とある魔術のグループ   作:静かな人

7 / 16
予想以上に長くなってしまいましたがやっと本編の14巻に入ります。


原作14巻
初めての学校と海外主張


たまに見る謎の夢を見ることなく、快調で朝を迎えた荒道はキッチンに立ち、弁当を作っている。

 

そう。今日は荒道が初めて学校に行く日なのだ。弁当作りのために日課のトレーニングの時間を30分削っている。初めてする弁当の盛り付けに満足し、もう一度昨日の夜に済ませた学校へ行くためのものを確認する。

30分前に来いということだったのでまだ人もまばらな時間に家を出る。

 

荒道が入学するのはとある高校、見た目は普通で見た資料によればレベル0ばかりらしく、学力も低い学校でなぜ土御門が通っているかわからない学校だった。荒道は能力は使わず、とりあえず平凡な学校生活を送りたかった。

 

=======================

 

「あなたが荒道ちゃんですね。先生は荒道ちゃんの担任をすることになった1ー7の 月詠 小萌(つくよみ こもえ)なのです。小萌先生と呼んで欲しいのです!」

 

「はぁ?」

 

驚きが一周して呆れたような声が出てしまう。理由は目の前で先生と言った人間が135㎝で、どう見たって中学生がいい所なのだから。

 

「そう驚くのも無理ないじゃん、でもこいつは立派な教師じゃん」

 

語尾が『じゃん』な教師が肯定する。こちらは巨乳な女性なのにジャージ姿で髪を後ろ一括りにしている雑な格好、でも色っぽく、ちゃんとした大人の身長と顔である。

 

「わ、わかりました。よろしお願いします。小萌先生」

 

その後ワークやら色々と配られ皆への紹介はホームルームの時にされることになった。

 

=============================

 

「じゃあ、私が言ったら入って来てください」

 

廊下を月詠先生と歩いている荒道は返事をする。1ー7の教室を見つけた所で違和感を感じる。

センサーに不自然な空虚があるのだ。場所は1ー7の窓際。砂などはまばらに浮いているとはいえ、そこだけポッカリとないのはおかしい。そしてこの空虚の感じには覚えがあった。

 

(上条当麻か…)

 

もう一度集中して確認するとやはりその人間の手の大きさ程の範囲だけ能力の干渉が出来ず、レベル4とレベル5の名前と顔と能力を数回見ただけで記憶し、原子構造を寸分の誤差なく覚えれるほどの記憶力の良い荒道の頭に違和感を刻み込む。

 

 

上条当麻はいつもどおりのホームルームを迎えようと席についていた。上条はボーッとしていると、サラサラと音が聞こえることに気づく。

音源が机のあたりだったので机を見ると文字がある。いや、砂で文字が書かれていた。

 

『おはよう!上条当麻!荒道大地だ。声はあげないで欲しい。これを見たらお前の右手で破壊してくれ』

 

『アドリア海の女王』の一件で共に戦い、一昨日には学園都市第3位と風紀委員に追われている状況で出会った荒道からの連絡で驚いたが声は出さなかった。

言われた通り異能の力ならなんでも破壊する『幻想殺し』で触れると『幻想殺し』が異能を破壊するのがわかった。

そうすると砂がバラけてもう一度文字を作る。

 

『驚くかもしれないが声を出さないでくれ、頼むぞ』

 

上条は唾を飲み、口を固く引き締める。

 

『お前のクラスに転校する事になった』

 

上条は目を丸くする。声を出さぬよう言われてなければ確実にクラス中に響く声で叫んでいただろう。

 

『俺は経歴があれだからな、平穏に過ごしたいんだ。だから初めて会った普通の男子高校生として接して欲しい』

 

(確か、大地って置き去りだったから実験されて、戦争させられて、旅に出たなんて経歴言えるはずがないのは当たり前だな…おっと、まだ続きが…)

 

友からのメッセージの意向を理解して続きを読む。

 

『なおこのメッセージは読み終わった後、声を出さぬとも変なリアクションなどをした場合、首を掻っ切るナイフとなる』

 

(へ?)

 

時既に遅し、首に砂が巻きつく。いくら『幻想殺し』で破壊してもナイフに戻る砂に観念する。

 

(不幸だあぁぁぁぁぁ!)

 

心の中で叫んだ所で小萌先生が入ってくる。

 

「おはようございます!皆さんには一大ニュースがあります!それは…なんと!今日から転校生が来るのです!」

 

教室学園都市一気騒めき、先生に質問が飛んでいく。

 

「どうしたんや?そんな緊張した顔して?」

 

声を出せば死のプレッシャーから固まっていた上条を不審に思った青髪が聞いてくる。

 

「あっ、いや〜、こんな時期になんでだろうな〜?と思って」

 

「そういや、そうやな?」

 

自分の中ではかなりうまい嘘で乗り切った上条はホッとする。

 

「さぁ、入ってきて下さい!」

 

と言われると荒道がドアを開けて入ってくる。

 

「荒道大地です。よろしくお願いします」

 

と手短に挨拶を終えた荒道は上条の後ろの席になり、席に着く。

 

「ご苦労さん」

 

席に着いた時、上条の周りの砂を取ってやる。土御門にも普通の友達として接してくれと言っているので対策は万全だ。

 

===========================

 

上条と荒道は向い会って弁当を食べていた。青髪と土御門は学食を食べに行っている。

 

「あの〜荒道さん?私は『平穏』に過したいって聞いたんですが?」

 

「ああ、そうだよ」

 

「その…『平穏』って言うのは目立たず、静かにってことでいいんですよね?」

 

「その通り」

 

「じゃあ、目立たない努力をしろよ!」

 

「……?」

 

「?じゃねーよ!目立ち過ぎだ!英語の時間に教科書を本場の英語で読みだすわ!皆は読むのがうまいから唖然としてたら『イギリス英語じゃ、ダメでしたか?では、アメリカ英語で改めて…』舐めてんのか?!そんな違いわかるわけねーだろ!」

 

その間に荒道は弁当を食べ終えている。

 

「食べるの早えーよ!」

 

「いや、体育あったしな。あと、食べるはスピードは怒る所と違うんじゃね?」

 

だが、俺の指摘はあっさり無視される。

 

「体育もそうだ!何あっさりダンク決めてんだ!?」

 

「元プロバスケットボールに1on1で勝った実力がこれだ」

 

「静かに過したいくせに何誇ってんだ…」

 

最後はもう突っ込む気力がなくなり、おとなしく弁当を食べる。

 

 

学校初日は平穏に過ごせると思っていたが事件は起こった。

 

上条も弁当を食べ終わり、二人で話している所に青髪と土御門が帰ってくる。

 

「なぁなぁ〜カミやん!バニーは赤か白どっちがええと思う?」

 

という謎の問いかけに対して土御門が

 

「バニーは白に決まってんだろ。ボケ」

 

などと言い、土御門は最終的には『ロリは何を着せても似合う』と言い出し、喧嘩になっていたが、本来一年かけてする数学の問題集を授業中にしていたので丸つけをして、全問正解に満足してから、再び喧嘩を見るとクラス委員長の吹寄 制理(ふきよせ せいり)が何故か止めに入るとか言う生易しいレベルではなく『制圧』している所を発見し、飛びかかる上条に蹴りでも見舞ってやろうかと思ったがその必要はなかった。吹寄が額で迎撃したからである。

その瞬間、小萌先生とは違う先生に見つかって職員室に連行されたがあの時手を出してなくって本当に良かったと思う。

 

 

何故なら仕事が入ったからである。

 

 

一人での学校の帰り道に初期設定のままの着信が鳴る。

 

『こんにちは、荒道。学校終わりで申し訳ありませんが仕事です。すぐにアジトへ来てください。詳しくはそちらで話します。』

 

『了解』

 

上司と部下の寂しい会話を終えた荒道は今日はグループの皆に何を作ってやろうかと考えた。

 

=========================

 

「ただいまー!」

 

「………おかえり」

 

荒道が挨拶しても面倒くさそうに一方通行は返す。

 

「今日は一方通行以外まだ来てないのか?」

 

「さァな?」

 

荒道の問いに答えたのは『電話の男』だった。テレビがつき、『SOUND ONIY』と表示される。

 

『今日の仕事は一方通行、荒道の二人でやってもらいます。近頃世界中でデモや暴動が起きているのは知っていますね』

 

それは知っている。テレビをつけると大体それで、旅で訪れた場所がデモの影響で滅茶苦茶になっている所を見ると心が痛むが、今は感傷的な感情を捨てて話を聞く。

 

『それはある一人の男が起こしています。学園都市はデモや暴動を止めるため、フランスのアビニョンとアビニョンに含まれる教皇庁宮殿を攻撃し、その男を殲滅します。あなた方にはその男の死体を回収してもらいたいのです」

 

実際には『C文書』という、ローマ正教を信じる者に強制的に『正しい』と思わせることができる魔術的な霊装が起こしているのだが学園都市上層部はそんな事は話しはしない。

 

「その男は『左方のテッラ』と言います』

 

テレビの画面が変わり、不自然なアングルから撮られた写真が映る。緑の髪に、緑の修道服それについた大きな緑の襟、顔は骨ばっていて顔色は白く、一方通行はふざけた服装しやがってと思ったが、魔術にもある程度精通している荒道は色は派手だが修道服で魔術師だと思った。

 

「おいおい、学園都市はいつから死体漁りのハイエナになったンだ?それよりなんでこンな奴を探すンだァ?」

 

『状況が状況ですので、高位の能力者にしか任せられないんですよ。その男はそれほど重要だと言うことです』

 

チッ、と一方通行が舌打ちする。たぶんその後には『面倒くせェ』と続くのだろう。

『電話の男』が少し間置いて作戦の全容を話し始める。

 

『まず、アビニョンでは暴動が起きているので、作戦行動Aで駆動鎧(パワードスーツ)を超音速ステルス爆撃機HsBー02から投下し、暴動を制圧して男を確認後、作戦行動Bで同じくHsBー02に取り付けられた『地殻切断(アースブレード)』でアビニョンの周りを溶岩の海にしてからアビニョン及び、教皇庁宮殿を『地殻切断』で攻撃します。そして、作戦行動Cであなた達を投下するというのが一連の流れです。今から一時間後にHsBー02に乗ってもらいます。』

 

「了解」

 

荒道が短く事務的に返事をし、通信が終わる。

 

「よし!一方通行!チャーハン食べるか?」

 

先ほどとは変わって荒道は感情のこもった声で話し掛かける。

 

「ああ、飲み物はブラックで頼む」

 

無愛想ながらにも一方通行は答え、飲み物の指定までする。

 

荒道はキッチンに立ち、温めたフライパンに家から持ってきた余りのご飯を投入し、ネギ、チャーシュー、調味料に塩・胡椒、醤油、油を入れて、重要な卵は数回に分けて投入していく。中国を訪れた時には中国料理屋でチャーハンを宙に舞わす技を習得したがあれは業務用コンロがあるから出来る技で、ただのコンロではできなかった。家にあった物で作ったので具はそこまで入っていないが上出来だった。

 

コーヒーは缶コーヒーしかなく、豆や焙煎機があれば荒道が入れていたのだが残念だ。

 

「ハイ!お待ち!」

 

「いただきます」

 

どこか面倒にいただきますを言った一方通行が蓮華に乗せたチャーハンの口に含んで表情が少し綻んだだけで嬉しかった。

 

「なァ、大地。オマエは『地球から出来た物を操る能力だったよなァ」

 

「そうだけど、どうしたんだ?」

 

チャーハンを次々に口に運びながら二人は話す。

 

「じゃあ、人間の骨を形成してるカルシウムは操れねぇのか?」

 

「それが骨とかに変わられると手出し出来なくなるみたいなんだな…、本気で集中すれば骨自体はセンサーで認識出来るんだけど…。体の中には鉄があるけど3、4gだから操ったりする前に砂で動脈切った方が早いんだよな〜」

 

ため息混じりに残念そうに荒道は話す。

 

「『地球から出来た物』でも形が変わった物は認識出来るだけで、操れないのかァ?」

 

「まぁ、そうなだな。石油から出来たコンクリート、アスファルトは操れても同じ石油から出来た化学繊維やプラスチックは操れないからな、ある程度形を残しとく必要があるみたいだな」

 

「なンだか曖昧な能力だな」

 

「否定はできないけどな。それより、一方通行。今日初めて学校に行ったんだけど『じゃん』を語尾につけたり135㎝くらいの教師とあったんだ。普通の学校なのに変な奴が多いんだなと思って」

 

「語尾に『じゃん』は黄泉川だ。ガキと一緒に住んでる。後のチビは会ったことはあるが名前は知らねェな」

 

「ガキって、一方通行が『守りたい人』のことか?」

 

「そうだ」

 

一方通行は真剣に頷く。

 

「写真とか無いのか?」

 

「写真だァ?…確かあのガキが勝手に撮った奴が一枚…」

 

水色の水玉模様のワンピースを着て無邪気な笑みを浮かべてピースしている女の子が携帯には写っていた。その顔は学園都市第3位・御坂美琴に似ていたので荒道の頭の中の資料と一致した。

 

打ち止め(ラストオーダー)…」

 

「知ってンのか」

 

「ハッキングした時にチラッとな」

 

さらに話そうとした時、扉が開き、下部組織が出発をつたえる

 

 

========================

 

フランスのアビニョンの地上9000mの空には11機の学園都市製の超音速ステルス爆撃機HsBー02が飛び、その一つにレベル5とレベル5級の強さを持った少年が乗っていた。

 

甲高い警報音と周りの数人のメンテナンス要員の声が混じる中、一人はレベル5達に顔を向け叫ぶ。

 

「作戦行動A成功!これより作戦行動Bに移ります!作戦行動Cではここの隔壁が開きますのでパラシュートの準備を!!」

 

「いらねェよ」

 

「右に同じく」

 

あっさりレベル5達は答える。そのレベル5二人の目は壁に取り付けられた薄型のモニターを見ている。

 

(まぁ、こんな派手にやっちゃって、ホントに中も外も敵だらけだねぇ)

 

戦闘能力で言えば第3位以上のレベル5級の力を持つ荒道は思う。横にいる現代的な杖をついた正真正銘レベル5の一方通行が急に笑い出す。

 

「ハハッ、まるで学園都市のミニチュアだな」

 

「あっ!確かに…」

 

アビニョンの街は四方を壁に囲まれた街なのでその枠組みに収めようと背の高い建物が多いので確かにそう見える。

メンテナンス要員は少し遅れて戸惑ったように

 

「は?」

 

と聞き返す。

 

「なんでもねェよ、にしても便利な世の中になったもんだ。日本からフランスまでたった1時間とはな」

 

「不便な所もありますが…超音速飛行時では機体の表面温度が跳ね上がりますので」

 

「パイプを張り巡らせてそこから冷却してるわけか?」

 

能力の副産物として三次元的に金属などを見ることができるので簡単に看破する。

 

「作戦行動Bに移ります!」

 

内部構造を見て集中してたいた荒道の耳に声が響き驚く。横を見るとどうやら機体の説明は終わったようだ。

モニターに映るアビニョンの周りが切り裂かれる。

 

(『地殻切断』…伸長展開できる50mほどのブレードで表面は電気収縮が出来て100分の1ミリの単位で模様を制御できる。だっけか?ブレードが生み出す1万キロの風に砂鉄を数グラム混ぜれば……この威力かよ…)

 

正方形に切り取られた際にできた溝に地質が溶けたマグマが溜まり、アビニョンは溶岩に隔離される事になった。

 

ガグン!と荒道達が乗っている機体が急に揺れる。友軍の超音速爆撃機が通過し、大気が乱されたからだった。

一方通行は杖をついていて体制が不安定なので支えてやると目で『いらねェ世話だ』と言われる。

 

「作戦区域の隔離を確認!続いて作戦目標を含む全作戦区域に爆撃を開始します」

 

もう今頃は『地殻切断』を携えた8機の爆撃機が広がり、その時を待っているのだろう。

だがその区域には居てはならない、なんの関係もない人、民間人がいた。

 

「おい」

 

メンテナンス要員に荒道が話しかけ、要件を伝えようとしたとき横のレベル5は同じ事を考えていたらしく、荒道が言おうとした言葉を続ける。

 

「変更だ」

 

一方通行はモニターから目を離さず伝える。

 

「は?」

 

「目標は教皇庁宮殿だろうが、そっちを集中的に爆撃しろ、もし成果がでねェよォなら俺たちが落ちる。その後連絡が無けりゃ、予定通り旧市街全体を爆撃しろ」

 

「しかし、レベル5投下は作戦行動Cに分類されます…通常、計算では作戦Bで敵勢力は掃討出来ますので…」

 

「「変更だ」」

 

二人の声が重なる。

その時メンテナンス要員は思い出した。何故レベル5がここに乗っているのか。彼らは爆弾だと。原爆などとさほど変わらないものだと。

メンテナンス要員は手元の無線機で何度か会話をして、レベル5達を見る。

 

「し、申請は受理されました、これより作戦行動Bを変更し、教皇庁宮殿の集中爆撃を実行します」

 

何故こんな事をしたんだと顔いう顔をしている。一方通行は唇を吊り上げて笑っている。

 

「それでイイ」

 

「何故こんな事を…?」

 

「関係の無い民間人巻き込んでどうなるってんだ?そんな事したってダサいだけだ」

 

荒道はきっぱりと言い放ち、一方通行もその後に言葉を続ける。

 

「その通り、ダサいだけだ。オマエにゃみんな同じもンかもしれねーが、一口に悪党と言っても種類や強弱がある。」

 

不敵に笑って一方通行は言った。

 

「一流の悪党ってのはな、カタギの命は狙わねェンだよ」

 

 

===========================

 

天草式十字凄教に所属する五和(いつわ)は目を覚ました。そして自分が左方のテッラと戦っている途中に気を失ってしまったのを思い出し、慌てて周りを見渡す。

顔を上げた瞬間に驚くべきものが目に入って来た。

教皇庁宮殿の3分の1程が無くなっていた。その代わりに地面がドロドロとマグマのようになり、水蒸気が立ち込めている。その近くには自分と共に戦い、自分が守るべき対象だった少年、上条当麻が倒れている。

 

急いで駆け寄り、様子を見ると皮膚に軽い火傷を負っていたが、手持ちのおしぼりで冷やしてやる。

 

(左方のテッラは何処に?もしまだ生きているなら追撃を…)

 

それは上条が知っている事で上条が目覚めるまで待つ間、自分が先に倒れてしまった悔しさを感じていた。

 

だが、危機は待つという事を知らない。

 

「チッ、なンだか面倒臭ェ事になってンなァ」

 

突然聞こえた声に五和は声も出せない程に驚く。その声は禍々しかったがそれより驚いたのはその場所だった。

溶岩の中で、100度はある水蒸気の中で至って普通に立っているのだ。水蒸気でシルエットしか見えない。だがそれだけでなんの苦労もせずに立っている事がわかる。

 

「威力が高すぎるってのも考えモンだなァ、まず大陸切断用のブレードを生身の人間に向けるのがおかしいンだよなァ、ったく、死体を確認するこっちの身にもなれっつーの」

 

どうやら携帯や無線機で遠くの人間と話していて、自分は気づかれていない。

それで良いと、五和は思った。あの人影は別格の存在で自分がいくら罠を張り、その全てに掛かったとしても勝てないような。その罠を張るという行為さえ、無駄になってしまいそうな絶対に勝てないというのが既に心に根を張っている。

 

だが、危機は限度を知らない。

 

「まぁ、ぶった切った後は暴動も気持ち悪いくらいピタッと止んだし、目標達成で良いんじゃないの?」

 

右の通路から声がした。その声は目の前の人影と違い、あまり緊張感のない声だったが、この状況では異常な事に思えた。

 

「生きてたか」

 

「あれくらい余裕だよ」

 

右の通路からコツコツと規則的な足音が迫ってくる。だが恐怖するのはそこではなかった。会話をしているという事だった。汗で今にも槍が滑り落ちてしまいそうだった。

 

「一応この辺りを探して見るが、十分探して何もなかったたら俺は帰る。後は髪の毛でも血痕でも探して、DNA鑑定することだ。駆動鎧の回収だァ?そンなモン雑用係に押し付けとけ、フランスにも学園都市協力派や組織、機関くらいあるだろ」

 

右の通路の人が会話を始める。

 

「駆動鎧の回収は俺がしとくよ。俺なら簡単だし。…なあ、駆動鎧の装甲って貰っても良い?…学園都市に持ち帰るなら問題ない?わかってるよ」

 

声が近くにつれて聞き覚えがあると五和は思った。思い出せないくらいに関わりが少なかったが聞き覚えがあると言える声、五和の脳は声の主を判別する程に頭が働かず、歩いてくる足音にだけ集中しているとある事に気づく。

足音が遠ざかって行く。

溶岩の中の人影も後ろを向き、去って行く。

 

五和はその後しばらく、恐怖で動けなかった。




次回からあらすじとか次回予告とか入れようと思うんですけどどうですね?よろしければ意見お願いします。
今回も読んでいただきありがとうございました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。