私はどうなったのだろう。
覚えているのは、お馬鹿な後輩の、ちょっとおもーい愛、それに頼もしすぎて涙が出てしまうくらい頼もしい仲間達。あとマーボー。
そして、尊大で、気高くて、とても可愛らしい皇帝様。
ねぇ、セイバー。
また、一緒に、お話がしたいな。
………………。
ならば、その願い、叶えて差し上げますわ。
…………いや、貴女、そんなタイプじゃないでしょ。
叶えて、差し上げ、ますわ。
問答無用とはこのことである。まさに菩薩。
やるせなくなり、どんよりしそうになる。
あぁ、うどんよりそばがたべたい。
ふと、意識を取り戻す。
意識以外にも、光が、風が、蕎麦が、消毒の香りが、めんつゆの香りが、ベッドのフカフカとした感触を感じる。
…………ん?
「あら、目が覚めましたのですね」
カーテンの向こうからヒョイと覗き込んできたのは、なんというか、予想通りキアラである。その手にはお盆とそれに乗ったお蕎麦。いや、何からつっこめばいいのか。
「あら、白野さんがうどんより蕎麦が食べたいとおっしゃっていたではないですか。お腹も空いたでしょうし、どうぞ」
まぁ、折角なので。
ズルズル。
「ともあれ、無事にこちらに来られて何よりでした。お体に異常はありませんか?」
ん、お腹が空いてたくらいかな。それで、ここはどこなの?
「そうですね、日本です。ただし、ムーンセルが存在せず、西欧財閥も存在しない世界の、ですが」
ほへー。
「あら、驚きにならないのですね」
んー、ムーンセルならそれくらいやってのけるのかなって。それより、キアラがいることの方が不思議。
「ふふふ、それは奇跡、とでも申しておきましょう。それに、奇跡はそれだけではありませんよ」
え?
「うふふ、それを食べ終えたら着いてきて下さい。先程から早く来いと言われておりますので」
何やら訳がわからないが、承知。とはいえ、熱い。
何とか蕎麦を食べ終えて、キアラに着いていく。その道中、建物の中をキョロキョロしたが、どうも学校の中らしい。
「ここはIS学園。IS《インフィニット・ストラトス》というパワードスーツを扱うための人材を育てるための施設です」
それって、ロボットみたいな?
「間違ってはいませんが、まぁ、一度見ていただいた方がいいかと」
そうして連れてこられたのは、すごく深そうな地下の部屋。研究室のようだが、私にはそんなことどうでもよかった。
その部屋の中心で、凛と佇む一騎の赤騎士。いや、皇帝。
その機体は、私のことをじっと見つめていた。そして、私も目が離せない。
……そっか、あなたも来てくれたんだね。
「これこそまさに奇跡。この子の名前は《招き蕩う黄金劇場(アエストゥス・ドムス・アウレア)》。貴女なら、お分かりですよね?」
そんなこと、言われるまでもない。だって、彼女は私の最愛の人なんだから。
だから、言わせて?
おかえりなさい、セイバー!
『うむっ! 待ちくたびれたぞ奏者よ!』
あぁ……こんなにも嬉しいことがあるのだろうか。夢みたいだ。
『夢ではないぞ! 勝者となって余と奏者のランデブーだ!』
ははは、そうだね。何がなんだかわからないことあも多いけど、楽しいことは間違いない。
だから、これからよろしくね。
『うむっ!』
愛しい皇帝様の可愛らしい声に、私は涙とともに笑顔を溢れさせてしまったのであった。
ちなみに、一部始終はキアラに撮影されていた。
と、取り返せねぇ。
生暖かい目で見守って下さいませ。