そして残念なお知らせです。今回獣耳が少ないです。非常に残念です。
しかし、朗報も。
ベルくんが出てきます。やったね。
白髪赤目の少年、ベル・クラネルはオラリオより少し離れた田舎で祖父と暮らしていた。
転機は訪れる。唯一の家族である祖父が死んだ。悲しみに暮れるベル。
そんな中、祖父の言葉が彼を突き動かした。
「ベル、冒険者ならダンジョンに出会いを求めなくっちゃな。醜悪なモンスターからか弱い女冒険者を助け、感謝され良い仲になる。これぞ、冒険の醍醐味ってやつだ」
ベルは決意する。か弱い女冒険者を助けられるような強い冒険者になる。
そして良い仲になってみせる!
こうしてベル・クラネルはダンジョン都市オラリオへ訪れた。
しかし出鼻を挫かれる。ダンジョンに潜るには神からの恩恵を受けなくてはいけない。そのためにはファミリアに所属する必要がある。
しかし、田舎出身の貧弱な少年を受け入れてくれるファミリアはどこにもなかった。
途方に暮れ、座り込むベル。そんなベルに手を差し伸べたのは紐。違う、ロリきょ――威厳やら神々しさをたっぷり胸に詰め込んだ元ヒモの紐が特徴的な服に身を包んだ紐ロリ巨乳だった。紐。
ベルはこうして最弱無名のヘスティアファミリアへ所属することとなった。
住まいはボロボロの教会。ヘスティアのバイトとベルの少なすぎる収入でその日暮らし。
そんな生活も半月経てば慣れてくるもので、別段不満もなかった。
そんなある日、ベルは“出会う”
「あの……大丈夫、ですか?」
金髪の少女。首をこてん、と傾げベルを見つめる。
(て、天使……!)
ありがとう、綺麗です、付き合ってください。色々言いたいことはあったが恥ずかしさやら何やらでパンクしたベルは叫んでその場を走り去った。
ベル・クラネル十四歳。初恋を経験。まだまだ初である。
「特定の男の人がいるかどうか、とか?」
「は、はい!」
血塗れなのにも関わらずギルドへ直行。お世話になっているギルド員のエイナに彼女の、アイズ・ヴァレンシュタインの話を聞くため町を走り抜けた。
五層へ行ったことを怒られたり、ミノタウロスに襲われて生き残るは幸福云々、血は洗おうね云々、しかしベルの頭には入らない。一応聞こえてはいて理解もしたが今一番重要なのは彼女のことである。
「そんな噂は一度も……あ、いや、でも……うーん」
なんとも歯切れの悪い回答が返ってきた。
「い、いるんですか……?」
彼女に良い仲の男がいればこの恋、限り無く望みは薄くなる。
「いると言えばいるんだけど……あれは恋人というか……変態というか変人というか獣耳というか……」
「獣耳……?」
「うん。同じロキ・ファミリアのナナイ・ナナセっていう人なんだけど……聞いたことない?」
「そ、その人ってレベル七の?」
「そう、神々に【獣耳】の名を与えられたオラリオ最強の一人、ナナイ・ナナセ」
「そんなの勝ち目ないじゃないですか……」
「あー……いや、でもナナセ氏は獣耳一筋なところがあるというか、色恋云々には多分興味ないんじゃないかな」
「そうなんですか?」
「ええ、確かにヴァレンシュタイン氏と一緒にいることは良く見かけるけど、多分そういう仲じゃないと思うな」
「じゃぁ……!」
「でもベルくんはもうヘスティア・ファミリアに入ってるから望みは薄いかな」
「そんなぁ……」
落とされ、持ち上げられ、落とされ、最後には元気付けられ。ベルはエイナさん大好きの言葉を残しギルドを後にした。
その後、主神の
翌日。ベルは早朝からダンジョンへ出掛けた。その途中で“豊饒の女主人”店員、シル・フローヴァから弁当をもらったり夕食にはぜひ当店を「ダメ、ですか?」の上目使いで薦められ見事罠にかかったり、ダンジョンで妄想の中のアイズに励まされ何時もより頑張ったり、ステータスがかつてないほどに上がったり、
「は、八百五十ヴァリス……!?」
若いんだからもっと食べな、と押し付けられた料理の値段に戦慄。そして側にやってきたシルの話に耳を傾けながらスパゲティを食べていると、店のドアが開いた。
「にゃーんっ! 御予約のお客様御来店にゃぁ!」
「獣耳」
「はいはい、飛び掛からないの。出禁になるわよー」
「……獣耳」
他を圧倒する集団。
「見ろ、あのエンブレム、ロキ・ファミリアだぜ」
「てぇことはあれが【剣姫】か。ひゃー、噂で聞くより美人だな」
「じゃぁ、あの見慣れない黒い服を着た男がレベル七の【獣耳】かよ……確かに最強の風格が――ないな」
「いやいや、良く見ろレベル七に相応しい威厳が――ないな」
「お前らの目は節穴か。良く見ろ、溢れんばかりのカリスマが――ごめん、なかった」
「これだから雑魚は困る。良く見ろ、尋常じゃないオーラが――オーケー、俺が雑魚だった」
ざわつく店内をロキ・ファミリアの面々は歩き、指定された席に座った。
「飲めぇ!!」
「ガレス! うちと飲み比べや!」
「いいじゃろう、返り討ちにしてやるわ!」
「ちなみに勝った方はリヴェリアのおっぱいを自由にできる権利つきや!」
「じ、自分もやるっす!」
「俺もだ!」
「俺もぉおおおお!」
「あ、じゃぁ僕も」
「団長ーっ!!?」
「リ、リヴェリア様……」
「言わせておけ……」
わいわいと盛り上がる中で一人、身動きの取れない男がいた。
ロープでぐるぐる巻きにされ、椅子に縛り付けられたナナイである。店内の獣耳を獣耳ろうとした結果、縛られることに。
縛られたことよりも獣耳できないことにポロポロと涙を流す成人を済ませた男。
「ナナイ、あーん」
周りの客がドン引きの中、料理が食べられなくて悲しんでいると勘違いしたアイズはいわゆる“あーん”を行った。
殺気が周りから突き刺さるが素人同然のレベルが高くて獣耳なだけの一般人であるナナイには殺気などわからない。というよりも獣耳しか頭にないナナイには最初から意味を成さない。
しかし、口元に食べ物が近づけば口を開いてしまうのはお腹が空いているからなのか、“あーん”を受け入れた。
ナナイのすぐ側から殺気が二つ。アマゾネスと狼人からである。しかし、気が付かず。
そんな状況で“あーん”を続けるアイズ。エサをやっている感じで楽しくなってきていた。
アイズはナナイに兄の姿をみていた。小さな頃から両親とは離れロキ・ファミリアにいたアイズは家族というものを良く理解していなかった。
なんとなく、ふんわりと感じていたが良くわからなかった。
そんな中で現れたナナイ。自分より年上で、良く一緒にいてくれたナナイ。
ロキやリヴェリアやフィン、気にかけていてくれてはいたが幹部であったし付きっきりという訳にはいかない。
だがナナイは気が付けば側にいた。ベートやティオナ、ティオネも近くにいたがそれとは違う安心感があった。
ジャガ丸くんを良く買ってくれた。もっと、と頼むと苦笑しながら「仕方ないなー」となけなしの金でジャガ丸くんを買ってくれた。自分の分すらくれた。ジャガ丸くん。
自分の全てを優しく受け止めてくれた。時々、いや常に獣耳、獣耳とうるさいがそれでもナナイと一緒にいると安らいだ。
私とナナイの関係は何というのだろうか。そんな疑問。目に入ったのは町を歩いていた兄妹。
お兄ちゃん、お兄ちゃんと後ろをついていき、物をせがむ妹に、タメ息をつきながらも買ってやる兄の姿が妙に重なった。
……お兄ちゃん
その日から、アイズはナナイに兄の姿をみていた。
「……!」
そんな背景を知らぬ者がこの場面を見れば勘違いするのは当たり前。
アイズに恋するベルの目には二人は恋人のように写った。
思わず飛び出し、ダンジョンへ向かうベル。
「畜生、畜生、畜生……!」
もし自分が強かったらそこにいれただろうか。自分の弱さに悔しさを――いや、そんなことではない。
単純に、ただ単純にベルはナナイに嫉妬していた。
どうして自分じゃなくてあんな情けない男が、どうして、どうして、どうして。
普段のベルなら絶対に思わないようなことを叫びながら剣を振った。
負けない、負けたくない……!
ベルは諦めない。強くなって、あの男を倒してアイズさんに振り向いてもらうんだ。
そんな思いを胸にベルは戦う。
「強く、もっと強く……!」
「これは……」
夜明け、ベルはボロボロになってホームである教会に帰ってきた。
そしてそのステータスにヘスティアは驚愕した。
上昇したステータスにではない。それは【憧憬一途】からわかっていたこと。
では何に驚愕したのか、それはステータスのスキル欄、そこにあった。
【嫉妬一途】
・嫉妬し続ける限り早熟する
・嫉妬の丈により効果は効果向上
憧憬と嫉妬、二つの思いを抱き少年は成長する。目指すはそう――
「強くなるんだ」
――最強
【悲報】ベルくんに嫉妬され、兎耳が遠退く
【速報】ベルくん強化
そしてベートきゅんのシーンカット!
うちのベートきゅんはベートきゅんなのでベルくんを笑い者にはしません。
けしてナナイがベルくんを気に入ったのを見ていたので「あ、これ笑い者にしたら獣耳られる奴だ」と察したのではありません。
ベートきゅんはベートきゅんなのです。
取り合えずベルくんは書けたのですが兎耳が遠退きました。どうしてこうなった……!
悲しい限りです。
アイズの両親云々はわからなかったので捏造。
でもオリ主がアイズの兄貴分になるのは皆やってるから良いよね! という精神で書きました。ジャガ丸くん。
全く関係ありませんがワンパンマンの二次創作を良く見かけます。先生の力をもったフサフサオリ主とか先生本人とか。そしてその波はダンまちにも。
乗るべきか……!
獣耳マンとかどうですか。ワンパンで相手を獣耳にするヒーローです。
町中の人を殴りまくり獣耳にしていく。
ヒーローというよりも怪人です、ありがとうございました。
冗談は置いておいて、今回も読んでいただきありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。