黒子のバスケ~隠れたキセキ~   作:うたまる♪

2 / 11
2Q

「シゲ~、眠たい」

 

「へ?」

 

「試合になったら起こして」

 

「へ、ってちょっと待て!寝るな!起きろ!」

 

「諦めろよシゲ。こいつ一回寝ないと気が済まないんだ」

 

「だからって……アップ中に寝るなよ」

 

千石恭一は眠っている。どこでかというと

 

ベンチで

 

「でも恭一はスタートなんだぞ」

 

「ここまでいつもそうだったしこのスタイルは変わらないだろ」

 

今から行われるのは地区大会の決勝戦だ。ちなみにここまではダブルスコア、トリプルスコアにして勝ち進んでいる。この試合に勝てば全国大会に出場することができる

 

「シゲも速くアップに行こう。俺らはアップしないと。黒谷達も待ってるぞ」

 

「わかったよ。行こうかモッチー」

 

荻原と持田は千石をベンチに放っておきアップをするためにコートに向かった

 

「あれシゲ、持田。イッチーは?」

 

「いつも通りだ」

 

黒谷はベンチを見て納得する

 

「また寝てるのか」

 

黒谷はため息を吐きながらボールをつく

 

「言いたいことはわかるがあいつ気分屋だからな」

 

「それに機嫌悪くなるとこっちにとばっちりが来るもんな」

 

持田とシゲも溜息を吐きながら話をする。千石の話ですでに緊張のきの字も見られない

 

「天然のシゲよりタチが悪いもんな」

 

「俺って天然か?」

 

「「十分天然だよ」」

 

持田と黒谷がツッコむ

 

「ま、まあその話は置いとこうぜ。アップしよう」

 

「そうだな。ランニングシュートでいいだろ」

 

荻原達は緊張をあまりせず淡々と体を温めていく。決勝戦を迎えるにはベストコンディションだ

 

「残り時間も少なくなってきたしそろそろ切り上げるか」

 

「そうだな。おし!集合!」

 

荻原の掛け声で部員がベンチに集まっていく

 

「おいイッチー。そろそろ起きろ。試合が始まるぞ」

 

黒谷が千石を起こすために身体をゆする

 

「ふわぁぁ~~、おはよう。もう試合始まるの?」

 

「始まるよ!ってなんでバッシュも履いてないんだ!」

 

「お、こりゃうっかり」

 

「うっかりじゃねー!」

 

持田が息を荒げながら怒るが千石は一切こたえていない

 

「まあまあそう焦んなって」

 

「焦るわ馬鹿!速く紐結べ!」

 

「モッチー落ち着けって!こんなのいつもの事だろ?」

 

「いつもの事だから怒ってんだよ!シゲもこいつに甘いぞ」

 

「そー怒んないでくれよ。しっかり走るからさ」

 

そう言いながら千石はバッシュの紐を結ぶ

 

「毎回思ってるんだが何でこの夏の季節にダウンコート着てるんだ?」

 

今の千石の服装はダウンコートのような厚手の服にどこにでも売ってそうな防寒性の高い長ズボンを着ているという夏の季節には絶対に着ないような服装だ

 

「え、おかしい?」

 

「おかしいな」

 

持田の即答に首をかしげる千石

 

「まあいっか。それじゃあ試合も始まるし脱ぐか」

 

千石は来ている服を脱ぎユニフォーム姿に着替える

 

「さあ行こう」

 

「あ、毎回それ言ってるの俺なのに!」

 

「速くしろって」

 

持田に引きずられながらコートに入る千石と荻原

 

「それでは決勝戦を始めます。礼」

 

 

 

明洸中学

 

4番荻原シゲヒロ 191cm

 

5番持田雄大 173cm

 

6番黒谷雅也 176cm

 

7番片山貫太郎 188cm

 

8番千石恭一 190cm

 

 

 

 

赤根中学

 

4番中野昇 158cm

 

5番大西翔 166cm

 

6番横谷健一 168cm

 

7番ラーズ・リベリオン 195cm

 

8番朝日宗 171cm

 

 

「全体的に身長低いな」

 

「そうだな、あの外人を抜けば」

 

「こんかいのにほんじんはすこしおおきいやつもいるようだな」

 

ラーズは好戦的な表情をしながら千石を見る

 

「おいおい、俺はお前みたいな相手と戦いたくないぞ」

 

「まけるのがこわいのか?」

 

「いや、そんなことはないさ。ただ」

 

―――――――でかいだけの相手は相手にならないから

 

千石は挑発するようにラーズに話しかける

 

「こいつ!ぜったいにたおしてやる!」

 

「じゃあまずはジャンプボールからだな」

 

千石とラーズが位置に着くとボールが上げられた

 

「もらった!」

 

ラーズが先に跳びボールを後ろに弾く瞬間

 

「そんなわけないでしょ~」

 

千石の指が先にボールに触れボールは後ろにいる持田に渡る

 

「ちっ、うんのいいやつめ」

 

「運も実力の内って言葉知っている?」

 

「ふざけやがって!」

 

持田がボールを運んでいる間に千石はポジションに着く

 

「おまえらみたいなにほんじんにおれはまけない」

 

「あっそ、頑張ってね」

 

持田から黒谷にボールが入り黒谷はトリプルスレットに入る

 

千石はそれに合わせるように動き出し黒谷がドライブで通るであろう場所に止まりすくりーの体勢に入る。その瞬間黒谷の得意なドライブで横谷を抜きにかかる

 

「速い!けどそう簡単には」

 

ドン

 

「いてっ、しまった!スイッチ!」

 

横谷は千石のスクリーンに見事に引っかかり黒谷のマークから外れる

 

「なにやってんだ!」

 

すぐさまラーズがヘルプに向かうが

 

「へい!」

 

既にスクリーンからオープンしている千石にパスが渡る。そのままノーマークのゴールしたシュートを決める

 

「ナイッシュー」

 

「ナイスパス」

 

元々黒谷はスタメンではなかったが千石との練習により得意のドライブを生かすスクリーンプレイを覚えプレイに幅が広がりスタメンに抜擢された。千石との相性も悪くなく今ではほかのメンバーとでもスムーズなスクリーンプレイをすることもできるようになった

 

「なにかんたんにひっかかってんだ!」

 

「わ、悪い。今度から気をつける」

 

一方赤根はラーズがさっきのスクリーンに対応できなかった選手に対して怒っている。この雰囲気を見る限りチーム内での人間関係はそこまでうまくはいっていないようだ

 

「ラーズ頼む」

 

ハイポストでラーズがボールを持つ

 

「さっきのかりをかえしてやる」

 

ラーズはパワードリブルで中に押し込もうとするが

 

「す、すすまない」

 

「軽い軽い。それにドリブルも甘いぞ」

 

千石はラーズがさらに力を入れ押しこもうをした瞬間に身体の力を抜き後ろに下がるとラーズはバランスを崩し少し硬直する。その瞬間に千石はボールをスティールする

 

「速攻!」

 

千石はすぐにPGの持田にパスを出す。すでに前には荻原が走っている

 

「シゲ!」

 

「ナイスパス!」

 

荻原は危なげなくレイアップをうち追加点を決める

 

「ナイッシュー」

 

「千石もナイスカット」

 

チームの士気も上がっていく。逆に相手チームはチームの得点源であるラーズが簡単にやられたことにより士気が下がっている

 

「た、たまたまやられただけだ。つぎはまけない!」

 

ラーズ本人は納得しておらずもう一度千石に挑むためにポジションを取ろうとするが

 

「なんでおもったとおりのばしょにいけない!」

 

千石のディフェンスに苦戦し思うようにポジションを取りに行けない。それもそのはず千石はこまめに周囲の確認をしどの場所にディフェンスがどれだけいるかオフェンスはどのように動いているかを逐一確認しながらラーズをプレイしにくい場所に追いやりポジションを取りにくくひているからだ

 

「だから言っただろ。でかいだけの奴じゃ相手にならないって」

 

「このやろう!」

 

ラーズが無理にポジションを取りに動く。ラースの腕が千石に身体を押しのけると

 

ピィー!

 

「オフェンス白7番」

 

無理に行こうとしたせいでファウルを取られる

 

「くそ!」

 

ラーズは悔しがりながら自陣に戻る

 

「ナイスディフェンス」

 

「サンキューシゲ」

 

千石は荻原の手を借り起き上がる

 

「それにしても凄いな。恭一はディフェンスもうまいよな」

 

「そんなことないさ。ちょっと考えてバスケをやっているだけさ」

 

千石は簡単に言っているが実際自分のマークマンをマークしながら他の人間がどこにいるかを常に把握することはとても難しい。マークマンから目を少しでも外すとマークマンがどこにいるかわからなくなるなんてことはざらにある。しかしそれを千石は簡単にやってのけている

 

「モッチーも俺にパスくれよ」

 

「しっかり面を取ってくれたらパスをだすよ」

 

俺はローポストで面を取りボールがもらえるように体制を作る。持田はさっき言ったとおりしっかりポジションを取っている千石にパスを出す

 

「こい!かえりうちにしてやる」

 

ラーズ求める気満々のようで千石が押した分押されないようにしっかり力を入れる

 

「パワーはなかなか……ならこれはどうかな!」

 

千石はスピンムーブで素早くラーズを躱すそのままシュートを打とうとするが

 

「させない!」

 

ギリギリのところで外人特有のすらっとした長い手がボールに伸びていく

 

「これに反応するか!やるー」

 

千石はボールの持っていない左手で手を抑えそのままフックシュートを決める

 

「イヤー危ない危ない。もう少しで叩かれるところだった」

 

実際の話千石はブロックが間に合うとはなから思っていた。というか、追いつけるようなスピードでターンをしたのだ。そしてブロックをされないようにフックシュートで決める。千石は力技ではなく純粋な技術でラーズを圧倒している

 

「ま、まけてたまるか!」

 

ラーズもやり返そうとポジションを取ろうとするがさっきと同じようにうまくポジションを取ることができず不利な体勢でシュートを打つことを迫られている。赤根の得点源であるラーズが封じられ得点を決める手段が少なくなった赤根は少しずつ明洸に点差を離されていく

 

 

 

明洸56点  赤根12点

 

今までのチームと違いラーズだよりのワンマンチーム赤根はラーズを抑えられたことにより既に意気消沈している。しかしディフェンス面ではラーズが一人で奮闘し得点追加を一人で減らそうと頑張っている

 

「あのさ~、そろそろ気づきなよ」

 

「な、なににきづくんだよ」

 

突然話しかけてきた千石に驚くラーズ

 

「ここまで戦って一人で勝てないのはわかっただろ?そろそろチームメイトを頼ってみたらどうだ?」

 

「だめだ!おれがちーむでいちばんうまいんだ!おれがみんなをたすけてやらないと!」

 

「その結果がこれだろ。今更やっても結果は変わらないかもしれないけどチームメイトに頼るって言うのも悪くないと思うぞ」

 

ビービー

 

「タイムアウト白」

 

話が終わったと同時にタイムアウトの合図が出される

 

「ま、偶にはお前も助けてもらえって」

 

千石はそう言いベンチに戻っていく

 

「おれがたすけてもらうのか」

 

「どうしたラーズ?速く戻るぞ」

 

ラーズはチームメイトに声をかけられベンチに戻る

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあ残り時間も少ないし最後まで頑張ろう!」

 

「相変わらずシゲは元気だな~」

 

「千石もそう思うか?実は俺もだ」

 

「とかいうモッチーもそんなに疲れてなさそうだけどね」

 

「速攻の回数が少なかったからだろうな」

 

荻原、千石、持田は話しながらコートに入る。対する赤根もコートに入る

 

ピクッ

 

千石は赤根の選手の目を見て少し笑顔になった。さっきまで死んだような目をしていた赤根の選手が今は目に闘志が戻っている。どうやら千石の言ったアドバイスは成功したようだ

 

「おい、ここからはほんきだ。かくごしやがれ」

 

「おう!かかって来い!最後まで楽しくバスケくをしようぜ!」

 

そこからさっきまでの流れと打って変わり両チーム共速攻が増えた。理由は簡単だ。赤根はシュートを決められたら速攻で無理やり決め返す。もしシュートを外しても全員でとりに行く。今まではラーズにリバウンドを任せていたが今は赤根全員で取りに来ている。そしてこの時間帯でオールコートマンツーマンだ。試合の終盤でのオールコートマンツーマンほどつらいものはない

 

時にはスティールが成功するも失敗し逆に点を取られることもあるがさっきまでのラーズ一人に頼っているバスケより何倍もいい。バスケは5人で行うスポーツだ。誰か一人に頼ったバスケはいつか崩れる。一人が崩れるとそのチームの負けが決まる。それが一人バスケだ。いい例が赤根だろう。今までラーズに頼りっきりだった付けが今ここに回ってきたのだ。最初からこの戦い方で攻めてきたら結果は変わったかもしれない。今となってはそんなことを考えても後の祭りでしかない。そして試合は終了した

 

 

 

明洸87点  赤根47点

 

「スコア通り明洸の勝ちです。礼」

 

『あざした!』

 

結果は明洸の勝ちとんなっているが終盤のみでは赤根の勢いにされ明洸は走り負けや気後れをしていて不利な状況だった。終盤のみを見れば赤根の勝ちだった

 

「まけたよ」

 

挨拶を終え、ラーズが千石に挨拶に来る

 

「それでも最後のプレイはよかったと思うぞ」

 

「ありがとう。もっとはやくにきがつけばよかったとおもったよ。だからつぎにたたかうときはおれがかつ!おぼえておけよ」

 

「次に戦うときは高校だな。まあお前らの分までしっかり勝ってやるさ」

 

そう言い千石とラーズは握手をしその場から別れた

 

 

 

 

 

「最後のあれ絶対走り負けしてたよな~」

 

「シゲも気後れしてたしな」

 

「黒谷もしてたしな」

 

試合終了後のミーティングの最中だ

 

「まあ今後の反省点としたらまずは走り負けしないことと相手の雰囲気に呑まれないことだな」

 

千石が今後の課題を言いミーティングが終わるが

 

「そう言えば試合中恭一は何話してたんだ?」

 

「ちょっとラーズにアドバイスしてた」

 

「もしかしてそのせいで赤根の雰囲気が変わったのか?」

 

「そうだな」

 

『お前のせいかよ!』

 

全員が声をそろえて千石に怒る

 

「いや、でもさ~いい経験なったでしょ?全国に行ってこんなんじゃ負けるぜ」

 

「まあ確かに今回はいい薬になったかもな」

 

「全国前にはちょうどいい試合だったな」

 

持田と荻原もさっきの試合を思い出しながら反省をする。もしも全国であんな状態だったら負けるかもしれない。そう考えると今回の試合はいい教訓になったかもしれない

 

「とりあえず全国までにやらないといけないことも増えたことだし明日から練習も頑張って行こうぜ!」

 

荻原の言葉に部員全員が頷く。全国では同じ失敗をしないぞっと言わんばかりに

 

こうして明洸の全国行は決まった

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。