ダンジョンに獣耳を獣耳るのは獣耳っているだろうか   作:獣耳

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わけがわからないよ。

そう、叫びたいです。


はじめまして、猪耳

「はぁ……獣耳はむはむしたい……はむはむしたい」

 

 やばい奴がいた。

 

「獣耳少女が一人、獣耳少女が二人、獣耳ショタが一人、獣耳男が一人、獣耳女が一人、獣耳獣耳獣耳……」

 

 俺だった。

 

 どうもこの世界に来てから獣耳すぎる気がする。全ての思考がいつの間にか獣耳に向かっている獣耳。俺は一体どうなってしまったのだろうか。

 いや、そんなことより獣耳を獣耳できないのが問題である。

 何でもダンジョン攻略に乗り込むとかでベートきゅんもアイズちゃんもいないのだ。

 このままだと俺は寂しさで死んでしまうかもしれない獣耳。

 

「猪耳……!?」

 

 ガチムチの男の頭にそれが生えていた。猪耳というレアさ、ここで逃せば次はないかもしれない。しかしガチムチだ。

 ショタは許容範囲だがガチムチは流石に……!

 

 葛藤した。ショタはセーフ、ガチムチはアウト。誰が見てもその通り。獣耳。

 確かに、ガチムチだ。どうしようもないほどにガチムチだ。正直近付きたくないほどのガチムチだ。

 

 だが獣耳に罪はない。

 

 

 ――後は、わかるな?

 

 

「嗚呼」

 

 

 理性と本能。勝ったのは本能だった。こうして、ガチムチに向かい走っている最中でさえ理解できてる。

 絵面的にヤバイ。世間体的にもヤバイ。デメリットが圧倒的だ。しかし、しかしながらその獣耳(猪耳)に罪はない。

 

 嗚呼、どうして貴方はガチムチなの? どうして男なの? 

 

 これが美少女なら金でも土下座でもして撫でさせて貰う。最悪無理矢理でも良い。捕まるけど、それは名誉ある獣耳だ。後悔はしまい。

 だがガチムチに金も土下座もやる気はない。ましてやガチムチの獣耳を無理矢理撫でて逮捕なんて……寒気がする。

 

 世界は残酷だ。

 

 何故、ガチムチに獣耳なんだ。

 

 何故、獣耳を欲してるときにコイツが現れるんだ。

 

 何故、俺はこの獣耳に対する欲求を抑えられないんだ。

 

 

 もしこれが世界の意思なのだとしたら――

 

 

 

「――まずはそのふざけた幻想をぶち殺す(獣耳を撫でる)!」

 

 

 

 空を飛んだ。

 

 ガチムチに攻撃を仕掛け、その隙に獣耳を撫でる。そうすればガチムチに喧嘩を吹っ掛けた少年とだけ世間には写るだろう。そうすれば獣耳云々は隠せる。

 俺は社会的に死なずに獣耳を堪能できる。そう、思っていた。

 

 しかし、俺の伸ばした右手は、いとも容易く弾かれそのまま投げ飛ばされた。

 

 ガチムチは興味も無さそうにそのまま去っていく。

 ここでようやっとショタおっさんの言葉を思い出した。

 

『君は獣耳に異常な反応を示すようだ。ある程度はこちらがなんとかするが“猪耳”のガチムチだけには手を出してはいけない。彼は――』

 

 

 

「――オラリオ最強、か」

 

 

 勝てるわけがなかった。ショタおっさんやロキ様から聞いていた。

 レベル差は格の差。絶対的壁があり、余程の才能がなければ勝てる訳がないと。

 

 それでも、それでも男にはやらなければならないことがある。

 相手がガチムチだろうが、オラリオ最強だろうが、関係ない。

 

「世界が、神様が、もしこの世の全てが俺を邪魔しようと、俺は諦めない。屈しない。打ちのめされようと、立ち上がって見せる。

 そのためだったら、何度だって、いくらだって、その幻想って奴をぶち壊してやる――」

 

 体が軽い。今だったら何だってできる気がする。

 

「――だからまずはその獣耳を撫で殺す……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ナナイ・ナナセ Lv3

 

 力 :J-99

 

 耐久:J-99

 

 器用:J-99

 

 敏捷:J-99

 

 愛撫:E406

 

 スキル

 

 【獣耳一途(ケモミミ・フレーゼ)

 

 ・愛が続く限り獣耳

 

 ・愛の丈により獣耳

 

 

 【獣耳殺し(ケモミミブレイカー)

 

 ・獣耳に対する、愛、欲求、獣耳のいずれかが最高点に達した時に発動

 

 ・獣耳を無条件で撫で殺す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……!?」

 

 

 

 ――猪耳、オッタルは驚愕した。気が付けば膝を折り、目の前の男に平伏していた。そして屈辱な事に耳を触られていた。意味がわからないが抵抗できない。

 何なんだこれは……。安心するような、この手は……!

 しばらくすると男は薄ら笑い、一言残し去っていった。

 

 

 

 

「――なんだ、こんなものか」

 

 

 

 

 

 ――オッタルはこの日、男に憎しみを抱いた。絶対にこの男だけは捩じ伏せると心に決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 レアな猪耳だとはりきってしまったが触ってみると良くはなかった。ゴワゴワで良くなかった。

 猪耳といってもあの程度か……残念だ。なんかガチムチ猪耳がこっちを睨んでいるが気のせいだろう。

 

 あー、早く帰ってこないかなー

 

「お、獣耳」

 

 欲望に勝てず道行く獣耳を撫でたら大声を出され、あれよあれよと取り押さえられて、回収に来たロキ様にこっぴどく叱られた。

 でも仕方ないじゃない。獣耳なんだもの。

 

「……ほんま、なんなん?」

 

 その後ステータスを更新して貰うとレベル3になっていた。

 

「しかもステータスマイナスってなんやそれ……」

 

 レベル3なのに実質レベル2くらいのステータスになっていたらしい解せぬ。

 まぁ、ダンジョンになんて潜る気ないから問題ないけどね!

 

 獣耳さえあれば獣耳なのさ獣耳。

 

「ダンジョンにも獣耳おるけどな。モンスターやけど」

 

 そんな獣耳。

 

「じゃーベートきゅんに会いに行くついでにダンジョン行ってくる獣耳!」

 

「ダメや」

 

 ギルド云々。ステータス云々。

 

 

 

 大人の事情を子供に押し付けるのはダメだと思うの。

 

 

 

 ……結局獣耳れなかった。

 

 




オッタルを撫でたオリ主は多分うちだけ。

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