今年も獣耳りながら投稿するのでよろしくお願いいたします。
今年もこの日がやってきた。
俺はこの日のために幾度もの苦行を乗り越えてきた。
ロキ様やリヴェリアさんに獣耳を禁止されたこともあった。軟禁され、何度脱走しようとも捕まり、それでも諦めなかったあの日。
豊饒の女主人の店員さんの獣耳を獣耳ろうとしてエルフ耳されたこともあった。リューさんマジ怖かった。あの人容赦って言葉を知らないんだ。なんとか避けようとして手と手が触れ合った瞬間なんて思い出すだけで震えが止まらない。オラリオを上空から眺めたのは俺が最初で最後だろう。
知ってたかい? 人間って簡単に空飛ぶんだぜ……
兎も角、そんな辛い日々を越えて今日という日を迎えた訳である。
金の貯蔵は十分だ。浮き足立つ、歓喜に震える。なんていったって今日は――
「――
「ママあの人何やってるの?」
「誰がママだ」
外野が何か言っているが関係無い。だって怪物祭で獣耳だからだ。
俺が怪物祭に出会ったのはこの世界へやってきて数ヵ月のことだった。
怪物祭のことなど知らず、謎の人混みに困惑していた。
そんね中、何やら良い獣耳の気配を感じ、誘われるがまま歩みを進めた先にいたのが――
「俺が、ガネーシャだ!」
――ガネーシャファミリアの主神ガネーシャ様だった。
「
「
「
「
「
「貴様正気か!?」
「いきなり叫んでどうした! 俺が、ガネーシャだ!」
「獣耳の真髄は触れてこそ発揮される。それを危険だからという理由だけでやっていないだと? それは獣耳に対する冒涜だ、獣耳への侮辱だ。そんなことあって良いのか? 否、断じて否だ。
貴方は考えたことがありますか? 目の前に可愛い、格好良い、愛しい、狂おしい獣耳を出されて触れないあの悔しさが、哀しみが、自分の無力さが、貴方におわかりか?
確かに、確かに見るだけでも獣耳は心を洗ってくれる。そこに種族の壁などない。万物共通で獣耳は獣耳なのだ。あのモフモフを、あのフサフサを、撫でる度に喜んだり、恥ずかしがったり、すり寄ってきたり、尻尾を振り喜ぶあの姿、そこに神も人もモンスターもない。そこにあるのは獣耳たけ。
そう、獣耳。獣耳こそが獣耳であり、世界唯一の獣耳たる獣耳故の獣耳だ。
それを見るだけで耐えることは不可能だ。全知全能の神すらそれは成し得ない。何故か? 獣耳だからだ。それ以外に理由などいらない。それこそ本能なのだ。獣耳を求めるその意思こそが本能なのだ。
それだけが獣耳なのだ。だからこそ触れなければならない。我々は獣耳に触れ、感じ、そうすることで獣耳ることが獣耳なのだ。
わかるだろ、この溢れんばかりの獣耳が。渦巻く獣耳が。
ありとあらゆる物は獣耳から始まり獣耳に終わる。それが獣耳だから。獣耳。
だからこそ、だからこそ俺は声を大にして言いたい。獣耳モンスターの触れ合いコーナーを作るべきだと。モフモフしたいと。
それこそが――獣耳だ」
「俺が、ガネーシャだ!」
という経緯の後、怪物祭では獣耳モンスターの触れ合いコーナーが設立されたのである。
とどのつまり、今日は一年で唯一地上で獣耳モンスターと触れ合える日なのである。
いつもはダンジョンに行かなければならないし、へなちょこステータスの俺は一人でダンジョンに行けない。そうなると誰かに着いてきてもらわなければならず、満足に獣耳れない。
――
「ナーナイっ!」
「あれ? ティオナちゃん?」
獣耳るため、怪物祭へ出かけようとしたところでティオナちゃんに出会った。
「どう? どう? 似合う?」
俺の前でくるりと一回転して微笑むティオナちゃんは新しく買ったのか見慣れない可愛いらしい服を着ていた。
「似合ってるけど……いつもみたいなアマゾネス用の服じゃないんだね」
「えへへ、たまには良いかなーって」
「
「……こ、この前ナナイが見てみたいって言ってたのもあるけど……」
猫耳つけて獣耳りたい。いつもの大胆な露出の多い服ではなく、白と淡い赤のワンピースに身を包んだティオナちゃんは照れくさそうに笑っている。これがギャップか。
アイズちゃんといい、ティオナちゃんといい、獣耳もないのにここまで可愛いなんて……獣耳つけたらどうなってしまうんだ……。
「ダメだ、聞こえてない……。まぁ良いや。ナナイ、ナナイ」
「……ん? あぁ、ティオナちゃん。どうしたの?」
「あ、あのさ……良かったら一緒に怪物祭行かないかなーって」
「あー……」
「い、嫌なら良いけど」
「いや、ほら多分獣耳モンスター触れ合いコーナーの入り浸るからティオナちゃんついてきてもつまらないと思って」
「だ、大丈夫! 大丈夫だから良い?」
「ティオナちゃんが良いなら良いけど」
「やったっ。じゃー行こ?」
そう言ってティオナちゃんは俺の手を引いて歩き始めた。
「――そしてはぐれた」
手を繋いでいたにも関わらず、はぐれてしまった。ティオナちゃんを探すべきか、本来の目的を果たすべきか、葛藤渦巻く中、数十メートル先でシルバーバックがどこかで見た兎少年を追い掛け回していた。
「……」
「……」
そしてもう一匹のシルバーバックが俺と視線を合わせニヤリと笑った。
「ガネーシャ様の馬鹿野郎!」
ざる警備のせいで逃げ出したであろうシルバーバックに追われながら、元凶であろうその人の名を俺は叫ぶのであった。
「あ、貴方は……!」
「こんにちは少年。俺はナナイ・ナナセ。君は?」
「……ベル・クラネルです」
「何で俺睨まれてるの? 俺何かした? それはそれとして――兎耳していい?」
「君達、何自己紹介してるんだい! そんな状況じゃないだろう!」
そして気が付けば兎耳の似合いそうだと見込んだ少年――ベル・クラネルと並走していた。
何故か敵意を向けられているが、挽回してみせよう。
俺はレベル七。本気を出せばシルバーバック二匹程度軽く捻ってやる。
「さぁ、始め――」
――知ってたかい? 人間って簡単に空飛ぶんだぜ……
ミソッカスステータスの俺は軽く捻られ空を飛んだ。着地地点が柔らか素材だったのが幸いしてなんとか生きているが、骨の二、三本は逝ったかもしれない。だって痛いもの。痛いもの!
「……」
「……」
そして目の前、シルバーバック。天は俺を見放した。
「――たく、世話の焼けるクソ野郎だ」
爆散するシルバーバック。獣耳は俺を見放さず。
「ベートきゅんマジ獣耳!」
「うるせぇ、黙れ、撫でようとすんじゃねぇ!!」
俺が、ガネーシャだ!
今回はガネーシャ回でした。
最後ら辺はオチもなく無理矢理感がありますがそこは御愛嬌。
本当はティオナちゃんとのデートとかソードオラトリアのショッピングとか入れたかったのですがカット!
ヒロインとか書くの苦手です。
まぁこの作品は幸いにもヒロイン獣耳なので大丈夫です。獣耳!
早くリリとか書きたいです。
今年もよろしくお願いいたします。獣耳。
最後に一言。
俺が、ガネーシャだ! そして君も、ガネーシャだ! つまり、全人類ガネーシャだ!