「うん、ちょうどいいな」
荒道はラーメンのスープの味見をしていた。シンプルな醤油ラーメンだが、自分一人で作るのが初めてなのでかなり慎重にやっていた。
火を止め、麺を冷蔵庫から取り出そうとした時、ラーメンのスープ以外のいい香りがする事に気付く、なんだろうと考えていると外からバリバリバリ!と破壊音が響く。方向は上条の家。
「どうした上条?」
心配になり、上条宅の玄関のドアを開けて入る。そこには土御門元春の愛する義妹の土御門舞夏がなんだか怒った調子で帰って行くところだった。
そして何よりも気になったのはこのいい香りだ。
「これは味噌汁の匂いか!!」
「またも変人が登場ーっ!?」
普通少女の五和に感動を覚えている所にまた変人が現れ、今にも『不幸だー!』などと叫びだしそうだが今の荒道にとってはどうでもいい。
「五和!ちょっと味見させてくれ!!」
「は、はい、どうぞ…」
五和も少し驚きながらも小皿によそった味噌汁を荒道に渡す。荒道は音も立てずに静かに味噌汁を飲み、少し考えるような顔をする。
「これは、ホタテ…粉末状の乾燥ホタテを使っているのか…!」
「ふ、二人目!?」
お母さんにもバレた事の無い隠し味を一日に土御門舞夏と荒道の計二回看破された事のショックは大きかった。
ごちそうさま、と言って帰ろうとした時、ベランダの向こうから兄妹の会話が聞こえてくる。
『なんで今日の晩御飯のホワイトシチューを下げちゃうにゃーっ!?っつか俺の今日の晩御飯は!?』
『外野は黙ってろ!!あれだけの一品を見せられて黙ってられるか!今から本物の味噌汁というのを味あわせてやる!!』
『ええーっ!さっきのシチューでいいんですけどーっ!』
と金髪エージェントの悲痛な声が聞こえ、それを見かねたーーいや、聞きかねた荒道が土御門元春に声をかける。
「おーい、元春!うち醤油ラーメンだけど食べるかー?」
『マジでか!?本当に助かるぜい!』
そのあとは家に土御門を招き入れ、一緒にラーメンを食べ、土御門を帰した後、食器を洗っていると今日は会う事は無いと思われた上条がインターホンを押してきた。
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荒道は風呂場に目をつぶり、真剣な顔立ちで立っている。
十秒ほどで目を開け、後ろで祈るようにしていた上条に告げる。
「ダメだな。プラスチックの部分が融解しちまってる。俺の能力じゃ手に負え無い」
「………不幸だー…」
魂が抜けている上条が訪ねてきたのは一分と経っていない前のことだ。
なんでも真人間の五和に感化され、洗剤とスポンジをインデックスに持たせ、風呂場に放り込んでおくこと数十分。
ここでインデックスは驚異の天然を発揮した。
バスタブの給湯器のノズルの中に洗剤の原液を突っ込み、プラスチック部分を融解させたのだ。そのせいで、今でも気分が悪くなりそうな臭いがする。
上条は全く悪気がなく、キョトンとしているインデックスに怒っている。
だがインデックスには自分が悪い事をしたという自覚がないので理不尽な怒りにさらされていると感じてしまっている。インデックスの頭嚙みつき十秒前のカウントダウンが始まろうとした時、後ろでオドオドしていた五和がある提案をする。
「あのー、それじゃあ銭湯に行きませんか?学園都市って意外にそういう所が充実してるみたいですし」
その言葉にインデックスは目を輝かせる。彼女は食べ物以外でも案外反応するのだ。
「うーん…仕方ねぇな、今日は銭湯にするか…。大地、一緒に行くか?」
「いいのか?」
「当たり前だろ。…でどこの銭湯に行く?」
「さっきも言いましたけど意外に公衆浴場が充実してるんですよね。昔ながらの銭湯から、天然物の温泉、スパリゾートまで揃っていますし。……ここなんてどうでしょうか?アミューズメント施設と合体してるみたいですよ」
と五和は使いこまれた古い手帳を見ながら話す。
「どうして五和はそこまで学園都市の情報に詳しいんだ?」
学園都市外部の人間が学園都市のパンフレットではなく、手帳を見ながら、上条でも知らない情報を話しているのだから上条が驚くのは当然だ。
荒道に至っては学園都市に来て日が浅いので、銭湯があること自体知らなかった。
「(対象を護衛する前に周辺地理を調べておくのは基本なので)」
インデックスに聞こえないように小さな声で喋ってくれた五和に合わせて上条も話す。
「(でも、その情報必要か?)」
「(アックアは魔術サイドの人間なので、この街を走る『脈』の流れなども向こうの行動を予測する際に役に立つと思いまして)」
二人の会話が終わったのを見計らい、荒道が話しかける。
「それでそのレジャー風呂ってのはどこにあるんだ?」
「ええと、第二十二学区だそうです。この第七学区からはお隣になりますね」
「第二十二学区って言うと…地下市街か」
第二十二学区はおよそ二キロ四方で学区の中では一番狭いものの、地下数百メートルまで開発が進み、SFな感じの学園都市の中でも一際SFチックな学区である。
「うーん。でも終電でてるしなぁ」
「距離はそんなにありませんし、サイドカー付きのレンタルバイクを借りればすぐですよ。…荒道さん、バイク乗れますか?」
荒道の存在を忘れていた事に罪悪感を覚えているのか、恐る恐る聞いたが、
「ああ、乗れるよ。と言うか、能力使った方が速いんだけどな」
さして面白みの感じられない自分の言葉に盛大に笑っている荒道だが、聞いている上条と五和は若干引き気味だった。
「というか、五和バイク乗れるんだな」
「まぁ、それは、その。一応、自動車と自動二輪、小型船舶…飛行機は無理ですけどヘリコプターならなんとか…」
なんだか肩身の狭そうな調子で話す五和。飛行機を操縦できない事がそれほど恥ずかしいのだろうか。
「日本の場合は交通網が発達してますからそれほど必要ではないんですけども、お仕事によっては延々と砂漠や草原が広がる場所もありますし」
これは自慢でもなんでもないのだろう。蚊の鳴く声で言う五和だが、日本国内の免許ではなく、国際ライセンスを取得しているということだろう。一輪車に乗れればスゲースゲーの上条からすれば、五和は尊敬の対象である。
荒道はその能力上、機械の構造を大方把握できるので、荒道が理解できないような設計がされているマシンでない限りは大体の乗り物を操縦することが可能である。
そういう事で近くのレンタルショップに行き、値段表と睨めっこしていた上条が雷に打たれたような顔をする。
「そうか、五和は第七学区の学生じゃないから地域割引が使えないんだ!!」
「え、ええと、大丈夫ですよ。軍資金ならありますから」
と五和はいうが主婦的家計簿スキルが身についた上条からすればとにかく安くが基本なのだ。
荒道は普段は節約をしているが使う時はパッと使うタイプだ。久しぶりに乗るバイクでハイテンションなのもあり、値段表などとは睨めっこせずに、どのバイクがいいか品定めしている。
上条は終電を逃した人用の深夜お得プランで中古のバイクを借り、追加料金でサイドカーをつけてもらう。荒道は気に入ったバイクを料金プランなど気にせず借りる。
エンジンをかけて出発する時、五和の後ろに座っている上条が後ろにいる荒道に首だけを曲げて質問する。
「そういや大地って免許持ってんのか?」
「数日前まで住所不定だった奴が免許持ってると思うか?」
それをさも当たり前という風に言っているのでやっぱり変人の部類なんだなぁと、上条は肩を落とす。
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第七学区を抜け、第二十二学区に入るとサイドカーに乗ったインデックスがはしゃぎだす。
「ジャングルジム!大っきいジャングルジムなんだよ!!」
第二十二学区の地上にはビルや学生寮などの居住施設がなく、地表面積全てが風力発電に使われている。その風力発電施設で第二十二学区の電力全てを賄わなければいけないため、他の学区の風力発電施設とは違い、立体的に組まれ、ビルの三十階くらいまでの高さがあるので見た目はインデックスが言った通りの『巨大なジャングルジム』だ。
上条一向は四角くくり抜かれた地下に続くゲートをくぐる。第二十二学区の地下は円筒形になっていて、下りと上りの二つの道路が直径二キロの筒の外周を取り巻き、理髪店のポールのようになっているらしい。
「地下市街って日本と合わないよなー。地震とかメチャクチャ怖いし。確か、どんなに壁の強度を強くしても断層ごとズレたら丸ごと引き裂かれちまうんだろう?」
「一応、地震対策は万全って売り文句でしたけどね。そう言えば、この螺旋状の道路は巨大なバネになっていて、地震が起きた時には衝撃を緩和する、っていう話じゃありませんでしたっけ?」
「…それは根も葉も無いウワサだ。なんで五和は設計図のスペックシートにも載ってないようなローカル都市伝説まで調べてるんだ?」
あ、あはは、と笑ってごまかす五和だが、暗部で学園都市のオーバーテクノロジーを見てきた荒道は苦笑いしかできない。
その他にも色々話しながらバイクで延々と続く緩いカーブを降りていくと地下九十メートル、十の階層に分けられた地下市街の第三階層に続くゲートが見える。
そのゲートをくぐるとインデックスが感嘆の声を上げる。
第三階層は直径二キロ、高さ二十メートルの階層だ。天井部は全てがプラネタリウムになっており、地上部から撮影されている『星空』を写し出している。それに街の照明が『星空』と同じ薄い青で統一されているのもあり、まるで星の海に飛び込んだような印象を与えてくる。
第三階層の中にはビルがあるが、それはプラネタリウムをぶち抜くように作られており、『柱』としての役割を持たされている。もっとも天井部は学校の体育館の天井のように鉄骨を張り巡らせ、重さを分散させて自重に耐えられる作りになっており、それだけでも支えることが可能である。
「ん、あそこがレジャー風呂じゃねぇのか?」
「ああ、あそこか、それなら俺もテレビで見た事あるぞ。結構有名だったよな?」
「ええ、確か街のお風呂ランキング三位らしいですよ」
……本当にそんなことがアックアを倒すのに必要ななのだろうかと上条と荒道は首を傾げてしまうが五和はお構いなしだ。
「どうかしましたか?」
「いや……。それだけ有名だと知り合いと顔合わせたりするかなーって」
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「大地、俺あとちょっとで出るわ」
「ん?もう出るのか?」
上条、荒道の二人はサウナに入っていた。二人はどの風呂にするか迷ったが最終的には、科学的に温泉を分析し、その温泉を再現するという無難な薬効風呂にした。
薬効風呂と言ってもそれだけなはずはなく、サウナや水風呂は備えられている。
そのサウナに入って三十分ほど経っているので上条が出るのは当たり前だった。荒道は汗こそかいているがその顔は涼しく、余裕がある。
「なんでそこまで入れるんだ?」
「言えば俺は砂漠育ちだからな、暑い所に慣れてるしな」
「いや、砂漠の暑さとサウナの暑さは違うんじゃ?」
「ともかく、俺は暑いのが好きなんだよ」
「なんだか無茶苦茶だな。…俺は今から出るけど、ぶっ倒れたりすんなよ」
「わかってるって」
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「うぅ〜ちょっと長居しすぎちまったな…」
そう言って荒道は空を浮遊していた。理由はあの後サウナにかなりの時間入り続けたせいで、のぼせてしまい、風呂に入った後であれなのだが、身体を冷まそうとしていた。
もっとも、『虚偽地球』の能力を使う為に演算している以上、頭は中々冷えないのだが。
第二十二学区の天井に移し出された『星空』を見ながら浮遊していると突然、『虚偽地球』の演算が狂い、地上への落下を始める。
一瞬は驚いたものの、直ぐに演算を再開し、再び宙に浮く事に成功する。
「何だ?いまの…?」
荒道にとって演算が狂うのは初めてだった。それと感じた違和感、それらと自身の知識が電撃的に結びつき、一つの結論を出す。
「これは魔術の『人払い』?」
惑星に流れる力、龍脈・地脈を利用し『居心地の悪い場所』を作る事によって無意識下に干渉し、無関係な人間はその場所に寄り付かなくなる。という、魔術を少し学んだ荒道でも知っている、ポピュラーな術式。
これと五和が言っていた後方のアックアの果たし状。
「もう、来やがったのか!!」
体を起こし、音速を超える速さで突き進んで行く。
そして、見つける。薄い青でライトアップされた鉄橋の上に上条と五和は倒れていた。そしてその横には騎士が馬上で使うランスに似た
さらに加速し、大男ーーー後方のアックアに突っ込んでいく。暗部の仕事の時なら服に鉄を仕込んでいるが今は学生服、仕込んではいないので鉄橋から鉄を取り、剣を生成する。
後方のアックアは音速の二倍で近づく荒道を目だけを動かし、捉えると上条と五和に振おうとしていたメイスをこちらに振るう。
ギィィン!!金属同士がぶつかり合う甲高い音が聞こえ響く。荒道とアックアは拮抗していたが荒道が一度後ろに下がる。だがアックアの体は『虚偽地球』の能力圏内の三十メートルに入っている。アックアの周りのコンクリートを円錐状に加工し、発射する。アックアはメイスを一振りし、それら全てを吹き飛ばす。だが荒道が鉄橋の上に戻るには十分な時間が稼げた。いくら空中で戦えてもやはり本領は地上戦になる。
「………」
後方のアックアは鉄橋の上に足をつけた荒道をジッと無言で睨みつける。
荒道は後方のアックアから発せられる殺意を受け止めていた。そして、冷静に驚いていた。一度打ち合っただけで、あれが本気ではないことがわかったからだ。後方のアックアの底が見えない。
『聖人』と『神の右席』の二つの力を持つ後方のアックア。
彼がゆらりと動く。
荒道は構える。
だが遅い。
その瞬間アックアは自分の右にいた。荒道の能力『虚偽地球』は半径三十メートル圏内の『地球から出来た物資』を操る能力だがそれの補助能力として、半径三十メートル圏内の『地球から出来た物資』を感知することが出来る。それの応用で周囲の砂の動きで敵の行動を把握することが可能だ。
今回もそれをしていた。アックアの動きが、頭の感知野に入ってくる。
だが、速すぎる。まともな対応が出来ない。
荒道は後ろに体を反らし、メイスを躱したがアックアが避けることで手一杯な彼の体を見過ごすことなどしない。
アックアの蹴りが荒道の腹に突き刺さる。
「ぐがぁぁ!!」
橋の手すりまで飛ばされた荒道は体を起こし、再び身構えるがまたしても遅かった。
右からアックアの五メートルを越える撲殺用のメイスが迫っていた。盾を作るがそんなもの無意味だった。
「がぁぁぁぁぁ!!」
圧倒的な暴力によって荒道の体は橋は作る鉄骨に叩きつけられ、巨大なメイスと挟まれる形になった。
どうにか立とうとするが足に力が入らない。体の軸がへし折られたような感覚が体の中を渦巻き、どうにか立つことが出来たがすぐに倒れてしまう。
その際、体制を立て直そうと体を宙で動かしたため、荒道の体は仰向けに倒れてしまった。
そこで彼はさらなる物を見る。
水。それは後方の象徴。それが荒道の目の前に迫っている。荒道がいる橋の下に広がる人工的な川から魔術で操られ、ここまで上がってきた水はピンポイントに荒道を狙い、押しつぶす。
その圧倒的な質量の奔流は荒道に指一本動かすことさえも許さない。体が悲鳴を上げるのがわかる。骨が軋み、水にさらされているにもかかわらず、筋肉が痛みによって、内側から焼けるような熱を帯びる。
唯一出来る抵抗と言えば気管に水が入らない様に口を閉じるくらいだった。
何秒水が降り注いだのかさえかわからない。ただ、降り終えた時、肺が酸素を求め、全身が痛みを訴えている。それだけしか分からなかった。
体が痛んでいても脳は無事だ。『虚偽地球』の能力で体の周りをコンクリートの原子で包みこみ、体を起こす。
平衡感覚が狂っている、と感じたが荒道に叩きつけられた水が重すぎて、橋が傾いているだけだったが、今の荒道にはそんなことも認識出来ない。
鉄骨に手をつけ、顔をどうにか上げる。そこにあったのはアックアがメイスを薙ぐ一歩手前、そしてそのメイスにはアックアの標的、上条当麻が干された布団の様に引っ掛かっている。
アックアは上条を見ながら告げる。
「一日待つ。それまでに上条当麻の右腕を持って来れば上条当麻の命を助けるのである」
叫びたかったが、腹に力を込めると腹の方から血の塊がせり上がり、吐き出される。そうしている間にもアックアは『聖人』と『神の右席』、二つの力によって、生み出される怪物の一撃を振るう。アックアがメイスを横に薙ぐとメイスに引っ掛かっていた上条は自らが砲弾となった様な速度で橋から飛んだ。
勢いのあまり、水面を二回、三回と水切りの様に飛び跳ねて、最後はクルーザーの横に着水し、水柱を立てる。
生死も確認せずに後方のアックアは歩き去って行く。こちらを向かずして、アックアはもう一度告げる。
「一日待つ」
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荒道大地は病院で目を覚ました。消毒液の匂い、規則的に聞こえる電子音、体のいたる所に巻かれている包帯や体から伸びるチューブや電極。ガラス張りで廊下が見える。この部屋にはベットがいくつかあるが今は荒道一人しか使っていないようだった。
天井を見上げながら一番近い記憶を手繰り寄せる。
(俺は確かあの後、当麻を近くのクルーザーに引き上げて、そのまま俺も意識を……)
そこから連鎖的に記憶が蘇ってくる。後方のアックアにメイスで叩きのめされた事、水で圧迫された事、そして最後の一言。
(一日待つ。……タイムリミットは二十四時間、それまでに後方のアックアを倒さないと、当麻が死ぬor右腕腕を引きちぎられる。…たまったもんじゃねーな)
次は能力で体の確認をしていく。『虚偽地球』で体の鉄を操作して、血管や臓器に異常がないか、確認していく。それと並行して骨の検査を行う。
(内蔵がいくつか傷ついて、骨にはヒビ、仰向けになってたから背骨のダメージは少ないけど他の骨が今にも折れそうだ)
体を起こすと外の音が聞こえる。五和と建宮だ。その後、いくつもの足音が遠ざかって行く。
荒道も体を起こし、点滴のチューブや電極のパットを剥がしていく。能力の補助も受け、立ち上がり、扉を開けて外に出る。
歩きながら首を回すと一つの集中治療室の中に見覚えのある人を発見する。先ほどの荒道のような状態の上条と、彼に寄り添うインデックス。
「お前はいつも『不幸だー、不幸だー』って言ってるけどお前のために立ち上がってくれる人があんなにもいるんだ。お前は幸せ者だよ」
上条がいる集中治療室のガラスに手をつけ、長い独り言を呟く。天草式は敗北から立ち上がる。任務だからではなく、それ以外で立ち上がるだろう。
荒道大地も立ち上がる。病院の廊下を歩きながら、後方のアックアに勝つための策を考えている。その途中自分の口角が上がっている事に気付いた。
「俺って以外に好戦的なのかもな」
自分の知らない一面に気付いた怪物はボロボロの体にもかかわらず、余裕がある笑みを浮かべながら、進んで行く。
原作16巻は多分二話で終わると思います。原作15巻を見ていただけばわかると思いますが全く、約束を守れていないのです。ですので、この後書きも『そーかそーか』くらいに見てください。
次回はかなりトンデモ展開になります。
今回も読んでいただき、ありがとうございました。