稚拙な文章なので迫力なんかは微塵もないと思いますが、脳内で映像を再生してみてください。
ヨーゼフカは一級フラグ建築士を取得しています。が、死にましぇん。
グロ?注意です。
「来るぞみんな!ちゃんと尻の穴閉じとけよ!!」
ヨーゼフカは男たちの中心で目の前に迫り来る帝国騎士達に屈しないよう、一生懸命に己と周りを励まし続けていた。
「やっぱ駄目だぁ!ゴメンッ!!」
「俺も無理だ!うわあああああああっ!!」
だが彼の努力もむなしく恐怖に耐えかねて心折れる者が続出し、前線は既に崩壊してもうほとんど人は残っていなかった。
(クソッ俺だって怖いけどよ!それでも俺たちが戦わなかったら誰がこの村を守るっていうんだよ!!)
ガクガクと震える膝を片手で押さえ、カチカチと歯が鳴らない様にきつく口を食いしばり、やりきれない思いを胸の中で叫ぶ。だがそれすらも反力にしてヨーゼフは立ち向かい続ける。
もう目の前に映る帝国騎士達への緊張で、恐怖で、呼吸が苦しくなるほど早鳴りする心臓は今にも爆発してしまいそうだ。
「ヒャッハーッッッ!!!」
「この村の男共はこれだけかァ?」
「皆殺しだーーっっ!!」
両者の距離は帝国騎士達の怒号が明瞭に聞こえるほどにまで短くなっていた。
もう逃げられない。
(この戦いが終わったら、俺はローザリアに思いを告げるんだ!だから絶対に死ねないし死ぬつもりもない!やってやる!やってやるぞぉおおおおおお!!!)
遂に決戦と言う虐殺の火蓋が切られようとした、その瞬間
―――ドガーーーン!!!
両者との間に突如として上空から何かが降ってきて、瞬く間に周囲を砂埃で覆い尽くす。
その異常事態と衝撃に帝国騎士達の馬が驚いてしまい、落馬する者が続出。カルネ村の男たち弱り切っていた足に何かの落下の衝撃で体制が崩され、尻餅をついて何事かと目を見開いていた。
その場にいる全ての人間の動きが止まる。
(一体何だってんだ…?)
立ち上る砂煙の中、勇敢にも何が降ってきたのか確認しようと落下点に近づくヨーゼフカの耳へ良く知った声が聞こえてきた。
「ヨーゼフカ」
その凛と澄んだ声の持ち主を自分は一人しか知らない。
「ローザリアなのか!?」
そう叫ぶと土煙が掻き消えるように消え、中から現れたのは彼が密かに思いを寄せている女性だった。胸だって見たことあるんだぜ?
「ヨーゼフカ、よくぞここまで踏ん張りましたね。貴方がそれほどまでの勇気の持ち主だったなんて、私少し見直してしまいました。」
意中の人にそんな体がこそばゆくなるようなことを言われれば、こんな非常時でも全力で頬を赤らめてしまうヨーゼフカなのだが、ハッと我に返るといつの間にか目の前に現れた彼女に対して当然の疑問を尋ねる。
「ローザリア一体どこから!?いやそんなことよりこんな所にいちゃ危ねぇよ!早く避難所に戻れ!!」
帝国騎士達の馬は未だに暴れ、それを抑えるのと訳の分からない状況に半ばパニック寸前だった。
しかしその間にも二人の会話は続けられる。
「いいえ、戻るのは貴方ですヨーゼフカ。」
自分に対して信じられないことを言う目の前の女性にヨーゼフカは全力で咬みつく。
「馬鹿野郎!女が戦場に出てきて何ができるっていうんだ!いいからとっとと戻れって!!」
しかしローザリアからは引く気配が微塵も感じられなかった。何か決意を秘めた雰囲気もする。
だが、彼はそのことに気づこうとも、もうなんでもいいからローザリアに避難所へ戻ってほしかった。
「頼むよ!あんたが死んじまったら俺はどうしたらいい!?どうやって生きて行けばいい!?何をして生きて行けばいい!?俺の生きがいのアンタが目の前で知らねぇ男に殺されるような事があったら俺はもう生きて行けねぇんだよ!!」
彼は必死さのあまり戦いが終わった後に告げようと思っていた言葉を思わず口走ってしまった。
その彼の必死の告白を聞いたローザリアは優しくヨーゼフカに微笑みかけてくる。
ヨーゼフカはその表情で、もしや俺の思いに答えてくれたのか!?と期待に胸が高鳴ったが、彼女が返した答えはもっと残酷なものだった。
「ふふっ、貴方も私のことをそこまで好いてくれたのですね。もう幸せで胸がはちきれそうです。ありがとうヨーゼフカ。…でもね、貴方が好きになってしまった女性は、貴方の想像もつかないモノなのですよ。貴方がどうしても戻らないというのならばいいです、其処で見ていてください。きっと後悔すると思いますが…」
ようやく事態を収拾した帝国騎士達は、急に目の前に現れた見慣れない姿の女に、これから自分たちが得る筈だった快楽の邪魔をされたことに、口汚く唾を飛ばしながら罵詈雑言の嵐を叩きつける。
しかし目の前にいる女はそれらをまるで気にも留めていないらしく、帝国騎士達はその彼女の態度に怒りをさらに高めるのだった。
「こんのクサレアマァ!よくも邪魔してくれたなぁ!?ぶっ殺してやらぁっ!!」
怒りに理性が負け、我慢できなくなった帝国騎士の一人がローザリアに猛然と切りかかる。流石騎士なだけはある。その重い鎧を身に纏いながらも素早い動きで距離を詰めて来たのだ、これでは村の男がいくらいようが勝てる訳も無い。
その騎士が切りかかってくる様を見ていたヨーゼフカはもう駄目だと思わず目を瞑った。
(あれは素人目に見ても必殺の一撃だ。それに早い、避けられるわけがない。男の俺だって無理だ。怖い!体が動かないっ!君を庇うこともできない!!情けない俺を許してくれ!!)
愛しい女性が切り殺される姿など誰が見たいものかと…
―――ガキィイイイン!!!
しかし彼が聴いたのは、肉が切られた時のような鈍い音ではなく、むしろ硬い金属同士がぶつかる甲高い音だった。
普通、人を切った際にはとてもじゃないが鎧を着ていたりしない限り響かない音であろう。
不思議に思ったヨーゼフカは恐怖で瞑っていた目を開けると信じられない光景が目に飛び込んできた。
刃を向けた帝国騎士も今何が起きたのか理解が追い付かないらしく、フルフェイスの兜の下で狼狽の表情を浮かべている。
一体何が起こったのか?それは一目瞭然だ。
信じられないことに、ローザリアが手の甲で帝国騎士の振るった剣撃を受け止めていたのだ。普通なら手袋しかしていない手はそのまま剣の鋭さによって切り飛ばされるだろう、常人ならそもそも恐ろしくてそんな真似はできない。
もし手袋に鉄板が入っていたならば受け止められる可能性があっただろうが、彼女の嵌めていた手袋は豪華でありながら決して派手ではなく上品に仕立て上げられたレースの白い手袋だったのだ。鉄板なぞ入っていようもない。
だが彼女は、大の男が渾身の力を怒りと共に込めて振るってきた剣撃に顔色一つ変えず、それはまるで偶然出会った知り合いに軽い挨拶をするときのような軽く手を挙げる仕草で何事もなかったかのように受け止めていたのだ。
その信じられない事態にやっと気づいた帝国騎士は狼狽の表情を驚愕の表情へと変える。
しかしそんなことなど心底どうでも良く、更に言うなればヨーゼフカと大事な話をしていたところを邪魔されたローザリアは少し怒っていた。
怒気を僅かに孕んだ声で帝国騎士達に静かに語り掛ける。
「まったく、人間風情が良く吠えますね…。いいですか、よくお聞きなさい。刃を相手に振るうということは、振るった相手に反撃をされても構わないという意思表示と覚悟を意味します。剣をただ無差別に振るい、自分よりも弱い者達を傷つける快楽に酔っているあなた方に、その覚悟がおありですか?」
一体俺たちの目の前にいる糞女は何を言い出したんだ?
帝国騎士たちは唐突に自分達へ向けられた道徳的説教に一瞬戸惑ったが、誇り高い兵士の陳腐なプライドが逆撫でされ、自分たちに生意気な口を利く女へ冷めかけていた怒りがまた沸々と煮えたぎり、全ての兵士たちの顔が怒りの色に染め上げられる。
「なんだとこのクソアマァ!?」
「俺たちをなんだと思っていやがる!!」
口々に暴言を吐く兵士達の中で一際怒りに身を震わせていた男が居た。これまた一際自尊心の高い男であるこの部隊の隊長べリュースだ。
(このクソッ垂れな女は私に向かってなんと言った!?この部隊の隊長であり、いずれ法国のトップとなるこの私に向かって説教だと!?なんて生意気な!なんて愚かしい!!絶対に絶ッ対に許さんぞぉ!!この私を辱めたことを後悔させてやる!!)
怒りが頂点に達したベリュースは部方達に命令する。
「お前ら!あの女は半殺しにしろっ!俺が止めを刺ぁす!その前にたっぷり可愛がってやるがなぁ!?あーはっは!!それから見るも無残に嬲り殺してくれる、産まれてきたことを後悔するくらい惨たらしくな!!」
怒りに我を忘れた彼らはベリュースの命令を受けて、雄叫びをあげながら一斉にローザリアへと切りかかる。
しかし彼らは忘れていた、いや、意識したくなくて忘れたのかもしれない。
剣を生身で受け止めた彼女の異常な振る舞いを。
そして彼らは実感するのだ、自分たちが相手にしているのはとんでもない
(なんと救いようのない…彼らの行いは許されるものではありません、愚者には裁きを…。先ほどの兵士の斬撃である程度この方達の強さは把握できました。しかしどんな隠し玉があるかわかりません。覚悟を決めた以上全力で対処するとしましょう。)
帝国騎士達はもう剣を振れば届く距離にいた。が、彼らが切りかかる直前で彼女は呟くようにして特殊スキルを発動させる。
「〈
呟くと同時に凄まじい爆風が彼女を中心にして巻き上がり、切りかかる寸前だった帝国騎士達がその風圧で吹き飛ばされる。
一瞬の出来事だったため一体何が起きたのか理解できない帝国騎士達は自分たちを吹き飛ばしたであろう存在を睨みつける。だがその鋭かった視線は次第に怯えた子供のような目に変わっていき、ただただ目の前の存在が得体のしれないモノに変異していく様を見ることしかできなかった。
スキル発動と同時に彼女の姿は銀色に変わる。
その着ていた服も、頭に着けていたベールも、長く美しいストレートの銀髪も、麗しい顔さえも輝く二つの瞳を奇麗な若草色から血に濡れた赤色へと変えて残した今は、ドロドロとした水銀に包まれたかのように全身を覆われていた。
そして液体状の何かはヌルヌルとスライムのように蠢き形を変えてゆく。
見る見るうちにローザリアの原型は崩れ去り、新たに形を成した
彼女の種族である『
今の彼女にシスターの面影は無い。
その体表面を覆うのは現代では解明できない謎の金属により構築された深紅の装甲。そしてその装甲に這うように捲きつく植物の蔓を連想させる緑色の線が周期的に点滅を繰り返している。
胸には大きな白をベースに金で縁取られた大きな十字架があり、そのクロスの中央には薔薇の花弁が赤く刻印されている。
頭は流線型の攻撃的なフォルムをした頭部にすげ変わっており口と鼻は無く、唯一顔のパーツとして残った目の部分は、その形を模る様に白い直線で囲まれ、その中で深紅の瞳が欄欄と煌めく。
体の全ての末端は鋭くとがっており、手や足は鉤爪に、両肩からは美しい曲線を描いた棘が三本生え、その先端はどれも体を這う蔓と同じ色をしている。まるで薔薇の棘だ。
否、彼女は薔薇なのだ。
彼女が《ユグドラシル》で膨大な量のデータクリスタルを使い仲間と創造した、彼女の名を体現するもう一つの真の姿だ。
「見ヨ、ソシテ畏レヨ。我は星ヲ堕トセシ者ナリ。」
そして今の彼女が発する声は、ヨーゼフカが好きだったあの凛と澄んだ声ではなく、いろんな人間の声を雑多に合成したような、とても人間の出せる声ではなかった。
帝国騎士達は立ち尽くす。
今まで生きてきた中で、一度も見たことも聞いたこともない存在と対峙してしまっているこの状況に、そのちっちゃい脳みそがついていけていないのだ。
何故こんなことになった?俺たちの目の前に居るこいつはなんだ??なぜ、なんで?、どうして…?
―――なんでこんなに(恐怖の)涙が止まらないんだ…
帝国騎士達は目の前の異形から体を滅多刺しにされるような凍てつく殺意の刃を向けられ、まるで地面に磔にされたように動けなくなり、そのまま"死"を迎える。
「罪深キ人間ニ裁キノ光ヲ…〈
ローザリアは帝国騎士達に向け両腕を水平に向ける。
その鋭く尖った十本の鉤爪に意識を集中させ帝国騎士達の急所以外を的確に狙うと、その爪先から放射状の赤い閃光を一瞬だけ放った。
…本当は体の一部を痛めつけて脅すことが目的だったのだが、この世界での戦闘が初めてであり、威力の調整を間違えたせいで、急所も何も関係なく攻撃をくらった場所から騎士たちの体は跡形もなく吹き飛んでしまった。
訪れるのは静寂。
普段から暴力を好まず、生きている人間を傷つけることを是としない彼女にとって人間を殺すなど決して己の良心が許さない行為であった筈だ。
…筈だったのだが、たった今数十人の人間を消し飛ばしたというのにも関わらず、良心の呵責も罪の意識も悔恨の念も感じない。
そう
(人の姿を失い、人の心すらも、私は失ってしまったのですね…。…あぁ神よ、人の心を忘れた今の私に、あなたを信仰する資格があるのでしょうか…)
全てを消し飛ばした張本人は、何の感情も起きない機械の心に自問自答を繰り返すのだった。
ちょ、おまコレ9話目やぞ。
なのに散々ここまで引っ張っといてこんだけかよ?お?やんのか?
皆さんのお気持ち、代弁しておきました…。
スミマセン…全てはワタクシの力不足でございますゆえ…何卒、何卒!ご容赦下しあ!!
読んでる途中で気づいたかもしれませんが『ローザリア』の名前の由来は『ローズ(薔薇)』と『ロザリオ(十字架)』です。
薔薇は真理亜が好きな花です。ちなみに深紅の薔薇の花ことばの中に『美しさの象徴』と言うものがあります。彼女にぴったりデスナ
ロザリオは正確には十字架じゃないんですけどね…キリスト教関連と言うことでナントカ。