恐悦至極にございます。byデミ
何度目になるかわからないですが、なんとも嬉しいものですねぇ…(滝の様に省略
はい、今回は原作一巻の目玉であるバハルス帝国がカルネ村にやってくる話の「冒頭」になります。
…素人がまた話を引っ張って申し訳ありませんorz
それでも良ければどうぞご覧になっていってください。
(これはマズイ)
確信に近い直感で危険を察知した彼は素早く木から滑り降り、自分が持てる全ての力を足にそそぎ込んだ全速力で、この村の重役である村長が居るであろう自宅へと走った。
(今見た光景を一刻も早く告げ皆に広めなければ!これは村の存亡に関わる大問題だ!)
ヨーゼフカは内心不安と焦りで一杯一杯だった。こんな感情は産まれて初めてかもしれないぐらいに。
何度も疲労の溜まった足がもつれ合い転倒しそうになるが、前に進むためただひたすらに走る。
やっとの思いで村長宅に着くも長く走ってきたせいで勢いを殺せず、そのままタックルする形で村長宅に飛び込んだため、物凄くけたたましい音が周囲に鳴り響いた。
静かに白湯(さゆ)を飲みながら、村の備蓄状況や農作物の収穫量についての確認作業をしていた村長は、慌ただしいにも程がある来客に作業を邪魔された事よりも余りの訪問の無礼さに思わず怒鳴った。
「なんだ何事だ!?もっと静かに入って来ないか!!」
飛び込んできたのがヨーゼフカだと分かるとすぐさま説教を始めんとする村長だったが、彼のあまりの慌てふためく姿から、もしやただ事でないことが起きたのでは?と考え何があったのか尋ねる。
「どうしたのだそんなに慌てて…」
「村長大変だっ!ローザリアさんの胸はデケェ!!っじゃなくて大変なんだ!バハルス帝国の奴らがカルネ村から一番近い村を襲ってたんだよ!!」
「なんだとっ!?それは本当か⁈」
『帝国が村を襲っている』という衝撃的な言葉を受け、背筋に冷や汗が流れる。
ヨーゼフカのこの焦り様から彼が言っている事は本当だろう。彼は人を不安がらせる様な無益な嘘をつく真似をする男では無いことはよく知っている。
(一体帝国共がこんな辺ぴな場所に来る用事とは何だ?略奪か?いや、そんな事をするほど帝国は貧乏な国ではない、むしろ裕福と呼べる国だろう。では何故にそんなことを…?)
村長は頭の中で一人思考を巡らせ始めるが、事態は刻々と進んでいく。
…いや、今は事を考えている場合ではない、近辺を帝国の人間が彷徨っている事を皆に伝え、村の外へ出ないよう注意を呼びかけなければ。
考えを改めた村長はすぐさま行動に移そうと村へ駆けだそうとした時、さらにヨーゼフカから追い打ちをかけられる。
「しかも奴ら次は
その一言でこれから自分がすべきことは注意でもなんでもない事を悟った。
帝国がこの村に来る。
これは、村最大の危機だ‼︎
更に考えを改めさせられた村長は、村人達の『避難』へと行動を瞬時に切り替える。
こうなってはなりふり構ってはいられない、上ずりそうになる声を必死に隠してヨーゼフカに指示を出す。
「緊急事態だヨーゼフ!!お前は村の男どもにこのことを伝えて迎え撃つ準備をさせよ!ついでにローザリア先生にこのことを伝えて来い、子供たちは今学校で授業をしているはずだ!私は避難指示を出してくる!
妻よ、今の話を聞いていたな!?お前はもう一つの避難所である此処の片付けをして村人を受け入れる体制を整えなさいっ!よし、行くぞっ!!」
「わかった!!」
半狂乱になりながらも、この村を守るために男二人は家を飛び出した。
ここは集会場の一部を教室として使い、子供たちに教育をするための学校である。
そこで教師を務めているのはローザリアだ。彼女は現実世界では勉強ができた方で、学校の成績もよい点数を納めていた。
そのため、教養ある立ち振る舞いと神職を勤められる偉いお方と言う理由で子供たちの先生を村人達から抜擢されたのである。
(なんでしょう、外が騒がしいですね?)
「どうしたんですか、ローザリア先生?」
ザワザワとした気配を外から感じ取ったローザリアは、黒板に文字を書いていた手を止める。
しかし子供たちは急に板書の手が止まったことを不審に思い、一人の生徒が代表して何かあったのかと尋ねてきた。
声を掛けてきたのは、この学校で教えている子供達の中でも一番の年長者である『エンリ・エモット』だった。
学校を開いてからわかったことなのだが、彼女は優秀な頭脳の持ち主でローザリアの知識をどんどんと吸収していく村でも一目置かれた将来有望な少女だ。
それに村の女子の中では、一番仲の良い存在だと思っている。こうして今は授業で一生徒として扱っているが、学校が終わってしまえばタメ口で話すほどの親友と呼べる人間だ。
こちらの世界に来て気を許せる相手ができたと言うのは、とても幸運なことだろう。
「あぁ、どうやら外が騒がしいようなので少し様子を見てきます。その間、皆さんは今やったことの復習をしていてください。エンリ、少しみんなの事を頼みます。」
「わかりました。」
子供達から「「はーい!」」という元気な声が帰ってきて思わず笑顔になるローザリアだったが、集会所の外へ出てから表情を厳しいものに変える。
それは男たちの慌てようから何か異変が起きていることを察知したからだ。
「あっヨーゼフカ!、いったい何があったのですか?」
丁度いいところに現れた顔見知りの男、ヨーゼフカに声を掛けると少しギョッとした顔をするがすぐに真剣な顔に戻り今起きていることを教えてくれた。
「あ、さっきはその、ごめん!つい出来心で…ってそれどころじゃない!ローザリア先生大変なんだ!この村に帝国の奴等…鎧を着ていたから多分騎士だ!そいつらが此処へ向かって来てるんだよ!」
「帝国ですって!?」
ローザリアは『帝国』と言う言葉に思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。それから冷静に村長との話を思い出した。
この村に住むこととなったローザリアは、村長からある程度この国とその周辺国のおおまかな情勢を聞き出しており、この世界が《ユグドラシル》の世界とは全くの別物だということは理解していた。その代わりに今存在しているこの世界を統治している国を教わり、その国の一つであるリ・エスティーゼ王国に属するこの村にとって『帝国』が指す意味はとは
―――すなわち敵の襲来である。
「しかし何故っ!?」
「そんなもんわっかんねぇよ!?でもこっちに向かって来てるってことは、ここが目的だってことは確かだ!男たちで何とかしてこの村を守ろうと思ってる、だけど女子供は危険だ!早く避難してくれ!」
気がつけば、周りには知らせを受けた村の男達がクワや干し草などをまとめるときに使うピッチフォークなど武器になりそうな物を手に取って戦う姿勢を見せていた。しかしその両足はガクガクと震え、突けば今にも腰から崩れ落ちそうな状態の者ばかりだ。
こんな状態でまともに戦えるわけがない…
「いえ、私も手伝います!村人達の避難を優先させなければいけません!幸い子供たちは集会場に集まっているので避難漏れの心配はありません。高齢の方や怪我などで動けない方達を優先的に集会場へ避難させましょう。」
「わ、わかった!!俺はまだこのことを村の男共に伝えなきゃなんねぇ。あんた、絶対に無茶はすんなよ!?」
ヨーゼフカが言い終わるかどうかで既にローザリアは駆け出し、何も知らないであろう教え子たちの下へ向かった。
その顔に焦りと困惑の感情をごちゃ混ぜにした表情を浮かべながら、彼女は心の中で叫ぶ。
(なぜこの村を襲うような真似を帝国がするのです!?一体何の目的があってこの小さな村を襲おうとするのですか!?)
いくら考えたところで答が出る筈も無い。それでも彼女は問い続ける。そして彼女は思い出す…
(…まさか、これは私への神が下した罰だというなのですか…?私が少しでも
―――
(…きっとそうです…これは平和な日々に甘んじて過ごした私への神が与えたもうた罰なのでしょう、「お前の生き方はそうではない」と…ですが!ですが、これではっ!!)
ギリィ!と音が聞こえそうなほど命一杯歯を食いしばりながら子供達のいる集会場へローザリアは走る。
(神よっ!!罰を受けるのは私だけでよいはずでないですか!?なぜ村人たちまで巻き込むような真似をするのです!!)
余りにも強く歯を食いしばり続けたためか唇に歯が大きく食い込む。
常人ならばその痛さに少しは噛む力を弱めるだろう。しかし彼女は機械だ、痛みなど感じない。深く噛まれたニセモノの唇からは血なんて流れていなかった。
(お答え下さい!神よっっ!!)
集会場に着くと、走る急いそのままで扉を開けたためバンッ!!と大きな音が鳴り響く。
中にいた子供たちは少し驚いた顔をするが、ローザリアは構わずヨーゼフカから聞いた話を子供たちに伝えた。たちまちその幼い顔に恐怖の色が浮かぶが、そんなものは想定済みだ。子供達を安心させるために、彼女はは先ほどの緊迫した口調とは打って変わって優しい宥める様な口調で話を続ける。
「皆さん落ち着いて下さい。大丈夫、この建物は村一番に頑丈な建物です。この中にいればあなた達は守られるでしょう。それに村の男たちが貴方達とこの村を守るために立ち上がってくれています、ですから安心してくださいね。」
優しく穏やかに「ここは安全だ」と言うローザリアの言葉を聞いて、子供たちの表情から恐怖と不安は少しばかり取り除かれたようだ。
しかし、いくら頑丈とはいえ帝国騎士達がこの建物に火を放つようなことをすれば、中にいる者達を焼き尽くす地獄の窯と化すだろう。
そうなってしまっては元も子もない。正直、今の男たちは贔屓目に見ても戦う事なんてできやしない。帝国騎士の玩具として蹂躙された後、十中八九手当たり次第に村の建物に火を撒いて、中にいる女子供を炙り出すことは目に見えている。
帝国の騎士が、どれくらい強いかは分からない。それでも今の男達よりは私が戦った方がまだまともに渡り合えるだろう。
…しかし手元に武器が無い。
農具などはその用途にそってならば使うことができるが、武器として扱おうとした時、どれだけ強く握ろうと手から滑るようにして落ちてしまう。《ユグドラシル》で例えるならば、近接武器を装備できる職業を一切取っていないためにこういった手に持つ武器を装備することができないことと一緒だろう。この非常事態になるまで気づかなかったのは、やはり平穏な日々に甘えていたツケが回ってきているのだ。
唯一自分が持てる武器は、引退するときにギルドマスターへ譲渡したままだ。このままではまともな戦闘はできない…
―――今はまだ決断の時ではない。
「私はまた外へ出て避難の手伝いをしてきます。皆さんはここにたくさんの人が集まってくるので、この部屋と他の部屋を片付け、空間を広くしておいてください。エンリ、貴方にはここを任せます。では皆さんよろしいですね?」
「「はいっ!!」」
子供達の思いのほか元気な声を聞いて少し驚いた。これならパニックも無く速やかに避難の受け入れができるだろう。それにどうやら私の教え子たちはなかなか肝の据わった子達のようだ。
そんなことを思いながらローザリアはまた外へ出て、先程ヨーゼフカに告げた行動を開始するのだった。
引っ張りに引っ張って、やっとここまで来ました。
長かった…たぶん6~7割程度進行しました。
次回は遂に戦闘シーンが見れます。圧倒的過ぎて一瞬ですけど。
お暇な人は、ローザリアがどのようなスキルで戦うか想像してみてくださいね☆←
そういえばハーメルンに掲載されているオバロSSを読んでいて思ったのですが、比較的一話当たりの文字数が多い作者様が多いので、自分ももっと書く量を増やしたほうが良いか、それともこのままで良いか若干決めあぐねています。
良ければ、感想なんかと一緒にご意見いただけたら有難いです。