千石恭一SIDE
俺は中学二年の冬の日に親の転勤で俺は日本に戻る事になった。住み慣れたアメリカが少し恋しいがこっちでもバスケができるからそう言った気持ちは少ない。アメリカの中学ではスタメンでいられたがこっちでもスタメンになれるとは限らない。幸い転校先の中学はバスケ部が強豪と言うのは嬉しい。こっちでも頑張るか
「ここが体育館か」
俺は学校の入学手続きをすましそのまま体育館に向かった。やはり強豪と言うだけあって設備もなかなか整っている
「中に入ってみるか」
中に入るとそこには
「手を上げろ手を!」
「もっと走れ!」
「しっかりキャッチしろ!」
バスケをしていろ選手たちの声が聞こえる。こういうところはアメリカと変わらないんだな
「お、どうした?見学?」
体育館の入り口でみていた俺は声をかけられる。パッと見同じ2年生だろう
「遅いぞシゲ!何やってたんだ」
「悪い悪い。ちょっと委員会があってさ」
見た感じ性格の悪い奴でもないんだろう。明るくて周りを盛り上げる人って感じかな?さっきから体育館の人達の視線がここに集まっている
「ん、誰だそいつ?」
「モッチ―じゃん。そう言えばここで何してんの?」
「ああ、明日からこの学校に転校することになってさ。今日は手続きをしに学校まで来たんだ。そのついでにバスケ部の見学みたいな?」
「へ~!じゃあバスケ部に入るのか!」
「勿論!俺からバスケを取ったら何も残らんぐらいバスケが好きだぞ」
「じゃあ、ちょっとやっていくか?」
「え、いいのか?」
そう言いながら俺は鞄の中に入っているバッシュを取り出し服も着替えはじめる
「いいよいいよ。てかやる気満々じゃん!」
「久しぶりにやるからな~。最近は引越しとかでできなかったしバスケやりたくて仕方なかったんだよね~」
「じゃあ、俺と一緒にアップしてからやろうぜ。モッチ―はそのままみんなと練習しててくれ」
「おう、シゲも速く着替えろよ」
「わかってるって。あ、荷物はこっちな。後名前はなんていうんだ?」
「千石恭一。ポジションはどこでもできるぜ。よろしくな」
「おう、俺は荻原シゲヒロ、ポジションはFだ。よろしくな」
俺は荷物を持ち荻原について行く。久しぶりのバスケだ!たっのしみだな~、ヒッヒッヒ
荻原が着替え終わり俺はランニングを開始する
「なあ、転校って言ってたっけど前はどこの中学だったんだ?」
「ああ、俺はアメリカから転校してきてな。元々は日本生まれなんだけど親の転勤でこっちに戻ってきたんだ。向こうでは一応試合には出てたからある程度はできると思うぞ」
「マジか!アメリカか~。俺も行きてーなー」
「やばいぜ?レベルの高いのなんの。俺はついて行くだけで精一杯だったわ」
「マジか。一回見てみてーなー」
「そろそろ身体もあったまってきたし混ざらねえ?」
「そうだな。おーいモッチー今から混ざるわ」
「お、ちょうどよかった。今からゲームをするんだ。入ってくれ」
「俺も入っていいかな?」
「別にかまわないけど、大丈夫か?言っておくがうちは全国に行くほどのチームだぞ」
「いいっていいって。強い人らとやれることは楽しいからな!」
「わかった。じゃあスタメンのチームとベンチで別れてくれ。君はベンチチームな」
「オッケーオッケー。俄然やる気が出てきた!」
分かれ始めると、お、荻原はスタメンチームか。やっぱうまいんだろうな。マッチアップしてーなー
「じゃあ試合の前に君のポジションはセンターでいいかな?」
「おう、どこでもできるから任せんしゃい!」
スタメンチーム
荻原シゲヒロ 191cm
持田雄大 173cm
高野光輝 167cm
秋山信二 176cm
片山貫太郎 188cm
ベンチチーム
千石恭一 190cm
今井雄介 165cm
赤城千治 171cm
星野正人 174cm
黒谷雅也 176cm
うーん、このチームは全体的に身長が低いな。まあ中学生ならこれぐらいが普通なんだけど、てか俺がでかすぎるだけか。まあいいや、今回はセンターだししっかりセンターの仕事をしますか
ジャンプボールはベンチチームからは千石、スタメンチームからは片山が出る
ジャンプボールが上がりそのボールを取ったのは
「おっしゃー!」
勿論俺だ
「よし、まずは一本落ち着いて行こう」
今井の掛け声と同時に周りのメンバーがコートを動き出す。なるほどな。ハーフコートオフェンスか。完成度は高いがそれでもスタメンチームの方が一枚上手だ。パス回し一つ一つを簡単にさせずしっかりディフェンスをしてくる。俺が面を取ろうとするが
「もらった!」
荻原によってパス回しをしている最中にボールをスティールされる。俺もすぐに戻りディフェンスにつこうとするがいかんせん場所が悪い。俺がさっきまでいたのはゴール下、カットされた場所は45度流石に間に合わない
「させるか!」
すかさずトップにいた赤城が荻原のマークに着くが左右のフェイントに引っかかり簡単に抜かれる。荻原はなかなかうまいな~
俺はその隙に戻り荻原に備える
「戻るの速いな!行くぞ!」
荻原はスピードを緩めずそのまま突っ込んでくる。俺は左右ブロックすべてに対応できるようにスタンスを構える。荻原は一度止まりリングを見る。シュートか?その瞬間もう一度加速し俺を抜きいかかる。チェンジオブペースか、なかなかうまい!一瞬引っかかりそうになった。俺は危なげなく荻原のスピードについて行く
「げ、あれで抜けないのか!?」
「流石に危なかったわ」
俺は荻原がスピードを緩めた隙にボールをスティールする
「おわっ!」
「もーらい」
俺はそのままドリブルで上がっていく
「させるか!」
持田が止めにかかるがレッグスルーで持田の姿勢を崩しそこからバックビハインドで抜き去る
「ドリブルがうまい!」
俺はそのままリングに向かうが
「ここは通さないぜ!」
持田を抜くのにかかった時間の間に戻っていた荻原が立ちふさがる
「じゃ、抜かないわ」
俺はすぐに切り替え逆サイドを走っている仲間にパスを出す。レイアップは危なげなくリングをくぐる
「ナイッシュー」
「ナイスパス」
「クソー、あそこでパスか」
先制点は俺達だ。俺達はディフェンスに戻るが、ちょっと戻るスピード遅くない?
「速攻!」
そう思っていた時、持田の掛け声で一気にスタメンチームが走り出す。対応に遅れこっちはディフェンスが戻りきっていない。そのままノーマークの相手にシュートを決められ同点にされる
「切り替えも速いな。流石全国区だ」
俺は走りながら次のプレーで何をするか考える。う~ん、これにしよっか
俺は45度でボールを持っている味方に近づき視線で合図を出す。その瞬間味方はドライブで抜きにかかる。当然それを止めようと動くが俺のスクリーンによって追うことができなくなる
「しまった!スイッチ!」
すかさず俺のマークマンがヘルプに着くがすぐに俺にパスが出される。俺はそのままゴールしたシュートを決める
「成功成功♪」
さっきの技はピック&ロールだ。一人がスクリーンを行いスクリーンをかけてもらったプレイヤーが抜きにかかる。それで抜けたらよし、抜けなかったらスクリーナーが開きパスをもらいシュートを決める。二対二ではよく使われる技だ
「さっきのはきれいに決まったな」
「ああ、試合中なのに練習のように簡単にやられたな」
今回は速攻で来ないようだ。なるほど、毎回速攻を行うのではなく、偶に速攻をしてくるのか。そんなことを考えずに毎回速攻をしたらいいのに
そのまま試合は拮抗していくが徐々にスタメンチームとベンチチームとの点数差が広がっていく
「このままじゃやべーな」
正直言ってこのままいったら俺達は負ける。仕方ない、今回はセンターをやろうと思っていたけど負けるのは嫌だからな
「なあ、ちょっといいか?」
スタメンチームがシュートを決める
「おし!」
「絶好調だなシゲ」
「当たり前じゃん!久しぶりにこんなワクワクした試合してるんだからな!」
「まあ、点差もいつもよりは拮抗しているようだしな。って、な!?」
「どうした?…ってまじか!?」
「じゃあ、まず一本決めようか」
荻原と持田が驚くのも無理はない。先程までセンターをやっていた千石がボール運び、つまりポイントガードをやっているのだ。普通に考えたら違和感しかない
「みんな動きたいように動いて。俺が合わせるから」
俺の言葉にみんなが動き出す。やっぱり実力差かマークをはがすのに苦労をしていた。なら
「突破するか!」
俺は簡単にマークマンを抜き去りそのままリングに向かう
「させるか!」
ヘルプに来たのは高野と秋山の二人だ。だが少し遅かった。二人がヘルプに来た瞬間ノーマークになった味方にすでにパスを出している
「しまった!」
「ナイスパス!」
ノーマークになった味方はジャンプシュートを決める。今回はさっきまでとは違い簡単に点を取ることができた。そのおかげかチームの雰囲気も良くなっている
「速攻!」
荻原の掛け声に頷きスタメンチームが一斉に動き出す。ボールを運ぶのは勿論ガードの持田だ。だが今回は
「な!千石!?」
ボールを運ぼうとしている持田をマークしてるのは千石だ。千石は今までのプレイを見て速攻をするときには持田にボール運びをすべて任せていることに気づいた。ならボールを運ばれる前に取ってしまおう。それが千石の考えだった
「いただき!」
俺は持田が動揺している間にボールをスティールしそのままレイアップを決める
「まずいな」
「シゲ、これじゃあ速攻ができないぞ」
今の行動を考えると持田のマークについているのは千石だと考えるのが妥当だ。持田は決して下手なわけではないがドライブはあまり得意ではない。どちらかというとディフェンス得意なPGだ。更に千石とマッチアップすると身長差がもろに出てしまう。それに千石のプレッシャーの掛け方は凄まじい。それこそ試合の終盤のようなディフェンスをしてくる。更に千石の強さは並じゃない。本場のアメリカでスタメンになるほどの実力だ。弱いわけがない。そのせいで今まで中からの点はなかなか取れずにいるリバウンドも簡単には取れない。おかげでさっきから外から決めていることが多い
「仕方ない。俺が運ぶからモッチーはフロントコートに上がってくれ」
「わかった。頼むぞ」
そこからは荻原が慣れないポイントガードの仕事をしながら試合が進んだ。そのせいか荻原自身も点を取ることが少なくなり悪循環が出てきた。そのまま試合は進みいつの間にか点差はなくなっていった
「もう少しで勝てるぞ!」
「「「「おう!」」」」
「負けるな!こっちが有利なんだ。このまま勝つぞ!」
「「「「おう!」」」」
試合の時間は進み時間はブザーが鳴る瞬間が迫ってきた
「ボールをキープさせるな!プレッシャーかけろ!」
俺はみんなに指示を出しながらここからどう逆転するか考えていた。点差は一点差。一本でも決められると勝つことは難しくなるな。どのタイミングで勝負に出ようかな?そんなこと考えていると
「おら!」
「しまった!」
荻原がカットインしペイントエリアに侵入する
「やべ!」
俺は慌ててヘルプに向かうが考え事をしていたため反応が送れた
「決まれ!」
荻原は中深くに入らず止まりジャンプシュートを打つ。そのままボールはリングをくぐる
「よっしゃー!」
スタメンチームは荻原のシュートが決まったことによって気持ちが途切れる。残り時間は5秒
「リスタート速く!ボール寄こせ!」
俺は今井にリスタートを急かしボールを受け取る
「しまった!」
「戻れ!」
気持ちが途切れていたスタメンチームは千石の速攻について行けず千石に置いて行かれるが
「今度こそ止める!」
シュートを決めた荻原はすでに戻っている
「悪いけど勝負している時間はないんだよね!」
俺は荻原が待ち受けるスリーポイントラインに侵入せずハーフコートで止まる。そして
「決まれ!」
シュートを打つ
「そこから打つのか!」
俺のシュートは綺麗な放物線を描きリングに向かう。そして
パサッ
決まった
ビー
試合終了だ。結果は同点だ
「勝てなかったか~」
だが久しぶりにバスケができて満足だ。正直な話勝ちたかったのだが終わってしまったことは仕方ない。それよりも久しぶりに撃ったから入ってよかったと思った。失敗したら恥ずかしかったからな
「すげーな!あれ狙って決めたのか?」
荻原が走って俺の近くまでくる
「おう!流石に俺も入るとは思ってなかったわ」
荻原は褒めるがもう一度言おう。久しぶりにあの距離から撃ったから正直入るとは思っていなかった。まあ結果入ったから良しとしよう。結果オーライというやつだ
「それにしても荻原もうまかったな」
「千石もうまかったじゃん!ビックリしたぜ」
「荻原こそ最後の最後でシュート決めやがって」
「それよりさ、恭一って呼んでいいか?俺もシゲでいいから」
「わかった、よろしくなシゲ!」
「こっちこそよろしくな恭一!」
「バスケ部には入るんだよな?」
「勿論だ!これから頼むぜ?」
「任せとけ!」
こうして俺は明洸中学校バスケ部に入部したのだ