私、どうしたんだろう。
私こと東条うみは何故かぼうっと呆けていた。意識がはっきりとした時にはたくに腰回りに抱き着かれて簡単には身動きできない状況だった。
そのたくはグスッと鼻を鳴らし、小さな嗚咽を漏らしていた。
「……離してよ。たくのエッチ」
「……はい」
そう返事を返してくれたものの一向に離そうとはしてはくれなかった。
「私は、大丈夫だから……」
「……はい」
弱弱しい平返事しか返ってこない。
どうしようかと悩み、視線を遠くのほうへと向けると、何やら会話をしている茅野先輩の姿が目に入った。
相手は、綺麗な花があしらわれた着物を着ているきれいな女の人と、古風な服装を身にまとっている腰の低そうな男の人だった。
遠目から見てもきれいだとわかる着物を着た女の人は、おしとやかそうな笑みを浮かべて、茅野先輩と談笑している。
「誰だろう。あの人たち」
そんな言葉が思わず漏れてしまった。
「みほさんから何か連絡は?」
この学校のOGである五十鈴華は、現隊長である茅野に向かいそう問いかけた。
その問いに対し、茅野は首を横に振り「まだ、何も」と短い答えを返す。
「みほさんだって今の状況を把握しているかどうか怪しい所だし、それにみほさんはここの顧問でもない。仕方のないことでは?」
五十鈴の横に立ち、難しそうな顔をしている男はそう言った。
「確かにそうかもしれません。ですが、あの子を預けている以上こちらとしては何か対策をしてほしいと考えてしまいます」
「大丈夫です。何とかなります」
自信ありげにそう言う茅野は、決意はしていると言っているかのようにぐっと胸元でこぶしを握りしめる。
「お嬢も心配しすぎなんです。心配ないとあれほど――いてて! お嬢足踏まないでくださいよ!」
「先ほどの演習を拝見しましたが、随分と腕を上げたものですね。あんなに女々しかったあなたがここまでチームを引っ張ろうとしているなんて、正直驚きました」
「言わないで下さいよ。今はしっかりしないといけない時期なんですから」
照れながら言葉を返した後すぐに、キリッとした表情を取り戻し「それより、戻ってくださるんですか? 指導者として」と言葉を続けた。
五十鈴は頭を横に振る。
「いいえ。私の性分ではありませんので。今の顧問の先生でも十分でしょう?」
そうは言いながらも、どこか諦め切れていないように悲しげな表情をしていた。
「だいたい顧問を引き受けたのだって、家出がきっかけですぅぅ!」
男は話している途中で、五十鈴に手の平をきつく摘ままれ素っ頓狂な声を上げる。
「そうなったのはあなたのせいでもあるんですよ? 全く」
むっとする五十鈴に男はしきりに「ごめんなさい」と謝罪する。
「そう言えば、そうでしたね」と和やかな視線を向ける茅野。
「顧問はしないとは言っても、今日はあの子の指導をするためにここに来たんでしょう? 何もしないで帰ったらまたお母様に愚痴を言われるんですからね。俺が」
摘ままれ苦痛に顔をゆがめている男は、五十鈴に抗うようにそう言った。
「私はお邪魔のようなので行きますね。それではまた」
茅野は痴話喧嘩をしている二人に一礼してその場を離れた。
茅野が離れてから二人は、目的の人を探し接触した。
私-うみはぼうっと茅野先輩たち3人を眺めていると、茅野先輩がその場を離れたことを皮切りに残りの二人も何やら行動を始める。
そして、私と目が合うとこちらに向かってゆるりと歩み寄ってくる。
「久しぶり……いえ、初めましてですね。あなたが東条うみさんですね? 私は五十鈴華と申します。それでこちらが、私の付き添いの大和」
五十鈴がそう言った後、大和さんとともに軽く一礼をした。
「愛されているんですね。安心しました」
五十鈴さんは、私に抱き着き泣いているたくを見て、くすっと笑みをこぼした後、どこか嬉しそうにそう言った。
「ごめんなさい。こいつ離れなくって。寝てるのかな?」
苦笑いながらそう言う私に「大丈夫ですよ」と言ってくれる。
「まあいいでしょう、このまま本題に移させてもらいますね。砲撃手になろうと思いませんか? 私が教えて差し上げますが」
「砲撃手ですか? でも私、車長しかやったことがないんですけど」
「知っています。そして、行き詰っていることも」
そう言われた瞬間、私の心臓はビクッと跳ねる。
「私はあなたに戦車道が嫌いなまま終わってはほしくないんです。だから、やってみませんか? 車長以外の役割を」
書きたかった内容が結構な量書けなかったので
どうすっかねぇといった感じです
あ、ガルパンの映画みました。
ええ。思いっきり影響受けているので、時機にこっちにも表れるかと(;^ω^)