。

 

「何かお気づきになられたのですか?」

 

 造物主にそうあれと設定されているからなのか、それとも彼の素なのかは分からないが、同じ階級の存在に対しても丁寧語を崩さない執事の鑑であるセバスがマーレに問いかけた。

 

「うん、シャルティアが言ってて思ったんだけど、その…ローザリア様が帰って来たってことはつまりナザリックの女王様はローザリア様ってことで、それにもし、もしもだけどあのお二人以外に至高の御方々が帰ってこなかったとしたら自動的にアインズ様のお妃様はローザリア様になるのかな?」

 

 このマーレの何の嫌味も含まれない唯々純粋な推測は、超位階級の氷属性呪文でも食らったかの如く女性陣を不動にさせた。半面男性陣は大いに盛り上がっており、「挙式…いつ……」とか、「オ世継ギ……爺ハッ…爺ハッ…!!」とか聞こえてくるが女性陣の耳には一言たりとも入らずもはやそれどころではない。彼女たちはマーレの発言に対して一様にこう思った事だろう。

 

―――あれ?詰んだ?

 

 シャルティアは白い肌を更に蒼白にし、アウラは持ち前の活発さが消えうせ、アルベドはガクリと膝を折り高い天井を力なく見上げていた。

 

 アルベドは異世界に転移する前、アインズがギルド長権限でアルベドの不憫極まりない『ビッチである』というキャラクターの設定文をサービス終了直前だからと言う理由でふざけて『モモンガを愛している』と改変させていた。だが神様の悪戯か、ゲームの世界は異世界へと転移し現実となり、NPC達は自らの意思で考え行動できるようになった。当然人格は造物主たちが考えた設定に忠実にあてはめられている。よってアルベドは『ビッチ』ではなくなったものの『モモンガを愛する』という設定に従い、モモンガ=現アインズを慕っている態度を頻繁に見せている。ただこの彼女の態度はアインズを酷く後悔させるのだ。まぁ当然というか自業自得なのだろう。異世界に転移してNPC達が動き出すなど予想できるわけないのだが、こうしてアルベドの人格を歪めてしまった事に変わりはない。アインズはアルベドに言い寄られる度に良心の呵責に耐え兼ね何度か謝罪をしたことがある。だがそんなアインズの気持ちを知っていて尚アルベドはアインズを愛する態度を崩さない。これは設定に逆らえないとかではなく、守護者として女として衷心からアインズを愛し尊敬しているからなのだ。本気で「迷惑だ」、と言われない限りアルベドはアインズを愛する行為を止めないだろう。

 

 …しかし先ほどのマーレの一言で、突如として高い壁が立ち塞がった思いがした。言わずもがな、それはもう二度と会えないと思っていた至高の41人の一人、ローザリア。その偉大なるお方が女性(・・)であるということだ。

 正確には無機物生命体であるローザリアに性別などない、だがシャルティアが言ったように誰しもが息を飲んだあの美しい姿は女性と意識せざる負えなかった。

 今までアインズ以外の造物主がいなかったため、自称王妃を名乗るなど好き放題やってこれたが、ローザリアが帰還した今そうも言っていられない。なぜなら、至高なる御方(アインズ)の"妃"となるには、同じく至高なる御方(ローザリア)以外にこれ程相応しい組み合わせは無いからだ。

 

「そう言えばデミウルゴス、一つ聞いても宜しいですか?」

 

「えぇ、なんなりとセバス。」

 

 絶望に打ちひしがれ勝手に暗くなっている彼女たちをよそに、男たちは談話を続けていた。

 

「貴方は先程の謁見でアインズ様の言葉に秘められた真意を掴まれたようでしたが、一体何を理解されたのです?」

 

 セバスの質問にデミウルゴスは優しくも不敵な笑みを浮かべる。決して言葉には出さないが何となく「そんなことも分からないのか」と言われているような気がしてならない。セバスはデミウルゴスの雰囲気を敏感に感じ取るが、紳士然とした態度で何も言わずにじっとこらえる。しかし、その目は決して笑っていない。

 

 こういう書き方をすると一方的にデミウルゴスがセバスに対して意地悪をしている様に見えてしまうが、別にそう言う訳ではない。子は親に似るとはよく言ったものだがその通りで、デミウルゴスの製作者であるとことんにまで“悪”に拘った『ウルベルト・アレイン・オードル』と、セバス・チャンの製作者である“正義”に拘った『たっち・みー』は《ユグドラシル》で度々そりが合わずに喧嘩を繰り返していた。その因果なのか、デミウルゴスとセバスは本人たちも意図せず何となしにこうやって衝突してしまうのだ。

 

「ゴホンッ。まぁ冗談はさておき…アインズ様の御行動に秘められた真意だったね。私が全て説明してもいいのだが、どうせなら皆で考えてみるとしよう。きっとそのほうがアインズ様の慈悲深さに感動できるだろうからね。」

 

 腕組みをしていた右腕を直角に伸ばし、人差し指をピンと立ててデミウルゴスが話始めると、どうやら興味が湧いたらしく蚊帳の外に居た女性陣もいそいそと会話に加わってきた。デミウルゴスは偉大なるお方の行動に秘められた真意(妄想)を守護者全員で共有する事が出来て今度こそ含みの無い笑顔を浮かべていた。

 

「ではまず…シャルティア。このナザリックにおいて今現在最も偉大なるお方は誰ですか?」

 

 デミウルゴスの少々幼稚な問いかけに苛立ちを覚えたシャルティアは声を低くする。

 

「デミウルゴス…貴方まさか私を馬鹿にしているんじゃありんせんぇ?…フンッ、まぁ良いでありんす。えーっと何?ナザリックにおいて最も偉大なるお方は誰か、でありんしたか?そんなの当然至高の41人の御方様全員でありんしょうが…今、となるとご帰還されたローザリア様含め、アインズ様のお2人でありんす。」

 

 間違いだらけの郭言葉でぶっきら棒に答えたシャルティアだが、デミウルゴスはさして気にするようでも無く、むしろ予想通りの答えが返ってきたことに満足そうだ。

 次に誰へ問いかけようと思案するデミウルゴスはふと丁度よくアウラと目が合ったので、そのまま彼女に問いかける。

 

「えぇ、その通りですシャルティア。では次に…アウラ、今のナザリックにおいて君が一番強いと思うのは誰だい?」

 

 唐突に自分へと話を振られたため、油断していたアウラは目を丸くする。

 

「えっあたし!?もう不意打ちは良くないと思うなーデミウルゴスぅ…。うーんそうだなぁ…単純なパワーとか強さってなると『ルべド』とか、『8階層のアイツ等』なんだろうけど…戦闘の経験値だったり所持してるアイテムなんかを含めると、やっぱりアインズ様かローザリア様が一番じゃないかな?…あ、そう言えばアインズ様とローザリア様どっちが強いんだろう?」

 

 アウラが最後に口にした疑問は守護者達を大いに惹きつける。ローザリアが帰還するまでナザリックにおいて誰もが最強と崇めたのは、ただ一人残った彼らの造物主であるアインズだけだった。しかし今こうして最強と呼べる存在が一人増えたことによりナザリックには最強の存在が二人に増えた。これはナザリック全てにとってとても喜ばしいことだ。

 だが待ってほしい、そもそも『最強』とは“最も強い”と言う事を表す言葉だ。つまり本来ならば最強と名乗って良いのは一人だけなのだ。間違いなくあの二人はナザリックで最強だろう、しかし守護者という立場以前にどうしようもなく気になってしまう。アインズとローザリア、そのどちらが“最強の中の最強”なのかと…

 

僅か数秒だが、守護者達の間に沈黙が流れる。それぞれがきっと頭の中で仮想的に二人を戦わせていることだろう。だがその思考を遮る様にデミウルゴスが口火を切る。

 

「…非常に気になるところですが、我々でそれを計るのは至高なる御方に対して不敬に当たるでしょう。それよりも素晴らしい回答をありがとうアウラ、貴女と共に守護者として居られることを嬉しく思いますよ。アウラの言った通りこのナザリックにおいてあのお二方に太刀打ちできる者などいないでしょう。では、ここで一旦話しの時間軸を第10位階級の魔力検知がされた時に戻します。そうなると今までの答えから、最も偉大で強いのはアインズ様だったことなります。そしてもしこの時、我らが敬愛するアインズ様からお一人で向かうことを告げられたとしたら、皆さんはどう思いますか?」

 

 デミウルゴスのわざとらしい笑みには全てを見透かしていそうな雰囲気が感じ取れる。そしてその雰囲気は続く守護者達の回答で確信へと変わったのだった。

 

「そ、そんな危ない事をアインズ様にしてもらう事なんてできないよっ!!」

 

「ソウダ、アインズ様ニモシモノ事ガアッテハナザリックニ未来ハ無イ。故ニ我々ガ出向キ対応スルノガ当然ト考エル。」

 

 概ね予想通りの人物から予想通りの返答が帰ってきて、ここぞとばかりにデミウルゴスの眼鏡が輝きを増す。しかしそれはもう一人も同じ考えだったようで

 

「ふふふ、そこまで考えられるなら、その先も分かるのではないかしら?」

 

 どうやらなんとか復活したアルベドから横槍を入れられ、言いたいことを奪われたデミウルゴスは少し残念そうに肩をすくめる。

 

「…なるほど。アインズ様も同じお気持ちだったということですね?」

 

 セバスは大体わかった、と言った感じで確認の意味を込めて疑問符で返す。だがセバス以外はこれと言ってまだよく分かってないらしく、首を傾げて不思議そうに会話を聞いている。これも階層守護者としての意識が逆に本質を曇らせてしまっているのだろう。

セバスの推測を肯定するため、デミウルゴスが再び口を開こうとするがいよいよアインズ様の慈悲深さを語る事が出来る雰囲気に昂ぶったアルベドが興奮気味に答えてしまった。まったく、アインズ様のこととなると周りが見えなくなってしまうのは考えものですね…

 

「その通りよセバス!!アインズ様は自らの命も顧みず私たちを失うまいとして、お一人で向かわれたの!この世界の第10位階級魔力は考えたくはないけど、もしかしたらアインズ様より強力なものかもしれなかったわ。もしそうなるとナザリック最強と言う結論が出たアインズ様を差し置いて、私たちがいくら立ち向かったところで無駄だわ。最悪誰か一人欠ける可能性だってある。それは慈悲深いアインズ様にとって何よりも苦痛でしかない。それにさっきマーレやコキュートスが言ったように私達に相談すれば絶対に止めて『自分たちが行く』と言ったでしょう?きっと私も止めたわ。だからアインズ様は誰にも何も言わずお一人で調査に向かわれたのよ。そうでしょう、デミウルゴス?」

 

 一通り言いたいことを言い終えたアルベドはグルンと首をデミウルゴスに向けて、同意を求めた。その顔は興奮で上気し、頬は朱に染められ、口からはハァハァと熱っぽい吐息が漏れている。見る人が見ればとても煽情的に見えるのだろうが、普段の態度を知っている守護者達からしてみればいつものアルベドだ。

 同意を求められているので答えないわけにもいかないデミウルゴスは苦笑いが顔に出ない様に気を付けつつ肯定する。寧ろアルベドでさえ到達していない真意に自分だけが気付けているのが分かってデミウルゴスはちょっとだけ誇らしそうだ。

 

「え、えぇ全くその通りですアルベド。流石は守護者統括を務めるだけありますね。ただアインズ様の行動に秘められているのはそれだけではないのですよ?」

 

 アルベドの説明で秘められたアインズの慈悲深さに驚きを隠せない守護者達だったが、デミウルゴスの言葉で意識を引き戻される。

 

「マーレ、君は確かアインズ様へ一番に魔力の検知を報告しに行ったそうだね?その時にアインズ様のお部屋で見た物は覚えているかい?」

 

 これ以上何を隠しているのかと逆に恐ろしささえ覚えるが、それ以上に自分が見た物に一体どんな真相が隠されているかと思うと気になって仕方がないマーレは口早に応える。

 

「う、うん覚えてるよ。確か執務机の上に〈遠隔視の鏡(ミラー・オブ・リモートヴューイング)〉が置いてあったと思う!」

 

 デミウルゴスも、もちろん確認済みでアインズの執務机の上に何があったかは把握済みだが、あえてマーレに聞いたのはアインズがいなくなる瞬間を目撃したマーレが発言することによって会話に臨場感をもたらす為だ。いわば演出、どうせなら今以上にアインズを尊敬できる存在にしたいと思うデミウルゴスの粋な計らいだ。

 

「皆も知っているとは思いますが〈遠隔視の鏡(ミラー・オブ・リモートヴューイング)〉はアインズ様が所持しておられる魔法道具(マジックアイテム)で、外の風景などを遠隔操作で見る事が出来ます。つまりアインズ様はこの魔法道具(マジックアイテム)で何かをご覧になられた可能性があります。」

 

 デミウルゴスがそこまで言うと「分かった!!」と言う様にアウラが元気に手を伸ばして自分が言いたいと主張していた。デミウルゴスは優しく手を差し伸べる動作でアウラに発言の了承をする。それを受けたアウラはパァと輝いて見えるほど顔を明るくし上機嫌で答えた。

 

「アインズ様はそれでローザリア様を見つけたんだね!!」

 

「えぇ、そう考えるのが妥当ですね。そしてローザリア様が第10位階級の魔力を使用していたことを考えると何者かと交戦中だったと考えられます。ローザリア様がこちらの世界に来て右も左もわからずに敵と遭遇し不安だろうとお考えになられたアインズ様は、ローザリア様の救援に向かうべくすぐさまナザリックを立ち去られたのです。これがあのアインズ様の唐突な失踪に隠された真意であり、我々のみならず至高なる御方を含めた全ての者達への“愛”によるものだったのです!!」

 

 デミウルゴスは両手を天に広げ、声高らかに真実を述べ終えたその表情には達成感が満ちて溢れていた。

 

 おぉ…なんと…なんと慈悲深い御方なのだ…こんなにも素晴らしい方に仕える事が出来る喜びに勝るものは無い…!!

 

 アインズから尋常ではない愛情を知らぬ間に自分たちへ向けられていたことを知った守護者達は総じて胸の内を熱くしていた。彼らからは微かに鼻水を啜る音や嗚咽まで聞こえてくる。

 

 しかし忘れてはならない。これは単にアインズが『〈遠隔視の鏡(ミラー・オブ・リモートヴューイング)〉の扱いが煩わしくて、面倒だからそのまま行っちゃった。』という行動が発端であることを…本当に彼らの忠誠心には畏れ入る。

 

 もう暫くこの感動の波に身を委ねていたいが、しかし仕事は山ほどある。このままでは終わる仕事も終わらなくなってしまうため、アルベドが守護者統括として喝を入れる。

 

「さぁ皆、そろそろ自分の仕事へと戻りましょう。このアインズ様のご慈悲に報わねば我々は守護者として失格です。この思いを胸にこれまで以上にアインズ様、そしてローザリア様へとお仕えしましょう。」

 

 しかし喝を入れた意味は薄かったようだ。

 

 なぜならば、守護者達の瞳には確固とした忠誠と伏侍の炎がメラメラと燃え盛り、早く己の仕事に戻り少しでも至高の御方の役に立ちたいと言う空気感で満ち溢れていたからだ。

 それを確認したアルベドは少し微笑んだ後すぐに表情を引き締め、守護者統括に相応しい態度で号令を下した。

 

「では、解散!」




ここまでお読みいただきありがとうございます。

守護者達の雰囲気を崩さずに表現できたかなぁ…やっぱり難しいですね(汗

次回は今回とは真逆にアインズ様とローザリア様だけになる予定です。(予定は未定、便利な言葉ですね)

宜しければご意見ご感想など頂けると大変ありがたいです。
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