最終投稿日いつだよ…
閲覧者の皆様には大変申し訳なく思っております。
「ここで打ち切りか」とか「作者蒸発したな」とか思われた事でしょう。
そんなことはありません!が…以前ほど執筆スピードがなく、今回この話を完成させるにも相当な時間がかかりました。(原作があるとはいえ物語り書くって難しい…)
なので、次回ももしかしたら今回ぐらい期間が開くかもしれません。
どうぞご了承くださいm(__)m
内容に関してアテンション。
原作完全無視のオリジナル設定がてんこ盛りですので、お気を付けください。
ナザリック地下大墳墓第9層『ロイヤルスイート』
ここは主にギルドメンバー達が
それが【
この部屋はギルド:アインズ・ウール・ゴウンのメンバーが仮にも死亡してしまった時の
かつてアインズがギルド長として座した一際目を引く椅子の後ろには台座があり、今は彼の手元に収まっている〈スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウン〉は製造されて以来一度もそこから動かされたことは無かった。
綺麗に磨かれ鏡の様に周りの景色を映し出す黒曜石の円卓には和やかな雰囲気で話す二人の人物が反射して映し出されている。
現ナザリック最高責任者であるモモンガ改めアインズ・ウール・ゴウンと、現実世界では決して味わうことは無かっただろう支配者としての演説を終えたローザリアの二人である。
彼らは異世界への転移という異常事態の中でまさかの再会を果たし、これまでお互いが得てきた情報の交換やこれからの方針を決めていくためこの円卓へと転移して来たのだ。
「ナザリックに来てからもう興奮しっぱなしです!アルベドを最初に見てからまさかとは思っていましたけど、みんなとあんな風にお話しできるなんてまるで夢でも見ているみたいです…!!」
ローザリアの興奮と感激に満ちた声が広い円卓の空間に響き渡る。彼女の表情からは普段の凛々しさが消え、かわりに口や目尻が緩みまくった我が子を愛でる母の様な顔をしている。それにしても普段は“冷静沈着”や“泰然自若”といった言葉を体現した大人しい人の部類に入るローザリアがここまで感情をあらわにしているのは非常に珍しい事である、よっぽど彼らに会えたのが嬉しいらしい。
ゲーム《ユグドラシル》では、ある程度の条件が必要だがプレイヤー自身がゲーム開始時から存在する既存キャラクターとは別で完全オリジナルの新しい存在を生み出す事ができた。このナザリック地下大墳墓に存在するNPCキャラクターだった者達は全てがギルド:アインズ・ウール・ゴウンのメンバーによって新しく生み出された存在なのだ。そしてそういったNPC達にマクロを組み込むことで、呼びかけたらお辞儀をするなどと言った簡単な行動をさせることも可能であり、プログラマーの『ヘロヘロ』氏含め他5人の手腕によって大幅にチューンアップされたNPC達は、それはそれはゲームの世界だと言う事を忘れさせるほどにナザリックの雰囲気を盛り上げてくれた。しかしどんなに高度な技術を用いられたマクロを組み込んだとしても、先程の彼らの様に会話をしたり、意思を持たせたり、表情を変えることなどとてもではないが実現不可能だった。
だからこそ彼らは大いに妄想したことだろう。『こんな子がいたら…』『あんな子と喋れたら…』そんなプレイヤー達の妄想の具現体が自我を持ち、己の意思で行動して、果てには実際に話しかけてくれるのだ。彼らを作り出した者にとってこんなにも嬉しいことは無いだろう。ローザリアが興奮するのも訳がない。
子供のようにはしゃぐローザリアの姿を見たアインズは、過去に一度だけ今と同じような彼女の姿を見た事を思い出し、懐かしさに無い筈の口角が上がる。
「ローザリアさんがそこまで喜んでいる姿を見るのは第6層の【
「そうですね、本当にこんなに興奮しているのはそれ以来かもしれません。あの時は今みたいに表情での表現が出来ませんでしたからスマイルアイコンを連打しながら目一杯のボディランゲージしかできませんでしたけれど。」
フフフと柔らかく微笑む彼女は贔屓目に見ても愛らしい…いや勘違いしないでほしい!そう、これは別に彼女の事が好きとかではなくてだな?その…純粋に傍から見て可愛らしいなぁと思っただけだからな?…な?
旧友と出会えば懐かしい思い出話に花が咲くものだが、残念ながら今話さねばならないのはそれではない。アインズは軽く咳ばらいをした後、少し真面目な口調で本題を切り出す。
「…改めて、またこうしてお逢いする事が出来てとても嬉しいです、ローザリアさん。この異常な事態を除けば
アインズの雰囲気の変化を読み取ったローザリアも軽く頷き、先程まで緩んでいた目元はいつものキリッとした目つきに戻っていた。
「こちらこそ八方塞がりになりかけていたところを救っていただいてありがとうございました。」
「いえいえ。さて、それでは本題に入ろうと思います。まず最初に確認したいことが一つあるのですが、ローザリアさんはこちらの世界に来る直前どのようにしてお過ごしでしたか?」
アインズの質問の意図はこうだ。“ログインもせずにどうやってこちらに来たのか”と。アインズは《ユグドラシル》のサービス終了時間までログインし続けた結果どういった理由かは分からないが《ユグドラシル》に似ても似つかないこの異世界へと飛ばされてしまった。彼女と再会するまではそれこそ自分一人だけだったため原因はログイン状態に起因するものだとばかり思っていた。事実、サービス終了時間までチーム名簿一覧でログイン状態を示していたのはアインズただ一人しかいなかったのだから。しかしローザリアの登場によりその推測は大きく覆されてしまった。故のこの質問なのだが、対するローザリアの瞳に若干の憂いの色が浮かんだことをアインズは見逃さなかった。
「…何か、あったんですか?」
彼女は首を軽く横に振った後、静かに喋り出した。
「いえ…その、ここのところ色々あってすっかり忘れていたものですから。今の質問であの時の事を鮮明に思い出してしまって…。」
悲し気な表情は少し覚悟を決めた様な面持ちに変わり、一拍置いた後再び語り出した。
「ふぅ…ではお話ししますね。…簡単に言うと、恐らくですが私は交通事故により―――
「…は?いや、死…え?」
彼女の突飛すぎる発言に頭がついていかない。無い筈の眼が点になる。なんだって?死亡?じゃあ今目の前にいる人は一体誰なんだ?
「混乱するのも無理はないと思います。順に説明しますね。《ユグドラシル》サービス終了の夜、モモンガさんから事前に送られてきていた招待に参加する予定だったのですがその日は仕事が長引いてしまい気付けば時刻は夜中の11:30でした。それでも最後は皆さんにお逢いしたかったので帰路を急ぎました。そしてその途中、注意を欠いた私はトラックに撥ねられて…死亡したと思います。」
呆然とするアインズだったが、彼女の言葉の中の違和感に気付き衝撃で停滞しかけていた思考をなんとか回転させる。
「その、先程から聞いていて少し思ったんですが、“死亡したと思う”と言う事は死んでいない可能性があると言う事ですか?」
アインズの指摘にローザリアの表情が複雑なものに変わる。
「…えぇ。かく言う私も私が明確に死んだ場面を見たわけではないですから何とも…。何分次に目を開けた時は既にこちらの世界でしたので。ただトラックとぶつかった時の衝撃や光景はハッキリと体が覚えているので、あの事故の後一命をとりとめている可能性は低いと思います。」
是非とも一命をとりとめていて欲しいと願うアインズだったが、やはりどうにも実感がわかない。そりゃそうだ、だって目の前に本人が居るんだもの。こんな時は気の利いた事を言って少しでも彼女の気持ちを軽くできると最良なのだが、色々と言葉を探してみてもぱっと思いつくのはありきたりなお悔やみの言葉だけだ。…今下手に慰めの言葉を掛ければ自爆するだけだろう。何の言葉も掛けられない自分の力不足にアインズは心の中で舌打ちをしつつ頭を本筋へと戻す。
しかし彼女がこんな質の悪い嘘をつくことが無いのは彼女の性格からして明らかだ。そうなると…
「…つまり、ローザリアさんはこちらに来ることになった原因は交通事故での死亡がきっかけとお考えなのですね?」
「はい。」
「うーむ」とアインズは白骨の指を顎にあて思わず唸ってしまう。にわかには信じられない、いや自分の事を棚に上げる訳ではないが、それでもとんでもない方法によりこちらの世界に来てしまった彼女。こうなると転移のトリガーが何に起因しているかさっぱりわからなくなってしまった。ただ考えようもある、もし転移に正規の方法と非正規な方法があるとするならば色々説明できるかもしれない。
「残念ながら僕はローザリアさんの様な方法でこちらに来たわけではありません。なのでお互いの転移直前の出来事に共通する部分がない事が分かった今、なぜこちらの世界に来てしまったかは結局分からずじまいです。ただ、ローザリアさんがこちらの世界に来たとき、
「是非アインズさんの意見を聞かせて下さい。」
推測でも構わない、とにかく今は情報が欲しいといった様子で彼女は食いついてきた。
「わかりました。先ず、僕がこちらの世界に来た時のことをお話ししましょう。と言ってもログイン状態をサービス終了時間まで維持していたらいつの間にか転移していて、周りのNPC達が喋り出した、と言った感じなんですが。もし、この方法が正規の転移条件だとするとローザリアさんの転移の仕方は異常です。僕はそもそも既にナザリックに居たわけですが、ローザリアさんは事故死による転移というイレギュラーな方法でこちらの世界に飛ばされてきてしまったためにナザリックとは別の場所でのRePOPとなったと考えられます。」
ローザリアは口を挟むことなく、時折頷くなどして真剣にアインズの話を聞いている。
「さらに此処からはもう妄想と思ってもらっても構わないんですが、話を飛躍させるともっと説明がしやすくなります。僕とローザリアさんの明確な違い、それは《ユグドラシル》にログインしていたかしていなかったかです。つまり何が言いたいかと言うと、僕はゲームを通すことでこちらの世界に来た可能性があります。しかしローザリアさんの場合、きっかけは事故にしろ何らかの力が働き
「なるほど…。理由は分からないが一時的にこの世界が私たちの世界に干渉し事故の瞬間に私を転移させた、ということですね?確かに現実離れしたお話ですが、今この状況が既に現実離れしているのでありえない話ではないかもしれませんね。それで、アインズさんのおっしゃった“納得できること”とは?」
彼女のもっともな質問にアインズは続ける。
「はい。ずっと不思議に思っていたんですが、ローザリアさんの〈精神操作無効化スキル〉
「〈精神操作無効化スキル〉って私たち異形種の固有スキルですか?」
「そうです。こっちの世界では〈精神操作無効化スキル〉にスキル所有者の過剰な感情の高ぶりや落ち込みを強制的に平常状態にすると言う効果が追加されたみたいなんです。しかしローザリアさんの様子を出会ってから暫く伺っていましたが、どうもスキルの適用が鈍感なんですよ。現に先程ローザリアさんが守護者達に会えたことで大変喜ばれていましたが、もしあれが僕だったとすると1秒後には強制的に感情の高ぶりが抑えられていつもの調子に戻る筈なんです。このことから考えられることは、ローザリアさんがまだ完全に“アインズ・ウール・ゴウンのローザリア”に同期出来てはいないのではないかと言う事です。」
「同期…」
「はい。僕は《ユグドラシル》を通してこの世界に来たので、100%モモンガの情報を引き継いだ状態で転移できました。しかしローザリアさんは特殊な方法による転移で、完全に“ローザリア”の情報を共有できないままこちらの世界に顕現してしまったのではないかと考えられます。そこでなんですが何かこの推測を裏付けるような心当たりはありませんか?」
尋ねられたローザリアは何かなかったかとここ数か月の事を思い返す。そして記憶をさかのぼる中、アインズの話にピッタリ当てはまりそうな出来事を一つ思い出した。
「あぁ、それならとっておきがあります。あれは転移してきてから間もない頃でした。転移先で介抱されていた村で自分に起きた異常事態を確かめるため、まず己の状況を確かめようと鏡を見た時です。あの時は自分の姿が異形のものに変化していたことに驚き思わず泣いてしまった事を覚えています。アインズさんのお話をお借りするならば、〈精神操作無効化スキル〉が発動していれば絶対にありえないことでではないでしょうか?」
「確かに、それじゃまるで人間そのものですね。他には何かありますか?」
「えぇ、私はアインズさんに会うまでその村で人間達と暮らしていました。今思うと不思議で仕方ありませんが、自分が異形の存在だと分かっていながらも彼ら人間と同じ立場で生活したいと本気で思っていましたね。良い例が人間の子供たち相手に教育まがいのことをしたりして…あの時は先生なんて呼ばれていましたっけ…」
それから彼女の話を聞けば聞くほどなんというか人間らしい内容が多くある。自分が異形だと自覚しているなら尚更に“ローザリア”とのズレがあったことは明白だ。…あながち妄想も的外れではなかったと言う事か。
「しかしそうなると、多少の同期ズレがあるにしろ今のローザリアさんと、村に居た頃のローザリアさんとでは大分ズレの差がある様に思うのですが、それにはまた何かきっかけがあるのですか?」
「はい。おそらく私が世話になっていた村が周辺国の政治的な争いに巻き込まれまたのがきっかけだと思います。」
「あーなるほど、それであの戦闘跡に繋がるわけですね。」
「あの時は自分の正体がバレるのも構わず村の人たちを助けたい思いで一杯でしたから、頭に血が上っていたのかもしれません。ですが完全形態に変身したときに感情と言うか心がスイッチが切り替わったかのように人間のものでは無くなってしまった感覚をはっきりと覚えています。それ以来今の状態が続いていますね。」
「ん?では明確に異形種“ローザリア”の能力を使ったのはそれが最初ですか?」
「そうですね、それ以前にもアイテムボックスを開いたり無意識に探知スキルが発動していたこともありましたが、種族スキルを使ったのはそれが初めてです。」
最後の彼女の話を聞き散らばった情報に最後のピースが加えられ、かっちりと型枠に嵌った気がした。
「ふむふむなるほど…ローザリアさんの今の状態が何となくわかりましたよ。ついでに同期ズレについても何とかなるかもしれません。」
「本当ですか!」と嬉しそうに答える彼女はやっぱり不安を覚えていたのだろう。せっかくこの異世界で仲間に会えたというのに自分はその人と状況が違うなんて、あまりに寂しい。だからこそ自分がしっかりと彼女を支えねば。
「とりあえずローザリアさんは現状僕の言った妄想に近しい状態であることに間違いなさそうです。それで同期ズレの方ですが、種属スキルを使用したことでズレの差が縮まったことから積極的に異形種スキルを使用して当時の“ローザリア”に近づくことが鍵っぽいです。」
「そこで、一発で当時のローザリアさんに戻れる妙案を思いついたんですが―――ひと暴れしませんか?」
「…はい?」
ここまでお読みくださってありがとうございます。
前書きにも書きましたが、次回はいつになるかわかりません。
ですが気長にお待ちいただけるとありがたいです。
そういえば今月の末日にオーバーロード新刊が発売予定ですね。
楽しみです。