「嫌ぁ!! やめて!!!」
響は逃げていた。【ソレ】から
「ドウシテニゲルノ、ネェ!!」
【ソレ】は非常に聞きにくい奇声を上げて響を追いかけていた。
「来ないで!!」
虚空の闇の中、光を求めて響は足を動かしていた。そして、息も絶え絶えに振り返った。
「ナンデニゲルノ、【ワタシ】!」
顔も体格も何もかも同じなその姿――いや、その虚ろな目は違う。そう、そこにいるのは響じゃない。
もう一人の響、そして響の闇が追いかけてくる。
「ヒトツニナッテヨ、【ワタシィィィィ】」
「いやああああああああ!!!!」
「!」
ガバリと起き上がった響。彼女は動悸を起こして、肩で息をしていた。胸を抑えながら、夏でもないのに大量の汗をかいていた。
落ち着いてから響は周囲を見渡した。そこはまだ少し、慣れるのには時間がかかる自分の――獣斬響の部屋だ。
「また…」
―翌日―
「どうした、響」
チーム寮の食堂で食事をする各々。その中で、シゲルが妹の響があまり食べていないことに気づいた。
「えっ…う、ううん…なんでもないよ」
「……熱でもないな」
響の頭に手を置いたシゲルはそう呟いた。だが、どうも元気がないようだった。
その響の横に朝食のトレーを置いたのは紫苑だった。
「ここのところメダル集めに勤しんでいたので、疲れが溜まったのかもしれませんね」
「…ま、気分が悪いなら紫苑でもいいから誰かに伝えろよ」
そう言い残してシゲルは自室へと戻っていった。静かに朝食をとり始めた紫苑は味噌汁をすすりながら小声で聞いた。
「それで、何を悩んでいるんですか?」
「えっ…?」
「シゲルにも言えない何かを悩んでいるのでしょう?」
図星だった。だがなぜ紫苑がそれに気づいたのか目を丸くした響に彼女はコトリとお椀を置くと真っ直ぐ響を見て微笑んだ。
「嘘をつくとき、あなたは左手で右手を隠すような仕草をします。シゲルも気づいてるようでしょうけどね」
元々紫苑がその癖に気付いたのはシゲルが響と会話するときなど左手を見ることがあるからだ。
そして今回もその仕草をした。
「彼なりにあなたを心配してるのでしょう、ただ自分に言えないことなら無理に踏み込みたくないということで私に頼んだ」
「…あれは、そういうことですか。」
シゲルが紫苑に頼んだ『響の面倒』というのは体調不良に関することではなく響の悩みについてだ。たったあの一言でお互いにそれを理解できる、それに響は呆れたように驚いた。
「夢を見るんです」
朝食を取り終えて食堂に人の気配がなくなったころ、響はそう紫苑に打ち明けた。
「ずっと暗い闇の中に一人だけいて、後ろからアレが…追いかけてくるんです」
「アレとは何か、言えますか?」
紫苑の言葉に響は少し震えて俯いた。ただ何も言わず、紫苑は待っていた。こういう時急かすのは得策ではない。
本人が言えるようになるまで待ち、そして心の整理を促すのだ。
「…私、なんです。いえ、私によく似た……」
「もう一人の自分、ということですか?」
そういうと響は押し黙って、また沈黙が続いた。やがてひねり出すように、出た単語はソレだった―――
「『アイリス』」
【アイリス・イヴ・バラスティア】
響を支配していたその存在。何も疑問を持たず、管理局の穢れた仕事をこなしていた人格だ。
だが、それはシゲルとの戦いで消滅したはずだった。
「アイリスが私を追いかけてくるんです、一緒になろう、一緒になろうって…」
「…PTSD…トラウマですね。あなたの心の中でアイリスという存在が一種のトラウマとなって夢に出てくる。犯罪に遭った被害者が発症するケースがよくあります」
「夢の中でずっと、ずっと追いかけてくるんです、それで、私の肩に手を触れた瞬間、夢から覚めて…」
それで碌に寝れてもいないのだろう。ジェネックス大会はもしかしたらそれのダメージを紛らわせるために必死になっていたのかもしれない。
「そうですね、安眠するにはいくつかの方法がありますが…きついことを言うようですが、PTSDは貴女本人の手で解決するしかないです」
「そう、ですよね…」
いくら頼れる兄とその仲間でも夢の中まではどうすることもできない。それは響自身わかっている。
「ただ一つ、取れる方法があるとするなら――」
―夜:響の部屋―
「狭くないか?」
「ううん」
響とシゲル。仲睦まじい兄妹は一つのベットの上に並んでいた。紫苑の提案したアドバイスとは『安心できる人と一緒に寝る』ということだった。
通常、身体は睡眠中は脳の中の記憶などを整理する時間に当てはめている。そして一人で不安でも睡眠する直前に安心できる人と一緒に寝ることができればそれが脳内で無意識に整理され、安心できるということだった。
「…お前と一緒に横で寝るのは、もう10年も前か」
そして響が選んだのは、必然的に兄であるシゲルだった。紫苑やツバキでもいいのだが、やはりというべきか一番安心できる存在は彼しかいなかった。
「懐かしいね」
そして頼んでみたら二つ返事でOKが出た。別に妹に欲情するほどシゲルは腐ってはおらず、不眠症が悩みでそのケアに一役買ってほしいという話に断る理由はなかった。
「ま、今回紫苑に相談させたがお前は人を頼らなすぎなんだ。もっと俺らに迷惑かけて、もっと甘えろ」
「…でも…私は……みんなに…」
「アイリスの時にひどいことをしたから、なんて頓珍漢なこと考えてるならその考えは捨てろ。それに、釼都が言ってただろ?溜め込みすぎるなって。いつでも吐き出せ、それがお前の特権だ」
そう言ってシゲルは電灯を消した。暗い部屋の中、響は眠ることに対して恐怖があるのか少し震えていた。
「手、握るか?」
「うん…お休み、お兄ちゃん」
―夢の中―
「ひっ…!!」
気が付いたとき響はまたあの悪夢の中にただひとり立っていた。そして目の前にはもう一人の響――いや、アイリス・イヴ・バラスティアが立っていた。
「イッショニ、ワタシィ!!」
「や、や――!!」
逃げ出そうとした響。だが、右手に違和感があった。
温かい、まるで誰かに握られているような――
「おにい、ちゃん…」
その暖かさはあの時、自分がアイリスという檻に閉じ込められているときに、降り注いだ血の雨。その時のような温かさがあった。
「……?」
今までのように逃げ出さない響にアイリスが怪訝な顔をしていた。
「アイリス、私はもうお前なんかに恐怖しない!!」
「……フフ…アハハハハハハハハハハハ!!!」
キョトンとしていたアイリスだが、響の言葉に、口元に笑みを浮かべて笑い出した。下品に、そして狂気に満ちた響と同じ顔に彼女はひどい吐き気を覚えた。
「イイワ!!イイヨ、ヒビキィ!!サイショカラ コウスレバ ヨカッタノヨ!!」
そうトチ狂ったかのように叫ぶその腕にはアイリスの時のデュエルディスクが出現した。響は気づいたように腕を見ると、そこにはかつて今の「黒のディスク」を手にする前のシゲルのディスク、つまり今の響のディスクがあった。
「怖くない…私は…戦える…!!」
「「デュエル!!」」
―アイリスのターン―
「ワタシ ノ ターン!!フィールドマホウ Sinワールド ヲ ハツドウ!!」
フィールドがあの忌々しい摩天楼へと変わっていく。十代のスカイスクレーパーと違ったその雰囲気に吐き気がするが、なんとか響はこらえた。
「サラニィ!! エクストラデッキ ノ スピット・シルバー・ドラゴン ヲ ジョガイ!! コイ、Sinスピット・シルバー・ドラゴン!!」
「それは…!!」
Sinスピット・シルバー・ドラゴン/ATK2500
自身の兄、シゲルの親友のエースモンスターのコピーだ。そしてそれを生み出したのは響自身でもある。
「ソシテェ、カードヲフセ ターンエンド!!」
アイリス
LP4000 手札3枚
Sinスピット・シルバー・ドラゴン/ATK2500
伏せカード1枚
Sinワールド
―響のターン―
「私のターン!!自分フィールドにカードが存在しない場合、BF-逆風のガストを特殊召喚する!!」
逆風のガスト/DEF1400
「さらに、チューナーモンスター、BF-東雲のコチを召喚!!」
コチ/ATK700
フィールドに鳥人と烏が並んだ。合計レベルは6。この状況で呼び出すモンスターは――
「レベル2のガストにレベル4のコチをチューニング!!
命の灯火よ、その剣に宿して思いの翼をはためかせて!!」
☆2 + ☆4 =☆6
「シンクロ召喚!!BF-星影のノートゥング!!」
ノートゥング/ATK2400
漆黒の翼と鎧に巨大な黒剣を持った烏天狗が出現した。しかし攻撃力はは僅かにSinスピット・シルバー・ドラゴンに届いてない。
「カカカ、ソンナ ジャクショウ モンスター ヲ ダスナンテ」
「この子達は弱小なんかじゃない!!ノートゥングの効果を発動!!特殊召喚成功時、相手に800ポイントのダメージを与え、モンスター1体の攻撃力を800ポイントダウンさせる!!ホーミング・ソード!!」
「ナッ…!!」
アイリス/LP4000→3200
Sinスピット・シルバー・ドラゴン/ATK2500→1700
ノートゥングの周囲から無数の羽の形をした剣がアイリスとSinスピット・シルバー・ドラゴンに襲い掛かった。
「さらに、ノートゥングはBFの召喚権を1回増やすことができる、上弦のピナーカを召喚!!」
ピナーカ/ATK1200
「バトルフェイズ、ノートゥングでSinスピット・シルバー・ドラゴンへ攻撃!!ダンシング・ソード!!」
「クッ…!!」
アイリス/LP3200→2500
「さらにピナーカでダイレクトアタック!!」
「リバーストラップ、Sin vision ヲ ハツドウ!!アイテ ノ ダイレクトアタック ニ ハツドウ デキ、デッキ ノ Sinモンスター ヲ 2マイ ボチヘ オクルコト デ コウゲキ ヲ ムコウ ニ スル!!」
Sin vision
通常罠
相手の攻撃宣言時、自分フィールドにモンスターが存在しない場合発動することができる。
デッキの「Sin」と名のつくモンスターを2体墓地へ送ることでその攻撃を無効にする。
その後、墓地へ送ったモンスターと同じ攻撃力の「Sin」と名のつくモンスターを
手札から特殊召喚することができる。
「デッキ カラ Sinオリエント・ドラゴン ト Sinブラッド・メフィスト ヲ ボチ ニ オクル!!ソノゴ、ボチ ニ オクッタ Sinモンスター、ツマリ コウゲキリョク 2300 ト 2800 ノ Sinモンスター ヲ テフダ カラ トクシュショウカンスル コトガ デキル!!」
「(攻撃力2300と2800のモンスター……考えられるのはザ・クリエイターとアームド・ドラゴン…あれ?そもそもなんでそんなカードが…?)」
なぜこのカードが存在するのか。響がアイリスとなっていた時の記憶の中にはこのカードは存在しない。そもそもSinモンスターはデッキ・エクストラデッキから選択されたカードを除外することで召喚することができるデッキだ。
「クカカカカ……【ワタシ】ニ オモシロイ モノ ヲ ミセテアゲルゥ!! シュツゲンセヨ、Sinクロック・ゴールド・ドラゴン!!Sinファントム・ブルース・ドラゴン!!」
「なっ…!?」
Sinクロック・ゴールド・ドラゴン/ATK2300
Sinファントム・ブルース・ドラゴン/ATK2800
出現したのは自分を受け入れてくれた世界の矛盾の2人――羽黒釼都と姫野紫苑のエースモンスターだ。その姿はSinモンスター特有の仮面と鎧に拘束されたその姿に響はSinワールド以上の嫌悪感を抱いた。
「なんで…そのモンスターのSinカードは存在しないはず!!」
「オカシイコトハナイ ココハ アナタ ノ セイシンセカイ アナタ ガ タイセツ ニ オモッテル カード ホド キョウリョク ナ チカラ ヲエル」
つまり響が大切だと思ってる人だからこそ精神世界に影響を与えて、それでアイリスも強くなったというわけだ。
だが、ピアレスの能力も影響してるようで、元となるカードが存在しないためこのカードが使用されているようだった。
「ッ…カードを伏せて、ターンエンド…」
響
LP4000 手札2枚
ノートゥング/ATK2400 ピナーカ/ATK1200
伏せカード1枚
―アイリスのターン―
「ワタシ ノ ターン!!ククク…ゼツボウ シロ!!バトルフェイズ、Sinファントム・ブルース・ドラゴン デ ノートゥング ニ コウゲキ!! ミラージュ・ガスト!!」
「クッ…ノートゥングが…!!」
響/LP4000→3600
普通のファントム・ガストよりも濃く、そして息苦しい霧にノートゥングが破壊された。
「オワリデハナイ!!Sinファントム・ブルース・ドラゴン ノ コウカ!!セントウ デ アイテ モンスター ヲ ハカイシタトキ、500ポイント ノ ダメージ ヲ アタエル!!
「きゃああ!!」
響/LP3600→3100
もう一度吐いた霧で息ができにくくなった響。そのSinモンスターの横、同じように鎧が侵食されたようなクロック・ゴールド・ドラゴンが銃口を全てピナーカへと向けた。
「Sinクロック・ゴールド・ドラゴン デ ピナーカ ニ コウゲキ!!インフェルノ・イグニッション!!」
「きゃあああああああああ!!!!」
響/LP3100→2000
一気に響のフィールドががら空きになってしまった。しかも相手フィールドには2体のSinモンスター。
「カカカ…2マイ フセテ、ターンエンド」
「エンドフェイズ、ピナーカの効果を発動!!デッキからBFを1体手札に加える、ゲイルを手札に!!」
アイリス
LP2500 手札0枚
Sinクロック・ゴールド・ドラゴン/ATK2300 Sinファントム・ブルース・ドラゴン/ATK2800
伏せカード2枚
Sin world
―響のターン―
「私のターン…ッ…罠カード、ブラック・バックを発動!!墓地に存在する攻撃力2000以下のBF、ピナーカを蘇生する!!だけど、このターンモンスターを召喚することができない」
ピナーカ/ATK1200
「さらに、手札のゲイルはフィールドにBFが存在する場合特殊召喚できる!!」
ゲイル/ATK1300
ともにレベル3のチューナーだ。これではシンクロ召喚を行うこともできず、手札にはブラスとのようなさらなる特殊召喚系モンスターも存在しない。
「ゲイルの効果を発動!!Sinクロック・ゴールド・ドラゴンの攻守を半分にする!!」
Sinクロック・ゴールド・ドラゴン/2300→1150
ゲイルの突風でクロックの体に傷が入った。攻撃力はぎりぎりピナーカでも突破ができる。
「バトルフェイズ、上弦のピナーカで攻撃!!」
「クッ…」
アイリス/LP2500→2450
だが、ファントム・ブルースの攻撃力はゲイルの二倍以上、それを突破する手立ては今はない。
「カードを伏せてターンエンド」
響
LP2000 手札1枚
ゲイル/ATK1300 ピナーカ/ATK1200
伏せカード2枚
―アイリスのターン―
「ドロー ソンナ ザコ ヲ ナラベテ ショウブ ヲ アキラメタノ?」
「…………」
「ダンマリ シテナイデ シャベロウヨ」
少し残念そうなアイリス。だが、談笑する気は響にはさらさらない。
それに子供っぽく地団太を踏んだのはアイリスだった。
「モウ ソッチ ガ ソノキ ナラ イイモンダ!!」
シゲルと戦ったアイリスは大人びており、今とはまるで違う雰囲気だった。
「Sin selecter ヲ ハツドウ!!ボチ ノ Sinモンスター ヲ ジョガイシテ デッキ カラ アラタナ Sinモンスター ヲ テフダ ニ クワエル!!」
そう宣言すると墓地のSinオリエント・ドラゴンとSinブラッド・メフィストが除外されて、デッキから2枚のカードが手札に加わった。
「Sin change ヲ ハツドウ!!フィールド ノ Sinモンスター ヲ リリース スルコトデ テフダ ノ Sinモンスター ヲ ショウカンジョウケン ヲ ムシシテ トクシュショウカン デキル!!」
「(やっぱり、あのデッキは私が使っていたときのとはまるで違う…!)」
情報アドバンテージとして響がもっていたアイリスのデッキの中にはこのカードも存在しない。
響の中に残っていたアイリスの精神がこのカードを生み出したのだろう。
Sin change
通常魔法
自分フィールドに存在する「Sin」と名のつくモンスターをリリースすることで
手札から「Sin」と名のつくモンスターを2体まで
召喚条件を無視して特殊召喚することができる。
この効果で召喚したモンスターの効果は無効化される。
「フィールド ノ Sinファントム・ブルース・ドラゴン ヲ リリース、テフダ カラ Sinカオス・レッド・ドラゴン、Sinソウル・ブラック・ドラゴン ヲ トクシュショウカンスル!!」
「また…!!」
今度は夕夜の呪縛を解放し、彼を救ったツバキと自身の敬愛する兄のエースドラゴンがSinとなったモンスターだった。
Sinカオス・レッド・ドラゴン/ATK3000
Sinソウル・ブラック・ドラゴン/ATK2400
「バトル!!カオス・レッド――」
「リバース罠、ブラック・ブーストを発動!!フィールドのBFと名の付くチューナーモンスターを2体除外することでカードを2枚ドローする!!」
攻撃宣言前に発動した罠で響のフィールドががら空きになった。確かに攻撃力3000と2400の攻撃を2体のモンスターで受けきったところでライフは残らない。それなら伏せカードで逆転できるカードにかけるのも一つの手だった。
「ナラ、カオス・レッド・ドラゴン デ ダイレクトアタック!!デリート・フォース!!」
「手札の熱風のギブリの効果を発動!!直接攻撃宣言時、このモンスターを特殊召喚することができる!!」
熱風のギブリ/DEF1600
フィールドに召喚された烏。それは響を敗北から何度も救ったモンスターだった。そしてこの展開で考えられる次の
「マインドクラッシュ ヲ ハツドウ!!タイショウ ハ ソウテンノジェット!!」
「なっ!?」
手札にあったカードが打ち抜かれた。そう、この盤面で生き残るにはギブリに破壊耐性をつけるジェットを使うしかなかったのだ。
Hibiki hand
・BF-極北のブリザード
残されている手札も召喚する事で真価を発揮するBF。ギブリを守る手段はない。
「サア、イッショニナロウヨ、ヒビキィィィィィィィイイイ!!!!」
Sinカオス・レッド・ドラゴンの攻撃によって響のフィールドのモンスターが破壊された――
「BF-隠れ蓑のスチームの効果を発動!!このモンスターがフィールドから離れたとき、スチーム・トークンを特殊召喚する!!」
「ナニッ!?」
スチーム・トークン/DEF100
フィールドには隠れ蓑のスチームで召喚されるモンスタートークンがいる。だが破壊したのは熱風のギブリのはずだ。
するとアイリスは響のフィールドのあるカードに気づいた。
「スワローズ・ネスト カ…!!」
「そう、このカードは自分フィールドの鳥獣族モンスターをリリースし、デッキから同じレベルの鳥獣族モンスターを特殊召喚する、ギブリとスチームのレベルはともにレベル3、よって召喚はできる!」
これでなんとかSinソウル・ブラック・ドラゴンの攻撃を受け止め切れるだけの壁を確保することができた。
「ダガ、ムダナコトダ…ダイスキナ アニ ノ モンスター ノ コウゲキ ヲ ウケルガイイ!!Sinソウル・ブラック・ドラゴン デ スチーム・トークン ヘ コウゲキ!!メガロ・ブラック・ショット!!」
「ッ…(確かに手札にはブリザード1枚、逆転できる可能性は低い…壁モンスターを並べたところでSinWorldは確実にモンスターを呼び込む、次のドローでなんとかしないと…負ける…)」
アイリス
LP2450 伏せカードなし
Sinカオス・レッド・ドラゴン/ATK3000 Sinソウル・ブラック・ドラゴン/ATK2400
伏せカードなし
SinWorld
―響のターン―
「私のターン…お願い、私のデッキ…力を貸して……ドロー!!」
祈るようにして引いたカード。それは逆転勝利の鍵――とは言えないが、この最悪の盤面では悪くないカードだった。
「永続魔法、黒い旋風を発動!!BFの召喚に成功すると、デッキからそれよりも攻撃力が低いBFを手札に加えることができる!!ブリザードを召喚!!」
ブリザード/ATK1300
烏としては珍しい白い翼をはためかせて出現したモンスター。すると墓地から触発されるように1体のBFが飛び出した。
「ブリザードの効果で墓地のBFを1体特殊召喚することができる、ガストを蘇生!!」
ガスト/DEF1400
「そして黒い旋風の効果でデッキからそよ風のブリーズを手札に、さらにブリーズは手札に効果で加わったとき特殊召喚できる!!さらにそのブリーズをリリースしてスチームを再び召喚!!」
スチーム/ATK800
フィールドに並んだ3体のBF。だがレベル的に考えたらエクストラから出せる上級は1体のみ。それで盤面をひっくり返すのは難しいはずだ。
「レベル2のガストにレベル3のスチームをチューニング!!
決意の翼よ、閃光の風とともに大いなる大海を渡れ!!」
☆2 + ☆3 =☆5
「シンクロ召喚!!BF‐煌星のグラム!!」
グラム/ATK2200
召喚されたのは手札のBFを特殊召喚するという効果を持ったBF。だが、響きの手札は既に尽きており、その効果が目的じゃないというのは分かっていた。
スチーム・トークン/DEF100
「スチームの効果でスチーム・トークンを特殊召喚。そしてレベル5のグラムにレベル2のブリザードをチューニング!!
統括の翼をはためかせ、敵を切り裂く黒羽を束ねよ!!」
☆5 + ☆2 = ☆7
「シンクロ召喚!!BFT‐漆黒のホーク・ジョー!!」
ホーク・ジョー/ATK2600
召喚されたのはBFでは珍しく、鳥獣族ではなく戦士族だった。だが攻撃力はSinソウル・ブラックよりも上だがSinカオス・レッドよりも低い。
このままでは最初の懸念の通りサーチしたSinモンスターとSinカオス・レッドの攻撃でライフが尽きる。
「ムダナアガキヲ…」
「それは違う、ホーク・ジョーの効果を発動!!墓地のレベル5以上のBFを特殊召喚する!!BF‐星影のノート・ウィングを特殊召喚!!」
ノート・ウィング/ATK2400
フィールドに召喚されたBF。その攻撃力では突破は無理だが、その効果の存在にアイリスも気づいた。
「ソノモンスターハ…!!」
「そう、ノート・ウィングは特殊召喚されたら相手モンスターの攻撃力を800下げて相手に800のダメージを与えれる!!Sinカオス・レッド・ドラゴンの攻撃力を選択!!」
Sinスピット・シルバーの時と同じように木の葉のように舞う剣が相手を切り裂いた。
Sinカオス・レッド・ドラゴン/ATK3000→2200
アイリス/LP2450→1650
「バトルフェイズ、ノート・ウィングでSinカオス・レッド・ドラゴンに攻撃!!ダンシング・ソード!!」
「ッァ!!」
アイリス/LP1650→1450
「まだ残ってる!!そんな偽物なんて、消えてなくなってしまえ!!ホーク・ジョーでSinソウル・ブラック・ドラゴンへ攻撃!!アサルト・クロー!!」
「クッ…コノッ!!」
アイリス/LP1450→1250
フィールドが一気に逆転した。だが、響にも攻撃を守るほどのカードはない。SinWorldで手札に加えられた強力モンスターで突破される可能性も十分あった。
「これが私の今の全力…ターンエンド!!」
響
LP2000 手札0枚
ホーク・ジョー/ATK2600 ノート・ウィング/ATK2400 スチーム・トークン/DEF100
黒い旋風
―アイリスのターン―
「ワタシ ノ ターン、ドロー スルカワリニ Sin World ノ コウカ ヲ ハツドウ!!」
「来る…!!」
ここで問題は何が手札に加わるのか。場合によったらこのターンの攻撃を防げずに響は負ける。
「…ククク…エクストラデッキ カラ BF‐テンマ ノ ムラサメ ヲ ジョガイ!!」
「なっ!?」
その名前は響自身、よく知っていた。このBFデッキの切り札にして最上級モンスターのカード。効果も然ることながら攻撃力も他に引けをとらせないカードだ。
「テンゲンセヨ、Sinムラサメ・ブレード!!」
その姿は、今まで以上に嫌悪感を抱くものだった。見た目は間違いなく天魔のムラサメそのものだが、まとっている鎧が白と黒のコントラストと見事なアンバランスに、本来ならシルバー・ウィンドの刀のように光り輝いている刀も錆びて、見る影もなくなっている。
Sinムラサメ・ブレード/ATK3500
「バトル、ムラサメ・ブレード ヨ、ジャマナ ホーク・ジョー ヲ キリサケ!!」
錆び付いた刀を持って、ホーク・ジョーを切り伏せようとするSinムラサメ・ブレード。
だが、その間にまるでフォーク・ジョーを守るかのようにしてノート・ウィングが割って入った。
「ナニッ、ナゼ ジャマヲスル!?」
「ホーク・ジョーが攻撃されたとき、それをほかのBFモンスターで身代わりにすることができる、それはホーク・ジョーを守りたいと思う仲間の気持ち…
錆び付きながらも、もともとは名刀だったそれはノート・ウィングの体を鎧の上から切り裂くのに申し分がなかった。
「ッああああああああ!!!」
響/LP2000→1100
一気にライフがアイリスを抜かすが、それでもホーク・ジョーを残せたのはまずまずの内容だ。ホーク・ジョーを残すことができたらノート・ウィングを復活させる半永久コンボでアイリスを追い詰めれるからだ
「――ターンエンド」
アイリス
LP1250 手札0枚
Sinムラサメ・ブレード/ATK3500
伏せカードなし
―響のターン―
「私のターン!!(モンスターじゃない…けど、いいカードを引いた)ホーク・ジョーの効果を発動!!再びノート・ウィングを蘇生させる!!」
ノート・ウィング/DEF1600
再び出現したノート・ウィングの効果でSinムラサメ・ブレードのボロボロな鎧がさらにボロボロとなった。
その欠片がアイリスへと降り注いだ。
ムラサメ・ブレード/ATK3500→2700
アイリス/LP1250→450
残念ながら僅かにホーク・ジョーよりも攻撃力が上のため、このターンで突破することはできない。
だが、まだ優位だと自分を落ち着かせた響は手札を伏せた。
「カードを伏せる、ホーク・ジョーを守備表示に変更してターンエンド!!」
響
LP1100 手札0枚
ホーク・ジョー/ATK2600→DEF2000 ノート・ウィング/DEF1600 スチーム・トークン/DEF100
伏せカード1枚 黒い旋風
―アイリスのターン―
逆に追い詰められたアイリス。このターンでホーク・ジョーとノート・ウィングを破壊しないと敗北が決まってしまう。
だが、響の表情を見る限り伏せカードが何かあるのかもしれない。
「ワタシィノ タァァァァァァァァン!!!」
奇声に近いその声を上げながらカードを引いたアイリス。そして引いたカードを急ぐようにして発動させた。
「Sin draw ヲ ハツドウ!!フィールド ニ SinWorld ガ ソンザイスルトキ ボチノ Sinモンスター ヲ ジョガイ シテ 2マイ ドロー!!」
「ここでドローブースト…」
あまり油断できない流れに身構える響。一方のアイリスは2枚のカードを見て目を細めた。その思考は明らかに、響をさらに痛めつけることを考えているのだろう。
「ゲンリョウ ヲ テフダ カラ ハツドウ!!フィールド ノ Sinムラサメ・ブレード ノ レベル ヲ 2ツ サゲル!!」
「えっ!?」
Sinムラサメ・ブレード/☆12→10
なぜわざわざレベルを下げる必要があるのか、響は疑問だった。だが、その理由は考える前に判明した。
「Sinパラレル・ギア ショウカン!!」
Sinパラレル・ギア/ATK0
召喚された歯車、そしてレベルを下げたSinムラサメ・ブレード。考えられるのはレベル12のシンクロ召喚――
「レベル10トナッタSinムラサメ・ブレード ニ レベル2 ノ Sinパラレル・ギア ヲ チューニング!!」
ジゲン ノ ソコ ニ ネムル アクム ガ ヒカリ ヲ タベツクス!!」
☆10 + ☆2 =☆12
フィールドの烏天狗と歯車――そして、アイリスが消えた。
3つの存在が黒いリングの中で混ざり合い、そして響の『悪夢』となって出現した。
「シンクロ召喚!! Sinフィークドラゴン!!」
先ほどまでとは違い、くっきりと聞こえる声。それは間違いない――
「!」
Sinフィークドラゴンの頭から、以前Sinトゥルース・ドラゴンと融合した響のようにアイリスが生えていた。
「ふふふ…いい、いいわ…あなたの悪夢…なんて心地いいのかしら…!!」
「(Sinフィークドラゴンが私の悪夢…それなら、このモンスターを破壊すれば…!!)」
「Sinフィークドラゴンの効果を発動!!召喚成功時、墓地のSinモンスターを可能な限り特殊召喚する!!貴女の悪夢はさらに増幅する、甦れ…Sinモンスターたちよ――!!」
そういうとアイリスの墓地より4体のSinモンスター――それは自分を助けてくれた兄の仲間のモンスターが復活していた。
Sinスピット・シルバー・ドラゴン/ATK2500
Sinカオス・レッド・ドラゴン/ATK3000
Sinクロック・ゴールド・ドラゴン/ATK2300
Sinファントム・ブルース・ドラゴン/ATK2800
Sinフィーク・ドラゴン/ATK0→5000
「さあ、貴女の悪夢に食われてしまいなさい!!Sinカオス・レッド・ドラゴンでノート・ウィングへ攻撃!!デリート・フォース!!」
「ッ、きゃあああああああああ!!!!」
圧倒的な破壊力で破壊されたノート・ウィング。幸いなことにSinフィークドラゴンで復活したSinモンスターは効果を持ってない。貫通能力、そしてファントム・ブルースのバーンダメージも発動しない。
「続いて、クロック・ゴールド・ドラゴンでスチーム・トークンに攻撃!!インフェルノ・イグニッション!!」
「ッ…!!」
無数の重火器の乱射により水蒸気でできたモンスターが完全に消滅した。残るはホーク・ジョー、一方攻撃のモンスターは3体残っていた。
「Sinファントム・ブルース・ドラゴンで攻撃!!ミラージュ・ガスト!!」
霧の中にホーク・ジョーが消え、呻き声と共に破壊された。残っているのはSinフィークドラゴンとSinスピット・シルバー・ドラゴンの攻撃だった。
「これで終わり、この直接攻撃で――なっ!?」
がら空きと思われていた響のフィールド。だがそこには2体のモンスターが存在していた。
「リバース罠ブラック・リベンジ!!自分フィールドの鳥獣族モンスターが破壊されたとき発動できる、これによってBF-ブラック・クレトス・トークンを特殊召喚する!!」
BF-ブラック・クレトス・トークン/DEF800
BF-ブラック・クレトス・トークン/DEF800
「しつこいな、響…そんなに苦しみたいならそうすればいい!!Sinスピット・シルバー・ドラゴンでその雑魚トークンに攻撃、スピリット・バースト!!」
「ッ…!!」
灰色の炎に包まれた雛鳥はそのまま消滅してしまった。そして残るは響の悪夢の象徴。
「Sinフィークドラゴンの攻撃、ホロウ・エクス・バースト!!」
「きゃあああ!!」
ダメージはない、だがこれで響に残されたのは黒い旋風1枚のみ。一方アイリスのフィールドにはSinモンスターが5体、さらにSinフィークドラゴンにしか攻撃することができない。
「さあ、もがけ!!苦しめ!!そして私と一つになれ!!」
アイリス
LP450 手札0枚
Sinスピット・シルバー・ドラゴン/ATK2500 Sinカオス・レッド・ドラゴン/ATK3000 Sinクロック・ゴールド・ドラゴン/ATK2300 Sinファントム・ブルース・ドラゴン/ATK2800 Sinフィークドラゴン/ATK5000
伏せカード無し
SinWorld
―響のターン―
「私のターン…(お兄ちゃんは、こんな絶望的な状況でも私を助けるために最後まであきらめなかった。デッキを信じて――)ドロー!!」
ドローしたカード――それは希望をつなぐ魔法だった。
「魔法カード、終わりの始まりを発動!!墓地の闇属性モンスターが7体以上存在する場合、5体を除外して3枚ドローする私は墓地のコチ、ガスト、スチーム、グラム、そしてノート・ウィングを除外する!!」
「へぇ、ノート・ウィングの特殊召喚時効果を使えば勝てるのに、その可能性すら捨てるのね」
確かに効果で800のダメージを与えたら勝てる。だが、それはアイリスにだ。
「カードを…3枚ドロー!!手札の暁のシロッコは自分フィールドにモンスターが存在しない場合、手札から特殊召喚することができる!!」
暁のシロッコ/ATK2000
烏の被り物をした大柄のモンスターが出現した。するとその翼によって生み出された旋風から1枚のカードが響の手札へと加わった。
「黒い旋風の効果でゼピュロスを手札に、そして墓地に送ってD・D・Rを発動!!除外されてるBF-そよ風のブリーズを特殊召喚!!」
ブリーズ/ATK1100
響のお気に入りのオレンジ色の羽を持つ烏が出現した。それと同時ぐらいで黒い旋風が手札へと戻された。
「墓地に存在する精鋭のゼピュロスの効果、自分フィールドの表側表示のカードを手札に戻してこのモンスターを特殊召喚することができる!!」
精鋭のゼピュロス/ATK1600
響/LP1100→700
「レベル5の暁のシロッコとレベル4の精鋭のゼピュロスにレベル3のそよ風のブリーズをチューニング!!
黒き旋風よ、全ての翼を纏い光を駆けよ!!」
☆5 + ☆4 + ☆3 =☆12
「シンクロ召喚!!天元せよ、BF-天魔のムラサメ!!」
ムラサメ/ATK3500
先ほど、アイリスのフィールドでSinフィークドラゴンの素材となったモンスターの真の姿が響のフィールドに舞い降りた。
「そして手札の黒い旋風をゲームから除外してにユニコーンの導きを発動!!ゲームから除外されてるレベル5以下の鳥獣族モンスター、BF-煌星のグラムを特殊召喚!!」
煌星のグラム/ATK2200
「それで終わりかしら?あなたの手札はこれで0枚。そして私を超える攻撃力はない。所詮、あなたの意思なんてそんなもの、そのデッキの烏みたいに力なんてない存在なのよ!!」
「確かにそう」
そう言って響は悲しそうに俯いた。彼女自身、ここまで戦えているのは安心感を与えてくれる兄の存在だった。まだ、右手からはシゲルのぬくもりを感じることができる。それがなければ、Sinムラサメ・ブレードが出現した時点で心が折れていたかもしれない。
「心なんて、そんなものかもしれない。一人ぼっちだったとき、誰かに縋ることもできなかったら、悪夢の一つにも勝てない。けどね――」
そう言って、響は墓地に存在している、BFを統べる戦士を取り出した。
「心は、通わせることができるならどんなものにも負けやしない!!BF-天魔のムラサメの効果!!墓地のBFと名の付くシンクロモンスターを除外することで、その効果を自身の効果として扱うことができる!!そして除外したBFT-ホーク・ジョーの効果を発動!!墓地からレベル5以上のBFを特殊召喚する、暁のシロッコを蘇生!!」
シロッコ/ATK2000
フィールドに並んだ3体のBF。確かに響の言うとおりそれぞれの攻撃力はSinフィークドラゴンに届いていない。だが――
「暁のシロッコの効果を発動!!フィールドのBFを選択し、そのモンスターの攻撃力はすべてのBFの攻撃力の合計となる!!」
「なっ!?」
暁のシロッコと煌星のグラムの翼から漏れ出た光がすべて天魔のムラサメの刀へと集約された。
天魔のムラサメ/ATK3500→4700→6700
弱いBFの攻撃力が集まり、そして超えた。
「バトルフェイズ!!天魔のムラサメでSinフィークドラゴンに攻撃!!」
「く、き、やあああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
アイリス/LP450→0
ムラサメの一閃でSinフィークドラゴンの胴体が泣き別れした。そして巻き込まれるかのようにほかの4体のSinモンスターも破壊されていく。
「いや、いやああ!!消えたくない、消えたくないいいいいいいいい!!」
「ッ――ムラサメ!!」
泣き叫ぶアイリスを、天魔のムラサメが切り裂いた。そしてデュエルでモンスターが破壊されるかのようにして消えていった。
「…終わった」
そう呟く響の目の前にはムラサメもシロッコもグラムもいない。だけど、響の右手にはまだ温もりがある。
「………………―――」
そこで、響の意識がホワイトアウトしていった。
―チーム寮:響の部屋―
「んっ……」
目が覚めた響。ぐっすりと寝れたのはいつ以来か、目覚めは最高だった。その横では既に目が覚めたのか、シゲルの姿はなかった。
『目が覚めたか?』
「あ、ウリィさん…」
だがシゲルの精霊『剣闘獣ベストロウリィ』のウリィが様子を見に来たようだ。彼はシゲル、響の幼少の頃からの付き合いで、ある意味では父親代わりのような存在でもある。
「うん、もう悪夢は見ないと思う」
『そうか、シゲルも安心するだろうな…昨夜、お前が魘されていると落ち着かせようとしてからの』
アイリスとの戦いで現実世界の響は魘されていたようだ。その度にシゲルは優しく響の頭を撫で、腹をトントンと赤子をあやすかのように叩いて落ち着かせていたようだ。
「そうなんだ…」
『うむ、しかしその様子だと夢見が良かったようじゃの』
「ううん」
ウリィの言葉に、少し響は苦笑いして自分の机の上に置かれているデッキケースからデッキを取り出した。一番前――エクストラデッキにある天魔のムラサメのカードを見つめながら答えた。
「
それが、ジェネックス大会本戦開始の朝の出来事だった。
ユウ「今回は響と夢の中の話だね」
あれだけの出来事があって大丈夫なはずはないからね。
それと、響とSinモンスターとの戦いも考えてたからね
序盤の方はアイリスはただの『悪夢』としての存在だから声が聞き取れにくい感じです。
読みにくかったら申し訳ない
そしてデュエル内容
シゲル「アイリスのデッキはSinだが、内容が違うのか?」
響の悪夢ということで彼女が嫌悪感を抱くということで自分のことを思ってくれてる人のSinモンスターを召喚するということで。
ただ、現実でも夢でも元のシンクロモンスターの方は力を持っているので
ツバキ「夢の中でも?」
夢といっても一種の精神世界だからね。ピアレスを使ってコピーしないと作成できないけど、それは響の持つ【体質】ですから
シゲル「体質?俺の異常な生命力みたいなものか?」
そうだね。アイリスはただ響の中のPTSTという存在に成り下がったからその能力は使えなくなってるので
スピットは以前コピーしたから使えた、という感じです。
ユウ「それにしても、今回はぼくたちとか全く出なかったね・・・」
響メインの話だからね。番外編はどちらかというとメインじゃなくてサブの方の話だからユウたちはちょっと出たりとかするぐらいかな。
取り敢えず、今回はここまで次回もお楽しみに!