少年とアイテムの交戦場所から1㎞ほど離れたコンビニではショートカットの少女が立ち読みしていた。時刻は午前5時。少女は常盤台中学の制服を着ている。常盤台中学と言えば学園都市でも名門中の名門学校、そんな少女が朝早い時間帯から立ち読みしているのでコンビニの店員はポカンとしているが、少女は神妙な顔つきでいたって真面目に漫画を読んでいる。
同じく常盤台中学の制服を着た少女がコンビニの外にいた。彼女の名前は
治安を守る二代組織、主に教員で組織され、武器などで武装している
白井は風紀委員に所属するレベル4の
『黒子〜、明日コンビニ連れて行ってくれない?」
『コンビニ?もちろんですの』
『ありがとう〜黒子〜、じゃあ明日の朝5時ね』
『どういうことですの?!お姉さま!?』
『いや、正面から出ていったらバレるかな〜と思って。そこはあんたのテレポートで…』
『寮則違反も甚だしいですの!!そんな時間にコンビニに何の用がありまして!!??』
『私が読んでる漫画がメッチャいいところなのよ!』
『まぁ!そんな事で寮則をお破りになるのですか!?前々から言っておりますのよ。お姉さまは常盤台のエース…』
『今度の休みに昼寝するとき添い寝してあげるわ』
『では、明日に備えて早めに眠る事にしましょう』
昨晩の会話を思い出してもう一度ため息を吐く
(あぁ、何でこんな事を引き受けてしまったのでしょうか?…でも黒子はお姉さまと……次の休みこそは黒子の愛を……!)
なくなったコーヒー牛乳をゴミ箱に放り込んだ白井は明け方の空を見上げ、思考を切り替えて思う。
(朝の学園都市は静かで平和ですわね…)
刹那、白いビームが天を貫き、バァン!!という音が聞こえ、黒煙が上がる。
(そんなことはなかったのですの…)
立ち読みをし終えた少女、レベル5の第3位
(あのビームは弟4位の…!)
コンビニを飛び出すとまだ白井は風紀委員の腕章をつけている途中だった。
「あっ、お姉さま、今から黒子はお仕事の方に参りますので」
「私も連れて行きなさい!」
「お姉さま…これは風紀委員の仕事ですので…」
「あんたもあのビーム見たでしょ!多分かなりの高位能力者がいるわ、あんただけじゃダメかもしれないじゃない!」
御坂の怒涛の説得に押され、折れてしまった白井は
「仕方ありませんわね…では、早速行きますのよ」
手を繋いだ二人の姿が忽然と消える。
ツンツン頭の少年
(いや、これは自分へのご褒美だと思えば…イヤ、食材の買い忘れで、コンビニで飯を済ます事になったバカは俺じゃねーか!でも日頃不幸な上条さんにはこれくらいあっても…でも金が…生活費が…)
少年の手には二つ弁当、一つは368円のハンバーグ弁当、もう一つは542円のWハンバーグ弁当。
少年は食欲とお金のどちらを取るか悩んでいた。そんな所に幼い声が聞こえる。
「とーま!飲み物も買っていい?」
声の主は
「ダメ!飲み物は家の麦茶で充分です」
「へぇー、とーまは自分のミスで私をこんな朝早い時間帯に起こしといてそういう事を言うんだ」
小さいながらに鋭い歯を見せながら言うと上条は縮み上がる。
「た、高くないのにしろよ〜」
そう言ってまた悩み始める。インデックスがコンビニの外に出ているのに気付かずに。
「あれは…!」
御坂達が駆けつけた時にはその場所は車に大穴が開き、アスファルトが盛り上がり、かつて戦った『原子崩し』が倒れ、深緑のジャージを着た少年がニットを着た少女に心臓マッサージをしている状況をビルの屋上から見ている。
「何かご存知で?」
「あぁ……あの髪の長いほうは第4位よ」
出会いが出会いなだけに言いづらかったが、
「あそこに倒れている方が?…ではあの殿方は…?」
黒子が疑問に思うのは少女に心臓マッサージをして、そのまま逃げるように走ったからである。
「多分あいつがやったと思うけど、とりあえず捕まえるのが先みたいね。路地で挟み打ちよ!」
「はいさ!ですの!」
(しかし面倒くさい事になったな…)
少年が走っている所は路地、と言ってもかなり短い。
このあたりはビルやコンビニがあり、その間に短い路地、そこを抜ければ車道、その先にもまた短い路地があり、抜ければまた車道と言う作りが密集した場所だった。
そして危惧した事態が起こった。前に急に人が現れたのだ。バックを背から外して、地面に埋め込み、安全な位置に送ったところで戦闘態勢に入る
(テレポーターか?この顔は確か…白井黒子…レベル4)
「ジャッジメントですの!」
と言う声と共に腕の盾を模した腕章を引っ張り、強調している。少年はセンサーで後ろにも誰かいるのを感知しているで振り返らず、一度止めた足を全速力で動かし、前に現れたジャッジメントを飛び越す2m級のジャンプをして着地と共に走り始め、5m進むと誰かに触られた感じと共に少年の視界が急に変わった。
(空を見ている?)
そう思った瞬間、範囲の中で砂の粒子を分け入るようにして8本鉄釘が現れたのを感じ取った。首を向けてみると釘がジャージに刺さって動けなくなっている。だが冷静に少年は五寸釘かと思えるレベルの釘を融解させて身を自由にする。
「オイオイオイオイ、俺のジャージが!」
彼のジャージにはしっかり穴が8つ空いていた。
少年はそれくらいでは怒らずに30m圏内にいる白井の太ももにある釘を融解させ、こちら側に引き寄せる。彼女は驚いた後悔しそうな顔をしていたが我慢してもらおう。
少年の注意は30m圏外にいる少女に向いていた。
何故なら彼女がレベル5の情報にあった、学園都市第3位・
「あんた、大人しく捕まってくれる?」
「それはダメだ」
返事と共に雷撃の槍が飛んで来る。帯電の予備動作があったので少年は焦らず凝縮したアスファルトの壁を目の前に作る。
(なっ!私の電撃でアスファルトが壊れないなんて!)
御坂は驚いた。だが目の前にハードルが置かれたら飛び越さなければ気がすまないのが彼女の性格、ポケットからコインを取り出す。
「今度のは…どうよ!」
躊躇いなくコインを音速の3倍までに加速させる彼女の能力名にもなっている超電磁砲をアスファルトの壁に打ち込む。
少年は情報で威力を知っていて対処はできたのだが威力の確認の為にとりあえず逃げる。
バシュン!!と言う音が後ろで聞こえ、風圧で飛びそうになるのを姿勢を低くして堪える。後ろをみると50mほどに渡って溝が走り、アスファルトの壁はボロボロになっている。
「やっぱり学園都市のレベル5はどいつもこいつもハンパじゃない威力だなぁ」
「第4位をやったのはあんたなの?!」
「ああ、そうだ。お次は第3位ってなんだこりゃ?あの日以来の不幸だぜ!」
話している途中、白井の姿が見えなくなるとやはり少年の後ろに現れる。テレポートしようとしたのだろうが来る事が分かっていればセンサーと少年の身体能力があれば避ける事が出来る。
「黒子どいてなさい!」
白井の変わりに御坂が黒い剣を持って飛び込む。だが少年は圏内に入った瞬間に黒い剣の正体を看破した。
(砂鉄を電気でコントロールして作った砂鉄の剣か…面白いな、表面を振動させてそれで斬るのか……だが!)
上段から降り下される砂鉄の剣の刀を
「砂鉄を固定したから振動はしないぞ」
少年が驚いている御坂に向かって告げる。御坂は剣を伸ばして攻撃しようとしたが出来ない。
「言っただろ固定してるって」
「こんにゃろーッ!!」
御坂は周囲の砂鉄を自分の周り集めようと思って電撃を出したが何も起きない。
「それも固定させてもらってる」
見かねた白井が飛んできて、テレポートで御坂を下がらせる。それでも御坂は諦めずにコインで超電磁砲を打とうとコインを上に投げる。少年は立っているだけ。
超電磁砲の弾丸となったコインは少年の30m圏内に入った瞬間、速度が落ちていく、そして止まり、見えなくなった。
(私の超電磁砲が…?!こいつ、やっぱりレベル5級?!)
「まぁ、こういうことだ。では、さようなら!」
少年は周りの砂や砂鉄などを一気に巻き上げ、それに紛れて逃げる。
数分後
「まちなさいですの!!」
(早い!やっぱりテレポーターがいるからか…これはあんまりしたくなかったんだけどな…)
「うぉぉぉらぁぁぁ!!」
少年の前には20メートルの道幅を塞ぐ高さ10mほどの壁が現れていた。
(そしてすぐ横の路地へ隠れる…!普通遠くに逃げようとすると思うのを利用した方法…これで第3位が去るのを待つ…!)
走り出そうとした時聞き覚えのある声がする。
「久しぶりなんだよ!」
「インデックス?!」
突拍子なことだが少年にはインデックス、上条当麻、それに天草十字凄教と面識がある。それはイタリアのヴェネツィアでイタリアンマフィアの格好をしていたら『女王艦隊』に巻き込まれた際に天草から武器を貸してもらい一緒に戦ったことがある。その時に魔術を知り、本などで調べたので知識は持っているが勿論使えない。
「ちょっとこっち来い、インデックス」
と路地に急がせる。
「インデックス、俺の事は忘れろ。わかったな」
少年は上条やインデックスが学園都市にいることを知っていたが、バレたくはないなと思いながら来たのである。
「ねー、それって私の『完全記憶能力』を馬鹿にしてるの?」
しまった。と少年は自分の額を叩く。
二つの弁当の前で悩んでいた上条はインデックスと同じ物を買うことで落ち着き、会計をしようと飲み物を選んでいたインデックスを呼ぶつもりだった。
後ろを振り返り、予防としたが目についたのは路地でインデックスがジャージを着た男と一緒にいることだった。
弁当を置き、走り出す。コンビニの外に出ると巨大な壁があった。気になったがインデックスの元に走っていこうと思った時聞き覚えのある声がした。
「もう、この壁吹き飛ばそうかしら?」
「ですから私が向こうに飛んで確認すれば…」
「ダメっていたでしょう、あんたのテレポートも見切られてるんだから、一人で行ったらやられるかもしれないでしょ!」
「おい、御坂か?そっちにいるのか?!」
壁の向こうに問いかけると答えはすぐに返ってきた。
「あんたなの?そっちに緑のジャージ着た奴いない?いたら捕まえて!」
「ああ、いるぜ!」
全速力で緑のジャージに向かって走っていく。
少年はインデックスに何度も自分と出会ったことを他言するなと言っている間に集中を解いてしまい、そいつの存在に気づかなかった。
(センサーの中に虚がある?…この感覚は…!)
後ろを振り返るとやはり上条当麻がいた。彼の右手は少年のセンサーではそこだけ何も無いようになるのだ。
「よぉ〜、当麻!」
もうバレてしまっては仕方ない…と腹を括った少年は上条も説得するつもりで近づくが返答は酷いものだった。
「インデックスに何してやがった!!!」
といいながら、思いっきり殴るという、友人に対して完全に警戒心を解いていた少年には不意打ちだった。
「痛ってなぁ〜!知り合いに何しやがる。まず、何もしてねーよ」
「御坂達が追ってるって事は何かやったんだろ!」
「騒ぎを起こしただけだ、インデックスには何もしてない。なっ、インデックス」
「うん、本当だよとーま」
「そうなのか…すまん!」
いきなり殴りかかってしまったのは完全に自分のミスなので土下座をする上条。
「いいから、いいから。でもここは友達のよしみで見逃してくれよ」
そういいながら何故か路地から出て、アスファルトの壁を解除して元の地面に戻す。
「あんた……どうゆうつもり!」
警戒して、バチバチと電撃を散らす御坂に少年は恐れずに話す。
「御坂、白井。今から10秒間何でもいいから打ち込んで来い。俺はその間動かない。だから俺が立っていたら見逃せ。立っていなかったり、動いていたら捕まえていい。あっ、能力は使うぞ」
少年は上条に入ってくるなと目で伝える。上条も流石に土下座した後では何も出来ない。
「へぇー、いい度胸じゃない」
内心、御坂は焦っていた。その理由は超電磁砲を防がれたのが大きかった。だが親友に作戦を伝え、戦う意思を見せる。
「後3秒でスタートよ。3…2…1!」
御坂は自分の最大出力の10億ボルトで攻撃するが、少年は腕を組み、仁王立ちのまま砂鉄を操作、幾つもの砂鉄の導線を用意して、拡散させる。5秒後に白井が現れ、御坂をテレポートさせる。
この時少年は約束通り、前を向き続けた。少年の後ろでは御坂がテレポートされ、その前には高さ1mのドラム缶があった。そして、バレないように声を発せず、全力の超電磁砲を打ち込む。
結果はコインの時より、5m進んだくらいだった。
「俺の勝ちでいいな」
後ろを振り返った少年は御坂に告げる。だが当の御坂は茫然としていた。まさか、ドラム缶を使った超電磁砲まで防がれるとは思っていなかったのだ。それは予想以上の事で彼女のプライドを砕いた。
少年は御坂の表情から推測し、あえて何も言わずにバックを取りに戻る。
次はついにあいつらが登場します。そろそろ能力もわかってきましたか?今回も読んでいただきありがとうございました。