また随分と期間が開いてしまいましたね。
僕の作品を待っていただいている方には毎回申し訳なさでいっぱいです。
さて、話は本編になりますが、最初に言っておきますと「アウラファンの方、大変申し訳ありません」な内容が含まれております。
気分を害されるようでしたら、素直にブラウザバックして頂けるのが一番かと思いますが、それでもかまわねえ!という方は読んで頂けますとありがたいです。
そして例の如く原作とはかけ離れた設定が熱盛ィ!なのでその点も留意してご覧ください。
今回も短い…のかなぁ?
「“
――――〈
彼女が持つ数多くのスキルの中でも、とびっきりにぶっ飛んだ効果を持つスキルである。
しかしこのスキルは謎が多く、〈
その能力は「一定数以上の敵を倒すことでスキルが発動、それ以降倒していった敵の数によって攻撃と素早さのステータスにボーナスが与えられる。」と言うものであった。
ただ、この「一定数」という非常に確実性のない“ワード”のせいで、いったい何体倒せば発動するのかがハッキリとせずその使い勝手の悪さから、ローザリアはこのスキルをあまり好ましく思っていなかった。
しかし厄介なことにこのスキルは本人の意思に関係せず発動する、いわゆる〈パッシブスキル〉と呼ばれるもので、条件を満たしてしまうと強制的にスキルが発動してしまうのだ。
更に面倒なことにこのスキルには
スキルが発動すると、スキルの効果が消えるまでなんと“攻撃”以外のあらゆる行動が出来なくなってしまう。スキル使用、アイテム使用、回復行動…その他諸々の行動ができないと言う事は、豊富なオブジェクトを用いて高度な情報戦が繰り広げられる《ユグドラシル》において単調になった攻撃ほど対策しやすいものは無いため、このスキルは自分の首を絞める以外のなにものでもないのだ。
ただし、発動した場合の効果は他に類を見ないほど凄まじい内容になっている。効果は攻撃力と俊敏性にボーナスが付与されるとのことだが、なんとその上昇量には
…そして今、彼女はそのスキルが
原因は明らかだ。
彼女の精神がこちらの異世界に来た時に躯体と100%合致しておらず、そのズレを治すため彼女の経験談からスキルを積極的に発動できるよう闘技場に大量の悪魔を召喚し、それらを彼女は誰の力も借りず、一人で、全てを、
(まず間違いなく“あのスキル”が関係していると言えるだろう。それにしてもあまりに久々だったからあの面倒くさいスキルの存在を忘れてしまっていた…これは僕のミスだ。)
ギルドリーダーとしてメンバーのスキル構成は全て把握していた筈のアインズにとって、この失態は非常に悔やましいものだった。自然と奥歯を噛み締める力が強くなる。
しかし疑問が一つだけあった。
(〈
過去に彼女は戦闘において数回ほどこのスキルを発動させてしまった事があった。しかしそのどれでも彼女は理性を失ったことは一度も無く、スキルの効果が切れるまで後方支援に回していた記憶がアインズにはあった。
だが現に彼女は面影も残さないほどに荒れ狂っている。
緊急事態の中、一刻も時間が惜しいというのに解決の糸口が何も掴めない己の無能さに苛立ちがつのる。
「チッ、クソがっ!!」
そのはけ口として近くにあった瓦礫を力任せに思いっきり蹴飛ばした。
バゴーンという轟音と共に瓦礫が八方に飛び散る。
しかし気分は晴れるどころか更に焦り、不安、怒りが増していくだけだった。
アルベドは何も言わず静かにアインズを見守っている。
もう一度瓦礫に蹴りかかろうとした時、ふとアインズの動きが止まった。
先程まで煮えたぎる窯の湯の様に感情が沸騰していたにも関わらず、一瞬で波一つ立たない湖面の様に静かになっていた。
すぐに「あぁ、“あれ”のせいか」と納得したのもつかの間、アインズは一つの仮説を閃いた。
だが最初は否定した、鼻で笑えるほど何とも安直で単純な考えだったからだ。しかし考え付いたならもうそうとしか思えなくなってしまった。
(〈
異形種固有のスキルである〈精神操作無効化スキル〉がこちらの世界において改変を受けた様に、他のスキルだって影響を受けていたって何らおかしくはない。それこそスキルが名前通りのものになったとしてもだ。
―――――彼女は今〈
それがアインズのたどりついた結論だった。
「俺のせいなのか…。」
同時に後悔と謝罪の念がぐるぐると心を支配していく。
この結論が正しいならば、もとをたどれば彼女が暴走する原因を作り出したのは自分だからだ。
しかし状況はアインズが落ち込んでいられるような生易しい時間を与えない。
ドカーンッ!!!と凄まじい音が耳をつんざく。
我に返ったアインズは音がした方へ注意を向けると、どうやらコキュートスがローザリアを弾き飛ばしたようだ。
それを見て、幾分か張り詰めていた心に余裕が戻ってくる。
〈
一つは時間経過。一定時間敵を倒さないか攻撃しないでいると効果が切れる。そしてもう一つは“ダメージを受ける”こと。
“1”でもダメージを受ければ即時効果が消滅する仕様になっていた筈だ。(スキルが改変されているという結論を出した今、それが有効になっているという保証はどこにもないが…。)
それでもどこか期待してしまっていた自分が居た。これでようやく騒ぎが終わったと。
しかし、いかにその考えが甘かったかを思い知らされる。
「雄おオオOオ悪ォ…」
舞い上がる砂煙の中から現れたのは、ローザリアの面影など微塵もない、生ける者全てを屠らんとする怨念に満ちた漆黒の餓者髑髏だった。
煌々と真っ赤に輝く瞳は怒りに染まり、全身から竜巻の様に吹き上がる殺意は骨の芯まで震わせる。
アインズは〈
敵を倒した数だけ攻撃力が上がる、つまりただでさえ高かった魔法攻撃力も上がっていると言う事を意味する。
では、いったい彼女は何体の悪魔を殺した?彼女の攻撃力はいったいどこまで跳ね上がっている?その状態で魔法による攻撃がばら撒かれでもしたら…
―――――不味い。
考えるよりも先に体が動いていた。
何をするにもまずは一通り筋道を立てて行動するあのモモンがだ。
「アルベド、手を貸せ!
「はっ!」
――――――――――――――――――――――――――――――――
「うむ、では始めよう。先に結論を言っておく。現在、彼女は一つの“パッシブスキル”に
―――アインズは合流した守護者達に、自分が導き出した推論を説明した。
「つまりローザリア様はご自分の意思とは関係なく、この世界の影響で変化した〈
セバスが神妙な面持ちでアインズの説明をまとめる。
「あぁ、その通りだ。すまない…私の軽率な行動でお前たちを危険な目に合わせてしまった。」
アインズは心から守護者達へ謝罪を述べる。もっと気づくのが遅くなっていたら本当に誰かを失いかねない状況になっていたのだ、彼らの主だとしても謝罪するのは当然であるべきだ。
「おやめ下さいアインズ様!一領主であられるお方がそう易々と下々の者に頭を下げてはなりません!!…幸いにも怪我などを負ったものは一人もおりませんから、どうぞ憂いなく御頭をお上げくださいませ。」
アインズは純粋に仲間に迷惑をかけてしまった事を謝りたかっただけなのだが、アルベドに注意をされてしまった。主従関係に重きを置く彼らにとって、やはり自分たちが崇める君主には威厳ある行動を求めるようだ。
アインズの深い謝罪の姿勢を否定するわけではないが、この世界で《ユグドラシル》の時と同じようにリーダーとなることを決意したのだから、やはり立ち振る舞いには注意をせねばならない。
組織の主が頻繁に頭を下げていては格好がつかないと言うもの。人間であった時のサラリーマン根性がなかなか抜けない鈴木悟にとって、やはり何事にも動じない威風堂々とした態度を身に着けるのにはもう少し時間がかかりそうだ。
「そうか…わかった、では切り替えていくとしよう。次は彼女を止める算段だ。」
内心反省しつつも残り少ない時間的猶予を無駄にしないためにも、ローザリアを止める作戦を立てていく。
「先に説明した通り〈
守護者達は無言で頷く。
「ならば必然的に二つ目の方法になる訳だが…お前たちは戦ったからよくわかると思うが、彼女は凄まじく“硬い”。そうだな、コキュートス?」
名前を呼ばれたコキュートスが一歩前に踏み出る。
「ハ。ローザリア様ノ御身体ハ、私ノ渾身ノ一撃ヲ受ケテモ傷一ツオ付ケニナラナイ尋常ナラザル防御力ヲオ持チデアリマス。」
「そうだ。この中で最高の攻撃力を持つコキュートスの力をもってしても彼女にはダメージを与えられない。これが彼女の最も強く、最も恐ろしい“鋼鉄のシスター”たらしめる点なのだ。」
ごくりと生唾を飲み込む音が聞こえる。
静まり返る中、シャルティアが口を開く。
「…でしたら、ローザリア様にダメージをお与えすることなど不可能なのではありんして…?」
誰もが思うもっともな質問だ。おそらくあの厳重な封印の下でも元気にもがいていることだろう。
「あぁ、確かにな。だが私は知っている。仲間だからこそ知りえる彼女の“弱点”をな。」
「「!!」」
その一言で守護者達の顔色に希望の色が混ざる。キラキラと輝く瞳は「早く教えろ」と言わんばかりに訴えているようだ。
「時間がない。一度しか言わないから、聞き漏らすことのないように。」
沈黙を了承と受け取ったアインズは説明を始める。
「まず、少々特殊だが彼女の防御力には“アーマー値”と言うものがセッティングされている。これは攻撃を受けることで徐々に減り、数値が低くなるほどに防御力も比例して低くなる仕様だ。そしてその値は3層のシールドによって守られている。1層目は魔力シールド、彼女自身の魔力を消費して永続的に張られているものだ。そして二つ目の層は彼女の体表面を覆っていた液体金属だ。あれは彼女を形作ると同時に弱点属性を克服するための重要な存在だ。そして最後は皆も見たと思うがあの黒い内部骨格だ。《ユグドラシル》でもまれにみる超希少金属で全身コーティングされたあれは、いかなる攻撃をものともしない。」
「我々は彼女にダメージを負わせたいならばこれらすべてのシールドを突破していかねばならないことになる。」
「さて、そこでカギとなるのが“アーマー値”だ。これは彼女の弱点属性をぶつけることで大幅に下げる事が出来る。幸いなことに弱点の耐性を大きく上げる1、2層のシールドは現在すべて取り払われている。彼女のアーマー値を下げることは容易と言えるだろう。」
「では、その弱点属性とはいったいなんでしょうか?」
アルベドが素直に問いかける。
「うむ。彼女の弱点、それは“酸”だ。金属は腐食による劣化が最大の弱点とされていて、彼女も例外ではない。現代では超酸と呼ばれるあらゆるものを腐食させる酸があったが、《ユグドラシル》にはそれすらも遥かに凌駕する“極酸”と呼ばれる酸が存在していた。」
アインズの説明を静かに聞いていたシャルティアが、何かを思い出したかのようにシュバッと手を挙げる。
「あっ!はいはいっ!!それならあちきが守護する第3階層の罠の一つに酸のプールがありんすわ!!もしかして、あれがアインズ様の仰っていた“極酸”でありんすか?」
こくりとアインズが頷く。
「その通りだ。今作戦は彼女をその酸のプールに沈め、もう一つの弱点である刺突攻撃でダメージを与える事である。なお、彼女にダメージを与える役目は私に任せてほしい。」
明確な到達目標を提示したことで、守護者達に活気が戻ってくる。
「只今戻りましたアインズ様!!」
アインズの背後に3騎の影が降り立った。
「おお、アウラ、マーレ、デミウルゴス。よくぞ戻った。」
「はい、パンドラズアクターは万が一のために宝物殿の守護に戻らせました。それと我々の方で確認しましたところ、先程の避難において軽症者数名はおりましたものの死傷者は0でございます。」
デミウルゴスの吉報に胸が安堵する。あの狂乱の中で死者が出ていなことは素直に喜ばしいことであり、迅速な避難を誘導できた彼らの統率力はやはり階層守護者足り得るものだと改めて実感した。
「それは何よりだ、お前たちの尽力に感謝する。丁度良い、これから作戦を発表す―――」
ドンッ!!!
それは遥か後方から聞こえてきた。
苦虫を噛み潰したかのようにアインズの顔が苦渋に歪む。
「…ッチ、あれだけ張った結界が僅かともたないとはな…。総員戦闘に備えよっ!!」
アインズの掛け声で守護者達は身構える。
ドンッドンッ!!
次第に音は大きくなっていき、振動が空気を伝わってビリビリと震える。
「すまない、もう少し余裕があると思っていたのだが、どうやら
「「はっ!!」」
守護者達の返事を皮切りに一際大きい音が鳴り響いた後、黒い正方形の結界に次々と音を立てながらひびが入っていく。その隙間からは禍々しい赤い光が煌々と漏れだしていた。
「…
アイテムボックスから取り出した戦闘用の杖を握る力が無意識に強くなる。
(王として情けない姿は見せられないっていうのに、歯を食いしばっていないと三下みたいにガタガタ奥歯が鳴ってしまいそうだ…!)
周りに控える守護者達も封印から今にも解放されようとしている化け物に緊張と恐怖で顔を強張らせている。
パキパキと音をたて、ひびが結界を覆いつくした時、内側から放たれる光が一層強さを増す。
キンッ―――という鎖が切れた様な音が響いた。
溢れだそうとする力に抗いきれなくなった結界は粉々に砕け、四方に配置された護封剣をも飲み込む真っ赤な光の柱が天を貫いた。
ガシャ、がシャ
何かがこちらに歩みを進める音が光の中から聞こえてくる。
ガシゃ、がしゃ
ぼんやりとした黒い影が、次第に形を表しながら光の中を進む。
餓しゃ、餓者
「「っ!!」」
光の中から現れ出たのは、獣の様に手足を地面につけ、這いつくばるようにして進むもはや異様を通り越した化け物だった。
「Ahrrrrrrrrr…」
半開きの口からは絶えず蒸気が漏れ、頭は不気味に震えている。目だけが絶えずぎょろぎょろと動き回り獲物を探しているようだった。
「う…気持ち悪い。」
ポツリとアウラが呟いた。それに対して誰も何も言わなかったが、内心同じことを思っていたに違いない。普段のローザリアの姿を知っているからこそ、見るに堪えない悍ましいあの姿は嫌悪感すら覚える。
いつの間にか動き続けていた彼女の目が一点を見つめていることに気付いた。
「え?」
それが自分を見ていることに気付いた時には、もう
次に自分は宙を舞っていて、遅れて腹部に鈍痛がやってくる。訳が分からないままの状態で目に映ったものは、目と鼻の先で輝く二つの赤い光。
(あ、ダメだ。)
アウラはなんとなくだが、自身の“死”を悟った。
「お姉ちゃんっ!!」
突如として隣から姿を消した姉に驚愕しつつも、誰よりも早く反応したのはマーレだった。
ローザアリアは文字通り目にも止まらぬ速さでアウラを吹き飛ばし、そのまま勢いでアウラの四肢を拘束、覆いかぶさるようにして地面に押し倒していた。
「なんて速さだっ!?」
遅れてアインズも反応するが、あまりの一瞬の出来事に戦慄していた。
(俊敏性ステータスはギルメンの中でもワーストに入る部類だったはず、それがこれ程まで強化されているとは…っ!!)
しかしそんな悠長な事を言っている場合ではなく、ローザリアは口を一段大きく開けると、何処に収容していたんだと言わんばかりに大きな砲門を露出させ、今にも目の前の少女の頭を吹き飛ばそうとしていた。
「ヒッ…」
少女の小さな悲鳴が耳に残響する。
そこに居た全員がアウラを救出しようと動いた、だが間に合わない。
いや、違うのだ。
異形の頂点に立つ彼らでさえ追いつかないほどに彼女が
誰もが間に合わないと思ったその時だった。
「〈
唯一、誰よりも早く反応していたマーレだけが間に合った。
瞬間、アウラの両脇あたりの地面から超極太の白い木の根が勢いよく2本生え、ローザリアを遥か上空にまで吹き飛ばした。
この好機を見逃さないために、アインズは守護者達に〈
『各員に通達。アウラとマーレ以外は私に着いて来い、マーレはアウラを安全な場所へ移し彼女の治療をせよ。以上。』
命令を受けた守護者達は瞬時に各々の方法でアインズを追いかける。しかしその中で誰一人としてアウラを心配する者はいなかった。
少し厳しい言い方になってしまうが、主人の役に立てなくなった者はいらないのだ。この考え方は守護者達の共通認識であり、常識であり、普通なのである。もし仮にアウラが逆の立場だとしても、同じ対応をしただろう。
むしろアインズに見捨てられずに人員を割いてまで治療に専念しろと言われたのだから、感謝して然るべきなのだ。まぁ、アインズに部下を見捨てる等と言う考えは毛頭ないのはご存じだろうが、いまいちその認識に差があるのが現状である。
「…大丈夫、お姉ちゃん?」
あっという間に二人きりにされ、訪れた沈黙を破ったのはマーレだった。
「大丈夫そうに見えるわけ?」
「ご、ごめん。」
苛立ちのこもった軽口に思わず尻込みしてしまうマーレだったが、アインズの命令に従わなければと思い直し、アウラに近寄る。
「っ!」
近寄って分かったことがある。アウラのお腹の部分は大きく凹み、掴まれていたであろう手首と足首は握りつぶされたのか、異常な色で変色しあらぬ方向へと折れ曲がっていた。
「あーぁ、何してるんだろうね、私。こんなになっちゃって、アインズ様のお役にも立てなくなって、もうほんと、駄目だなあ…。」
喋るのもつらい筈なのに、余裕そうなそぶりを見せるのは弟の前だからだろうか。
次第に言葉には鼻声が混ざり始める。
マーレは傷に障らない様にゆっくりと寄り添い、アウラを優しく抱きかかえる。
「大丈夫だよ、大丈夫だよお姉ちゃん。」
マーレの優しさに触れ、アウラは胸の中で涙ぐむ。
「うっ…ぐす…情けないなぁ、もう…弟に慰められるなんて、かっこわるぅ…うえぇ…っく…。」
マーレはただ黙ってアウラの背中を優しくなでる。
「怖かった…怖かったよぉ…ローザリア様に見つめられたら…体が、石みたいになって…動けなかった…気づいた時には、もうこんなだし…」
「うん…うん…。」
「死んじゃうかと思ったぁ…っ!!」
胸に抑え込めていた恐怖の感情が決壊し、ついに大声で泣き崩れた。
「ガハッ!?」
だがお腹に力を入れた為か、破裂した内臓から上ってきた血が逆流し口から大量に吐き出される。
「お姉ちゃん!?大丈夫っ!?ちょっと待って、すぐに応急処置するから!!」
マーレは緑色のオーラを片手に宿し、アウラの腹に当てる。治癒の力を流し込んで内蔵の出血を止めるためだ。
しばらくしてアウラの呼吸が軽くなる。しかし完治させたわけではないため、まだ安静が必要だ。
「お姉ちゃん、体動かすよ。掴まって。」
アウラの手を組ませ、自分の首へと回しそっと抱き上げる。
「さぁ帰ろっか、僕たちの家に。」
闘技場を出たところで音もなく飛び上がり、風の様な速さで木々の間を駆け抜ける。目的地は彼らの住処である巨大樹だ。
「マーレ…」
ヒューヒューと風鳴りのような呼吸音の中、今にも消え入りそうな掠れた声が耳元で囁かれる。
「ん、なーに?」
マーレは静かに、聞き漏らさない様に耳を澄ます。しかし歩む足は止めない。
「…助けてくれて…ありがとう…。」
普段の姉からは絶対出てこない様なお礼の言葉を言われ、少し驚いたもののマーレはその返事としてアウラを抱きしめる力をちょっとだけ強くする。
「うん、どういたしまして。」
いつも最後まで読んで頂きありがとうございます。
そういえば今月の30日に『オーバーロード』の新刊が発売されますね。
楽しみで夜も眠れないわけではないですが、アインズ様が次はどんな俺TUEEEEEしてくれるのかワクワクです。
宜しければご意見ご感想をいただけると嬉しいです。
次回は来年かな~(なんつって)