とある魔術のグループ   作:静かな人

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暗部抗争編最終話です。


VS垣根帝督

騒がしい裏の戦いなど知らずに表は賑やかだ。今日が祝日だというのもあるのだろか、いつもにまして人が多い気がする。

夕食の献立を考えながら歩いていると遠くで大きな音が突然響いた。

 

「なんだ…?」

 

周りの人も少々ざわめいてる。嫌な予感がした。頭の中で今日起きた事を整理する。今日は言わば暗部同士の対決だった。その中で残っていると予想されるのは、遭遇したことのない『アイテム』。今朝、親船最中を暗殺しようとスナイパー砂皿緻密を雇った『スクール』。荒道と一方通行を襲った『メンバー』。

候補が多かった。だが仮に判明しても事態は好転しない事に気付いた荒道は動き出す。

 

周りの砂を集め、40㎝四方の大きさの板を作り出す。そこに足を乗せ、浮かび上がる。

 

再び音。音源に向かって板を動かす。高層ビルの屋上を見下ろしながら移動しているとまた別の方向から音がする。音源はどうやら動き続けているのがわかった荒道は板の移動スピードを上げ、音源が移動する前に追いつこうとしていた。

 

 

=============================

 

 

学園都市レベル5の第一位・一方通行は学園都市レベル5の第二位・垣根 帝督(かきね ていとく)と睨みあっていた。

理由は至ってシンプル。『殺し合い』をしているから。

 

垣根帝督は学園都市統括理事長・アレイスターの考える『プラン』の『第一候補(メインプラン)』である一方通行を殺し、『第二候補(スペアプラン)』である自分を押し上げるため。

 

一方通行は『電話の男』から打ち止めの情報を伝えられ、打ち止めを人質に取ろうとした人物が垣根帝督だった。これは誰がやっていても一方通行にとっては万死に値する行為だったから。

 

一方通行、垣根帝督は別々の信号機の上に乗っている。垣根帝督が背中から三対、六枚の翼を背中から出現させる。それは光を湛え、神々しくも思えたがそこにあるのは無機だった。

 

一方通行も腰を少し落とす。このまま足を少し動かせば、ベクトル変換能力で脚力のベクトルを変換させ、一気に垣根に接近できる。

 

互いが動き出そうとした瞬間、ヒュン!!矢を放ったような音が聞こえる。何だ、と思った彼らは上を見ると白色の七本の槍が音速の3倍の速さで降ってきていた。

 

だが、それは垣根帝督だけに向かって降り注ぐ。

 

咄嗟に羽で体を覆う垣根帝督。七本の槍はすべて翼に触れた瞬間に砕け散る。

 

「チッ、やっぱ死ないな…」

 

一方通行は聞いた事のある声に驚き、目を向ける。一方通行が声を上げる前に垣根帝督が戦いを邪魔された事でキレた声を飛ばす。

 

「何だテメェは?!よほど死にたいらしいな!!」

 

垣根帝督の視線の先には高層ビルの屋上の縁に足をかけているジャージの少年。手には長さ5mはある柄の先には普通のサイズの二倍ほどの大きさの刃がが取り付けられている斧だ。そして斧全体が同じ鈍い光を放つ銀色になっている。

 

「黙りやがれ、チンピラホスト。それはこっちのセリフだ」

 

現れた少年、荒道大地は興味がないように冷たく一蹴する。荒道が睨んでいる人間は金髪で臙脂色(えんじいろ)の服を着きている。一番目立つのは右手の奇怪なグローブ、人指し指と中指から長い爪が伸びていて、手の甲には小さなモニターがあるという謎の装置を身につけていた。

 

「大地ィ!やめろ!こいつは俺が殺す!」

 

一方通行が叫ぶ。垣根帝督だけは絶対に許せなかった。第一位と第二位の実力差を見せつけてから殺すつもりでいた。

だがこれは暗部の仕事ではなく、個人的な戦いに過ぎないため、荒道は非情になる必要はなく、お人好しな荒道は拒否する。

 

「一方通行、お前が人を殺すのにこだわるのはそれなりの理由があるんだろ。でも、俺にも一方通行に手を出したという殺すのに充分な理由がある」

 

言ってから荒道は垣根帝督を再び睨みつける。その時少年院で見せた、『生物的な恐怖』を呼び起こす目をしていた。だがキレている垣根帝督は臆さず、むしろ殺しのスイッチとなった。

 

「垣根帝督、学園都市第二位の『未元物質(ダークマター)だ。テメェを今から殺すから、俺の名前を冥土の土産ってやつにしとけよ、クソ野郎!」

 

まずはこのイキ上がったクソ野郎の始末だと垣根帝督は判断し、殺意で塗り固めた翼を携え、体を荒道へと向ける。

 

「荒道大地。能力は『虚偽地球(ライアーアース)』。…覚悟しろ」

 

その瞬間、荒道はビルから飛び降り、垣根帝督は信号機に傾くほどの負荷をかけて荒道に突撃する。

 

ガァン!!空中で巨大な斧と能力で作り出された10mの翼がぶつかる。周りに衝撃波が走り、ガラスを何枚か砕く。

 

(やっぱりこの翼、金属とかじゃないみたいだな)

 

垣根帝督の『未元物質』で作られた翼を確認し、一度斧を上げ、再び振り下ろす。

互角、両者がせめぎあっている所に一方通行が割って入る。垣根は一度離脱し、距離をとる。荒道も事前に『虚偽地球』の能力で側に置いておいた砂の板にとびうつる。

 

どういうベクトル操作かは荒道にはわからなかったが一方通行は宙に停滞している。そして、荒道の方を向き、話かける。

 

「……オレはオレでケジメをつける。これは『家族』でも譲れないことだ。だからーーー」

 

荒道が言葉を遮るような形で言葉を継ぐ。

 

「『テメェのケジメはテメェでつけろ』か?」

 

「あァ、その通りだ」

 

一方通行は笑い、空中で停滞できるようにベクトルを操作を止め、背中に竜巻を背負って、垣根帝督に向かって行く。

一方通行の竜巻と垣根の翼がぶつかり合う。垣根帝督から一方通行が離れると続くように荒道はすぐに仕掛ける。斧を再び叩きつける。先と同じように垣根帝督も翼を広げ、迎え撃つ。

轟音、先ほどよりも凄まじい衝撃波が巻き起こる。だがそれだけではなかった。荒道が仕掛ける。

 

「周りに気をつけろよ」

 

荒道は斧を翼にぶつけながら忠告する。垣根帝督は視界の端に急に現れた氷柱の物体に驚く。素早く目だけを動かしてみると一面に数え切れないほどそれは出現していた。

 

荒道は元々『虚偽地球』の能力範囲半径30mに漂わせておいたコンクリートを一斉に氷柱の形に変化させ、射出する。

 

全身を翼で覆った垣根帝督は氷柱が壊れるのを翼に当たる感覚で確認した後、全力で翼を広げる事によって莫大な衝撃波を生み出し、周りにまだ氷柱が残っていても纏めて破壊する。周りは吹き飛んでいるはずだった。

 

「その翼、横にしか展開できないのか。…不便だな」

 

だが近くで嘲るような声が聞こえる。頭上からの声が。垣根帝督は急いで上を見る。翼がが大きく展開される事を予想して、衝撃波の来ない位置を演算していた荒道は上から襲い掛かる。今度の得物は10mの槍、刃から柄まで全てが鉄で作られ、鉄塊と言っても差し支えない物だったが人間の息の根を止めるには十分過ぎる物だ。

 

「クソが!」

 

悪態をつきながら、垣根帝督は荒道から距離を取るため、下に逃れようと荒道に向かって、翼を振おうとした時、荒道の槍が突き出される。この時、翼が烈風を生み出していたが荒道は体の周りに鉄分子を纏い、力技で烈風に吹き飛ばされないようにしていた。

今の状態は垣根帝督が背中から地面に落ちようとし、荒道がその上から槍を突き出している状態である。槍は翼が掴むようにして、止めていたがそれだけでは、終わらない。

 

荒道からすれば今は垣根帝督の体が全て自分の能力範囲圏内に入っている状態。

 

槍の穂先だけを射出する。

 

急に切り離された槍の穂先は垣根帝督の首を刺すはずだったが垣根帝督が体をずらした事で、肩に当たる。

 

「ナメんな!クソ野郎がぁぁ!!!」

 

翼を広げ、下に落ちて攻撃をかわすのを止め、翼を十数mまで伸ばす。そして、飛翔して荒道の横につけると全力で翼をぶつけ、荒道をビルに突っ込ませる。

 

「…ッ」

 

コンクリートの部分を自らの体でぶち抜いたがダメージはほとんどないに等しい。

 

「大地!」

 

荒道と垣根帝督の攻防を見ていた一方通行は声を上げる。その返答とばかりに荒道が突っ込み、煙が晴れないビルの一角から槍が初めの不意打ち以上の速度で一本飛び出す。

垣根帝督はそれを翼で防ぐがその隙をついて一方通行が攻撃に入る。

 

ビルに突っ込んだ荒道は槍を射出してから急いで自分が入って来た穴から顔を出すがそこには誰もいない。ただ遠くなったり、近くなったりする轟音や衝撃波だけが感じられる。

 

「こりゃ、追いつけないな」

 

一方通行と垣根帝督に追いつけないと悟った荒道はビルの屋上に登り、彼らの戦いの音を聞く。

そして、しばらくすると音が聞こえなくなる。

 

「あっちか…」

 

荒道は自分が垣根帝督と戦った事で実力を知り、直感で『垣根帝督は一方通行に勝てない』と一方通行の勝利をわかっているので急がずに走って移動する事にする。

 

 

============================

 

 

走っている際に正体不明の胸の痛みを荒道は感じた。普通の痛みではなく、体の内側から圧迫されるような、何かが這い出ようとするような感じがした。

しかも、一方通行と垣根帝督の戦いが終わったであろう場所に近づくほどに、痛みは増していく。

 

痛みを感じながらも、走り続けると何か気色の悪い音と大きな音が聞こえ始め、周りが地震のように少し震えている。その音源を目指して走ると100人から500人ほどの人だかりが見える。あそこに違いないと思った荒道は人を押しのけ、人垣の向こうを見ることができた。

 

そこにあったのは圧倒的な殺戮だった。一方通行が垣根帝督を攻撃している。別段それは問題ではならなかった。悪党同士、闇同士がぶつかり合えばこうなるのは珍しいことではなく、一種の末路とも言えた。

 

問題は一方通行の背中から出ている黒い翼だった。それを見た瞬間に荒道は驚いて声も出せなかった。

あれは色こそ違えど四年前に自分も出したことがある翼だった。

 

一方通行が叫ぶ。この世の全てを威圧するような恐ろしい叫びが響き渡る。だが荒道はその中に何か悲しい物を見つけた。

 

(止めなければ…!)

 

ひとつの意思が心に宿る。荒道にとっては胸に感じる痛みよりも一方通行の悲しい声を聞く方が何倍も辛かった。

 

足を踏み出そうとした時、誰かに手を掴まれる。化物の近づかせまいと誰かが気遣って手を掴まれた訳ではなかった。後ろを振り返るといたのは息を切らした土御門だった。

 

「土御門?!離してくれ、俺は一方通行を止める!」

 

こんな時でも土御門は冷静に振る舞う。

 

「それは構わない。だがその前にやって欲しいことがある。あそこの垣根帝督の腕が見えるか?」

 

土御門の指した方向には今なお攻撃を続けられている垣根帝督から離れ、もがれたような断面を晒す奇妙な機械がつけられた右腕があった。

 

「あれを回収してきて欲しい」

 

「わかった。だけどそれは後回しになるけどいいか?」

 

「ああ、構わない」

 

会話を交わした後、荒道は一方通行に向かって歩いていく。

 

周りの声が大きくなり、悲鳴のようなものまで混じっているが荒道は気にとめる事もない。

荒道の姿に気づいた一方通行はジッと眺めている。

 

だが刹那に一方通行の背中にある黒い翼が荒道に明確な殺意を持って噴出される。

荒道は自分のジャージに仕込まれている鉄や『虚偽地球』で操ることが出来る物質全てを二つの破壊の奔流にぶつける。

だがそれでも黒い翼は止まらない。荒道も全力で半径30mからかき集めた物質で対抗する。

 

「止まってくれ、一方通行!」

 

荒道は自分が集めた物質が破壊される音にも負けないように大声を張り上げる。その間にも荒道は近づき、残り5mほどに接近している。

 

望みをかけて手を伸ばす。どうにかなるかもしれない。何の根拠もなく手を伸ばす。止まってくれと願った。

 

 

だが伸ばした右腕は一方通行の黒い翼から枝分かれした小さな翼によって

 

 

切断された。

 

 

「…………ちくしょう」

 

腕の痛みよりも自分では一方通行を止める事は出来ないことが悲しかった。だが荒道はまだ抗い続ける。

 

切られたされた腕の切断面と体の方の切断面を鉄で覆い、失血を防ぎながら後ろに大きく飛ぶ。

 

(どうする…!?どうやって一方通行を止める?!)

 

腕に関しては素早く応急処置をしたがどうやって一方通行を止めるかで頭の中の思考する領域を奪われていた。

 

だが後ろに下がっている最中に荒道と入れ替わるように走っている、十歳くらい少女の小さな背中を見つけた。荒道の『虚偽地球』で削り取られ、足場が悪い中を懸命に一方通行に向かう姿を。

周りの野次馬はあれほどの事をした能力者に少女が立ち向かうなんて自殺行為だと思った、だが荒道には

 

 

最後の希望(ラストオーダー)が舞い降りたように思えた。

 

 

荒道は直感でもう大丈夫だと安堵した。そうなれば自然と頼まれた事を思い出す。垣根帝督の腕ーーーというよりもあの奇妙な機械だと荒道は予想する。高位能力者のDNAマップはかなりの価値があり、腕からDNAマップを採取する事は出来るがそれを使ってどうこうするという技術は少なくとも『グループ』の下部組織にはない。

垣根帝督の腕を地面の中に埋め、荒道が下がるのと合わせて、引っ張っていく。

 

(腕が飛んでる奴が腕を回収するとは変なものだな)

 

などと意味のわからない事を思っていると野次馬のすぐ近くだった。周りはいつの間にかアンチスキルが包囲していたが一方通行の方に気をとられていてすんなり、野次馬の外に出ている土御門の元に戻る事が出来た。

 

「ほい、腕だ」

 

と地面から垣根帝督の腕を取り出し、渡す。だが土御門は

 

「何をのんびりしてるんだ!腕がとれてるんだぞ!路地に車が止めてあるから早く行け!」

 

「わかった。ありがとな、元春」

 

焦った姿の土御門を見て、珍しいなと思いながら、救急車に乗り、運転手にとある病院へに行ってくれと、指示を出す。

 

今まで鉄を操作して率いていた、とれた右腕をまだある左手で持ってみる。

 

いつもの自分の右腕途中で途切れ、左手にあるというのは奇妙な感覚だった。

 

 

========================

 

 

 

「くっ付いちゃったね?」

 

「くっ付きましたね」

 

どこか間抜けな会話をしているのは荒道とカエル顔の医者。荒道は切断されたはずの右腕を動かしながら答える。

 

「いやまさか、朝に名前と声だけ聞いた人が腕を切られて病院に来るとは思わなかったね?」

 

「ええ、俺も思いませんでしたよ」

 

カエル顔の医者は手元のカルテに目を落とし、少ししてから顔を上げる。

 

「にしても、君の治癒力はどうなっているんだい?頭の傷はもう跡すらないしね?」

 

「昔から頑丈なのが取り柄でしたから…あのー、学校とか行ってもいいですかね?」

 

「うん。それなら問題ないね。遅刻届けを書いてあげようね?」

 

そう言うと個室から出て行く。ドアが閉まってから、盛大にため息をつく。

 

「…一体なんだったんだ?アレは…?」

 

思い出すのは今日の起きる前、例の夢をみた。だがいつもと違ってその声は語りかけてきた。

 

 

『あなたは『家族』と言っているけど彼らはあなたの事をどう思ってるのかしら?外部からみたらありえないくらいバカよ?』

 

唐突に聞こえた声に荒道は戸惑ったがいつもの夢だと認識する。そして声は女性の声だった。

 

「誰なんだ?お前は?」

 

『秘密よ。その時が来れば分かるわ。それよりも早くさっきの答えを教えてちょうだい』

 

その声はどこかワクワクしていた。

荒道は質問を頭で整理し、考える。確かに『家族』というのはそんな簡単なものではない。もしかしたら皆は上辺だけかも知れない、考えがよぎる中、荒道は前を向いて考えた。

 

「『家族』になるってのはそう簡単に出来る事じゃない。今はみんなどう思っているかはわからないが、だけどいつかは『家族』になってみせる」

 

数秒の沈黙の後に声は返ってくる。

 

『そう、意外とあなた、バカなのね?』

 

落胆した声を残して誰かもわからない『夢の女』は消えて行った。

 

 

「…あいつは誰だ?俺の中に何がいる?」

 

今日会話したのがロシアで占ってもらった強大な力の正体。正体がわかる日はいつなのか。

知るのは『夢の女』のみ。

 

 

=========================

 

 

いつしれぬ場所、いつしれぬ時、『グループ』は再び集結する。

 

荒道が戸を開けると一方通行、結標淡希、海原光貴がいた。

 

「腕、治ったのか?」

 

一方通行がソファに腰掛けたまま聞く。

 

「ああ、先生に治してもらったよ」

 

「そうか、すまねェな…」

 

「何、気にすることないさ」

 

奥の二人が驚いた顔をしているのは黙っておく事にした。

 

「土御門は?」

 

「もう少しで来ると思う」

 

結標の質問に答えた後、海原に目を向けると元気がないように思えた。

 

「……どうした光貴?顔色悪いぞ?」

 

「そうですか?でも自分は大丈夫なので心配なさらずに」

 

そう言ってする微笑も少し苦しそうに見えた。

 

「遅れてすまない」

 

そう言って土御門が入って来る。土御門の手に持たれているのは垣根帝督が手に付けていた奇妙な機械。それをみた一方通行は呆れたように話す。

 

「どさくさに紛れて回収してやがったのか。よく野次馬の中に紛れたもんだ」

 

「いや、回収したのは大地だ。腕がとんでる状態でよくやってくれたもんだ」

 

土御門以外から驚きと呆れが混じった視線を向けられる。

 

「ま、まぁ、これは『スクール』の垣根帝督から奪った物だ。正式名称を『超微粒物体干渉用吸着式マニュピレーター』通称『ピンセット』簡単に説明すると素粒子とかの小さな物を掴み取るために開発された装置だ」

 

機械の説明を終えたところで土御門が話を引き継ぐ。

 

「そして、中に格納されているのが『滞空回線(アンダーライン)』と言うナノデバイス。どうやら『スクール』の連中は『滞空回線』を採取して、中身を調べるために動いてたらしい」

 

土御門はともかく、大地、お前は何でそこまでわかっているんだと、思ったが土御門が暗躍しているときに手伝ったんだろうと結論付ける。

 

「中身のデータは?」

 

荒道の指摘した通り、顔色の悪い海原が普段よりもゆっくりした口調で尋ねた。

 

「『滞空回線』学園都市統括理事長・アレイスターの直通情報網の中核だ。そこらの『書庫(バンク)』に収められているものとはレベルが違う」

 

1度調べた荒道はわかるが表に出れば学園都市の基盤が危うくなるほどのものだ。

 

「面倒ね。結局そのナノデバイスの中の情報は?」

 

「待て、今出る所だ」

 

ピッ、と『ピンセット』の手の甲にある小型モニターから電子音が鳴り、文字化けのよな解析結果が現れ、それは次第に正しい文字に変換されていく。

 

「学園都市暗部にある機密コード扱いの類、だな」

 

「そいつが打開のヒントになるっつーのか?」

 

「名前は…『グループ』『スクール』『アイテム』『メンバー』『ブロック』…こっちのは『ピンセット』…これは『ひこぼしII号』のデータ、後は『少年院の見取り図』……何が機密のコードよ。ご大層なことを言っておいて、要は上が『グループ』の動きを監視するために情報を集めただけじゃない。こんなもの見せーーー」

 

遮るように荒道が話す。

 

「淡希の言う通り、そこには暗部の構成員の名前や暗部同士の交戦履歴しか載ってないだけどーーー」

 

「まだ一つある」

 

土御門が結標から取った『ピンセット』を操作しながら荒道の言葉と繋げるように話す。

土御門がわざわざ他の情報と別々にしたのはそれまでの情報と違うと受け取ったため、全員が『ピンセット』に注目する。

 

土御門はゆっくりと小型モニターに表示される言葉を呟く。

 

「最後に出て来たのはーーー『ドラゴン』」

 

 

戦いの果てに得たのは、小さな突破口。

確かなカギを手に入れた『グループ』の5人、一方通行、土御門元春、海原光貴、結標淡希、荒道大地がこれより再び動き始める。




一ヶ月以上かけて暗部抗争編終了です。初めは5000文字くらいで3〜4話構成とか言ってましたが何一つ守れてません。すいません、甘く見てました。次はちょっと緩い感じの殺伐としてないやつを書こうかと思います。流石に疲れました。ですが今はテスト期間中なので投稿が遅れます。
今回も読んで頂き、ありがとうございました
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